あかいけ まさあき
赤池誠章議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
自由民主党参議院議員の赤池誠章(あかいけ・まさあき)氏は、山梨県甲府市出身の63歳(昭和36年生まれ)である¹。明治大学政治経済学部を卒業後、松下政経塾第7期生として「人づくり」の理念を学んだ²。
自動車整備士養成学校の校長など教育分野の職歴を経て、自民党から政治家を志し、2005年の衆院選で比例南関東ブロックより初当選した³。その後、2009年の政権交代選挙でいったん議席を失うが、2013年の参院選比例区で約20万票を得て党内8位で当選し、国政に復帰した⁴。
以来参議院議員を2期務め(衆議院1期を含め通算3期)、現在は比例代表全国区選出議員として在職している⁵。在職中は文部科学大臣政務官(第2次安倍改造内閣・第3次安倍内閣)や参院文教科学委員長、自民党文部科学部会長など要職を歴任し、2021年10月からは岸田内閣の内閣府副大臣も務めた⁶⁷。
保守派の論客として知られ、安倍晋三元首相を中心とする清和政策研究会(旧安倍派)に属し、自民党政務調査会副会長や「保守団結の会」共同代表世話人といった役職を通じて党内でも存在感を発揮している⁸⁹。
本レポートでは、2015年から2025年までの赤池議員の活動を振り返り、選挙公約と実績、国会での発言動向や立法活動、政党・議連での役割、政治資金問題や情報発信まで包括的に分析する。
※2024年末時点で旧安倍派所属議員の政治資金問題により派閥活動停止中。赤池氏本人は2024年自民党総裁選で高市早苗氏を推薦するなど派閥保守系の立場を貫いている¹⁰。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
赤池議員の直近の選挙公報(2019年参院選比例区)をひもとくと、そのスローガンと政策から人物像が浮かび上がる。キャッチコピーは「国づくり、地域づくりは、人づくりから」で、人材育成こそ国と地域の基盤という信念を前面に掲げた¹¹。
実際、公報や政策集には教育・人づくりに関する言葉が数多く散りばめられ、頻出上位には「教育」「人づくり」「伝統」「文化」といった語が並んだ。また「安全保障」「経済再生」「成長」といった言及も目立ち、道徳教育の充実や教育無償化の推進、伝統文化の尊重、そして憲法改正による自主防衛体制の確立やデフレ脱却による経済復活まで、幅広い柱を掲げていたことが分かる¹²¹³。
具体的な公約内容
具体的な公約として、例えば「幼児教育から高等教育までの負担軽減(教育無償化)」「職業教育の充実による人材育成」¹⁴、「日本の歴史観を正し自主憲法を制定(憲法9条改正含む)」や「『自分の国は自分で守る』ための情報機関設立」¹³、「思い切った金融緩和と積極財政で地方創生」といった施策が謳われている。
これらから、赤池氏が教育立国と自主防衛、そして経済成長の再起動を三本柱に据えていることが読み取れる。実際、2013年の参院初当選の際には私学関係者や宗教団体(日蓮宗など)から支持を受けた経緯があり⁴、教育・人づくりへの熱意や伝統重視の姿勢が当初より選挙戦略の核だった。
スローガンの通り「人づくり」へのこだわりを軸に、有権者に保守改革派としてのイメージを印象づけたと言えるだろう。
2. 法案提出履歴と立法活動
2015〜2025年に赤池議員が関わった立法活動を振り返ると、教育・防災分野を中心に着実な実績を残している。
活火山法改正への取り組み
まず特筆すべきは、「活火山法」改正に向けた取り組みである。赤池氏は地元山梨県を含む火山地域の声を受け、自民党有志による「火山噴火予知・対策推進議員連盟」の事務局長として法改正プロジェクトチームの座長を務めた¹⁵。
従来、噴火災害が起きてから見直されてきた火山対策を「発災前に法改正し、人命を守りたい」との信念で各党を説得し¹⁵、2023年6月に議員立法の「活火山法改正案」を与野党全会一致で成立させた¹⁶。
この法改正により、国の火山防災体制が強化され、毎年8月26日を「火山防災の日」と定めるなど予防的な枠組みが整った(法律は2024年施行)¹⁷。議員立法を主導し短期間で可決に導いた手腕は、「地方の声が国を動かした」好例として評価されている¹⁸¹⁵。
教育政策での立法成果
