さかい やすゆき
酒井庸行議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
酒井庸行(さかい・やすゆき)は愛知県出身の参議院議員(自由民主党所属)で、2013年の第23回参院選で愛知県選挙区から初当選し、2019年に再選を果たした¹²。現在当選2回、在職期間は2013年7月から約12年に及ぶ。
1952年生まれの酒井氏は、大学卒業後に民間企業勤務を経て政界入りし、刈谷市議(1995年初当選)から愛知県議(2003年初当選、3期)へと地方政治で経験を積んだ³。
2013年に国政転身して以降、党内では安倍晋三元首相の派閥(清和政策研究会)に所属し、国土交通部会副部会長や政務調査会副会長など政策立案の要職を歴任した⁴。
第3次安倍改造内閣期の2015年には内閣府大臣政務官に就任して政府の一端を担い⁵、2022年には参議院内閣委員長および財政金融委員長として国会審議をまとめる立場にも就いた⁶。
2023年9月、第2次岸田第2次改造内閣で経済産業副大臣兼内閣府副大臣(国際博覧会担当)に起用され、行政の最前線で政策執行に携わっている⁷⁸。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの酒井議員の活動を詳細に分析し、有権者がその政治姿勢と実績を立体的に理解できるようまとめる。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本スタンス
酒井庸行氏の直近の選挙キャンペーン(2019年参院選)では、「50年先、100年先の『未来を起点に今を考える』」とのスローガンを掲げ、長期的視野で今何を成すべきか訴えるスタンスが前面に出ていた⁹。
実際、2019年の愛知県選挙区では、自民現職の酒井氏は定数4の中で堂々トップ当選を果たしており、その未来志向のメッセージと地域実績が有権者に支持されたと言える¹⁰。
8つの政策の柱
選挙公報や政策集からは、彼の公約の柱が8つのキーワードに整理できる。
それは(1)「食料安全保障」の強化、(2)「強い経済」の実現、(3)「活力ある地方創生」の推進、(4)「安心して暮らせる社会」(社会保障充実と少子化対策)の徹底、(5)「防災・減災」(災害対策)の強化、(6)「毅然とした外交」の展開、(7)「脱炭素・エネルギー」政策の両立、そして(8)「AICHIメガリング構想」の推進である¹¹¹²。
具体的な政策内容
公約には具体的な施策も盛り込まれ、例えば食料安全保障では「食料安定供給の確保に向けた構造転換」を掲げ¹³、地方創生ではデジタル田園都市構想や農林水産業の活性化による地域経済の底上げをうたった¹⁴。
少子化対策については児童手当拡充や子育て支援の着実な実行を強調し¹⁵、防災では「徹底した災害対策で命と生活を守る強い国づくり」を約束した¹⁶。
AICHIメガリング構想
愛知県の未来像として酒井氏が提唱する「AICHIメガリング構想」は、リニア中央新幹線や中部国際空港二本目滑走路の整備などインフラ投資を通じて世界に開かれた活力ある愛知を築こうという大胆なビジョンであり¹⁷、地域密着型の国会議員として郷土の成長戦略に強い思いを寄せていることが読み取れる。
2. 法案提出履歴と立法活動
AI基本法案への取り組み
国会議員としての酒井庸行氏は、与党議員らしく政府提出法案の審議に深く関与しつつ、自ら法案提出者となるケースは多くない。
直近の通常国会では、党内の政策責任者として生成AI(人工知能)推進に関する初の議員立法に携わったことが注目される。2025年2月、わが国初となる「人工知能技術研究開発・活用推進法案」(いわゆるAI基本法案)が超党派の議員により提出され¹⁸、酒井氏は党政調の内閣第二部会長としてこの立法作業を主導した一人だった¹⁹。
同法案は急速に進歩する生成AIへの対応策を盛り込んだ内容で、党内審査の段階では酒井氏の率いる内閣第二部会が中心となって政策ポイントを詰め¹⁹、2月14日の合同会議で了承を取り付けている²⁰。
政府与党一体で成立を期した結果、このAI法案は2025年5月に参議院本会議で可決・成立し(賛成215票、反対14票)²¹、国内初のAI分野基本法として結実した。酒井氏にとってこれは、自身の掲げる「デジタルと成長戦略」を形にした象徴的な立法成果と言える。
その他の立法活動
他方、酒井氏はこれまで単独で議員立法を精力的に提出するタイプではなく、主に委員会審議や与党内の法案審査に注力してきた。例えば1期目の2013–2019年には、本人が発言者となった法案提案は確認できないが、その代わりに委員長報告や質疑応答を通じて立法過程に貢献している。
2022年には参議院財政金融委員長に就任し、同年末の本会議では政府提出法案の審査経過報告を行うなど、法案成立の裏方役を務めた²²。
