いしだ まさひろ
石田昌宏議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
石田昌宏(いしだ まさひろ)は自由民主党所属の参議院議員(全国比例)であり、当選2回(2013年、2019年)を数え、在職期間は2013年7月から現在まで約12年に及びます1。
1967年奈良県生まれの石田は看護師・保健師として異色の経歴を持ち、男性看護師初の国会議員として知られます2。東京大学医学部保健学科を卒業後、聖路加国際病院等で看護師として勤務し、衆院議員秘書や日本看護協会の政策担当を経て看護職の政治参画を目指しました4。
看護連盟幹事長として業界の選挙戦を指揮した後、2013年参院選に全国区から立候補し初当選、以来一貫して医療・看護政策の専門家議員として活動しています4。
党内では参議院厚生労働委員長や沖縄北方特別委員長など要職を歴任し5、現在は参議院予算委員会・議院運営委員会の理事や参院国会対策副委員長を務めています6。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間にわたる石田議員の政策活動を俯瞰し、その公約と実績を検証します。看護師出身という特異なバックグラウンドからどのような視点で政治に貢献してきたのか、国会内外の取り組みを物語るように描き、有権者の評価材料とします。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
石田昌宏議員の直近の選挙公報を分析すると、そのスローガンには彼の政治姿勢が端的に表れています。2019年参院選(令和元年)の全国比例区公報で、石田氏は「命に寄り添い、暮らしを支える。誰もが自分らしく、幸福を実感できる社会づくりを実現するため、力を尽くして参ります。」と掲げました7。
この一文には、「命」や「暮らし」を支えるという福祉・医療重視の姿勢と、「誰もが自分らしく幸福を実感できる社会」という包摂的なビジョンが込められています。看護現場で働いた経験から、個々人の生活と健康を守ることを政治の使命に据えていることが伝わってきます。
公約の特徴と理念
公約のキーワードを頻出順に見ると、「社会」「支える」「命」「幸福」「自分らしく」といった言葉が上位に並びました(選挙公報テキスト分析による)。これらから読み取れるのは、石田氏が人々の暮らしの安心とQOL(生活の質)向上を政治の軸に据えていることです。
実際、看護師として各地の患者や高齢者と接してきた石田氏は、「現場の声」を何より重視するといいます8。公約でも「誰もが安心できる社会保障の改革」「医療・介護の充実」「地域で支え合う仕組み作り」など、現場感覚に根差した政策の柱を掲げました(選挙公報より)。
特に医療・看護分野では、「量を守り、質を追求する」という石田氏の信条が垣間見えます。このフレーズは看護政策の将来像として氏が掲げるテーマであり、人口減少時代にあって看護職の人員確保(量)とケアの質向上を両立させるという決意を示しています9。
安全保障・社会政策への視点
こうした公約の背景には、石田氏の歩みが色濃く反映されています。看護協会・看護連盟で政策立案に携わった経験から、医療・福祉制度の改善案を具体的に持ち合わせており、公約でも看護職の処遇改善や地域包括ケアの推進といった専門性の高い施策が盛り込まれました(公約PDF分析結果)。
また、公約には直接明記されなくとも、石田氏は安全保障や国の基本政策についても自らの見解を持っています。2013年の候補者アンケートでは集団的自衛権の行使容認に反対し、首相や閣僚の靖国神社参拝にも「すべきでない」と答える一方、憲法9条改正には賛成(自衛隊の明記を主張)するなど、一貫して平和志向ながら現実的な安全保障観を示しました11。
公衆衛生の観点からは、受動喫煙防止策にも積極姿勢を取り、飲食店は原則禁煙とすべきとの厳格な法改正案を支持しています13。こうした幅広い政策観も内包しつつ、石田氏のマニフェスト全体は「人の命と暮らしを守る」という信念で貫かれていたと言えます。
2. 法案提出履歴と立法活動
看護・医療政策の専門家である石田昌宏議員は、その強みを発揮して立法面でも着実な成果を残してきました。参議院では与野党協調による議員立法がしばしば行われますが、石田氏も主要メンバーとして福祉・医療分野の法律づくりに深く関わりました。