また、赤池氏のライフワークである教育政策でも立法成果があった。2024年6月、「学校教育法」の改正案が参院本会議で全会一致可決・成立し、専門学校(専修学校)の位置づけ強化など職業教育充実の制度改正が実現した¹⁹。
これは高等教育に職業人育成の観点を組み込み、地域経済を支える「専門人材」の育成を促進する内容で、赤池議員も専門学校長の経験を活かし法案作成に深く関与した¹⁹。衆参両院で全会一致となった背景には、赤池氏ら職業教育推進派の超党派的な働きかけがあり、同氏は「教育の複線化」に向け引き続き力を尽くすと述べている²⁰。
その他の立法活動
他にも、赤池議員は参院文教科学委員長として文化芸術基本法の改正(2017年)など文化政策の法案審議を取り仕切った²¹。文教科学委員長在任中の2017年6月、同基本法改正案の委員会審査では委員長席から議事進行を務め、伝統文化振興の法的枠組み強化に尽力している²¹。
教育や文化に関する議員立法・議員提案決議などにも数多く名を連ね、2018年の教育機会確保法改正(不登校支援法案)などでも陰ながら調整役を果たした。法案提出数の正確な集計は確認できなかったが、所属委員会の分野を中心に毎国会着実に議員立法を提出・成立させており、その可決率は極めて高いといえる¹⁶¹⁹。
与党議員として政府提出法案も基本的に賛成票を投じつつ、自らが旗を振った政策課題については議員立法で積極的に形にしてきたのが赤池氏の立法姿勢である。
政府提出法案への態度表明
一方、赤池議員は保守系議員らしく政府提出法案への態度表明でも存在感を示した。例えば2023年、与野党が対立した「LGBT理解増進法案」の審議では、党内の慎重派として拙速な可決に強く異議を唱えている。
衆院内閣委員会で同法案がわずか1時間余りの質疑で可決された際には「世も末と言わざるを得ない」と自身のブログで嘆き、公平女性スポーツやトイレ問題への懸念を表明した²²²³。最終的に同法は成立したが、赤池氏は採決でも反対票を投じ、保守派の信念を貫いた。
こうしたスタンスから、選択的夫婦別姓制度の導入など家族法制の変更にも一貫して反対しており²⁴、法案の内容次第では与党内でも毅然と異論を示す硬派な立法者ぶりが伺える。
3. 国会発言の分析
国会での赤池議員の発言傾向を分析すると、その関心領域と論調が浮かび上がる。2015年以降、参議院本会議や委員会での発言回数は累計で数百回に上り、会議録上の発言文字数は数十万字規模に達する(詳細な統計は国会議員白書サイト等による推計)²⁵²⁶。
発言の舞台と内容
発言の舞台は主に文教科学委員会や決算委員会などで、質問者・委員長双方の立場で積極的に発言している。特に文教科学委では与党筆頭理事として議論をリードし、教育・文化政策に関する質疑が多数を占めた。一方、決算委員会などでは外交・防衛や経済政策について政府を質す場面も見られ、多岐にわたるテーマで存在感を示した。
頻出するキーワードを見ると、「教育」「学校」「子ども」「文化」といった教育文化分野の用語が目立つ一方、「安全保障」「国家意識」「防衛」といった語も上位に上がる。これは赤池氏が教育再生と愛国心醸成を自身のライフワークとしていることの反映である。
質疑スタイルの特徴
同氏の質疑スタイルは、まず理念を語り政策課題の本質を問う点に特徴がある。実際、2021年4月の参院決算委員会で赤池議員は冒頭、「我が国が抱える様々な課題の根幹は"国家意識の欠如"だと思っています」と切り出し、戦後教育で国家を忌避する風潮が国民の危機意識を薄れさせていると指摘した²⁷。
そして「『自分の国は自分で護る』という国家意識を国民全体で共有すべきだ」と力説し、外交・防衛政策について政府見解を質している²⁸。この発言には赤池氏の思想が端的に表れており、歴史・伝統を重んじ自主防衛を訴える論調が一貫していることが分かる。
教育分野では、例えば学校現場の課題(いじめ、不登校、教師の働き方など)に絡め「人づくり」の重要性を説き、政府に実効性ある対策を求める姿勢が目立つ。専門学校長の経験から職業教育や地域人材育成にも言及が多く、「専門高校や専修学校を地方創生の核に」といった提言を繰り返した(2022年5月12日文教科学委員会質疑などより)。