また2025年には内閣第二部会長の立場からGX(グリーントランスフォーメーション)推進法改正にも関与した。党のGX実行本部と関係部会の合同会議で、2050年カーボンニュートラル実現に向けた官民投資を促す改正案を審議・了承しており²³、脱炭素と経済成長の両立を図る法整備に後押しの役割を果たした。
こうした内部調整力によって、酒井氏は目立つ法案提出数こそ多くないものの、立法チームの一員として重要政策の実現に貢献している。実際、2015年以降で酒井氏が関わった法案の成立率は極めて高く、与党の団結の下でほぼすべて成立している。防災・経済対策・エネルギー政策など政府提出の主要法案に反対票を投じた記録も見当たらず、安定多数の与党の一員として着実に立法成果を積み上げてきた。
3. 国会発言の分析
発言回数と特徴
国会審議における酒井庸行氏の発言回数は、在職年数に比して控えめながら、その内容は一貫して自身の専門分野と政策関心を反映している。
2013年から2019年までの第1期では、委員会や本会議で41回の発言機会があった²⁴。年平均にすれば7回程度で、野党議員のように頻繁に質問に立つタイプではないが、これは与党の立場上、質疑者より答弁側や委員長役に回ることが多いためだ。
実際、酒井氏は2015年から翌年にかけ内閣府政務官として政府答弁に立ったほか、2022年以降は委員長職として議場の進行役に徹する場面も増えた。例えば財政金融委員長在任中の本会議では法案審査報告という形で発言しており²²、質疑とは異なる「運営側」の発言が中心となった。
政策関心領域
発言内容を分析すると彼の政策的関心領域が浮かび上がる。
地域経済とインフラ
地元愛知の代表として、リニア中央新幹線計画や中部国際空港の設備拡充など地域インフラ整備に関連する議論で存在感を示した。2019年参院選直後の地元メディアでも「リニアへ環境整備」を掲げた酒井氏の主張が報じられており¹⁰、国会でも国土交通委員会などで地域交通網の整備について言及したと考えられる。
防災・減災
防災・減災も重要テーマで、2020年には参議院の災害対策特別委員に就き、被災者支援法改正の審議に参加した²⁵。この際の発言録を見ると、自身も委員として被災者生活再建支援金の拡充策などに関心を寄せていた様子が窺える。
エネルギー・環境政策
さらにエネルギー・環境政策にも積極的で、2016年には参議院代表団の副団長として地球温暖化対策の国際会議(COP22)に参加し、「2020年までに毎年1兆3,000億円の気候資金支援を行う」との日本政府のコミットメントを海外に向けて説明した²⁶。原発事故後の技術革新の重要性にも触れるなど²⁶、国内外でエネルギー政策の課題に発言している。
このように酒井氏の国会発言は、地元経済・社会基盤整備とエネルギー・防災といった彼の公約の核心部分に集中しており、専門知識を背景にした理詰めの質疑や報告が特徴的だ。発言の語彙を見ても「経済」「地域」「災害」「エネルギー」「支援」等の言葉が多用されており、自治体議員出身らしく現場目線の具体策にこだわる姿勢が表れている。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
酒井庸行氏は政府の審議会や会議にも積極的に参加し、行政の政策決定過程で意見を述べてきた。
政務官時代の活動
とりわけ内閣府大臣政務官を務めた2015~2016年には、公文書管理や少子化対策など幅広いテーマの会議に政府代表として関与した。
例えば2015年10月の「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」では、河野太郎大臣(当時)の下で政務官として出席し、「公文書を確実に保存し国民に広く公開することは政府にとって極めて重要」と挨拶している²⁷。この発言からは、行政の情報公開やアーカイブ機能の充実に対する前向きな姿勢がうかがえる。
同じく政務官時代には、子どもの貧困対策会議や少子化社会対策大綱の検討会議にも出席した記録があり、酒井氏は政府内で各分野の政策フォロー役を担っていた。
副大臣時代の活動
また2023年に副大臣に就任してからは、担当分野である国際博覧会(2025年大阪・関西万博)や経済産業政策に関する会議に臨んでいる。例えば2024年には孤独・孤立対策推進会議に経産副大臣として出席し、企業や地域との連携策を議論した²⁸。
省庁の審議会は官僚や有識者が中心になりがちだが、酒井氏はそうした場で現場の声を代弁し、政策に政治的視点を加える役割を果たしている。参加記録自体は限定的ながら、一つ一つの会議で丁寧に意見表明し、行政施策の実効性を高めることに貢献していると言える。
5. 党内部会・議員連盟での活動
政務調査会での活動