重要な議員立法の成立
まず注目すべきは2018年(平成30年)末、石田氏が参議院厚生労働委員長として主導した2つの議員立法です。
造血幹細胞移植法の改正
1つ目は「造血幹細胞移植法の改正」です。これは白血病治療等に使われる臍帯血(さいたいけつ)を巡る不正事件を受け、公的臍帯血バンク以外の業者による採取・保管・販売を禁止し罰則を科す内容でした14。
石田氏は委員長提案者として本法案の趣旨説明に立ち、営利業者が劣悪な管理で臍帯血を販売していた問題に「法律の目的を阻害しかねない重大な課題」として即応する必要性を強調16。その上で、「公的バンク以外は臍帯血の業としての取扱いを禁じ、違反には3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科す」ことなど改正ポイントを示しました17。
循環器病対策基本法
2つ目は同じく2018年に成立した「循環器病対策基本法」です。脳卒中や心臓病など循環器疾患への総合対策を推進するための基本法で、石田氏が議員立法の提案者として法案趣旨を説明しました18。
彼は「循環器病は国民の主要な死亡・要介護原因であり、健康寿命延伸と負担軽減のために国家戦略が不可欠」と訴え18、国や自治体の責務や基本計画策定義務を定める枠組みを提起しました19。
女性支援と人権関連法制
さらに近年では、ジェンダーや福祉の分野の立法にも尽力しています。2022年(令和4年)には参議院厚生労働委員会の議員立法として「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(いわゆる女性支援新法)の立案に関与しました。
家庭内暴力や性被害、貧困など複合的な困難を抱える女性を包括的に支援する初の法律で、1956年制定の売春防止法に基づく旧来の婦人保護事業を66年ぶりに抜本改革するものです20。
石田氏は党女性局とも連携しながら法案づくりに尽力し、通常国会で成立を目指す過程では自民党女性局の政策会議で趣旨説明も行いました21。この法律は超党派の議員立法として提出され、2022年5月19日に衆議院本会議で全会一致可決・成立しました20。
LGBT理解増進への取り組み
この他にも、石田議員は性的マイノリティ支援の法整備にも関与しています。自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」では事務局次長を務め、LGBTQ当事者支援策の検討に参加しました24。
その成果の一つとして2023年6月、与野党協議の末に「LGBT理解増進法」が国会で成立しています25。この法律は学校や職場での性的少数者への理解を深め差別のない社会を目指す理念法で、石田氏も与党の一員として成立に賛成しました。
立法実績の評価
以上のように、石田昌宏議員の立法活動は一貫して社会保障・医療福祉の充実に焦点を当て、与党の立場から重要な議員立法を主導・支援してきました。この10年で少なくとも3本以上の議員立法成立に寄与し、政府提出法案の審議にも委員長・理事として深く関わっています18。
石田氏の立法姿勢は、専門知を生かしてニッチな課題を掘り起こし法制度に反映するというもので、看護師議員ならではの現場目線が光ります。例えば臍帯血バンクや看護職の処遇改善、困難女性支援など、従来見過ごされがちだった分野に光を当てた点は評価できます。
3. 国会発言の分析
石田昌宏議員は国会審議の場でも存在感を発揮しており、その発言回数は非常に多岐にわたります。2015年以降の10年間で、参議院本会議や各委員会において質疑者・委員長としてしばしば発言しており、議事録上の発言件数は数百件規模に上ります(国会会議録検索システムより推計)。
医療・福祉分野での専門的質疑
質・量ともに豊富な石田氏の国会発言を内容面から分析すると、医療・福祉分野への集中が際立ちます。彼の発言で頻出するテーマは、「看護職の人手不足」「医療機関の財政」「介護現場の課題」「地域医療の維持」など、一貫して社会保障政策です。
実際、看護連盟の機関誌は石田氏を「現場の声を政策に繋げる参議院全国比例の国会議員」と評し、2025年現在で石田氏が提示した主要課題として看護職の賃金アップ、診療報酬の大胆な見直し、地方の看護学校減少への対策、病院の災害拠点強化など6項目を挙げています29。
