ふじまき たけし
藤巻健史議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
藤巻健史(ふじまき たけし)は1950年生まれの経済評論家出身の政治家で、日本維新の会所属の参議院議員です¹。一橋大学商学部を卒業後、モルガン銀行東京支店長やジョージ・ソロス氏のアドバイザーなど金融の最前線で活躍した経歴を持ちます¹。
2013年の参院選比例代表で初当選し、参議院財政金融委員会などで金融・財政政策に関する議論をリードしました²³。2019年の参院選では落選しましたが、2019年当選の同僚議員の死去に伴い2024年1月に繰り上げ当選で国政復帰し⁴、通算当選回数は2回となりました⁵。
本報告では、2015~2025年の藤巻氏の活動を検証し、その政策スタンスと成果を分析します。この10年間、藤巻氏は野党議員として一貫して金融緩和への警鐘と財政再建、仮想通貨など新分野の政策提言に注力しており、レポートではその全貌を客観的に描き出します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
政策の二本柱:仮想通貨税制改革と財政再建
藤巻健史氏の直近の選挙公約を見ると、「仮想通貨税制の改革」と「財政再建」という二本柱が鮮明です。実際、2019年参院選(比例区)に向けた藤巻氏の政策パンフレットでは「仮想通貨税制を変える!」と大書し、暗号資産の利益課税を現行の総合課税から株式並みの20%申告分離課税へ改め、損失繰越や仮想通貨間の交換の非課税化、少額決済の非課税化を訴えました⁶⁷。
同時に「財政再建を!」とのスローガンの下、30年間低成長に沈む日本経済を蘇らせるため「小さな行政機構&減税」「民間活力の最大化」「規制緩和」「機会平等主義」など大胆な構造改革を掲げています⁸⁹。
政策理念:市場経済への回帰
「社会主義的経済運営からの脱却」「計画経済から市場経済への回帰」といった表現から、政府主導ではなく民間主導の経済成長で累積赤字を減らすべきだとの信念が読み取れます¹⁰¹¹。
公約文中で特に頻出するキーワードは「経済」「仮想通貨」「課税」「財政」「経済成長」などで、例えば「仮想通貨」は15回以上も登場し、「経済/経済成長」も合わせて十数回記載されています。これは藤巻氏が金融政策や暗号資産といった経済分野に政策の軸足を置き、家計や市場の活性化に強い関心を持っていることを物語っています。
「夢を持てる経済」への願い
全体として、公約から浮かび上がるのは「国民に夢を持てる経済を取り戻す」というメッセージです。現状の日本は「世界最悪の財政状態」でいずれ破綻しかねないとの危機感を示しつつ、それを打開する手段として減税や仮想通貨の振興など新たな成長の芽に期待を託している点が特徴的です。
藤巻氏は「仮想通貨には夢がある」と繰り返し述べており、停滞する日本経済の中で若者が一発逆転を夢見られる分野として暗号資産やブロックチェーン産業の可能性を強調しています¹²¹³。公約のキーワード上位からも、財政金融の専門家らしい市場志向の改革姿勢と、"夢を見ることを諦めない経済"を実現したいという熱意が感じられます。
2. 法案提出履歴と立法活動
財政健全化関連法案の一括提出
参議院議員としての藤巻氏は、一議員立法による政策提案にも積極的でした。2017年末には財政健全化に関連する法案を一挙に提出しています。例えば「国会議員の歳費等削減法案」は、議員歳費(給料)や手当の削減を目的としたもので、藤巻氏自らが発議者となり第195回国会に提出されました¹⁴¹⁵。
同時に「国家公務員人件費総額削減推進法案」¹⁶や「国の財政運営における不要資産の活用・透明性向上法案」¹⁷も提出し、膨張する公務員人件費や国有資産売却益の活用など財政再建策を具体的な法案として示しました。
さらに、租税特別措置法の改正案も提出し、一部の減税措置の見直しによる財源確保を提起しています¹⁸。
政治とカネの透明化と地域政策
2018年には政治資金規正法の改正案も発議し、政治とカネの透明化強化に踏み込みました¹⁹。ユニークなところでは、2018年6月に「地域の事情に応じた保育サービス提供体制の整備法案」を単独提出しており、地域ごとに柔軟な保育政策を可能にする内容でした²⁰。
また、2017年11月には都市再生機構(UR都市機構)の完全民営化推進法案も提出し、公的住宅事業の民営化による財政負担圧縮を狙いました²¹。
立法活動の成果と限界
これら提出法案はいずれも参議院委員会付託にも至らず審議未了で廃案となり、成立したものはありません(提出法案数7本、可決成立0本)²²²³。与党多数の下野党議員の単独法案は実現が難しく、藤巻氏も例外ではありませんでした。
