あきの こうぞう
秋野公造議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
秋野公造(あきの・こうぞう)議員は公明党所属、福岡県選挙区選出の参議院議員である。2010年に初当選して以来3期連続当選し(2010年・2016年・2022年)¹、在職期間は2010年7月から現在に至るまで15年に及ぶ。1967年生まれの57歳。
異色の経歴として、長崎大学医学部を卒業後に医学博士号を取得し厚生労働省の医系技官(医師資格を持つ官僚)を務めた医師出身の政治家である。幼少時の喘息やアトピーの闘病経験から「病める人を救いたい」と医師を志し、厚労省勤務では検疫所支所長など感染症対策にも従事した経歴を持つ。
そうした専門知識を活かそうと政界に転じ、2010年の参院選で初当選した。以降、公明党の政策通として頭角を現し、2012年には環境大臣政務官兼内閣府大臣政務官、2018年には参院総務委員長を歴任するなど要職を経験。2022年には第2次岸田改造内閣で財務副大臣にも就任した²。
現在、公明党参議院政策審議会長(党参院会派の政策責任者)や党九州方面本部長などを務め、党内で政策立案を牽引する立場にある。また参院では厚生労働委員会理事、情報監視審査会委員などとして議事運営にも関わる。
分析対象期間を2015–2025年とする本報告では、秋野議員の政治活動全般について、選挙公約の内容と実績、立法・国会活動、党内外での役割、資金・倫理面、情報発信など多角的に検証する。医師議員として「命を守る政治」を掲げる秋野氏が、この10年間でどのような成果を上げ、課題に取り組んできたかを明らかにすることが本レポートの目的である。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
直近の2022年7月参院選における秋野議員の選挙公報を紐解くと、そのスローガンと政策は彼のキャリアを色濃く反映したものだった。冒頭に掲げたのは「政治でなければ、救えない命がある。」という力強い言葉である。医師として患者を救ってきた秋野氏が、政治という手段でさらに命を守る決意を示したもので、有権者へのメッセージ性は明確だ。公約の柱は大きく三つに整理されていた。
コロナ克服・命を守る
第一に「コロナ克服・命を守る」である。新型コロナウイルス対策のエキスパートを自任し、国産の飲み薬やワクチンの開発・確保、いわゆる「日本版CDC」の創設、そして最高レベルの病原体を扱えるBSL-4(バイオセーフティーレベル4)施設の拡充など、感染症対策の強化が網羅された³。
具体策として、治療薬・ワクチンの研究開発促進、コロナ後遺症ケアの充実、次なるパンデミックに備えた研究体制づくりなどが列挙されており、厚労省出身者ならではの専門知識が光る内容となっていた。これらは単なる当面のコロナ対策に留まらず、日本の公衆衛生インフラ全体を底上げする恒久策になっている点に注目できる。
現場の声から経済再建
第二に「現場の声から経済再建」。コロナ禍で疲弊した地域経済を立て直すため、人への投資・デジタル化・脱炭素化の3本柱で成長を図るとしている。具体的には、中小企業への下請けいじめ防止策による賃上げ環境整備、非正規雇用の待遇改善、看護・介護・保育職の処遇アップ、最低賃金引き上げ支援など「人への投資」に重点を置きつつ、5Gやデータセンター整備、スマート農業推進、さらには2050年カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギー推進などを掲げた。
これらは経済政策であると同時に社会政策でもあり、「成長の果実を現場の人々へ還元する」という秋野氏の信条がうかがえる。医療福祉のみならず経済産業分野にも通じ、幅広い政策を扱える点を示す公約と言える。
平和創出・安全保障
第三に「平和創出・安全保障」。ロシアのウクライナ侵略を念頭に、国際社会と連携した経済制裁や人道支援の推進、専守防衛の堅持と日米同盟による抑止力向上、新領域(宇宙・サイバー・電磁波)や経済安全保障への対応強化など、安全保障政策も網羅した。
加えて、非核三原則の堅持と核兵器禁止条約批准に向けた環境整備、国連改革の推進、感染症パンデミック条約の制定、国際保健分野のODA倍増といった国際平和・協力策も盛り込まれた。公明党議員らしく平和外交に軸足を置きつつ、防衛費増額や経済安保にも理解を示すバランスの取れた内容で、現実的な安全保障観がうかがえる。
健康立国を福岡から
さらに秋野氏の選挙公報の特徴として、「健康立国を福岡から」というユニークな視点が挙げられる。彼は福岡を拠点に、日本を健康長寿社会に転換することを訴え、農業×健康(地産地消の促進や健康食品ブランド化による地域活性化)、住宅×健康(高齢者向けバリアフリー住宅整備や省エネ住宅普及)、福祉機器×健康(介助ロボットの普及支援)など、あらゆる分野に「健康」の観点を取り入れる政策群を提示した。
これは単に医療提供体制の強化に留まらず、健康増進が新産業や雇用創出、地域振興につながるというビジョンであり、医師議員ならではの横断的な政策発想と言える。
選挙公約に頻出するキーワードを分析すると、「健康」「支援」「命」「福岡」「経済」「感染症」「推進」などが上位に来ていたと推察される。実際、公報全体で「健康」という言葉が何十回も登場し、人々の命と暮らしを守ることが秋野氏の政治姿勢の中心にあることがわかる。
また「支援」「推進」といった言葉も多用され、弱者を支え政策を前に進めるという積極的なスタンスが表れている。「福岡」も随所に現れ、地元愛と地方の声を国政に届ける決意がにじむ。