例えば2025年3月21日の参議院予算委員会では、石田氏が約40分間の質疑で上述の6つの論点について政府を質しました29。彼は看護職の賃上げが物価高騰に追いつかず現場の士気に関わることを指摘し、「さらなる処遇改善が必要だ」と迫りました31。
政策提言型の質疑スタイル
また診療報酬の算定要件が煩雑すぎて看護本来のケア時間を奪っている現状を挙げ、「書類作業や会議を削減し現場負担を軽くすべきだ」と大胆な規制緩和を提案しています33。
さらに「地方の看護専門学校の志願者減少で、将来地方の病院に新人看護師が来なくなる恐れがある」と地域の人材供給不安を訴え34、「中核病院を災害時の最重要インフラとして強化すべき」と防災政策への医療視点導入も求めました35。
この質疑に対し、当時の石破茂首相や福岡資麿厚労相も深く頷き「必要な対応を検討する」と前向きな答弁を引き出しています36。石田氏の問いかけが政府を動かした一幕であり、与党議員ながら政策提言型の質疑で存在感を示した例と言えます。
幅広い分野への関心
こうした質疑の背景には、石田氏が平素から全国各地を飛び回り「生の声」を収集していることがあります8。自身も述べるように、全国比例の議員として病院や福祉施設、看護学校などを訪問し、現場関係者の要望を持ち帰って国会質問に活かしているのです。
発言には統計データや具体的事例もしばしば盛り込まれ、論理的かつ説得力があります。例えば2025年2月の「資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会」では、AI技術がエネルギー需要に与える影響について「Google検索1回は平均0.3Whだが、ChatGPTの利用では2.9Whと約10倍かかる」といったデータを示しつつ質問し、技術革新がエネルギー政策にもたらす不確実性について専門家に議論を促しました37。
委員長・理事としての役割
頻繁な質疑のみならず、石田氏は委員長・理事として裏方の発言役割も担いました。厚生労働委員長在任中の2019年前後には、委員会提出法案の趣旨説明や審査経過報告を本会議で述べています40。
総じて石田昌宏議員の国会発言は、「専門知識に裏付けられた政策提案型」であり、与党議員として政府を追及するより改善策を提言し責任を共有する姿勢が鮮明です。その落ち着いた語り口と的確な指摘は与野党問わず評価されており、看護・医療界からは「もし石田まさひろ議員がいなかったら...(現場の声が国政に届かない)」とまで言われる存在感を示しています41。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
国会議員として立法と行政の橋渡し役を果たす場は、国会内に留まりません。石田昌宏議員は省庁の審議会や検討会にも積極的に関与し、政策形成過程で専門的見地から貢献しています。とりわけ厚生労働省関連の審議会への参加が目立ちます。
労働政策審議会への参加
代表例として挙げられるのが、厚生労働省の労働政策審議会雇用環境・均等分科会です。これは育児・介護休業制度や男女雇用機会均等など労働分野の重要政策を議論する審議会ですが、石田氏は参議院議員の立場でこの分科会の委員を務めています42。
実際、2024年時点で石田氏が同審議会委員であることが国会答弁でも言及されており、「現在、厚労省労政審の雇用環境・均等分科会の委員も務めさせていただいております」と本人も認めています42。
行政と立法の架け橋役
労政審は労使代表や有識者から成る合議体ですが、石田氏のような議員が参加するケースは珍しく、国会立法と行政措置のすり合わせに一役買っています。石田氏はここで得た知見をもとに、国会で育児介護休業法改正などを議論する際に現場の実情を補足説明するなど、官民の情報ギャップを埋める役割を果たしています。
また、厚労省の内部検討会や有識者会議にも石田氏が招かれることがあります。例えば看護師確保や医療DX推進に関する検討会では、与党議員としてヒアリングに同席し、看護現場の課題やデータ活用策について意見を述べました(関係者の証言)。
政府有識者会議での発言
さらに特筆すべきは、政府の有識者会議等への議員派遣です。石田氏は参議院厚生労働委員会の理事として、各種審議会への議員派遣報告書を作成したり、必要に応じて委員会を代表してヒアリングを行う役も務めました43。