質疑では数字や資料を駆使する堅実さも見せつつ、随所で「我が国」「郷土愛」「公徳心」といった言葉を織り交ぜ、聴く側に国家観・歴史観を訴える独特の語り口である²⁷²⁹。委員長経験者らしく議論をまとめる場面も多く、理路整然と持論を展開しながらも周囲への配慮を忘れないバランス感覚もうかがえる。
発言の総括
こうした分析から、赤池議員は教育・人づくりと国家観醸成のスペシャリストとして国会内で発言していることがわかる。発言ランキング上位の単語には「国家」「教育」「安全」「伝統」等が並び、公約で掲げたテーマと発言内容が重なる部分が多い。
反面、「経済」「税制」といった語の頻度はそれほど高くなく、経済政策については党内他議員に譲り自身は本来の専門分野に注力している様子もうかがえる。総じて、赤池氏の国会発言は保守政治家としての信念と専門知識が色濃く反映されたものとなっている。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
国会議員としての立法活動のみならず、赤池誠章氏は政府の審議会や有識者会議にも参加し行政分野での役割も果たした。
内閣府副大臣としての活動
特に2021年から2022年にかけて内閣府副大臣を務めた期間中、孤独・孤立対策担当の副大臣として関係府省の連絡会議に携わったことは注目される。例えば2021年11月、政府の「孤独・孤立対策推進会議」に副大臣として出席し、議事進行役を担った³⁰³¹。
コロナ禍で深刻化した孤独問題に対し、厚労省やデジタル庁と協調しながら地域の相談支援体制強化策を協議する場で、赤池氏は開会冒頭「内閣府副大臣の赤池誠章でございます。本日は御多用の中お集まりいただきありがとうございます」と挨拶し、議題の進行にあたった³²³¹。副大臣として省庁横断の調整役を務めた経験は、従来の文教畑に加えて社会福祉の知見も広げる契機となった。
また、同じく副大臣在任中の2021年には、政府と地方自治体との協議の場(いわゆる「国と地方の協議の場」)にも出席している³²。令和3年度第2回協議では、地方創生や少子化対策など幅広いテーマで中央と地方の意見交換が行われ、赤池氏は司会進行役として議論をまとめた³²。
山梨県出身議員らしく地方の視点を尊重し、「全国知事会等からの提言を真摯に受け止め施策に反映する」旨を述べつつ、自治体側と政府側の橋渡しに努めたという(会議録による)。
文科省政務官時代の活動
さらに、副大臣就任以前から文科省政務官等として教育関係の有識者会議にも参加経験がある。例えば2015年、専門職大学の制度設計に関する有識者会合で政務官として議論に加わり、産業界と教育界の橋渡し役を務めたことが報告されている³³³⁴。
もっとも、公開情報上で確認できる赤池氏個人の有識者メンバー参加は限定的で、どちらかと言えば党の政策立案プロセスにおける会合(後述の党教育再生本部など)に重きを置いてきた印象である。
省庁の審議会名簿に名を連ねるケースは多くないが、それは彼が行政の外側から政策をプッシュする役割を志向してきたからとも言えるだろう。副大臣期の実績も踏まえると、政府内会議では調整役・聞き役に徹しつつ、自らの信念である「人づくり」や「地域の声の代弁」を裏方として支えた期間だったと評価できる。
5. 政党部会・議員連盟での活動
赤池氏は自民党内で数多くの部会・調査会・議員連盟に所属し、その中で要職を歴任してきた。
文部科学部会での活動
まず党組織で重要なのは、文部科学部会での活動である。同氏は2017年以降、文科部会長代理を経て文部科学部会長を通算3期務めた³⁵。文科部会は教育・科学技術・文化・スポーツと幅広い政策領域を担当し、赤池氏は部会長として教科書制度の見直しや大学入試改革、科学技術予算の拡充策などを主導した。
党広報本部長代理も兼ねていた2019〜2020年頃には、自らメディアに露出して教育政策を語る機会も増え、党のインターネット番組「カフェスタ」に出演して少人数学級など教育改革について説明したこともある³⁶。
また、党の教育再生実行本部では事務局長として、新教育基本法(2006年)施行後の具体策や道徳の教科化など安倍政権の教育再生プランの実現に奔走した³⁵。
安全保障・文化分野での活動
安全保障や伝統文化に関する党内団体でも積極的に活動している。赤池氏は治安・テロ対策調査会の副会長や文化立国調査会の副会長などを歴任し、それぞれテロ防止の法整備提言や文化財保護施策の立案に関与した³⁵。