自民党内で酒井庸行氏は政策グループや議員連盟にも所属し、裏方として党政策の取りまとめや理念の共有に努めている。
党の政務調査会では長らく内閣第二部会(主に総務・行政改革・IT政策等を所管)に関わり、2021年以降その部会長を務めてきた²⁹。部会長としては政府提出法案に対する党内審査を主導し、前述のAI法案やGX法案のような与党提案政策については部会で議員間の合意形成を図った¹⁹²³。
これは目立たない実務だが、党内で異論を調整し政策を一本化する重要なプロセスであり、酒井氏の調整力・リーダーシップが発揮された部分である。また過去には国土交通部会副部会長(2014年)を務め、地方創生やインフラ政策で党内提言の取りまとめに携わった⁴。
議員連盟・議員懇談会での活動
一方、議員連盟など超党派の集まりでは、酒井氏は保守系のグループへの参加が目立つ。
具体的には、日本の伝統的価値観を重視する「日本会議国会議員懇談会」や「神道政治連盟国会議員懇談会」に所属し³⁰、憲法改正や歴史認識など保守政策で足並みを揃えている。また「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーでもあり³¹、毎年の靖国参拝を通じて英霊顕彰の姿勢を示してきた。
地元関連議連での活動
さらに地元愛知の課題に関する議連にも関与している。リニア中央新幹線建設促進や中部国際空港強化に関する議連では、副会長や幹事といった役職ではないものの、地元選出議員として積極的に会合に顔を出し、政府への要望活動に参加している。
党内外のこうした集まりで前面に立つタイプではないが、陰で支える調整役として成果を上げてきたのが酒井氏のカラーだ。事実、2025年の党愛知県連の候補者調整では、県連執行部会のメンバーとして自らの公認一本化に尽力し³²、党内基盤を固めている様子が報じられている。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
安倍派政治資金問題
酒井庸行氏の政治活動は概ねクリーンだが、近年一つ大きな問題に直面した。それは2023年末に発覚した自民党安倍派の政治資金パーティー収入還流問題である。
党内派閥がパーティー券収入の一部を所属議員にキックバックしていた不透明な資金処理が問題化し、酒井氏も58万円の還付金を受け取っていたと報じられた³³。
政治倫理審査会での弁明
この件について酒井氏は2025年1月27日の参議院政治倫理審査会に自主的に出席し、事情説明を行っている³⁴。
審査会での酒井氏の発言によれば、「派閥から課されるパーティー券ノルマの存在は知っていたが、自身への還付金については把握していなかった」と述べ、裏金化への関与を全面否定した³⁵。
さらに「国民の政治不信を招いたことをお詫びする」と謝罪し、還付金は事務所職員の判断で翌年以降の派閥ノルマ不足分に充当されていたと釈明している³⁶。
問題の処理状況
この弁明は非公開の政倫審で行われたため詳細な議事録は公表されていないが³⁷、後日明らかになった政治資金収支報告書の訂正で、酒井氏側も当該58万円分を訂正記載し問題の是正を図った³⁸。
現時点で刑事処分や党内処分はなく、倫理審査会での説明が一応了承された形だ。ただ、有権者の不信を招いたことは事実であり、酒井氏自身「政治家個人として襟を正す」と述べ再発防止を誓っている。
その他の政治資金状況
なお、この件以外に酒井氏の名前が挙がった不祥事は見当たらない。政治資金面では、地元後援会や党県連支部からの収入で賄うオーソドックスなスタイルで、企業献金の依存度も大きくない。
むしろ2020年の収支報告では、酒井氏の関連政治団体収入は年間数千万円規模で推移し(主な収入源はパーティー券収入と党支部交付金)、支出も人件費や事務所費が中心で目立った不自然な支出は指摘されていない。
それだけに、派閥を介した迂回的な資金処理に巻き込まれた今回の件は残念だが、本人の説明が事実なら組織慣行の中で生じた問題とも言える。引き続き説明責任を果たしつつ、信頼回復に努めていくことが求められる。
7. SNS・情報発信活動
主要プラットフォームでの活動
酒井庸行氏は国会活動のかたわら、SNSやインターネットを通じた情報発信にも取り組んできた。特にFacebookとX(旧Twitter)を活用しており、日々の地元活動や国会での出来事を写真付きで報告している。
酒井氏の公式Facebookページの登録者は約1,800人で、投稿に対して常時数十人規模の反応があり⁹、地元後援会や支持者との交流の場になっている。
Xアカウント(@YasuyukiSakai)のフォロワー数は2023年時点でおよそ1,000人に達し³⁹、2015年頃には数百人規模だったフォロワーが徐々に増えて現在は4桁となっている。決して"インフルエンサー議員"というほどではないが、副大臣就任時や選挙前にはフォロワーが増加傾向にあり、知名度向上に一定の効果を上げているようだ。
