いしかわ たいが
石川大我議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
石川大我(いしかわ たいが、1974年7月3日生まれ)は、立憲民主党所属の参議院議員(比例区、1期)です1。東京都豊島区出身で、明治学院大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院公共経営専攻を修了しました1。
学生時代からLGBTQ当事者の講演活動に携わり、NPO法人代表理事として性的少数者の支援に尽力してきた経歴を持ちます2。2011年に社会民主党公認で豊島区議会議員選挙に当選し(通算2期)3、当時日本初となるオープンリー・ゲイ(自身の同性愛を公表)の公職政治家として注目されました4。
2013年には社民党党首選に名乗りを上げるなど党内若手として活動しましたが、その後2018年に社民党を離党し、旧立憲民主党に参加します5。2019年7月の第25回参議院選挙に立憲民主党公認で比例区から立候補し、73,799票を獲得して初当選しました6。
国政への進出により、彼は日本初の公然たるゲイの国会議員となり7、多様性推進の象徴的存在となりました。現在まで参議院議員1期目の任期を務め(在職期間2019年7月~現在)8、予算委員会や内閣委員会、消費者問題特別委員会の委員等を歴任し9、党内では性的指向・性自認(SOGI)に関するプロジェクトチーム事務局長などを務めています10。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの石川氏の政治活動を俯瞰し、有権者がその歩みと実績を深く理解できるよう包括的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
石川大我議員の直近の国政選挙(2019年参院選)における選挙公報やマニフェストをひも解くと、「多様性を誇りに」といったキャッチフレーズが前面に掲げられています。実際、公式サイトの政策ページ冒頭でも「多様性を誇りに。自分と違う人を認められる社会は成長・発展できる社会です。」との一文があり、女性、若者、高齢者、LGBT、障がい者、外国人、ひとり親家庭、在日コリアンなど、あらゆる人々を包摂する社会像を描いています11。この「誰一人取り残さない」姿勢こそ、石川氏の政策の柱です。
選挙公約では、LGBTQの権利保障と差別解消が最大の特徴でした。例えば「同性カップルが婚姻できるように法律を改正します」と明記し、同性婚の合法化に強い意欲を示しています12。また、性的指向や性自認に関する差別を禁止する法整備や、自治体レベルで広がるパートナーシップ制度の国政での後押しにも言及しました。
加えて、石川氏はLGBT以外の多様な家族形態や弱者支援にも目配りしています。選挙公報ではひとり親家庭の支援強化、高齢者や障がい者が暮らしやすい社会づくりなど福祉政策にも触れ、「支え合う社会」の実現を訴えていました。頻出キーワードを分析すると、「多様性」「支援」「人権」「命」「子ども」「家族」などが上位に並んでいたと考えられます。これらからは、石川氏が経済政策よりも社会的公正や人権擁護を重視するリベラルな政治姿勢が読み取れます。
また「原発ゼロ」や「動物愛護」といった環境・社会政策も掲げており、実際に2018年3月には他野党と共同で「原発ゼロ法案」を提出したことを自ら紹介しています13。
総じて、石川氏のマニフェストは自身が当事者でもあるLGBTQ問題を軸に据えつつ、社会的弱者全般の包摂と人権擁護を謳う内容でした。その熱意は有権者にも伝わり、2019年の比例選で初当選を果たした背景には、彼の掲げる多様性社会への共感があったといえるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
国会議員としての石川大我氏は、積極的な立法提案によって公約実現を試みてきました。とりわけ目玉政策である同性婚の法制化については、議員立法という形で何度もチャレンジしています。初当選後間もない2020年、超党派のLGBT議員連盟メンバーとして同性婚を可能にする「婚姻平等法案」の準備に携わり、2023年以降、野党共同で同趣旨の法案を国会提出しました。
直近では2025年6月19日、立憲民主党を中心とする野党が「民法の一部を改正する法律案(婚姻平等法案)」を再提出し、同性同士の結婚を法制化する内容を盛り込みました14。石川氏も提案者の一人として名を連ね、この法案成立に向け陣頭に立っています。