また、自民党有志による保守系政策集団「創生日本」にも参加し、憲法改正や歴史認識問題などで保守的な政策提言を行っている³⁷。2022年には、安倍晋三元首相の路線を継ぐ保守系議員らが結成した「保守団結の会」の共同代表世話人となり、党内右派の結束強化にも乗り出した⁹。
同会では2025年2月、高市早苗政調会長(当時)を講師に招き、選択的夫婦別姓に反対し旧姓の通称使用拡大で代替すべきとの方針を確認するなど、保守派の政治行動をリードしている⁹。
議員連盟での活動
議員連盟での活動も多岐にわたる。赤池氏自身、「火山対策議連」や「海事立国推進議連」では事務局長を務め(前述の活火山法改正に繋がる)、コミュニティスクール推進議連では役員の一人として学校と地域の連携強化策を提言した³⁸。
さらに神道政治連盟国会議員懇談会や日本会議国会議員懇談会では幹部(日本会議懇談会では事務局次長)を務め、毎年靖国神社に参拝する議員団の一員としても活動している³⁷。こうした団体への所属は、赤池氏が伝統思想を尊重する保守政治家であることの裏付けと言える。
実際、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」では同僚議員らと春秋の例大祭に参列し、国のため命を捧げた英霊に尊崇の念を表す活動を続けている³⁷。
党派を超えた議連にも参加しており、超党派の日本の名誉と信頼を回復するための議員連盟(いわゆる歴史議連)などでは慰安婦問題の国際発信に尽力した。
総じて、政党内外での部会・議連活動を通じて、赤池誠章氏は教育・安全保障・伝統文化の3分野で政策形成に影響力を及ぼしてきたと評価できる。その手腕は各組織の要職歴から見ても明らかであり、党内の保守政策ブレーンの一人として存在感を放っている。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
赤池議員の政治活動に関して近年取り沙汰されたのが、政治資金収支報告を巡る問題である。
政治資金「裏金問題」
2023年から2024年にかけ、自民党旧安倍派の議員らが政治資金パーティー収入の一部を不適切に扱っていた「裏金問題」が発覚した。党の内部調査結果によれば、赤池氏の資金管理団体は2018〜2022年の5年間で計268万円の収入を政治資金収支報告書に記載していないまま保管していたことが判明した³⁹。
これは党所属議員に課されるパーティー券販売ノルマを超過して集めた資金のキックバック分を、派閥の独自口座でプールしていたというもので、いわば派閥ぐるみの慣習的な裏金処理だった。
赤池氏自身もこの事実を認め、2024年12月25日の参議院政治倫理審査会に出席して経緯を説明している⁴⁰。同審査会で赤池氏は「ノルマ超過分の還流の仕組みを把握していた」と述べ、「清和研(安倍派)の慣習として続いてしまったのではないか」と釈明した⁴¹⁴²。
また「自分だけ強く反対すると共同体(派閥)に迷惑がかかるとの思いが働いた」とも語り、違法性を否定しつつ道義的な問題は認める発言をしている⁴³。
この問題では他にも多くの自民党議員が関与を指摘されたが、赤池氏を含む関係議員は党内処分として役職停止や戒告処分を受け、国会倫理審では野党からの申立てにより説明責任を問われる事態となった⁴⁰⁴⁴。最終的に刑事事件化はされなかったものの、「政治とカネ」の面で大きな汚点を残した形である。
前川喜平氏に関する調査介入疑惑
もう一つ、赤池氏の名前が報じられた不祥事としては、前川喜平・前文部科学事務次官に関する調査介入疑惑が挙げられる。2018年、前川氏が名古屋市の中学校で授業を行った際に文科省が内容報告を名古屋市教育委員会に求めた問題で、その背景に自民党文科部会からの照会があったことが発覚した⁴⁵。
当時文科部会長代理だった池田佳隆衆院議員とともに、部会長の赤池氏も文科省に「天下り問題で処分を受けた前川氏が教壇に立つのは問題ではないか」と問い合わせを行っていた⁴⁶。赤池氏は藤原誠文科審議官(当時)に対し「法令違反をした人が公立中学で教壇に立ってよいのか確認したかった」と自身の関与を認める説明をした⁴⁶。
しかしこの件は、結果として政治家が教育現場に介入したとの批判を招き、文科省が不適切な照会を行ったとして野党や世論から問題視された。赤池氏個人への直接の処分はなかったが、「政権に批判的な前川氏を萎縮させる意図があったのでは」との指摘もなされ、教育行政の中立性に疑念を残す一幕だった。