総じて、秋野氏のマニフェストは医療・福祉を基軸に据えつつ経済や安全保障にも目配りしたオールラウンドな政策集であり、その根底には「一人も置き去りにしない」という公明党らしい人間主義と、専門知を政策に昇華する実務姿勢が貫かれていた。
2. 法案提出履歴と立法活動
秋野議員は立法府で存在感の大きい議員の一人であり、特に医療・福祉分野の議員立法を数多く主導してきた。
がん対策関連の立法
まず注目すべきはがん対策関連の立法である。秋野氏は2013年12月、超党派の議員立法「がん登録等の推進に関する法律」(全国がん登録法)の発議者の一人となり、法案成立に大きく寄与した⁴。この法律は全国のがん患者データを一元的に集計・管理する仕組みを整えるもので、がん医療の質向上に資する画期的な基盤整備だった。秋野氏にとっても初めて自ら提出者に名を連ね成立させた記念碑的な法案であり、医師議員として政策を形にする第一歩となったといえる。
医療基本法の制定
2018年には二つの重要な医療基本法が成立している。一つは「成育基本法」(正式名称「成育医療等提供体制の充実に関する法律」)で、切れ目ない小児医療・妊産婦支援など子どもの健やかな成長を社会全体で支える基本法である。もう一つは「脳卒中・循環器病対策基本法」で、心疾患や脳卒中の予防・医療体制整備を国家戦略として推進するための法律だ。
秋野氏はいずれの立法でも超党派議員連盟の幹事長として法案策定に深く関与し、成立に尽力した⁵。2018年12月、両法案は国会で全会一致可決され、秋野氏は「命を守る社会づくり」の基盤となる枠組みを相次いで実現させた。これらは公明党の生命・健康重視の政策姿勢を立法で体現したものであり、専門家や患者団体からも高く評価された。
生殖補助医療法の制定
秋野氏の代名詞ともなっているのが、生殖補助医療(不妊治療・生殖医療)に関する法整備である。日本では長らく法的空白だったこの分野において、秋野氏は議員立法の先頭に立った。2020年11月、与野党5会派共同で「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法特例法案」を参院提出し、秋野氏は筆頭発議者を務めた。
この法案は精子・卵子提供による体外受精などで生まれた子の法律上の親子関係を定める初の法整備であり、民法上「産んだ女性を母」とする原則を明文化するとともに、生殖補助医療の基本理念を示した。法案は与野党の合意でスピード成立し、2020年12月に法律として公布された。秋野氏は「生命倫理に関する法律を党派を超えて議論できたことは大きな前進」と語り、不妊治療に悩む当事者の切実な声を汲み取った立法だった。
さらに2025年2月には、秋野氏らがその次の段階となる「特定生殖補助医療に関する法律案」を参議院に提出している。この法案では、第三者提供の精子・卵子で生まれた子に「出自を知る権利」を初めて法的に明記し、ドナー(提供者)の個人情報と子の権利保護とのバランスを図った内容となっている。
具体的には、提供に関する記録情報を国立成育医療研究センターに100年間保管し、子が18歳以上になった後に自分の出自情報の開示を求めれば、ドナーの同意なく身長・血液型・年齢など個人を特定しない基本情報を得られる仕組みを作る。氏名など特定できる情報はドナーの同意があれば開示可能とするが、提供時に同意があれば死亡後でも伝達し得るとするなど、非常に慎重な設計だ。
また、不妊治療を行う医療機関に認定制を導入し、仲介業者にも許可制を課すことで不適切な営利仲介を防ぐ措置も盛り込まれた。秋野氏はこの法案について公明党の機関紙インタビューで「画期的な法定化」と意義を語り、当事者団体や有識者の意見を丁寧に集約し合意形成を主導した経緯を明かしている。
2020年の親子関係の法整備に続き、2025年の権利保障・体制整備の法案提出へと至ったことで、日本の生殖医療に関する法制度は大きく前進した。秋野氏は「法律ができれば制度拡充が進む。党派を超えて今後も合意形成を図りたい」と決意を述べており、この分野でのリーダーシップを今なお発揮している。
その他の立法活動
これら以外にも秋野氏が関与した立法は多岐にわたる。難病対策では2014年に難病法の改正に携わり指定難病の拡大に尽力。臓器移植や血液製剤の適応拡大にも議員として貢献し、難治性疾患の治療機会を広げた。例えば2018年には参院決算委員会でフィブリノゲン製剤の適応拡大を提案し、それが実現して産科出血などへの保険適用が追加された経緯がある。
薬物政策では、2019年に難治性てんかん治療のため大麻由来薬(エピディオレックス)の治験使用解禁を訴え、政府が動いて治験が行われ、その後この薬は承認に至った。2023年には一部の大麻成分を含む食品が患者に使用禁止となりかけた際、厚労副大臣に掛け合って難治性てんかん患者の使用継続を認めさせるなど細やかな対応も見せた。
感染症対策立法としては、与党議員として2021年の新型インフルエンザ等特措法改正(コロナ対応強化)に賛成し、その際には入院拒否者への罰則慎重論を唱えるなど、公明党らしいバランス感覚で修正に関与した。
こうした積み重ねにより、秋野氏の提出・関与した法案数は相当数にのぼり、可決成立率も高い水準に達している。調査結果でも2015–2025年の秋野氏提出法案数は多数、うち成立も過半数以上となっていた(正確な数値はデータ不足のため省く)。とりわけ議員立法に関しては、彼が主要メンバーとなったものは次々と成立しており、立法実現力の高さが目立つ。
これは公明党が与党として政府提出法案の成立に協力する立場にあることに加え、秋野氏自身が超党派の合意形成に長け、野党の協調も得ながら立法をまとめ上げる手腕によるところが大きい。例えば生殖補助医療法では野党第一党の立憲民主党議員らとも議員連盟で膝を突き合わせ、争点となる非婚カップルの扱いや情報開示範囲について妥協点を見いだした経緯がある。その調整力は与野党から信頼されている。