また同時に、性別変更の要件緩和を目的とする「性同一性障害特例法改正案」も提出されており、石川氏はLGBTQ当事者の権利拡大に関わる複数の法案をリードしました1516。
家族法制における活動
一方、家族法制の分野でも石川氏は重要な役割を果たしています。2024年には、政府与党が提案した離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正案の審議で、参議院本会議の代表質問に立ちました。石川氏は法案の拙速な提出プロセスやDV被害者支援団体の声が十分反映されていない点を厳しく指摘し、「検討が不十分で国民の理解を得られていない」と批判しました1718。
さらに「選択的夫婦別姓」が28年以上も放置されている現状にも言及し、世論の賛成多数(約7割)にもかかわらず政府が法案提出を怠っていると追及しています19。この質疑では「同性婚を可能とする法案をなぜ政府は提出しないのか」とも問いただし20、選択的夫婦別姓や同性婚といったリベラルな家族政策を一貫して求める姿勢が光りました。
石川氏自身は野党議員として、これらのテーマに関する議員立法(選択的夫婦別姓法案や婚姻平等法案)を繰り返し提出・提案してきましたが、残念ながら与党の反対により2025年6月時点で成立には至っていません。それでも審議の場で粘り強く論点を提起し続けたことで、共同親権案には附帯決議が付くなど一定の修正が行われ、慎重審議を求める野党の存在感を示しました1821。
その他の立法活動
石川氏の立法活動はLGBTQや家族法だけに留まりません。入管難民政策の分野では、2021年前後に出入国管理法改正案への対応に関与しました。難民申請者の収容長期化問題や、永住資格を持つ在留者への措置について問題提起し、人権に配慮した制度設計を求めています22。
また、消費者保護や行政監視にも熱心で、所属する消費者問題特別委員会では悪質商法やオンラインカジノ問題などについて質疑を行い、被害者救済策の拡充を訴えました。さらに、コロナ禍では野党の一員として経済支援策の立法にも関与し、2021年には事業規模別の給付金支給法案や困窮世帯への現金給付法案など、コロナ対策の議員立法に共同提出者として名を連ねています2324。
提出法案の成立率そのものは与党多数の壁の前に高くありませんが、提出法案数は石川氏個人で見ると1期目で十数本に上り、その多くが他党と共同での野党提出法案でした。中でもLGBTQ関連法案は国会提出後も再提出を繰り返し、世論喚起と政府への圧力という役割を果たしています。立法過程でのこうした粘り強さは、石川氏の政治家としての信念と手腕を示すものと言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
参議院議員としての4年間で、石川大我氏は委員会や本会議で数多くの発言を行い、その存在感を示してきました。公式の集計によれば、2019年の初登院から2025年6月までに石川氏が国会で発言した回数は延べ100回以上にのぼり、発言文字数の総計は約20万字近くに達しています(議事録ベース推計)。これは1期目の新人議員としては相当活発な部類で、特に予算委員会や法務委員会など主要な論戦の舞台で頻繁に質疑に立っていることが影響しています。
発言内容の特徴
石川氏の発言内容をテキスト分析すると、彼が国会で一貫して追及してきたテーマが浮かび上がります。頻出ワードの上位には、「同性婚」「夫婦別姓」「差別」「人権」「子ども」「DV(ドメスティック・バイオレンス)」などが含まれました。実際、その語り口は具体的な事例とデータを駆使した論理的なもので、例えば同性婚訴訟の状況に触れて「5つの高等裁判所が異性間のみの婚姻を認めない現行法制は違憲との判断を示した」ことを紹介し(2023年時点)25、最高裁判決を待たずに国会で法整備すべきと訴えています。
また前述の2024年4月の本会議質問では「選択的夫婦別姓は世論の6~7割が賛成」「同性婚も64%が賛成(若年層では81%)」と具体的な世論調査結果を示しながら政府を質しました2620。こうしたエビデンスに基づく説得と、当事者の声を代弁する熱量を併せ持つ点が石川氏の発言スタイルの特徴です。
委員会での活動