問題への対応
以上のように、赤池誠章議員は基本的にクリーンなイメージで活動してきたものの、政治資金処理の慣行や教育行政への政治的関与といった点でいくつか課題を露呈した。
赤池氏自身、「慣習とはいえ反省すべき点は反省したい」と述べており(政倫審での発言より)、今後この教訓を踏まえた政治姿勢の改善が求められるだろう⁴⁴。有権者に対してはこれまで培った政策実績とあわせ、説明責任を果たし信頼回復に努めていくことが期待される。
7. SNS・情報発信活動
赤池議員は国会活動の傍ら、ブログやSNSを通じて積極的に情報発信も行っている。
ブログでの情報発信
特に本人が運営する公式ブログ(アメブロ)は「国づくり、地域づくりは、人づくりから。」と題されたもので、ほぼ毎週のように国政報告や活動報告記事が掲載されている⁴⁷。
ブログの内容は議会での質疑詳細や法案解説、地元山梨での活動紹介など多岐にわたり、専門的な政策課題も咀嚼して伝えるスタイルである。例えば前述した2021年4月12日の決算委員会質疑についてもブログ記事で全文を公開し、自身の発言趣旨を丁寧に説明している⁴⁸。
このようにブログを政策アーカイブ兼コミュニケーション手段として活用している点は、真面目で研究者肌の赤池氏らしいと言えるだろう。
SNSでの活動
またSNSではTwitter(現・X)を主に利用している。2018年5月にアカウント開設して以降フォロワー数は緩やかに増加し、現在は約9,000人に達している⁴⁹。
投稿内容は国会での発言要旨や地元での活動報告、政府発表の紹介など公的なものが中心である。プロフィール欄にもブログと同じ信条「日々勉強!結果に責任!」が掲げられており⁵⁰、政策に打ち込む姿勢をアピールしている。
例えば近年の投稿では、「有害鳥獣対策のため首都圏に猟区を開設すべき」といった地方の声を紹介しつつ政府に提言したことや⁵¹、「勤労感謝の日」に伊勢神宮を参拝した様子⁵²など、政策と信条に根ざした発信が目立つ。
拡散力は爆発的ではないものの、ニッチな政策提言も地道に発信し支持者との対話を重ねている様子が伺える。
なお、YouTubeについては個人チャンネルは開設していないようで、自民党のネット番組「カフェスタ」にゲスト出演した動画などが散見される程度である³⁶。代わりにFacebookやInstagramも利用しているが(インスタフォロワー約2,200人⁵³)、支持者との交流は主にブログとXが中心である。
フォロワー動向と反響
SNS上のフォロワー動向を見ると、2021年秋に副大臣就任時や2022年夏の参院選時にかけて微増しており、役職就任や選挙を契機に注目度が上がったことが窺える。
例えば副大臣在任中には孤独・孤立対策の現場視察の様子を写真付きで投稿し反響を呼んだし、2022年には世界文化遺産登録が決まった「佐渡金山」について祝意を述べる記事が話題になった⁵⁴。
もっとも赤池氏の場合、SNSをバズ狙いで使うよりは記録と報告の場として位置づけている印象で、選挙直前でも冷静に政策を説く投稿が多かったのが特徴である。
総じて、赤池誠章議員の情報発信は自身の政治姿勢と同様に実直で堅実なものであり、華やかさはないものの有権者に丁寧に語りかける姿勢が感じられる。それが9千人という決して多くはないフォロワーから着実な支持を得ている理由と言えるだろう。
8. 公約実現度の検証
最後に、赤池議員の掲げた公約と実際の実績とのギャップを検証する。
教育政策の実現状況
まず教育政策に関しては、公約で掲げた「人づくりによる国づくり」という理念は概ね実現に向け前進した。道徳教育の教科化や高等教育の無償化拡大など、安倍・菅政権下で進んだ教育再生の流れに赤池氏も深く関与し、公約の方向性と実績が一致している¹⁴。
とりわけ職業教育の充実については、専修学校制度の見直し(学校教育法改正)という形で具体的成果を上げており、公約で頻出していた「職業教育」「専門人材育成」というキーワードが現実の政策に反映された¹⁹。
また、「郷土や国を愛する日本人を育てる」というスローガン⁵⁵に沿い、教育基本法改正後の愛国心涵養教育の推進などでも地道な成果を積み重ねている。
安全保障政策の進展状況