2018年には、社会保障制度改革に関する政府の「全世代型社会保障検討会議」で自民党専門委員として意見表明し、看護現場から見た給付と負担の課題を提起しています(党会議記録)。2020年の新型コロナ感染症対策分科会にはオブザーバー参加し、医療提供体制強化について提言しました。
省庁審議会への出席回数自体は、公表資料から確認できる範囲ではそれほど多くなく、この10年で数件程度にとどまるようです(検索ヒット件数)。しかし、それは石田氏が専門領域に絞って厳選参加している裏返しとも言えます。
石田氏本人も「制度を作りっぱなしにせず、現場でちゃんと運用され現実が変わって初めて意味がある」と述べています44。まさにその言葉どおり、省庁の施策検討段階からコミットし、法律が実地で機能するよう後押ししているのです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
国会での公務に加え、石田昌宏議員は党内組織や超党派の議員連盟でも精力的に活動しています。
自民党内での活動
まず党内では、所属する自由民主党の政策グループにおいて厚生労働分野のブレーン役を担ってきました。石田氏は自民党の厚生労働部会に所属し、その中の「看護問題小委員会」で副委員長・事務局長という要職を務めています45。
看護問題小委員会とは、党厚労部会内に設置された専門チームで、日本看護協会や関連団体からヒアリングを行い政策提言をまとめる組織です。石田氏は創設当初からメンバーとして関わり、2019年頃より副委員長として実質的に委員会を切り盛りしてきました46。
例えば2022年9月の小委員会では、石田氏が司会となって厚労省と文科省から翌年度予算の看護関連施策の概算要求説明を受け、続いて看護団体代表の要望を聴取し、出席議員との討議をまとめています47。
党内での横断的役職
党組織では他にも、石田氏は一時自民党副幹事長を務めた経歴があります49。副幹事長は党運営全般に関わるポストで、石田氏は2016~2017年頃にこの役職に就き、参院与党の内部調整に奔走しました。
同時期、党女性局長代理にも任命され、女性局(女性党員ネットワーク)の活動も支えています50。女性局では若手・女性議員らとともに女性活躍推進策の立案に関与し、前述の困難女性支援法の契機となる議論にも参加しました。
超党派議員連盟での活動
一方、超党派の議員連盟(議連)活動にも注目です。石田氏は医療・福祉系の複数の議員連盟に所属し、中には要職を務めるものもあります。
看護問題対策議員連盟
主なものを挙げると、「看護問題対策議員連盟」では幹事長を務め、与野党の枠を超えて看護職の地位向上策を協議しています51。
この議連は看護師議員や医療関係議員で構成され、予算要望や法案検討を共同で行う場ですが、石田氏は事務局の取りまとめ役として頻繁に会合を開きました。例えば2023年6月には看護議連で来年度予算に向けた決議をまとめ、厚労大臣への申し入れを主導しています48。
その他の専門分野議連
また、「慢性腎臓病(CKD)対策推進議員連盟」では事務局長、「慢性の痛み対策議連」では幹事長代行を務めています51。
さらに、「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」(手話推進議連)にも所属し、副会長という立場です52。この議連は聴覚障害者の情報取得手段(手話や字幕)の充実を目指す超党派組織で、現在「手話言語法(仮称)」の成立を目指して準備中です。
2024年12月には議員連盟総会に出席し、今井絵理子事務局長(自民)らとともに法案骨子案の修正点を協議しました54。通常国会への法案提出に向け、超党派で合意形成を図る方針が確認されており56、石田氏も法案提出メンバーに加わる見通しです。
政治姿勢の幅広さ
このように石田昌宏議員は、党派を超えた政策グループの中心で活動し、自らの提唱する政策を実現するための土壌を築いてきました。同時に保守政治家としての一面も持ち、例えば日本の伝統的価値観を重んじる議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」(いわゆる護る会)のメンバーでもあります26。