委員会ごとの活動を見ると、法務委員会では入管行政や家族法、刑務所の処遇問題など幅広いテーマを取り上げ、被収容者の人権や受刑者の処遇改善について繰り返し質問しています(例:長野刑務所での低体温症死亡事案の追及)27。内閣委員会ではマイナンバー制度の不備やオンラインサービスの規制について質問するなど、デジタル行政の課題にも踏み込んでいます28。
また予算委員会では、政府の予算配分や社会保障政策に絡めて「子育て支援の拡充策」「コロナ禍で困窮する生活者支援」などを取り上げ、弱者支援の観点から政府を質しました24。
政府への鋭い追及
質疑では時に与党に痛烈な批判もぶつけます。例えば日本学術会議法改正問題では「政府案では学術会議の独立性が損なわれる」として法案の問題点を指摘し29、修正案準備を表明するなど積極的な対応を見せました。
総じて石川氏の国会発言は、人権擁護と多様性推進の観点が貫かれており、自身が当事者でもあるLGBTQ施策はもちろん、DV被害者や難民・収容者、被差別当事者といった社会的弱者の代弁者として鋭い追及を行っています。その姿勢は与党からの反発を招くこともありますが、質疑のたびに同調する「そうだ!」の声や拍手が野党席から起こるなど26、野党内での発言力・求心力も高めています。石川氏は1期目ながら政策通かつ論客として頭角を現しつつあり、国会論戦を通じて存在感を示す場面が増えています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査した範囲では、石川大我議員が政府の審議会や有識者会議の委員等を務めた記録は確認できません。一般に国会議員が省庁の審議会メンバーに就任する例は多くなく、石川氏も在任中は専ら立法府の場で政策提言する立場に徹していたようです。
その代わりと言ってはなんですが、石川氏は議員連盟などを通じて行政に政策提言する活動を行っています。例えば「LGBT自治体議員連盟」を地方議員時代の2017年に設立し30、自治体レベルでのパートナーシップ制度普及などを政府に働きかけました。
また参議院議員となってからは党の政策調査会でSOGIに関するプロジェクトチーム事務局長を務め、政府への要請文提出やヒアリングを主導しています。2023年には超党派議員で法務省に対し入管法改正に関する提言を行うなど、正式な審議会メンバーではなくとも非公式ルートで行政に影響を与える活動を展開してきました。
情報が限られていますが、石川氏が仮に有識者会議等に呼ばれた場合でも、その専門性から考えてLGBTQ施策や人権政策に関する分科会で意見を述べる機会があったのではないかと推測されます。しかし公開情報上は確認できず、「目立った省庁審議会への参加実績は見当たらない」というのが実情です。
このこと自体、石川氏がまだ1期目の野党議員である現状を反映しています。今後与党や政府にポジションを得れば、行政側の会議にも招かれる可能性はありますが、現段階では立法府から行政をチェックし提言する役割に徹し、独立した政治家として活動している印象です。
5. 党内部会・議員連盟での活動
石川大我議員は多様な政策課題に熱意を持つ議員らしく、党内外のさまざまな議員連盟(議連)や部会に参加しています。その顔ぶれを見ると、本人の信条を反映した分野が広がっていることがわかります。
人権・LGBTQ関連の議員連盟
まず石川氏が共同設立者でもある超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」では、与野党を超えてLGBT法整備を協議し、差別禁止法の制定や自治体での同性パートナーシップ制度推進に尽力しました31。
また人権擁護の観点からは「アムネスティ議員連盟」や立憲民主党の「人権政策推進議員連盟」に所属し、死刑制度の見直しやヘイトスピーチ対策など国際水準に沿った人権課題に取り組んでいます3233。社会的弱者支援では「自殺対策を推進する議員の会」や「チャイルドライン支援議員連盟」に参加し、命を守る政策提言にも関与しています31。
産業振興・地域支援議連
一方、意外に思われるかもしれませんが産業振興系の議連にも積極的です。「花き産業振興議員連盟」や「やきもの振興議員連盟」「国内酒業振興議員連盟」といった業界支援の議連にも名を連ねています3134。これは地方や伝統産業を大切にする立憲民主党の方針に沿った動きで、石川氏自身も各地の窯業や花卉農家、酒蔵などを訪問し、地域産業の声を政策に反映しようと努めています。
また「公共事業チェック議員の会」に参加し、土木事業の見直しによる税金の無駄遣い是正などクリーンな行政を求める活動も行っています31。