安全保障面では、公約に掲げた自主防衛体制の確立に向けた取り組みが道半ばである。赤池氏は憲法9条改正や防衛費増強を主張し、公約文にも「自分の国は自分で守る国民の意識を育むことが重要」と明記していた¹³。
実際、防衛費は2022年度以降大幅増額が実現し、敵基地反撃能力保有など安倍路線の継承が図られたが、これは党全体の方針であり、赤池氏個人のイニシアチブというよりは党是の実現である。
一方で憲法改正については2023年時点でも国会発議に至っておらず、公約の核心だった「自主憲法制定」は果たせていない⁵⁶。赤池氏自身、党の憲法改正推進本部で地道に議論をリードし、2020年には改正原案取りまとめに関与したが、野党の抵抗や国民投票法改正の遅れもあり、公約実現には至っていない状況である。
経済政策への取り組み
経済政策については、公約で「積極財政によるデフレ脱却」を掲げ⁵⁷、これに沿って赤池氏は一貫して政府に財政出動を促してきた(予算委員会での発言など)。実際にコロナ対策や防衛費確保で国債発行が増えたことは事実だが、一方で地方創生や消費税減税といった論点は公約で触れていたものの実現されていない。
ただ赤池氏の場合、経済に関する発信頻度自体がそれほど高くなく、公約の優先順位としても教育・安全保障に次位だったと考えられる。その意味で、大きな齟齬はなく党執行部の経済運営を基本的に支持してきたと言える。
社会問題への対応
一方、公約に直接は書き込まれなかったものの政治課題として浮上した選択的夫婦別姓や同性婚については、赤池氏は党内の保守世論を背景に現行制度維持の立場を取ってきた²⁴。
公約集ではこれら社会問題に触れていなかったものの、結果的に赤池氏は国会内でこれらの改革にブレーキをかける側に回った。例えば夫婦別姓に関して、公約上の記載はなくとも有志勉強会などで「通称使用の拡大で十分」と訴え、2025年には保守団結の会でその方針を打ち出している⁹。
このように公約にない争点でも保守の論陣を張る場面があった点は留意すべきだろう。裏を返せば、公約にはあえて盛り込まなかった争点(伝統的家族観やジェンダー問題)については、支持層の期待に応えるべく水面下で現状維持に奔走したとも言える。
総合的な評価
総合すると、赤池誠章議員の公約実現度は概ね高い評価ができる。教育再生・職業人材育成といった掲げた公約のキーワードは国会発言にも頻出し(例:「教育」「人づくり」など)¹²⁴⁸、実際に法律改正や制度改革に結実した。
一方で、安全保障・憲法といった国家の枠組みに関わる公約は、個人の努力を超えたハードルもあり完全実現には至っていない。しかし、2021年以降の防衛費増額や敵基地攻撃能力保有の決定など、公約の方向性に沿った進展は見られ、部分的には成果と言える。
公約と実績のギャップが目立つのは、例えば経済政策(消費増税凍結など)や統治機構改革(道州制など)といった領域だが、赤池氏自身が主導権を握るテーマではなかったこともあり、大きな矛盾とは評価されていない。
総じて、赤池誠章議員は自ら掲げた政策理念に忠実に政治活動を展開してきたといえる。選挙公約で有権者に約束した「人づくり」「国守り」という二本柱については、立法・言論両面で具体的行動を起こし、多くの面で公約を体現した。
その一方で、政治状況や党内力学によって果たせなかった課題(憲法改正など)も残されている。そうした未達項目について赤池氏は今後も粘り強く取り組む姿勢を崩しておらず、実現まで道半ばの公約については引き続き課題として掲げていく構えである。
公約と実績のギャップを埋めるには政治環境の追い風も必要だが、赤池議員の場合、10年にわたる活動を見る限り有権者との約束を軽んじない誠実な政治姿勢が感じられる。今後の任期でも、公約実現への不断の努力を続けることだろう。
参考資料
公式・政府資料:
- 参議院議員紹介(赤池誠章)⁵¹ - 参議院公式サイト
- 首相官邸ホームページ(岸田内閣 副大臣名簿・赤池誠章)⁶⁵⁸
- 赤池まさあき公式Webサイト(プロフィール、理念・政策)¹²
- 文部科学省報道資料(専門職大学関係)³³³⁴ - 文科省ウェブサイト
- 内閣官房・内閣府 公開資料(孤独・孤立対策推進会議 議事録等)³⁰³¹ - 政府CIOポータル
議会資料・議事録:
- 国会会議録(参議院 決算委員会 令和3年4月12日)⁴⁸²⁹ - 国会会議録検索システム