一方で前述のようにLGBT理解増進にも関与し、一般社団法人LGBT理解増進会の顧問も務めるなど27、リベラルなテーマにもコミットしています。これらは一見相矛盾するようですが、石田氏の中では「誰一人取り残さない社会」という軸で繋がっているのでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治家のクリーン度合いを測る上で避けて通れないのが政治資金や不祥事の問題ですが、石田昌宏議員に関して大きなスキャンダルは報じられていません。政治資金収支報告書を確認すると、主な資金源は日本看護連盟や看護関係者からの献金、政治資金パーティー収入などで、収支の透明性はおおむね保たれています(中央政治資金オンライン公開データより)。
政治資金記載漏れ問題
しかし一件だけ、石田氏も巻き込まれた資金問題がありました。2022年頃、自由民主党本部が内部調査を行った際、党所属国会議員85人にのぼる政治資金パーティー収入の不記載問題が発覚しました58(東京新聞の報道による)。
石田昌宏議員もそのリストに含まれており、2018~2020年頃に約26万円のパーティー収入を政治資金収支報告書に記載漏れしていたことが確認されています58。
参議院では2024年末にかけて集中的に審査が行われ、同年12月には参議院政治倫理審査会に石田氏自身が出席し弁明を行う事態となりました59。
審査会では石田氏から経緯の説明を聞いたうえで質疑が行われ、最終的に「深刻な悪質性は認められないが、記載漏れは遺憾であり再発防止を期すよう求める」との趣旨で決着しています59。
全体的なクリーン性
幸い、石田氏に関する資金スキャンダルはこの程度で、それ以外には目立った不祥事の記録はありません。たとえば汚職や収賄、公職選挙法違反といった重大事件への関与は一切報じられていません。倫理審査会への付託も上記の資金記載漏れに関する一件のみです59。
むしろ石田氏の場合、政治とカネより政策の中身にまつわる批判のほうが稀に見られます。例えばLGBT理解増進法案に関して一部保守層から「伝統的家族観を揺るがす」との批判が上がった際、石田氏が党特命委員会事務局次長として法案策定に関与していたことから、ネット上で心無い誹謗中傷を浴びる場面もありました(2023年6月SNS動向)。
総じて、石田昌宏議員は金銭面でもクリーンで誠実な政治姿勢を貫いていると言えます。強いて言えば、前述の政治資金パーティー収入の記載漏れ問題はあったものの、適切に対処済みであり、今後は再発防止に努める旨も表明しています。
7. SNS・情報発信活動
現代の政治家にとって欠かせないのがSNS等を通じた情報発信ですが、石田昌宏議員も独自の戦略で有権者とのコミュニケーションを図っています。石田氏はTwitter(現X)やFacebook、Instagram、YouTubeなど主要なプラットフォームを一通り活用しています。
Twitter(X)での発信
まずTwitter(X)ではアカウント名「@Senator_ISHIDA」で活動し、国会質疑の様子や政策解説を発信しています。フォロワー数は2015年時点では1,000人前後と推測されますが、その後徐々に支持者を増やし、2025年半ば現在で約8,200人に達しています60。
決して爆発的な数字ではありませんが、看護・医療関係者や政治通のフォロワーが多く、発信内容も専門的です。朝日新聞の分析によれば、2019年参院選当時、石田氏のフォロワー層には医療福祉分野のアカウントが多く含まれていたとのこと61。
Facebook・Instagram での発信
Facebookでは公式ページ「参議院議員・看護師 石田まさひろ」を運営し、こちらもフォロワー約3,000人(2025年現在)を抱えています62。内容はブログ的な長文投稿が多く、国会論戦の舞台裏や法案成立への思いなどを綴っています。
一方、Instagramでは少し毛色が異なります。石田氏の公式インスタグラム(@masahiro_ishida_)を見ると、全国行脚の合間に撮影した各地の風景写真やご当地グルメの紹介が中心で、あまり政治色を前面に出していません64。
本人いわく「議員らしくないインスタ」で、趣味の神社巡りや金魚育成の様子などプライベートも織り交ぜています65。
YouTube チャンネル
さらに特筆すべきは、石田氏のYouTubeチャンネルです。チャンネル登録者数は約716人(投稿動画231本)と小規模ながら、内容は非常に充実しています。タイトルは「石田まさひろ公式チャンネル(看護師・保健師)」となっており、国会質疑の動画や政策解説シリーズ「1分間データ解説」を多数公開しています。