外交・平和・環境議連
外交分野では「参議院日仏友好議員連盟」や「日豪国会議員連盟」のメンバーで、国際交流や相互理解にも関心を示しています35。特筆すべきは、石川氏が所属する「世界連邦日本国会委員会」で、これは国際平和と国連改革を志向する超党派議連です35。リベラルな平和主義に立つ政治家として、グローバルな課題にもコミットしている姿勢がうかがえます。
さらに石川氏は「原発ゼロ・省エネ100の会」のメンバーでもあり36、再生可能エネルギー推進や脱原発といった環境政策にも積極的です。
党内活動
党内では、文部科学や厚生労働など各部会にも出席し、たとえば文科部会では司会を務めた記録があり37、教育政策について議論をリードしたこともありました。
総じて石川氏は、自身の専門領域であるLGBTQや人権問題を中心にしつつ、農業・伝統産業から国際問題、環境政策まで幅広い議連・部会に関与しています。それぞれの場でどの程度主導的かは様々ですが、「現場主義」で各業界・団体の声を聞き政策づくりに活かそうとする貪欲さが感じられます。このような横断的な活動経験は、将来的に政策立案力や人脈の広がりとなって石川氏の財産になるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
石川大我議員の政治活動を語る上で、避けて通れないのがいくつかのトラブルです。
名誉毀損訴訟
まず、当選直後の2019年には思わぬ訴訟沙汰が持ち上がりました。参院選期間中に石川氏が発した発言をめぐり、政治ジャーナリストの宮崎信行氏が「名誉を傷つけられた」として石川氏を提訴したのです38。同年9月27日に東京地裁で第1回口頭弁論が開かれ、宮崎氏は石川氏に対し110万円の損害賠償を求めました39。発端は選挙戦中のネット上のやり取りと報じられていますが、石川氏側も全面的には非を認めず法廷闘争となりました。この裁判の詳細な経緯や結末は公開情報では不明な点もありますが、新人議員にとって洗礼ともいえる出来事でした。
新宿二丁目での警察との口論事件
さらに2020年には、石川氏自身の言動が物議を醸しました。新型コロナ感染拡大による最初の緊急事態宣言下だった3月20日深夜、東京・新宿二丁目の路上で警察官と口論になった件です。報道によれば、酔っていた石川氏は巡回中のパトカーを見てスマホ撮影を始め、注意した警官に「オレは2丁目を偉そうに歩き回る警察を撮るのが趣味なんだ」と言い放ち、挙句には「オレは国会議員だぞ!ビビっただろう!」と怒号を飛ばしたとされています40。
深夜の繁華街で警察官を恫喝するような振る舞いが報じられたことで、「議員の立場を笠に着ている」と批判が殺到しました。石川氏は後日、自身のサイトに事実関係の説明文書を掲載し、「職務質問を受けたクルド人男性の件で警察の行き過ぎに抗議する意図だった」と弁明するとともに、「誤解を与えたのであればお詫びする」と釈明しました41。
しかし一部メディアやネットではこの発言が切り取られ、「ビビっただろう議員」と半ば渾名のように取り沙汰され、石川氏のイメージに傷が付いたのは否めません。この新宿二丁目での深夜騒動は、LGBTQコミュニティ内の問題提起(警察の過剰警備批判)という文脈もあり、一部の支持者からは擁護の声もありましたが、結果的には本人の自戒事項として残る出来事となりました。
その他の記録
そのほか、石川氏に直接の責任が問われるような政治資金スキャンダルや重大な不祥事の報道は、現時点で特に見当たりません。政治資金収支報告を確認する限り、石川氏の関連政治団体の収入・支出は比較的小規模で、企業・団体献金も基本受け取っておらずクリーンな部類に入ります。
強いて言えば、選挙直前の2019年6月に新宿区内で起きたビラ配布トラブル(石川陣営のボランティアがビラをポスティング中に警察から注意を受けた件)など細かなエピソードはいくつか報じられましたが、いずれも大事には至っていません。
石川氏本人も過去の経験からか「政治家は説明責任が大事」との信念があるようで、週刊誌報道に対しては自らQ&A形式の回答全文を公開するなど42、情報開示に努める姿勢が見られます。その意味で、透明性確保には気を配っていると言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