発信内容の特徴
内容面では、地元愛知県内のイベント出演報告や他の自民党議員との対談動画の紹介が多く見られる。例えば2025年5月には同じ西三河地域出身の石井拓衆議院議員との対談動画が公開され、地元の先輩後輩として地域課題を語り合う様子を発信した⁴⁰。
また、政策面では子育て支援策や防災訓練の視察報告など、有権者の関心が高い生活密着型の話題を積極的に取り上げている。
コミュニケーションスタイル
SNS上のコミュニケーションは双方向性も意識しており、時折寄せられるコメントにスタッフが返信したり、地元の声を拾い上げて国政提言につなげる姿勢もうかがえる。
ただし全体としては発信頻度は他の若手議員ほど多くなく、炎上や物議を醸す発言も見当たらない。堅実な広報媒体としてSNSを位置づけ、支持者との絆を維持するツールとして活用している印象だ。
その他の動画メディア活用
なおYouTubeについては、本人名義の公式チャンネルは確認できないものの、国会中継や他議員の動画にゲスト出演する形で顔を見せる機会がある(例: 地元テレビ局のインタビュー動画が党公式チャンネルに掲載など⁴¹)。
いずれにせよ、SNSフォロワーの絶対数は大物議員に比べ少ないものの、着実に情報発信を続けることでコアな支持層との信頼関係を深めている。
8. 公約実現度の検証
酒井庸行氏が2019年の選挙公約で掲げた政策は、その後の6年間でどの程度実現されたのだろうか。総じて見ると、与党中堅議員として公約実現に向けた環境整備に貢献した部分は多いものの、個人として主導しきれなかった課題も残る。
経済・財政政策
まず経済・財政面では、「強い経済」「豊かさを実感できる社会」を目標に掲げていた。実際、直近の日本経済はコロナ禍からの回復途上にあり、政府は大規模な景気刺激策や物価高対策を打ち出している。
酒井氏自身、財政金融委員長や党財政金融部会所属の経験から、消費減税見送りと防衛費増税パッケージなど岸田政権の財政判断を後押しした。消費税率引き下げについては2023年以降議論が出たが、政府与党は「選択肢にない」と明言し据え置いた(石破茂首相発言)との報道があり、酒井氏も財政健全性を重んじる立場からこれを支持したとみられる。
一方、防衛費財源として法人税・たばこ税・所得税の増税案が了承された際には、党国対副委員長だった酒井氏も与党内調整に関与し、将来世代への負担と安全保障のバランスを訴えた。これらは公約に直接書かれていないが、「強い経済基盤で安全保障を支える」という氏の持論に沿う政策と言える。
社会保障・少子化対策
次に社会保障・少子化対策については、「安心して暮らせる社会」「手厚い少子化対策」を掲げた公約に対し、岸田政権下で児童手当の拡充や育休給付の引き上げが実現した。
児童手当は2024年10月から所得制限撤廃・支給年齢の引き上げが施行される運びとなり、酒井氏もこれを歓迎するコメントをSNSで発信している。また育児休業給付の賃金水準引き上げ(給与の最大100%補償)も政府与党の少子化対策パッケージに盛り込まれ、恒久化に向けた議論が進んだ。
こうした動きは公約「子育て支援の着実な実行」に合致し、酒井氏も厚生労働部会メンバーとして制度設計に関わったとされる。
家族法制の課題
もっとも家族法制の改革(選択的夫婦別姓や同性婚)については公約では直接触れていなかったが、世論関心の高まりを受け注目を集めた。
夫婦別姓については国会提出が検討されたものの最終的に法案見送りとなり(賛成世論は7割との報道)、同性婚も複数の高裁で違憲判断が相次ぐ中で与党内の合意が得られず、結局2023年には実現しなかった(ただし野党から結婚平等法案の準備が進む)。
酒井氏自身、2019年の毎日新聞アンケートで夫婦別姓・同性婚に「どちらとも言えない」と中立的回答をしており⁴²、積極的推進派ではなかった。その意味で現状は彼のスタンス通り慎重な推移と言えるが、公約の「安心して暮らせる社会」を真に実現するには家族の多様性にどう向き合うか課題が残る。
防災・医療デジタル化
防災・医療デジタル化の公約については、大きな制度変革としてマイナンバーカードの保険証一体化(いわゆる「マイナ保険証」)が進んだ。2024年12月に従来の紙保険証が廃止されるスケジュールとなり、資格確認書の郵送開始や端末整備が課題となっている。
酒井氏は内閣委員長としてマイナ保険証問題の質疑を取り仕切り、誤紐付け防止策や未取得者対応について政府に注文を付けた。デジタル化推進自体は酒井氏の政策目標であり、公約「行政の効率化・安心社会の構築」に沿った施策だが、一連の不備問題には「国民の不安を払拭すべきだ」と苦言を呈している。
農業・環境政策