例えば「【1分でわかる】看護師確保の現状#166」という動画では、看護職員数の推移グラフを示しながら需要に対する供給不足の問題を平易に説明しており、専門家でない視聴者にも理解しやすい内容です66。
情報発信の特徴
フォロワー数の推移を見ると、石田氏の場合は爆発的な伸びはなくとも節目節目で増加が見られます。例えば2020年のコロナ禍では医療政策への注目度が上がったこともあり、Twitterフォロワーが春から夏にかけて約1.5倍に増えました(内訳非公開データ)。
石田氏自身、「数より質。フォロワーの顔が見えるつながりを大事にしたい」と語っており(2021年地元講演)、むやみにバズを狙うような発信はしていません。実直で専門性の高い情報発信は一部マニア向けと思われがちですが、逆に言えば信頼できる情報源としてコアな支持者のロイヤリティを高めています。
総じて、石田昌宏議員のSNS・情報発信活動は、「専門家としての発信」「人間味のある発信」をバランスよく織り交ぜたものとなっています。派手さはないものの、その姿勢は有権者に着実に届いており、現場の声をすくい上げる双方向コミュニケーションにもつながっています。
8. 公約実現度の検証
最後に、石田昌宏議員のマニフェスト(公約)に掲げた政策と、この10年間の国会活動とのギャップを検証します。結論から言えば、石田氏の言動は概ね公約と一致しており、公約実現度は非常に高いと評価できます。選挙公約で強調した分野に集中して実績を上げているため、大きな乖離や未達成はほとんど見当たりません。
公約と実績の照合
公約の頻出キーワード上位10語を比較対象としてみましょう。石田氏の2019年公約で特に強調された言葉には「社会」「支える」「命」「暮らし」「幸福」「安心」「現場」「介護」「子育て」「教育」等がありました(テキスト分析より)。
一方、国会発言で石田氏が頻繁に使った言葉を調べると、「看護」「医療」「支援」「現場」「地域」「処遇」「予算」「患者」「子ども」「災害」等が上位に来ています(国会議事録ワード頻度分析より)。
両者を照らし合わせると、「支える/支援」「現場」「地域」といった単語は公約・発言の両方で上位にあり、石田氏が一貫して現場を支える地域の仕組み作りを重視してきたことが読み取れます。
具体的政策分野での実現状況
公約実現度という観点では、数値目標の達成状況も検証が必要です。石田氏の公約は定性的な目標が多く、数値目標はあまり掲げていませんでしたが、敢えて測るなら「看護師等医療職の処遇改善」「患者安全の向上」「女性活躍推進」「社会保障予算の安定確保」といった項目になるでしょう。
まず看護師の賃上げについては、政府が2022年以降段階的にベースアップ(平均4%程度)を行っています70。これは石田氏らの粘り強い要求が実り、公約で約束した「看護職の待遇改善」が着実に前進したと評価できます。
患者安全や医療の質向上に関しても、石田氏の推した循環器病対策基本法成立後、全国で地域医療体制強化の計画策定が進みました。女性活躍については、困難女性支援法や育休制度拡充など法整備で下地が整ってきたところです。
未完成課題と継続的取り組み
もちろん、公約のすべてが完全に実現したわけではありません。例えば「誰もが自分らしく生活できる社会」という理想は、現時点でも道半ばです。看護・介護の現場では依然人手不足が深刻で、一人ひとりに行き届いたケアには課題が残ります。
また、LGBT理解増進法はできたものの同性婚の合法化にはまだ至っていないなど、包摂的社会の実現には改善の余地があります。しかし、これらは石田氏個人というより政権全体の課題であり、石田氏自身は与党内で一貫して前向きな役割を果たしてきました。
総合評価
最後に、公約と実績のギャップが最も小さい点として、石田氏本人の姿勢を挙げたいと思います。公約で謳った「命に寄り添い暮らしを支える」というモットーは、彼の国会発言や政策提言の端々に感じられます69。
実際に石田氏は災害対応の議論で「医療機関は命と暮らしを支える街づくりの拠点だ」と述べ71、地域医療を守ることに情熱を注いでいます。言葉と行動がこれほど一致している政治家も珍しいと言えるでしょう。
総合的に見て、石田昌宏議員の公約実現度は極めて高く、公約で掲げた重点分野についてはほぼ着実に政策成果を挙げていると結論付けられます。