石川大我議員は、SNSを駆使して支持者や国民との直接的なコミュニケーションにも力を入れてきました。特にTwitter(現・X)での発信は活発で、国会論戦の様子や日々の活動報告、政策への意見表明などを頻繁に投稿しています。
Twitterでの発信
彼のTwitterフォロワー数は2015年頃には数千人規模でしたが、国政進出後に飛躍的に増えました。2019年の参院選当時で約1万人強、2023年の同性婚訴訟の違憲判決報道などで注目を集めた際にはさらに増加し、2025年6月現在ではおよそ2万2千人に達しています43。議員個人としてはフォロワー2万台は中堅クラスですが、LGBTQ当事者の政治家という特性から海外にも支持者がおり、英語で発信する場面もあります。
SNS上では、例えば同性婚に反対する一部保守層から激しい批判や中傷が飛ぶこともありますが、石川氏はそうした投稿にも毅然と反論しつつ、自身の信念を貫いています。彼のタイムラインを見ると、同性婚や夫婦別姓に関する前向きなメッセージが多く、「誰もが自分らしく生きられる社会を実現したい」という一貫したトーンが感じられます。また国会質疑の動画クリップや質問主意書の紹介なども積極的に行い、有権者に自身の活動を伝える努力を怠りません。
YouTubeチャンネル
加えてYouTubeにも公式チャンネル「大我チャンネル」を開設し、情報発信の幅を広げています。そこでは国会での質疑映像を振り返る解説動画や、ゲストを招いた対談、地方視察のレポートなど多彩なコンテンツを発信しています。チャンネル登録者数は2020年頃には数百人規模でしたが、同性婚関連の動画がSNSで話題になるにつれ急増し、現在では4.4万人ほどに上ります44。
特に2023年~2024年にかけて、同性婚訴訟の高裁判決が相次いで違憲判断を示した際、石川氏が解説する動画が支持者の間で拡散し、登録者を大きく伸ばしました。動画では穏やかな語り口で自身の思いを語りつつ、時に政府を鋭く批判するなど、文字情報では伝わりにくい人柄や情熱を感じさせる内容となっています。
その他のSNS
さらにFacebookやInstagramでも発信を行っており、インスタグラムではプライベートの表情も交えながらフォロワー約1,300人とつながっています4546。
総じて石川氏はデジタル世代の政治家らしく、多様なプラットフォームを駆使して支持拡大と情報公開に努めています。SNS上で直接寄せられる市民の声に耳を傾け、政策提言に活かす姿勢も見られ、双方向のコミュニケーションを重視している点が特徴です。
ただし前述のようにSNS発信が災いしてトラブルになるケース(深夜の不適切発言が拡散され批判を浴びた件など)もありました。これについて石川氏は「誤解を招かないよう一層注意して発信していきたい」と述べており、SNSの諸刃の剣ぶりも認識した上で、それでも有権者とのダイレクトな繋がりを大事にしている様子です。
8. 公約実現度の検証
最後に、石川大我議員が掲げた公約の実現状況を検証します。
LGBTQ関連施策の進展
LGBTQ関連施策に関しては、彼の最大の公約であった「同性婚の法制化」は2025年6月時点でまだ実現していません。しかし状況は前進しつつあります。石川氏自身の尽力もあって、同性婚を巡る裁判では札幌・名古屋・福岡など全国5つの高等裁判所が相次いで現行法の違憲判断を示し25、社会的機運が高まりました。
石川氏ら野党は婚姻平等法案を再三提出し続けており14、与党内にも理解を示す議員が増えてきています。2023年には保守系も巻き込んだLGBT理解増進法が成立しましたが、差別禁止の明記が見送られ不十分な内容でした。石川氏はこれについて「私たちが求めていた差別解消法は骨抜きにされてしまった」と落胆を隠しません4748が、それでも与党提出法案に一部修正を加えさせるなど、一定の役割を果たしました。
彼の公約である「LGBT差別をなくす法律」の実現度は50点といったところでしょう。完全な差別禁止法や同性婚合法化には至っていませんが、2015年時点では想像もできなかった国会での本格審議が開始されるまでに前進したのは事実です20。今後、最高裁が違憲判断を下す可能性や2025年参院選での争点化を見据え、石川氏は「早期の法制化に向け全力を尽くす」と述べています49。
選択的夫婦別姓制度
選択的夫婦別姓についても、彼が長年掲げる公約の一つですが、残念ながら政府与党の消極姿勢により実現していません。石川氏は国会で何度も「選択的夫婦別姓制度こそ法案提出し審議すべきだ」と迫りました26。世論の賛成多数や経済界からの要望もある中、政府が動かない理由を質したものの19、与党内の保守的な反対論に阻まれ実現には至っていません。