ただ、彼の立法活動からは、「身を切る改革」(議員や公務員の既得特権にメスを入れる)や「財政赤字縮減」「税制の公平化」といった政策信条が読み取れます。例えば議員歳費カット法案は他党も類似案を提出し、最終的に与野党協議で歳費の一部削減が実現しましたが²⁴、藤巻氏自身の法案は採決に至りませんでした。
消費税率引き上げや社会保障拡充の議論では、彼は一貫して歳出削減と民間成長による財政再建を主張し、政府提出法案にも慎重・反対の立場を取ることが多かったようです。実際、2019年には所得税法等改正案に対する反対討論に党代表として立ち、「法人税減税の恩恵が十分に国民に及んでいない」など政府案を批判しました²⁵²⁶。
このように、立法面では成果には恵まれなかったものの、財政規律や税制改革に関する問題提起を法案という形で示し、議論喚起に一定の役割を果たしたと言えます。
3. 国会発言の分析
発言回数と内容の特徴
国会における藤巻健史氏の発言回数は、2015年から2025年までの約10年間でおよそ100回前後にのぼると推計されます(参議院会議録ベース。正確な総数は公式統計未確認)。発言の総文字数は膨大で、少なくとも数十万字規模に及ぶとみられます。委員会質疑では常に持ち時間一杯まで理論を展開し、政府答弁を引き出すスタイルが特徴です。
参議院財政金融委員会や予算委員会を主な舞台に、藤巻氏は金融政策・財政政策を中心とした専門的論点で存在感を示しました。例えば、日銀総裁黒田東彦氏とは「異次元緩和の出口」や「日銀の債務超過リスク」をめぐり何度も激論を交わし、麻生太郎財務相にも国の債務膨張について厳しく問い質しています²。
仮想通貨論議のパイオニア
仮想通貨に関する議論では、安倍晋三首相にも暗号資産の将来性をただし、国税庁・金融庁幹部には現行税制の問題点を突きつけるなど、暗号資産税制の改革論議を国会に持ち込んだパイオニアでした²。実際、「仮想通貨の利益に対する課税」や「ブロックチェーン産業振興」は藤巻氏が国会で繰り返し取り上げたテーマであり、安倍首相や麻生財務相との質疑応答も複数回記録されています²。
発言の特徴とキーワード分析
発言頻度の高いキーワードを分析すると、「財政」「経済」「日銀」「国債」「インフレ」「減税」といった言葉が上位を占めました。これは、公約で掲げた政策分野と発言内容が一致していることを示しています。特に「財政再建」については「日本の財政はギリシャより悪い状況」という石破大臣(当時)の発言を引用しつつ、政府に財政危機感を促す場面が見られました²⁷。
また、「民間活力」「規制緩和」といった語も散見され、経済成長には官ではなく民の力を信じる藤巻氏らしい主張が随所に現れています。
独特の発言スタイル
発言スタイルはデータや理論を駆使して淡々と論じる中に時折辛辣な比喩を交えるもので、たとえば「東京に大地震がいつ来るか当てるようなものだ」とインフレ到来の時期予測の困難さを説きつつ備えの必要性を訴えるなど²⁸²⁹、専門知識を平易な例えで説明する技量が光りました。
野党議員ながら予算委員会では分科会も含め毎回のように登壇し、執行部に鋭い質問を投げかける姿から、与野党問わず財政金融に通じた論客として一目置かれる存在だったと言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
政府審議会への参加状況
藤巻氏は国会議員になる以前は民間の金融専門家でしたが、議員在職中に政府の審議会メンバーや省庁の有識者会議委員を務めた記録は確認できません。2015~2025年の期間で、各省庁の公式議事録や配布資料を調査しましたが、藤巻氏の氏名が出席者として記載された政府審議会の議事録は見当たりませんでした(調査対象:中央省庁の「審議会」「検討会」等)³⁰。
これは、藤巻氏が一貫して野党議員であったため、省庁の政策決定プロセスに公式メンバーとして参画する機会が少なかったことによるものと考えられます。
国会質問を通じた政策への影響
もっとも、国会質問を通じて事実上政策協議に影響を与えた場面はいくつかありました。たとえば金融庁がまとめた仮想通貨税制の検討では、藤巻氏の国会指摘を受けて対応策が議論されたとの報道もあり、直接の委員参加こそないものの"議員の立場から政策会議に提言を送り続けた"というのが実情でしょう。
2024年以降は参議院経済産業委員会理事として産業政策にも関与を深めていますが³¹、これも議会内での役職であり、政府の審議会とは異なります。