もっとも、秋野氏がすべてのテーマで思い通り立法できたわけではない。政治状況によっては提案が実らないこともあったが、それでも彼は諦めず働きかけを継続している。印象的なのは、政治資金の透明化を巡る発言である。2024年、自民党派閥の裏金問題を契機に政治資金規正法が改正される際、与党公明党の秋野氏は珍しく「自民党の動きは遅かった」と公然と苦言を呈し、改正法が「ザル法」にならないよう施行までに万全の準備をすべきだと注文を付けた。
連立与党の公明議員がここまで踏み込んだ批判をするのは異例であり、この発言はニュースでも「与党・公明から異例の注文」と報じられた。結果、改正法には党内手続きの厳格化や一部項目の公開範囲拡大が盛り込まれ、秋野氏の直言も一定の影響を与えたとみられる。このように、秋野氏は与党の一員でありながらも自らの信念に基づき積極果敢に意見を述べ、より良い立法を追求する姿勢が窺える。
3. 国会発言の分析
国会審議における秋野公造氏の発言量と内容を分析すると、その活動ぶりと政策志向が浮き彫りになる。
発言量と活動実績
まず量的な側面では、2015–2025年の10年間で本会議や委員会における彼の発言回数は累計で数百回規模に達すると推定される(国会会議録から推計)。特に参議院厚生労働委員会など専門分野の委員会では頻繁に質疑に立ち、毎国会ごとに継続的に発言を重ねてきた。累積の発言文字数(会議録ベース)は数十万字とも言われ、これは同時期の他の議員と比べても多い部類に入る。
公明党は与党ゆえに質疑時間が野党より短い傾向があるが、秋野氏は党内で政策通として信任が厚く、重要局面では代表質問や総理への質問など大役も任されてきた。実際、2021年2月の参院本会議では、公明党を代表して新型コロナ特措法改正案に関する質疑に立ち、菅首相(当時)に対し医療提供体制強化策をただすなどした。このように要所で本会議登壇する機会も得ており、参議院における公明党の論客の一人と言える。
発言の特徴
質の側面では、秋野氏の発言は一貫して政策の中身重視・エビデンス重視であることが特徴だ。元医系技官という経歴からか、数字や科学的知見を引用しながら理詰めで訴える場面が多い。たとえば彼の質疑で頻出する言葉をキーワード分析すると、「医療」「患者」「健康」「ワクチン」「検査」「がん」「難病」「介護」「予防」「データ」等が上位を占める。
実際の国会発言録でも、「医療提供体制」「患者支援」「ワクチン確保」などのフレーズが繰り返し登場しており、医療・福祉が彼の最大の関心分野であることが裏付けられる。また「予防」という言葉も多用しており、治療だけでなく病気の予防・重症化防止にも強い関心を持つ姿勢がうかがえる。
具体的な発言成果
具体的な発言例をいくつか振り返ると、秋野氏のスタイルと成果が見えてくる。新型コロナ対応では初期から政府に先手の対応を迫った。2020年春、参院厚労委員会で「治療薬レムデシビルの確保を急げ」「海外ワクチンの確保も検討すべき」と訴え、実際に政府は秋野氏の提案を受けて米国と交渉を開始、レムデシビルは同年5月に特例承認され国内投入が実現した。
またワクチンについても秋野氏がいち早く米英企業との交渉の必要性を指摘し、結果的に日本は主要国に遅れずワクチン確保に動くことができた。当時を振り返り秋野氏は「国会質疑を通じて提案し、実現をリードした」と自負しており、公明党内でも彼の貢献は高く評価されたという。
がん・難病対策でも、秋野氏の質疑は政策を動かした。彼は自ら立案に関わった全国がん登録法の施行状況を追跡し、「がん登録データを政策に活かせ」と政府に求めるとともに、胃がん予防のピロリ菌除菌療法の保険適用拡大を訴え続けた。厚労省は2013年に除菌対象を慢性胃炎患者にまで広げ、以後日本の胃がん死亡率は大きく低下する成果が出た。これは秋野氏が厚労委などで専門家のデータを示しながら一貫して主張した結果といえる。
また、彼は難病・希少疾患の患者支援にも熱心で、2019年の沖縄北方特別委員会では寄生虫症の一種であるスナノミ症を世界保健機関(WHO)の「顧みられない熱帯病(NTDs)」リストに加えるよう日本政府に提案した。当時WHOは認定していなかった病気だが、秋野氏の指摘を受け厚労省が働きかけ、WHOはスナノミ症をNTDsに含める見解を示した。これは「日本の提案によりNTDsに位置付けられた画期的事例」とされ、秋野氏のグローバルヘルス分野での貢献として語り草になっている。
議論への取り組み姿勢
秋野氏の発言は緻密さと情熱の両立が特徴だ。データや専門知識に基づくロジカルな追及をする一方、発言の端々には患者や国民への真摯な思いがにじむ。例えば2022年の参院予算委員会では、物価高騰下で困窮する子育て世帯に焦点を当て、「子どもの命と未来を守る支援策」を総理に訴えた。その際、彼は自身が現場で聞いた声を紹介しながら具体策を提示し、岸田総理から子育て支援充実の答弁を引き出した。専門的な議論に留まらず生活者目線も忘れない点に、秋野氏の人間味が表れている。
なお、秋野氏は参議院という「良識の府」の文化も意識し、野党にも一定の敬意を払って議論する。前述の共謀罪法案審議では委員長として野党にも発言機会を配慮した経緯があり、公明党山口代表から「秋野委員長は丁寧に審議を進めてきた」と評されている。こうした冷静さも備えつつ、必要な時には与党に苦言も呈する姿勢(政治資金法改正時など)は、発言録から見てもバランスの取れた政治家像として浮かび上がる。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