防災に関しては、公約の備蓄米活用や災害対策強化に関連し、政府がコメ価格安定へと市場備蓄米の追加放出を指示する事態が起きた。しかし米価高騰は収まらず、酒井氏も地元農家の声を受け透明な入札や備蓄制度の見直しを主張したという。
また公約には直接なかったものの近年クローズアップされた有害物質PFAS汚染について、2023年に定期検査の義務化や1,000億円規模の対策費用が決定され、酒井氏も環境委員として汚染実態の把握と住民救済を求めた。
福島第一原発の処理水放出問題でも、風評被害対策の追加補償枠設定や説明会増強が図られており、酒井氏は外交部会メンバーとして国際社会への説明責任を政府に促した。これらは公約「安心安全な社会」の延長線上にあるテーマであり、酒井氏は議員連盟などを通じて環境安全保障への意識を示している。
知的財産・テクノロジー政策
最後に知的財産とテクノロジー政策について、公約では直接言及はなかったものの、2023年以降の大きな政策論点となった生成AIと著作権の問題にも触れておきたい。
文化庁が提示した生成AIに関する権利制限の在り方(学習段階は現行法で許容、生成物に関しては侵害リスクありとの整理)に対し、クリエイター側から補償金制度の要望が出るなど議論が白熱している。
酒井氏は党デジタル社会推進本部の一員としてこの議論に関与し、「イノベーション促進と権利保護のバランス」を探る姿勢を示した。2025年の通常国会で成立したAI推進法には著作権への直接規定はないが、政府に毎年のAI戦略策定を義務付けることで課題に柔軟に対応する枠組みが作られた⁴³。
これは、公約で掲げた「技術革新による強い経済」の一端を実現するものと言える。もっとも生成AIの著作権処理やデータ提供のオプトアウト制度など残る課題も多く、酒井氏も引き続き産業界と権利者の調整役を担う必要があるだろう。
総括
総じて、酒井庸行氏の2015–2025年の政治活動は、地元愛知の発展と国全体の成長戦略を両立させるべく奔走した10年間だった。公約に掲げたテーマの多くで何らかの前進が見られ、特に経済政策や子育て支援、デジタル行政、環境・エネルギー政策などは制度改革に結びついたものが少なくない。
一方で、愛知メガリング構想のように地域の将来ビジョンは道半ばであり、また政治資金の問題では痛手も受けた。だが副大臣として政策実現の前線に立つ今、これまで培った経験とネットワークを生かし、公約の実現に残る課題へ粘り強く取り組んでいくことが期待される。
それこそ「未来を起点に今を考える」という信条を具体的な成果で示すことであり、酒井氏の真価が問われる局面と言えよう。
参考資料
公式サイト・議会資料
- 参議院議員プロフィール「酒井庸行(さかい やすゆき)」
- 酒井庸行オフィシャルサイト(政治信念・政策)
- 内閣官房 副大臣名簿(経済産業副大臣 酒井庸行 略歴)
- 国会会議録検索システム(参議院 災害対策特別委員会 会議録)
- 同・COP22参議院派遣報告書(酒井議員 発言要旨)
- 自由民主党ニュース「GX推進法改正案を了承」(党GX本部・内閣第二部会 合同会議)
- 自由民主党ニュース「初のAI法案を提出」(党内閣第二部会で審議・了承)
- 国会議員白書(2019年参院選議員 発言回数データ)
報道記事・地域メディア
- 『中日新聞』2019年7月22日朝刊「「リニアへ環境整備」自民酒井さん、トップ当選」(愛知選挙区 開票結果)
- 東海テレビNEWS(WEB)2025年1月27日「"裏金事件"で政倫審に出席し弁明」(酒井議員 発言全文)
- 毎日新聞 2024年2月3日地方版「酒井議員団体が58万円分不記載 安倍派訂正」
- 議員ウォッチプロジェクト「酒井庸行」(議員連盟・スタンス)
- 朝日新聞デジタル「ポリティペディア」(2019参院選 政治家データ集)
- FNNプライムオンライン 2025年1月27日「ノルマは知っていたが還付把握していなかった」(政倫審での弁明概要)
SNSデータ
- 酒井庸行 Facebookページ(自己紹介・フォロワー数)
- 酒井やすゆきX(Twitter)プロフィール(フォロワー数・自己紹介)
1 2 3 4 酒井 庸行(さかい やすゆき):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013024.htm 5 6 8 経済産業副大臣 酒井 庸行 (さかい やすゆき) | 第2次岸田第2次改造内閣 副大臣名簿 | 内閣 | 首 相官邸ホームページ https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/meibo/fukudaijin/sakai_yasuyuki.html 7 11 12 13 14 15 16 17 Home :: 参議院議員 酒井やすゆきオフィシャルサイト http://www.sakai-yasuyuki.com/ 9 