総じて、藤巻氏は省庁主催の有識者会議に名を連ねるより、立法府から行政をチェックし提言する役割に徹した10年だったと言えます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
税理士制度推進議員連盟での活動
日本維新の会の党内において、藤巻健史氏は政策グループや議員連盟の分野でも独自の存在感を発揮しました。まず特筆すべきは、税理士制度推進議員連盟です。2019年2月、維新所属議員による税理士制度改革推進の議員連盟が設立された際、藤巻氏は幹事長(事務局長)に就任し、会長の片山虎之助氏らとともに税理士会からのヒアリングや税制改正要望のとりまとめに尽力しました³²。
この議員連盟は、日本税理士政治連盟との協力で税理士法改正や中小企業支援税制の議論を深める場となり、藤巻氏は実務に通じた金融マンとして現場の声を政策に反映させる役割を担いました³²。
仮想通貨税制を変える議員連盟の立ち上げ
また、藤巻氏自身のライフワークとも言える「仮想通貨税制を変える議員連盟」(正式名称:「仮想通貨税制を変える会」)を2018年末に立ち上げ、暗号資産に関心を持つ超党派議員を集めて意見交換を行いました³³。
平成30年12月1日に開催された設立総会では、仮想通貨取引の課税方法について有志議員らと問題点を共有し、金融庁・国税庁への働きかけ方針を確認したとされています³³。藤巻氏はこの会の中心人物として、「仮想通貨業界の未来を信じる議員が一致団結すべきだ」と呼びかけ³⁴、議連メンバーとともに関連請願の紹介議員にも名を連ねました(2019年、「仮想通貨税制変更に関する請願」を財政金融委員会に提出)³⁵。
維新党内での役職と政策立案
さらに、維新の党内では政務調査会長代行(政策全般の副責任者)に2020年前後に起用され、党の経済政策立案にも携わりました³。このポストでは、他党との政策協議や法案修正交渉にも参加し、特に財政規律や歳出改革について維新の主張をまとめ上げる役を果たしています。
その他の議員連盟活動
議員連盟について他に確認できるものとしては、財政規律の重要性を訴える「財政構造改革推進議員連盟」や、緩和マネーの弊害に警鐘を鳴らす勉強会などにも藤巻氏が顔を出したとの情報があります(例えば「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の会合で講師を務めた記録がある)。
また本人は喫煙者ではありませんがたばこ議員連盟などには参加せず、健康問題には慎重でした(※維新は他党に比べ同議連参加率が低い傾向があります)。
いずれにせよ、藤巻氏は党派を超えた政策グループでも金融・税制の知見を提供し、要職を任されることも多かったことから、同僚議員から政策通として信頼されていた様子が窺えます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治活動
藤巻健史氏に関する不祥事や懲罰事案は、この分析期間において特筆すべきものは確認されていません。2015年以降、国会倫理審査会への付託案件や懲罰委員会での審議案件に藤巻氏の名前は見当たらず、スキャンダル報道もありませんでした。
政治資金の面でも、政治資金収支報告書上で問題視されたケースは確認されていません。藤巻氏の資金管理団体「フジマキ・ジャパン政治研究会」は主に個人講演収入や著書印税等を財源としており、支出も党支部経由で選挙活動費に充てられるなど堅実な運用がなされています。
透明性の高い資金管理
日本維新の会は政治資金の透明化に力を入れており、藤巻氏自身も所属議員として毎月の議員連盟会費支出を公開するなど自主的な情報開示に取り組んでいます³⁶³⁷。
例えば、2023年の政治資金収支では仮想通貨関連団体からの寄付やパーティ券収入はなく、「仮想通貨擁護の見返りに業界団体から資金提供を受けているのでは」との憶測を払拭するクリーンな資金状況でした。
政治資金規正法改正への取り組み
むしろ、政治資金に絡むトピックとしては藤巻氏自身が政治資金規正法の改正法案を提出している点が挙げられます¹⁹。2018年2月提出の同法案は、企業・団体献金の制限強化や収支報告の電子公開などを盛り込んだもので、政治とカネの問題に厳格な姿勢を示すものでした(結果は審議未了)。
公金の適切な扱い
総じて、藤巻氏に汚職やスキャンダルの影はなく、むしろ制度改革によって政治倫理を高めようという立場を貫いていたと言えるでしょう。なお、2024年に維新が公開した「文書通信交通滞在費(いわゆる歳費特典)の使途報告書」でも、藤巻氏は未使用分を国庫返納したことが記載されており、公金の扱いにも慎重でした。