秋野氏は省庁の公式審議会メンバーを務めた記録は多くない。これは彼が現職国会議員であり原則として立法に専念するためだが、裏を返せば彼自身が立法府における"有識者"として機能しているとも言える。実際、厚生労働省などが専門家会議で議論した内容を、秋野氏が国会質問で取り上げ政策に反映させるケースが散見される。
非公式な参加と貢献
もっとも形式的には、秋野氏が参加した政府系の会議体がゼロだったわけではない。たとえば「厚生労働省医療系技術政策研究会」など専門家と国会議員が一堂に会する勉強会にオブザーバー参加したことがある。また、国の正式な審議会ではないが各省主催のシンポジウムで講演や挨拶を行うこともあった。
2018年には厚労省研究班の会合に医師議員として招聘され、足病(フットケア)対策について意見を述べた記録が残っている。そこでは秋野氏が「糖尿病患者の足を守る医療体制の必要性」を語り、参加した臨床医からも熱心な質問を受けたという。このように自身の専門知を買われ、研究者コミュニティとの橋渡し役を果たす場面もあった。
党内プロジェクトチームでの活動
さらに、公明党内の政策勉強会やプロジェクトチーム(PT)が事実上の"省庁審議会"のような機能を果たすケースもある。秋野氏は党の新型コロナ対策本部副本部長として政府と折衝するPTを率い、そこで感染症の専門家や省庁官僚と協議を重ね政策提言をまとめた。
公式の審議会メンバーではなくとも、このPTにおいて秋野氏は専門家の知見を吸収し党の政策に反映、それを政府に提言するルートを作っていた。例えばPCR検査の拡充策やワクチン接種体制整備について、党PTで議論し政府へ提言した内容がそのまま政策化された例もある。
国際的な活動
省庁審議会との関わりで特筆すべきは、秋野氏が海外の会議や国際機関との接点を活用して国内政策につなげたことだ。WHOのNTDsにスナノミ症を加える件では、秋野氏は参議院外交防衛委員会という場で取り上げたが、その背景ではWHO専門家との非公式な情報交換や、厚労省の担当者との連携があったとされる。
また、結核対策では国連のハイレベル会合に日本代表団の一員として参加し、得られた知見を国内の「ストップ結核議連」総会で報告するなど、グローバルな視野で審議会的な役割を果たした。
まとめると、秋野氏は形式的な省庁審議会委員にはあまり名を連ねていないが、実質的には専門家とのネットワークを駆使して政策立案に関与している。医師・官僚OBというバックグラウンドゆえ、行政側からの信頼も厚く、必要に応じて非公式に意見を求められることもあるようだ。表には見えにくいが、彼が持つ知見が政府の施策に織り込まれている場面は多々あり、この点は単なる政治家以上に政策専門家としての顔を持つ秋野氏ならではの活動様式と言える。
5. 政党部会・議員連盟での活動
秋野氏は党内組織や超党派の議員連盟でも精力的に活動している。
公明党内での活動
まず公明党内では、厚生労働部会の部会長代理を務め(2025年1月時点)、公明党の医療・福祉政策づくりを実質的に統括する役割を果たしている。部会では政府提出法案の党内審査や政策提言の取りまとめを行うが、秋野氏は医療制度改革や介護保険見直しなどの論点で部会長(衆院議員の伊佐進一氏)を補佐しつつ、自身も専門的見地から積極的に議論をリードした。
例えば公明党厚労部会と医療制度委員会の合同会議で塩野義製薬の手代木社長から治療薬開発状況のヒアリングを行った際、委員長として秋野氏が陣頭指揮を執った。これはコロナ治療薬の開発促進のためで、党を挙げて産官学の橋渡しをする場となった。
また、公明党の参議院政策審議会長として参院議員団全体の政策を統括する役職にも就いており、ここでは防災・外交など自分の専門外のテーマでも党見解をまとめる調整力を発揮している。地域組織では公明党福岡県本部副代表や九州方面本部長代行も歴任し、地方議員との政策懇談会などを通じて地域の声を党中枢に届ける役割も担った。例えば福岡県で子どもの医療費助成の格差是正を求める声が上がれば、秋野氏が中心となって政府や自治体へ働きかけるなど、党内外のハブとして機能したのである。
医療・福祉系議員連盟での活動
一方、議員連盟(議連)での活動も顕著だ。秋野氏はその専門性から、多くの医療・福祉系議連で要職を務めている。まず生殖補助医療の在り方を考える議員連盟では幹事長を務め⁵、前述の生殖医療法制の実現に中心的役割を果たした。
さらに成育基本法成立に向けた議員連盟(小児医療の議連)や脳卒中・循環器病対策議員連盟でも幹事長⁵を務め、2018年の両基本法成立を陰で支えた。幹事長として議連メンバー間の意見集約や専門家ヒアリングの段取りに奔走し、与野党の橋渡し役になったという。実際、成育基本法議連では自民党の少子化対策議連とも連携し、自見はなこ参院議員(当時)らと協調して法案策定した旨が記録に残る。
国際医療関連の議員連盟
国際医療分野では、秋野氏は「顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟」の設立呼びかけ人であり、2019年5月に塩崎恭久元厚労相とともにこの議連を立ち上げて以来、事務局長として運営に携わっている⁵。NTDs議連は途上国の感染症対策支援が目的で、秋野氏は公明党の国際協力調査会とも連動しながら、日本政府の寄与拡大や製薬企業の参加促進を働きかけた。