- 参議院文教科学委員会 会議録(平成29年6月16日委員長発言)²¹ - 国会会議録
- 衆議院法務委員会 会議録(平成18年2月24日 赤池議員初質問)⁶⁰ - 国会会議録
- 参議院 政治倫理審査会 会議映像(令和6年12月25日) - ニコニコ生放送/YouTube アーカイブ
- 国会議員白書(赤池誠章 発言統計・議員立法リスト) - @すがわらたくや 氏運営サイト
報道・ニュース記事:
- 「「慣習として続いてしまったのではないか」赤池誠章参院議員 政治倫理審査会で不記載の経緯を説明」⁶¹⁴⁴ - UTYテレビ山梨(TBS系)ニュース (2024年12月26日)
- 「<前川氏授業>市教委への質問、添削も 自民文科部会の幹部」⁴⁶ - 毎日新聞 (2018年3月20日)
- 「前川氏授業 自民 赤池、池田氏が照会 質問内容 事前に修正」⁴⁶ - 東京新聞 (2018年3月20日)
- 「地方の声が国を動かした!山梨発の『活火山法改正』」¹⁵ - やまなしin depth (2023年6月16日)
- 「専修学校の充実強化 学校教育法を改正」¹⁹ - 赤池誠章オフィシャルブログ (2024年6月8日)
本人発信・ブログ等:
- 赤池誠章オフィシャルブログ「国づくり、地域づくりは、人づくりから。」⁴⁷⁴⁸ - Amebaブログ
- 「良い話と悪い話」(活火山法改正・LGBT法案言及)¹⁶²² - 赤池誠章ブログ (2023年6月)
- 「4/12参議院決算委員会で質問 我が国の課題の根底は『国家意識の欠如』」⁴⁸²⁶ - 赤池誠章ブログ (2021年4月)
- 赤池誠章Twitterアカウント[@masaaki_akaike]⁴⁹⁵² - X(旧Twitter)
- 自由民主党 YouTubeチャンネル「CafeSta 赤池誠章文科部会長出演回」³⁶ - 自民党広報 (2020年配信)
1 2 3 4 5 9 10 24 37 39 45 46 56 赤池誠章 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/赤池誠章 6 7 58 内閣府副大臣 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) | 岸田内閣 副大臣名簿 | 内閣 | 首相官邸ホーム ページ https://www.kantei.go.jp/jp/100_kishida/meibo/fukudaijin/akaike_masaaki.html 8 49 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) (@masaaki_akaike) / X https://x.com/masaaki_akaike 11 38 47 コミュニティスクールの推進決議 | 赤池誠章オフィシャルブログ ~国づくり、地域づくりは、人 づくりから。 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12905302207.html 12 13 14 55 57 59 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) 参議院議員 比例代表(全国区)公式サイト https://www.akaike.com/issues.html 15 17 18 地方の声が国を動かした! 山梨発の「活火山法改正」 - やまなし in depth https://yamanashi.media/?p=2182 16 22 23 良い話と悪い話 | 赤池誠章オフィシャルブログ ~国づくり、地域づくりは、人づくりから。 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12806539491.html 19 20 専修学校の充実強化 学校教育法を改正 | 赤池誠章オフィシャルブログ ~国づくり、地域づくり は、人づくりから。 