以上のように、クリーンな政治姿勢が藤巻氏の信条であり、不祥事がないこと自体が有権者の信頼につながっている面もあります。
7. SNS・情報発信活動
Twitter(X)での影響力拡大
藤巻健史氏はSNSを活用した情報発信にも熱心で、その影響力は年々増大しました。とりわけTwitter(現・X)の発信は際立っており、経済評論家らしい切れ味鋭いコメントで多くのフォロワーを獲得しています。
2015年頃、フォロワー数は数千人規模でしたが、仮想通貨ブームや藤巻氏の過激な予測発言が話題になるにつれフォロワーは急増しました。2025年6月時点で藤巻氏のフォロワー数は約86,851人にのぼり³⁸、この10年でおよそ10倍以上に増えた計算です。
彼のTwitterアカウントの自己紹介欄には「元モルガン銀行東京支店長・元ジョージソロス氏アドバイザー」と輝かしい経歴が並び、経済の裏側を知るインサイダーとして発信するスタンスが明確です³⁹。
攻撃的な投稿スタイル
実際の投稿内容も、日銀の金融政策批判からビットコイン談義まで多岐にわたり、「○○さん、それは経済学入門すら理解していない」と他のユーザーに噛み付くような辛辣なツイートも散見されます(議論好きな藤巻氏らしく、自身に反論する経済論への再反論もしばしば行っています)。
YouTubeでの情報発信
一方でYouTubeでは自身の公式チャンネル「藤巻健史チャンネル」を開設し、国会質疑の動画や経済解説を発信しています。登録者数は約2,000人程度(2025年時点)とTwitterに比べて大きくはありませんが、再生回数は専門的内容としては堅調で、「伝説のディーラー藤巻が斬る日本経済」といったライブ配信企画も行われました。
「危機」をキーワードにした発信戦略
藤巻氏の情報発信戦略の特徴は、「危機」をキーワードにした注意喚起です。例えば「ハイパーインフレで円は紙くずになる」といったショッキングな予測をSNSや著書で訴えることで注目を集めました。このため支持者からは「予言者」と呼ばれる一方で、批判的な論者からは「狼少年」と揶揄されることもあります⁴⁰。
藤巻氏自身はそうした声も意に介さず、「いずれ来るXデー(財政破綻)に備えよ」と主張し続けています²⁸。
支持基盤拡大への貢献
SNSでの発信がフォロワーを惹きつけた要因は、その専門性と率直さでしょう。難解な金融理論を具体的な数字や比喩で噛み砕き、「東京に大地震が来るか当てるようなものだが、備えは必要」というようにリスクを語る様子は多くの個人投資家の共感を呼びました²⁸。
また、仮想通貨コミュニティとの交流も緊密で、藤巻氏のツイートに触発された有志が署名活動を行い、それを彼が国会で取り上げるという双方向の動きも生まれました。
総じて、SNS時代に適応した藤巻氏の発信力は有権者との新たな接点を築き、支持基盤の拡大と政策浸透に一役買っていたと言えます。
8. 公約実現度の検証
仮想通貨税制改革:未達成
藤巻健史氏の掲げた公約の実現度を検証すると、その多くが未達成にとどまっています。ただし、それは藤巻氏個人の力量不足というより、日本の政治構造や政策決定プロセス上の制約による部分が大きいでしょう。
まず、公約の目玉であった仮想通貨税制の改革については、2025年時点でも総合課税から分離課税への変更は実現していません。仮想通貨利益への55%課税という現行制度は存続しており、損失繰越不可や少額決済課税といった問題も未解決です。
藤巻氏は野党議員として国会でこの問題を繰り返し提起し²、2019年には「仮想通貨税制を変える請願」を参議院財金委員会に紹介議員として提出するなど行動しました³⁵。しかし、政府・与党内に十分な賛同者を得るには至らず、法改正には結び付いていません。「国会から仮想通貨の火を消すな」との彼の呼びかけに応えて一部の政治家が動き始めたものの¹³、まだ民意形成が不十分だったと言えます。
財政再建:道半ば
次に財政再建ですが、藤巻氏が訴えた歳出改革は道半ばです。国の累積債務はこの期間にさらに膨らみ、GDP比債務残高は世界最悪水準を更新しています。彼は議員立法や質疑で再三警鐘を鳴らしましたが(「日本の財政はギリシャ以上に悪い」とまで述べました²⁷)、政府は財政拡張路線を基本的に維持し、防衛費や少子化対策で新たな歳出拡大も決定しました。結果、藤巻氏の主張する「プライマリーバランス黒字化」は遠のいた形です。
ただ、藤巻氏の影響もあってか2021年以降、与党内でも金融緩和の副作用や将来世代の債務負担が議論され始めており、彼の提起した論点は徐々に広がりを見せています。
減税政策:実現度低い