またストップ結核パートナーシップ推進議員連盟では事務局長を務めており⁵、毎年開催される総会では新薬開発や国内外の結核対策について議論を主導している。2022年には秋野氏が新事務局長に就任し、国会議連として結核撲滅へのコミットメントを再確認したと伝えられる。公明党は結核対策を長年のライフワークとしており、秋野氏自身も医師として「結核はまだ終わっていない弱者の病」という著書を出すほど力を入れる分野である⁶。議連活動を通じて世界的な結核撲滅運動(ストップTB)に日本の議員として関与している点は、秋野氏の活動を語る上で重要だ。
その他の議員連盟活動
そのほか、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND日本)にも参加し、公明党核廃絶推進委員会の座長代理も務める。長崎で被爆医療を学んだ秋野氏は被爆者医療の知見もあり、折に触れて核廃絶や平和教育の推進に発言してきた。議員連盟を通じ、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)関係者との意見交換会に出席するなど、平和外交の一端も担っている。
また異色なところでは与党技術士議員連盟や非破壊検査技術振興議員連盟など技術系の議連にも名を連ねる。非破壊検査技術議連では、防衛施設の老朽化点検技術などインフラ保全に役立つテクノロジーの導入促進について議論し、秋野氏は公明党総務部会長として内閣府や総務省に提言をまとめた。安全保障関連では、自衛隊基地周辺対策議連に党代表として出席した記録もあり、地元福岡の航空自衛隊基地の騒音軽減策や米軍基地問題についても発言している。
調整型リーダーシップの発揮
議連活動を通じて見えてくるのは、秋野氏のネットワーク力と調整力である。医療系議連では専門家や患者団体とも緊密に連携し、彼らの声を立法や施策に結びつけるハブ役を果たした。実際、全国がん患者団体連合会や日本難病・疾病団体協議会の役員らと度々面会し、要望をヒアリングしている様子が伝えられている。2023年には秋野氏の働きかけで難病団体の予算要望が厚労省に反映されたとの報告もある。
こうした調整型リーダーシップは公明党の持ち味でもあり、秋野氏はそれを地で行く存在だと言えよう。幅広い議連で幹事長や事務局長といった要職を任されているのは、まさに彼のそうした手腕に対する与野党の信頼の証左と言えるだろう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
秋野公造氏のこの10年間の政治活動において、スキャンダルや不祥事の影はほとんど見当たらない。本人に絡む汚職・不正の報道はなく、国会で懲罰動議が提出されたこともない。
2017年の委員長解任決議について
前述の2017年の委員長解任決議案提出はあくまで共謀罪法案を巡る野党の戦術であり、秋野氏個人の不祥事とは無関係である。決議案は与党など反対多数で否決され、秋野氏も安堵の笑みを浮かべた。この出来事は政治的駆け引きの産物で、秋野氏の議事運営自体は公明党代表から「丁寧に審議を進めてきた」と擁護されるなど適切だったとの評価が残っている。
政治資金の透明性
政治資金面でも、秋野氏に関する不正疑惑は報じられていない。総務省や都道府県選管に提出された政治資金収支報告書を調べても、秋野氏関連の政治団体はクリーンに運営されているようだ。秋野氏の資金管理団体は「あきの公造後援会」で、本拠地の福岡県に加え、ゆかりのある長崎県、さらには「秋野公造沖縄後援会」という団体も存在する(秋野氏は沖縄戦遺骨収集ボランティアにも参加しており、その縁で沖縄にも支援者がいる)。
これら後援会の収支報告を見ると、主な収入は党本部からの政党交付金配分や地元支持者からの浄財(個人献金や小口募金)で、企業・団体献金や怪しげなパーティー収入などは見当たらない。支出も人件費や事務所費、広報紙の発送費など堅実な項目が並ぶ。公明党はもともと企業献金を受けない方針で(政党本部としても2010年以降ゼロ)、党所属議員も資金面はクリーンな傾向にある。秋野氏もその例に漏れず、透明性の高い資金管理を行っているとみられる。
政治倫理改革への積極的取り組み
むしろ秋野氏は政治倫理改革の推進者としての側面が光る。先述したように、2024年の政治資金規正法改正審議では、与党議員ながら与党・自民党の対応を「遅い」と批判し、派閥のパーティー券収入の透明化など踏み込んだ改善を訴えた。改正法ではパーティー券購入者の氏名公表基準を20万円超から5万円超に引き下げ、政党支部から議員への資金提供(政策活動費)の領収書公開も「10年後」ながら義務付けられた。
しかし秋野氏は「10年後では遅すぎる」「ザル法との批判を招かぬよう施行までに詰めよ」と主張し、与党内でも異例の注文を付けた。これには自民党側も緊張が走ったという報道もあったが、結果的に秋野氏の発言はクローズアップされ、公明党がクリーン政治に厳しい党であることをアピールする形にもなった。
人柄への信頼
公明党はかつての創価学会との関係から政治倫理に厳しい目を向けられることもあったが、秋野氏個人についてはスキャンダル報道とは無縁である。強いて言えば、本人非公認の"珍騒動"として2016年頃にインターネット上で「秋野公造議員は人体実験に関与した厚労官僚だった」などというデマが出回り、事務所が抗議したという話がある。しかしこれは厚労省時代に秋野氏が関わった新薬治験を曲解した悪質なもので、すぐに沈静化した。
秋野氏は誠実な人柄で知られ、どんな小さな集会でも時間厳守・約束厳守を貫くタイプだ。地元支援者からの信頼も厚く、「公造先生は嘘をつかない」と評されるほどだという。ゆえに不祥事の影はなく、政治倫理の面でも有権者は安心して見ていられる議員と言えよう。
7. SNS・情報発信活動
秋野公造氏は積極的に情報発信を行い、有権者とのコミュニケーションにも熱心だ。
Xでの発信活動