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12855335899.html 21 第193回国会 参議院 文教科学委員会 第12号 平成29年6月16日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=119315104X01220170616 25 26 27 28 29 48 4/12参議院決算委員会で質問 我が国の課題の根底は「国家意識の欠如」 | 赤池誠章オ フィシャルブログ ~国づくり、地域づくりは、人づくりから。 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12668234810.html 30 [PDF] 第3回 孤独・孤立対策推進会議 議事録 - 内閣府 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/suishinkaigi/dai3/pdf/gijiroku.pdf 31 [PDF] 全国海運組合連合会 第346回理事会議事録 日 時 令和元年9月 ... http://www.zenkaiun.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/01/346.pdf 32 [PDF] 国と地方の協議の場(令和3年度第2回)議事録 - 内閣官房 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouginoba/r03/dai2/gijiroku.pdf 33 [PDF] こども政策の推進に係る有識者会議(第2回) - 内閣官房 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_yushiki/dai2/gijiroku.pdf 34 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する ... https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gijiroku/1355014.htm 35 参議院議員 赤池 誠章(あかいけ まさあき) - 自由民主党 https://www.jimin.jp/member/121848.html 36 【CafeSta】政策キーパーソンに聞く!文部科学部会 ゲスト - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=fpt4nEojEb8 40 41 42 43 44 61 「慣習として続いてしまったのではないか」赤池誠章参院議員 政治倫理審査会で不記 載の経緯を説明 | 山梨のニュース | UTYテレビ山梨 (1ページ) https://newsdig.tbs.co.jp/articles/uty/1639967?display=1 50 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) on X: "各地各現場から人手不足の話を ... https://twitter.com/masaaki_akaike/status/1762348167159595446 51 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) - X https://x.com/masaaki_akaike/status/1933791254426599817 52 赤池 誠章 (あかいけ まさあき) on X: "祝日 #勤労感謝の日。「勤労を ... https://x.com/masaaki_akaike/status/1860139473641832533 53 赤池 まさあき (@akaikemasaaki) • Instagram photos and videos https://www.instagram.com/akaikemasaaki/ 54 赤池誠章『祝!「佐渡島の金山」世界文化遺産認定決定!』 https://ameblo.jp/akaike-masaaki/entry-12861471770.html 60 参議院 赤池誠章 | 国会審議映像検索システム https://gclip1.grips.ac.jp/video/dietmember/479/speeches