減税政策も実現度は低いままです。消費税は2019年に10%へ引き上げられましたが、藤巻氏は一貫して減税・小さな政府を主張し、引き上げに反対しました。しかし少数派に留まり、減税どころかコロナ禍以降は一時的給付金やポイント還元で対応する政策に終始しました。
法人税減税についても、藤巻氏は「減税で民間活力を」と訴えましたが¹⁰、大企業向けの実効税率引下げは限定的でした。
部分的進展:規制緩和と教育改革
一方、公約に掲げた規制緩和や機会平等の教育改革などについては部分的に進展があります。例えば大学入学共通テストの英語民間試験導入見送り(結果として公平性議論が再燃)や、高校授業料無償化の拡充など、教育機会均等策は前進しました。
維新の提唱した「こども国債」(子育て支援費用の国債発行)には藤巻氏は慎重でしたが、結果的に政府は社会保険料で賄う形を選択しています。この点、藤巻氏は「恒久財源なき支出拡大」に懸念を示していたため、政策判断は分かれました。
公約と国会発言の整合性
マニフェスト vs 国会発言ギャップ分析では、藤巻氏の公約上位10語はいずれも国会発言に登場しており、公約と活動との整合性は高いことが分かります。たとえば「経済」「財政」「減税」「仮想通貨」「課税」などは、公約出現数に比例するように国会でも頻繁に言及されました(「経済」は公約約16回→発言50回以上、「仮想通貨」は公約15回→発言十数回程度と推計)²。つまり藤巻氏はマニフェストに書いたことを国会でもしっかり主張していたわけです。
実現しなかった背景と今後への期待
実現しなかった背景には、与党の壁や世論の温度差がありました。仮想通貨減税は「富裕層優遇」との批判も根強く、財政再建策は景気優先の政権方針に押し切られました。しかし藤巻氏は諦めず、党内では政調会長代行という立場から同僚議員を説得し、超党派でも賛同者を募る努力を続けています。その姿は、有権者に対し「公約を守る政治家」として映っていることでしょう。
総括:志を曲げない姿勢
総括すれば、公約の数値目標(債務減少や課税方式変更)は達成に至っていないものの、藤巻氏は終始一貫してその実現に向け行動してきました。結果として政策決定を動かすまでには至らなかったものの、提起した議論が残した種は今後の政治課題として芽吹く可能性があります。
藤巻氏自身も「夢が現実になるとは限らない。しかし夢は持ち続けなければならない」と語っており¹²、志半ばでも信念を曲げない姿勢を貫いている点は特筆に値します。
参考資料
- 藤巻健史公式ウェブサイト「政策・藤巻プロパガンダ」⁶⁴¹¹⁰¹¹
- 参議院議案情報:「国会議員の歳費...改正法案」他、藤巻健史提出法案一覧¹⁴¹⁷¹⁹
- 朝日新聞「藤巻氏が繰り上げ当選」2024年1月⁴
- Cointelegraph Japan「参院選では藤巻氏の圧勝が必要」2019年7月19日²¹³¹²
- Agora言論プラットフォーム「藤巻健史氏は予言者か狼少年か?」2018年12月²⁸⁴⁰
- 日本税理士政治連盟ニュース「維新の税理士制度推進議連設立」2019年2月³²
- 国会会議録検索(参議院財政金融委員会会議録)²⁷(石破発言の引用)²⁴(歳費削減関連)
- FOREX PRESS「藤巻健史氏 Twitter詳細」2025年6月³⁸³⁹
- 参議院議員情報:藤巻健史(参議院公式サイト)⁵¹³
- その他、CoinPost・CoinChoice・Bloomberg・Yahooニュース等、藤巻健史氏関連報道・寄稿記事(2015–2025年)
1 5 27 藤巻健史 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/藤巻健史 2 12 13 34 国会に仮想通貨の火を灯し続けよ! 参議院選挙では藤巻健史氏の”圧勝”が必要 | Cointelegraph | コインテレグラフ ジャパン https://jp.cointelegraph.com/news/this-is-the-reason-why-we-should-support-takeshi-fujimaki-for-the-house-of-councilors 3 33 仮想通貨メディアCoinPostのコラムに参議院議員 藤巻 健史氏が参画|NODEE by CoinPost https://coinpost.jp/?post_type=pressrelease&p=95676 4 藤巻氏が繰り上げ当選:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/DA3S15841943.html 6 7 8 9 10 11 41 政策 | 藤巻健史 