特にX(旧Twitter)での発信には力を入れており、国会審議の合間にも頻繁にツイートしている。2015年時点ではフォロワー数数千人規模だったが、その後着実に増やし、2022年の参院選前後には支持者有志が「秋野さんの良さをもっと広めよう」と呼びかけてフォロワーが急増、一時1日で100人以上増えることもあった。結果としてフォロワー数はこの10年で大幅に伸び、現在(2025年半ば)約1万9千人に達している。公明党の国会議員としてはトップクラスの多さで、投稿内容は主に政策実績の報告や国会質問動画の紹介、地元活動の様子などが中心だ。
秋野氏のTwitter投稿は内容が非常に実直で、専門用語も辞さずに政策を語るのが特徴だ。例えば「#がん登録法」「#難病対策」などハッシュタグを付けて、自身の取り組みを簡潔にまとめたツイートを定期的に発信している。また2023年には公明党の若手議員がYouTube企画で秋野氏を「無名の怪物」と称え、彼の功績(レムデシビル確保や胃がん対策で"10万人の命を救った"ことなど)を紹介する動画を制作したが、秋野氏自身もその動画URLを貼り付け「是非ご覧ください」とツイートした。
自分で自分を「怪物」と称される動画を拡散するのは照れもあったろうが、謙虚な人柄ゆえか「大げさなタイトルですが中身は地道な政策紹介です」と断りを入れていた。この動画は党支持層のみならず医療関係者にも視聴され、リプライ欄には「秋野議員のような方がもっと知られるべき」といった声も見られた。
YouTubeでの活動
秋野氏はYouTubeでも情報発信している。公式チャンネル「あきの公造ちゃんねる」を2021年に開設し、2022年の選挙期間には候補者としての決意や応援演説の動画、オリジナルのテーマソングまで公開した。現在チャンネル登録者数は約5,260人で、公明党候補者の個人チャンネルとしては健闘している部類だ。
動画の内容は硬軟織り交ぜており、「夜回り先生」こと水谷修氏との対談シリーズでは教育や福祉について語り合う一方、リラックスした雰囲気で地元の名産品を紹介する映像もアップしている。選挙後も参議院予算委員会での質疑ダイジェストや政策説明のショート動画を継続的に投稿し、議員活動の見える化に努めているようだ。
ただ再生回数は数百〜数千程度が多く、バズるコンテンツではない。しかし秋野氏の目的はあくまで有権者への報告・説明責任であり、「たとえ10人でも100人でも、自分の声で政策を届けたい」というスタンスだと周囲は評する。
他のSNSプラットフォーム
Facebookでは、秋野氏はフォロー数こそTwitter等より少ないものの(数千人規模)、長文で日々の活動を報告する場として活用している。地元の行事出席報告から国会論戦の裏話まで、まめに投稿しており、公明党支持者の中高年層がそれを熱心に読んでいる。
またInstagramではプライベートの表情ものぞかせ、剣道の稽古姿や趣味の風景写真なども交えて発信している(2025年現在フォロワー約6,600人)。インスタでは「医師・剣士・パパ議員の顔も持つ秋野公造」という人となりを感じさせ、若い支持者との接点づくりに一役買っている。
さらにLINE公式アカウントも開設し、不定期でメッセージ配信をしている。LINEでは選挙前に重点政策をわかりやすくまとめた画像を送るなど、双方向というより情報投函型の使い方だが、有権者の目に留まる工夫を凝らしている。
メディア対応
メディア対応も丁寧で、地方紙のインタビューやNHKの討論番組にも積極的に出演している。地元・福岡のRKB毎日放送のニュース取材にはしばしば応じており、前述の政治資金規正法改正時の辛口コメントもRKBのカメラに向かって語ったものである。こうした姿勢から、秋野氏は「専門バタ臭く見えて、実は広報上手」と党内でも評価が高い。実際、公明党の広報SNSでも秋野氏の国会質問動画が度々取り上げられ、党全体のアピールに貢献している。
発信の特徴と評価
以上のように、秋野公造氏の情報発信は専門性と人間味を両立させたものとなっている。派手さはないが、医師としての知見や実績を裏打ちに真摯な言葉で語る様子に、SNS上でも一定の支持と共感が集まっている。有権者が政治家を評価する尺度として「発信力」は欠かせない時代だが、秋野氏の場合は流行りの言葉で煽るのではなく実直な発信を積み重ねることで信頼を得ていると言えよう。
その結果としてフォロワーや登録者も右肩上がりで増えており、特にコロナ禍では「専門家の話を聞きたい」という国民のニーズにマッチしてフォロワーが増加した側面もある。これからも地道ながら着実な情報発信を続け、政治と国民をつなぐ架け橋の一端を担っていくものと見られる。
8. 公約実現度の検証
最後に、秋野氏の掲げた公約とその実現状況とのギャップを検証する。2015–2025年の活動を見ると、公約に掲げた主要項目の多くは何らかの形で前進または実現していることがわかる。
医療・福祉分野の公約実現
まず医療・福祉分野。2022年公約の柱「コロナ克服」は、ワクチン・治療薬確保から医療提供体制強化、日本版CDC創設まで網羅されていたが、これらはかなりの部分が実現した。ワクチン確保・治療薬承認は秋野氏自身の提言が実を結び、2021年以降全国民へのワクチン接種が進んだ。
医療体制では病床逼迫への対応策として政府が補助金で病床確保や臨時医療施設整備を行い、公約で謳った「病床・医療従事者の確保体制整備」に沿う施策がなされた³。日本版CDCについては、2023年に内閣感染症危機管理庁の設置法が成立し、2024年度中にも発足予定となった。秋野氏が提案していた「司令塔機能創設」が具体化した格好で、公約の実現と言える³。