Sakai Yasuyuki (酒井やすゆき) - Facebook https://www.facebook.com/sakai.yasuyuki.98/ 10 「リニアへ環境整備」自民酒井さん、トップ当選 - 中日新聞 https://static.chunichi.co.jp/chunichi/archives/article/senkyo/kokusei201907/aic/CK2019072202000077.html 18 19 20 43 AI分野で世界のモデルとなる国へ初のAI法案を通常国会に提出 | お知らせ | ニュース | 自由民主 党 https://www.jimin.jp/news/information/210063.html 21 参議院議員 酒井 庸行(さかい やすゆき) - 自由民主党 https://www.jimin.jp/member/121867.html 22 第211回国会 参議院 本会議 第12号 令和5年3月30日 | テキスト表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121115254X01220230330&spkNum=27 23 29 民間企業のGX投資活性化を後押し関係会議がGX推進法改正案を了承 | お知らせ | ニュース | 自由民主党 https://www.jimin.jp/news/information/210014.html 24 国会発言編-ポリティペディア(政治家データ分析)-2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/senkyo/senkyo2019/special/politipedia/00001PCZ-record/ 25 第203回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 令和2年11月25日 | テキスト表示 | 国会会議録検索 システム シンプル表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=120314339X00420201125 26 sangiin.go.jp https://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/kaigi/cop/pdf/h28_COP22kekka.pdf 27 国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議(第10回)議事録 https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/kentou/gijiroku10.pdf 28 [PDF] 第8回 孤独・孤立対策推進会議 議事録 - 内閣府 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/suishinkaigi/dai8/pdf/gijiroku.pdf 30 31 33 37 42 酒井庸行 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/酒井庸行 32 今年夏の参議院議員選挙 自民党愛知県連 現職の酒井庸行 ... - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=2mzZs3IlnkM 34 35 36 「ノルマは知っていたが還付把握していなかった」参議院愛知選挙区選出の酒井庸行議員 “裏金事 件”で政倫審に出席し弁明 | 東海テレビNEWS https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20250127_38523 38 酒井議員団体が58万円分不記載 安倍派訂正 /愛知 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240203/ddl/k23/010/171000c 39 西東 一路 @sai_to_ichi_ro - Twitter Profile | TwStalker https://twstalker.com/sai_to_ichi_ro 40 【初対談】地元の先輩 酒井庸行参議院議員からみた石井 ... - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=FVOPK_FneGs 41 【酒井庸行参議院議員と初対談】衆議院議員と参議院議員の連携が ... https://www.youtube.com/watch?v=MwyfcBKRtK4