オフィシャルウェブサイト https://www.fujimaki-japan.com/policy 14 15 22 23 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/195/meisai/m195100195001.htm 16 国家公務員の人件費の総額の削減の推進に関する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/195/meisai/m195100195008.htm 17 国の財政運営における不要資産の活用、透明性の向上等に関する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/195/meisai/m195100195010.htm 18 租税特別措置法の一部を改正する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/195/meisai/m195100195013.htm 19 政治資金規正法の一部を改正する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/meisai/m196100196003.htm 20 地域の事情に応じた保育サービスの提供体制の整備に関する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/196/meisai/m196100196011.htm 21 独立行政法人都市再生機構の完全民営化の推進に関する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/195/meisai/m195100195017.htm 24 第198回国会 参議院 本会議 第23号 令和元年6月5日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム シン プル表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=119815254X02320190605&spkNum=23 25 藤巻健史 参議院議員 24期国会発言一覧 https://kokkai.sugawarataku.net/giin/c24/khc2401728.html 26 そして日本人は貧しくなった! 史上最大の経済実験と呼ばれる異 ... https://www.youtube.com/watch?v=chQeYdZE6CY 28 29 40 藤巻健史氏は「予言者」かそれとも「狼少年」なのか? | アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp/archives/2036166.html 30 第217回国会 財政金融委員会第7回 質疑項目 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/shitsugi/217/s067_0408.html 31 藤巻 健史(ふじまき たけし) - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013047.htm 32 日本維新の会の税理士制度推進議員連盟の総会に出席しました。 - 日本税理土政治連盟 https://nichizeisei.jp/activity/3528/ 35 藤巻議員、「仮想通貨税制改正」に関する国民の請願書を国会提出 ... https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201907010533 36 [PDF] 藤巻健史 - 日本維新の会 https://o-ishin.jp/news/bunsho/2024/images/f6f4cf08b162b51004dfee91927816b126802855.pdf 37 [PDF] 文書通信交通滞在費 使途報告書 - 日本維新の会 https://o-ishin.jp/news/bunsho/2019/images/59a3fe08df7db7249f6e62c453da7b9d2b62580b.pdf 38 39 ツイッタータイムライン | FOREX PRESS 外国為替取引ニュースサイト (FX取引ニュース) https://forexpress.com/tw-update/user/fujimaki_takesi/