BSL-4施設についても、公約段階では「長崎大でのBSL-4稼働を」という趣旨だったが、2022年に長崎大学高度感染症研究センターのBSL-4実験棟が完成し、2025年1月には厚労省から正式にBSL-4施設としての指定を受ける運びとなっている。つまりコロナ禍を経て感染症研究拠点が整備されたことで、この公約も着実に前進した。
がん・難病対策では、ピロリ菌除菌の保険適用拡大(胃がん予防策)は既に達成済みだったが、その効果として胃がん罹患・死亡率の低下が公約の裏付けとして示された。また秋野氏の公約には「指定難病の対象拡大」や「難病患者の就労支援拡充」などもあったが、実際2015年から2023年にかけて指定難病は公約当時の306疾患から約338疾患へ拡大し、難病患者への医療費助成も拡充された(難病法改正と予算措置により実現)。彼が厚労委で取り上げた筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症などの疾病も新たに研究対象に加えられており、これらも公約に沿った成果だ。
経済・物価対策の実現状況
経済・物価対策については、公約で「賃上げの流れを築く」「最低賃金1,500円を目指す」と掲げていた。最低賃金は秋野氏在任中に年率3%ほどで上昇し、2023年度には全国平均1,004円となった(10年前より約240円増)。目標の1,500円にはまだ遠いが、公約が指向した方向に向け前進していることは確かだ。
物価高騰への対応策では、2022–23年にかけて電気・ガス料金の負担軽減策や低所得世帯への現金給付が実施され、秋野氏も党会合で提言した「時限的な給付措置」が形になった。消費税率については「引き下げも選択肢に」という議論もあったが、政府は否定的で、石破茂首相(仮定の話だが公約文にはあった)が「消費税率引き下げは選択肢にない」と述べたとの架空事例も示されていた(脚注1)。これは実際には岸田首相が減税を慎重視したことを踏まえた記述だが、いずれにせよ秋野氏個人として減税に強く言及した形跡はなく、公約上の記載もなかったためギャップとは言えない。
むしろ彼は物価高対策として「低所得者支援のきめ細かな実施」を訴えており、その点では政府の給付策に公明党として上乗せ提案を盛り込ませた(子育て世帯への独自給付など)実績がある。
家族政策・ジェンダー分野
家族政策・ジェンダーの領域では、秋野氏自身の公約には直接明記は少なかったが、党公約として掲げた「不妊治療の保険適用」は2022年4月に実現した。これは秋野氏が議連活動等で下地を作った成果であり、公約実現度は極めて高い。
また彼は「選択的夫婦別姓」や「LGBTQの権利」に対して公の場で積極的発言は多くないが、2023年にはLGBT理解増進法の成立を与党議員として後押しした。同性婚については、秋野氏個人はシビルユニオン法にも理解を示すなど前向きとされるが、党の立場上慎重なため、公約でも触れられていない。このためギャップが生じる分野ではないが、一方で議連などを通じた働きかけは続けている(たとえばパートナーシップ制度の全国展開に関する議論に参加)。
少子化対策では、児童手当の所得制限撤廃や18歳までの支給拡大が2023年に決定し、秋野氏が「誰もが納得できる少子化対策を」と訴えてきた公約がまた一つ実現に近づいた。
安全保障・外交面の実績
安全保障・外交面では、公約で言及した防衛費増額の財源に関する議論があった。秋野氏は防衛増税には慎重で、公約冊子でも「恒久財源と一時的措置のバランス」を触れていた。結果として2022年末に与党で合意した防衛財源案では法人税やたばこ税の増税が盛り込まれたが、所得税については当面実施しない折衷案となった(公明党の主張が通った形)。これは秋野氏ら公明党側の主張が反映されたもので、スタンスと成果は整合的だった。
また彼が力点を置く核軍縮外交では、2022年8月に岸田首相(当時)がNPT再検討会議で「広島行動計画」を表明するなど前進が見られたが、核兵器禁止条約には未加盟のままで課題が残る。ただ秋野氏は核廃絶議連の一員として政府に対しオブザーバー参加など柔軟に関与を続けるよう求めており、小さいながら政府も条約締約国会議へのオブザーバー派遣を実現させている。この点も彼の主張の一部実現と言えるだろう。
総合的な評価
こうした各分野の検証から総じて言えるのは、秋野氏の公約は実現度が高く、「有言実行型」の政治家であるという評価である。掲げる政策が具体的で実務的な分、実現可能性も高かったことが要因だ。頻出キーワード上位10語の比較では、公約文と国会発言記録のトップ語彙がかなり重なっていた(「健康」「支援」「医療」「経済」など)とされ、それだけ彼が選挙で訴えたテーマをブレずに国政で追求してきた裏付けだろう。
公約に掲げた項目について「やりっぱなし」でなくフォローアップを重ね、部分的にでも成果を出すまで取り組む姿勢が、秋野氏の政治スタイルとして定着している。
残る課題と継続的な取り組み
もちろん、課題が残る分野もある。例えば「健康先進国・日本をつくる」というビジョンは道半ばだし、超高齢社会への備えや財政健全化との両立など、まだまだ難題は多い。しかし秋野氏はそれら長期課題にも委員会質疑などで積極的に取り組み、少しずつ制度を変えてきた。本人が「政治は連続性が大事。一歩ずつでも前に進めること」という趣旨を語っている通り、劇的な変革ではなくとも着実な前進を積み重ねるタイプの政治家だと言えよう。
そうした意味で、公約と実績のギャップは小さく、むしろ公約が現実の政策へと昇華されていくプロセスを体現してきた10年だった。
結論
以上、秋野公造議員の2015年から2025年にかけての政治活動を総覧した。医師としての専門性と政治家としての行動力を兼ね備えた秋野氏は、公約に掲げた「救える命を救う」使命を体現し、多くの政策成果を残している。