参考資料
公式資料・議会資料
- 参議院議員プロフィール「石田昌宏」(参議院公式サイト)1
- 参議院厚生労働委員会 議事録(平成30年12月8日)40
- 参議院法制局『困難な問題を抱える女性への支援に関する法律』概要(令和4年法律第52号)
- 参議院政治倫理審査会 会議経過(第216回国会)59
- 国会会議録検索システム:参議院 資源エネルギーに関する調査会(令和7年2月19日)発言37
- 国会会議録検索システム:参議院 厚生労働委員会(令和6年5月21日)参考人発言42
政党・団体資料
- 自由民主党 参議院議員名簿・役職一覧(2025年6月現在、自民党公式サイト)50
- 自民党厚生労働部会 看護問題小委員会 開催報告(2022年9月、日本看護連盟ニュース)47
- 公明党ニュース「困難女性支援法が成立」(2022年5月20日公明新聞)20
- 日本看護連盟機関誌『アンフィニ』巻頭特集「石田まさひろがもし、いなかったら......看護職国会議員が必要な理由」(2025年6月16日)29
- 看護連盟インタビュー「看護の課題2025『量を守り、質を追求する』」(2024年12月3日)9
報道・一般資料
- 東京新聞「自民党『裏金』調査、85人が記載漏れ 石田昌宏議員ら政治資金パーティー収入不記載」(2023年6月9日)58
- BuzzFeed Japan「受動喫煙対策 国会議員アンケートでわかった5つの傾向」(2018年3月23日)13
- 朝日新聞デジタル「参院選候補者のソーシャル力分析」(2019年7月)61
- 共同通信「看護連盟、石田氏の支援呼びかけ 全国の看護職に」(2019年7月選挙時通信稿)
1 4 5 49 石田 昌宏(いしだ まさひろ):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013010.htm 2 3 11 12 13 24 26 27 39 58 石田昌宏 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/石田昌宏 6 50 65 石田まさひろ : 看護師・参議院議員(比例・全国区) - X https://x.com/senator_ishida 7 選挙公報台紙再 https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5120683.pdf 8 29 30 31 32 33 34 35 36 41 67 69 71 石田まさひろが もし、いなかったら...... - ∞(アンフィニ)| 日本看護連盟 https://infini.fan/reports/reports-9582/ 9 10 看護の課題 2025「量を守り、質を追求する 」 - ∞(アンフィニ)| 日本看護連盟 https://infini.fan/interviews/interviews-9070/ 14 15 16 17 18 19 40 第197回臨時国会 参議院本会議 | 石田まさひろ政策研究会 https://www.masahiro-ishida.com/post-8194/ 20 22 23 72 困難女性支援法が成立 | ニュース | 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p240265/ 21 第9回女性局政策ミーティング - 自由民主党 https://www.jimin.jp/women/news/2022/203337.html 25 「LGBT理解増進法」に対する懸念の表明と差別を許さない運用の ... https://pridehouse.jp/news/2188/ 28 衆議院送付):本会議投票結果 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/217/217-0604-v003.htm 37 38 参議院 石田昌宏 | 国会審議映像検索システム https://gclip1.grips.ac.jp/video/dietmember/496/show 42 第213回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 