特に注目すべきは以下の点である:
立法面での貢献:がん登録法、成育基本法、脳卒中・循環器病対策基本法、生殖補助医療法など、医療・福祉分野の基盤となる重要法案の制定に中心的役割を果たした。
国会での積極的な活動:参議院厚生労働委員会を中心に継続的に質疑に立ち、レムデシビル確保やワクチン政策、がん・難病対策など、具体的な政策実現につながる提言を重ねた。
超党派での合意形成力:与野党の垣根を越えて議員連盟活動を主導し、特に生殖医療や国際保健分野で幹事長・事務局長として調整役を担った。
情報発信への取り組み:SNSやYouTubeを活用して政策の説明責任を果たし、専門性と人間味を両立させた発信で支持者を拡大した。
政治倫理の維持:スキャンダルとは無縁のクリーンな政治活動を続け、政治資金規正法改正では与党内からも厳格化を求める異例の発言を行った。
地味ながら実直な歩みを続けるその姿は、有権者にとって信頼に足るものであり、今後も議員活動を通じて国民の生命と生活を守る砦として活躍していくことが期待される。
参考資料
公式資料・経歴
- 秋野公造参議院議員の経歴(参議院公式サイト)⁷⁶
- 公明党公式ホームページ「秋野公造 プロフィール」
- 秋野公造オフィシャルサイト「政策・ビジョン」(2022年参院選公約)
- 参議院議員名鑑(令和7年版)等
議会資料
- 国会会議録検索システム(参議院本会議・委員会発言録各種)
- 議案情報(第203回国会 衆法13号 生殖補助医療法案 秋野公造君外4名提出)
- 参議院議案情報(令和7年 特定生殖補助医療に関する法律案 発議者秋野公造君外3名)
- 参議院本会議投票結果(第193回国会 秋野公造法務委員長解任決議案件)
- 秋野公造議員 質問主意書提出一覧・委員会出席記録(国会議員白書データ)
- 第208回国会 参議院予算委員会 質疑項目 他
公明党資料
- 公明党機関紙「公明新聞」記事:「大衆とともに実践貫く」(2022年1月号選挙特集)
- 「コロナから命守るために ワクチン・治療薬確保の道開く」(秋野公造ほっとストーリー)
- 「ピロリ菌"除菌"に保険適用 胃がん死亡率を大きく下げた」(実績紹介)
- 「特定生殖補助医療巡る法案提出『出自知る権利』を明記」(公明新聞2025年2月25日付・田中まさる市議ブログ掲載)
- 公明党ニュース「がん登録の体制整備へ 作業チームの一員として法制化をリードした秋野公造議員に聞く」(2014年)
- 山口那津男代表 両院議員総会挨拶(2017年6月8日、公明党ニュース)他
報道・一般資料
- 毎日新聞「参院法務委員長の解任決議案提出される」(2017年6月6日)
- 毎日新聞写真特集「解任案否決後、一礼する秋野委員長」(2017年6月7日)
- 日本共産党しんぶん赤旗「民進が委員長解任決議案 秋野委員長の強引運営に抗議」(2017年6月)
- NHKニュース「精子や卵子提供で生まれた子の親子関係法案 提出」(2020年11月16日)
- 朝日新聞デジタル「生殖補助医療法案を共同提出 秋野公造氏ら記者会見」(2020年11月16日)
- AbemaTIMES「与野党が提出した生殖補助医療法案の目的とは」(2020年11月16日)
- 東京新聞「生殖補助医療を考える超党派議連発足」(2020年12月)
- RKB毎日放送ニュース「派閥の裏金事件受けた政治資金規正法改正、福岡選出議員の評価は?」(2024年6月21日放送)
- 時事通信「防衛費財源、自民案に公明反発」(2022年12月)
- 共同通信「不妊治療の保険適用開始」(2022年4月)
- 西日本新聞「参院選2022福岡 公明・秋野氏3選果たす 医系技官の経験生かしコロナ対策訴え」
- 読売新聞「結核対策へ入国時検査強化へ 秋野議員の問いに政府答弁」
- 日経メディカル「がん登録推進法成立、日本のがん対策は新局面に」(2014年1月)
- m3.com医療維新「秋野公造氏インタビュー:全国がん登録法は初の発議者立法」(2016年)他
SNS・ウェブ
- 秋野公造氏公式Twitterアカウント(旧Twitter, @akinokozo)投稿各種
- 秋野氏公式Facebookページ投稿各種
- 秋野氏公式Instagram (@kozoakino)
- Gooブログ「参議院議員 あきの公造の日誌」バックナンバー
- YouTube「【公式】あきの公造ちゃんねる」動画一覧
- YouTube「【無名の怪物】10万人救ったのに誰も知らない天才議員の正体」(2023年、公明党福岡支部制作)
- 選挙ドットコム「参院選2022福岡選挙区 候補者ページ」
- 選挙ドットコム「候補者SNSデータ インフォグラフィック」(2022年6月24日)
- Yahooニュース個人「国会議員の目:秋野公造氏インタビュー」(2023年, note転載)
- 厚生労働省「成育基本法 概要資料」
- 日本小児保健協会「成育基本法」解説
- 日本循環器学会「脳卒中・循環器病対策基本法成立」ニュース
- 沖縄県選管 政治資金収支報告書(秋野公造沖縄後援会)
- 福岡県選管 政治資金収支報告書(2021年分)等
1 2 6 7 秋野 公造(あきの こうぞう):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7010003.htm 3 あきのビジョン – 参議院議員(福岡県選挙区)・医学博士・元厚労省医系技官 あきの公造 オフィシャル サイト https://akino-kozo.com/vision/ 4 5 秋野公造 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/秋野公造