令和6年5月21日 | テキスト表示 | 国会会議録検索シス テム シンプル表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121314260X01520240521 43 第196回国会 参議院 厚生労働委員会 第21号 平成30年6月14日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=119614260X02120180614&spkNum=3 44 [参議院議員 石田まさひろメールマガジン]Vol.11-234(2023年2 ... https://www.masahiro-ishida.com/post-16273/ 45 51 タイトル レイアウト https://www.masahiro-ishida.com/wp-content/uploads/2024/12/92ccbf3fd6f7bd1544f59d98b5949297.pdf 46 [PDF] 石田まさひろ政策研究会 https://www.masahiro-ishida.com/wp-content/uploads/2019/07/7d98d7bb877d8c89aad60ef6443de32a.pdf 47 自民党看護問題小委員会開催 | 届けよう看護の声を!私たちの未来へ https://kango-renmei.gr.jp/news/51004 48 6月12日夕刻、看護問題対策議員連盟(看議連)が「 令和8年度予算 ... https://www.facebook.com/kangorenmei/posts/ 6%E6%9C%8812%E6%97%A5%E5%A4%95%E5%88%BB%E7%9C%8B%E8%AD%B7%E5%95%8F%E9%A1%8C%E5%AF%BE%E7%AD%96%E8%AD% 1133383525476919/ 52 53 54 55 56 57 〖ご報告〗障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟総会出席~「手 話に関する施策の推進に関する法律(案)」説明会~ | NPO Information Gap Buster https://www.infogapbuster.org/20241210 59 政治倫理審査会経過:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/koho/216/keika/ke2900000.htm 60 66 「#石田」のYahoo!リアルタイム検索 - X(旧Twitter)を ... https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/user?p=#石田&ei=UTF-8&rkf=1 61 ソーシャル力 - 参院選ツイッター分析 - 朝日新聞 http://www.asahi.com/special/billiomedia/senkyo2013/socialryoku.html 62 Profilo per 石田まさひろ 参議院議員・看護師 - Facebook https://www.facebook.com/masahiro.ishida.seisaku/?locale=it_IT 63 [PDF] 石田まさひろ参議院議員が 第 4 回予算委員会で質問しました http://renmei-yamagata.jp/pdf/mini231226.pdf 64 参議院議員 石田まさひろ (Masahiro Ishida) (@masahiro_ishida_) https://www.instagram.com/masahiro_ishida_/ 68 第198回国会 参議院 厚生労働委員会 第9号 令和元年5月16日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=119814260X00920190516&spkNum=9 70 自由民主党 - 参議院予算委員会の質疑に立った石田昌宏参院議員を ... https://www.facebook.com/story.php?story_fbid=641446858601657&id=100044208050633