ただ、2023年には野党共同で「選択的夫婦別姓法案」を参議院に提出し、翌2024年に参院法務委員会で審議入りするまでこぎつけました(最終的に継続審議)。28年間止まっていた議論の歯車を動かした意味で、石川氏の果たした役割は大きいと言えます。
子育て支援・社会保障政策
子育て支援策に関しては、石川氏は公約で児童手当の拡充や教育無償化を掲げていました。岸田政権下で2024年10月から児童手当の支給対象年齢引き上げなど拡充策が実現したのは追い風です。石川氏もこれを評価しつつ、恒久財源の問題や一人親家庭へのさらなる支援強化を訴えています50。彼が公約にしていたシングルマザー支援については、2022年に児童扶養手当の所得制限緩和法案(野党提出)が成立する成果もあり、一部実現しました。
原発ゼロ・環境政策
原発ゼロ公約については、与党のエネルギー政策転換が進まず実現遠いものの、石川氏は原発ゼロ法案提出に関わり続けています。福島第一原発事故から10年以上経ちますが原発再稼働が続く現状に対し、再生エネ100%への移行ロードマップ策定を求めるなど、党内外で提言を継続中です。
難民支援政策
難民支援政策では、石川氏の訴えもあって2021年頃から入管収容者の処遇改善が議論され、2022年には監理人が死亡した名古屋入管事件の再発防止策が講じられるなど一部前進しました。ただ抜本的な難民認定制度の改善(難民認定率の向上)や収容代替措置の導入は道半ばで、2023年の入管法改正では石川氏は反対しました。公約とのギャップは残りますが、彼はこれを糾弾し続けています22。
総合評価
総合すると、石川大我氏の公約実現度は必ずしも高いとは言えません。与党ではない野党議員ゆえ、自ら政策を実現させるにはハードルがあるのは確かです。しかし、実現に至らない公約についても石川氏はその理由や背景を率直に説明しています。
例えば同性婚法案が通らないのは「政府与党が家族の価値観をアップデートできていないため」としつつ、違憲判決の積み重ねで情勢は変わるとの見通しを語ります51。夫婦別姓が実現しないのは「旧統一教会など家父長制的価値観を持つ勢力の抵抗」が影響しているのではないかと本会議で指摘し52、構造的な問題として訴えています。
つまり、公約未達成の要因を有権者に隠すことなく開示し、その上で粘り強く実現策を模索しているのが石川氏のスタイルです。1期目の4年間で公約がどれほど実現したかという観点では及第点とは言えないかもしれません。しかし、実現への布石を着実に打ち、社会を動かしつつある点は評価すべきでしょう。
同性婚も夫婦別姓も、以前はタブー視された議題でしたが、いまや国政の議論テーブルに乗っています。その背後には石川氏のような当事者政治家の奮闘があったことを忘れてはなりません。公約の実現度検証は、石川氏にとっては「道半ば」の連続ですが、その歩みは日本社会の価値観変革とシンクロしており、まさに「遅れていた法制度を追いつかせる戦い」を続けていると言えるのです。
参考資料
公式資料: 参議院議員情報(参議院公式サイト)53、立憲民主党 議員紹介ページ10、石川大我公式サイト「政策」ページ11、総務省公開の選挙公報・選挙結果資料。
議会資料: 国会会議録(NDL国会会議録検索システム)本会議質疑録1720、参議院法務委員会質疑録19、立法情報(参議院提出法案一覧、議員提出法案データ)1416、質問主意書54。
報道資料: 東京新聞「国会の多様化へ一歩」(2019年7月22日)11、毎日新聞「LGBT法案の行方」(2023年6月)など一般紙報道、立憲民主党ニュース1416、デイリー新潮38、エキサイトニュース40、BizJournal記事40、週刊誌報道(週刊文春・週刊新潮)への石川氏回答文書41。
社会運動資料: Marriage For All Japan (マリフォー) 国会メーター 石川大我メッセージ49、LGBT法連合会選挙候補者アンケート結果55、石川氏Instagram45・Twitterデータ43・YouTubeチャンネル情報44。
石川大我議員の4年間の軌跡は、本人が掲げた「多様性を認め合う社会」への挑戦の軌跡でもありました。その活動はときに逆風に晒されながらも、日本の政治と社会に少しずつ変革の芽を植えつつあります。本レポートが示す事実の数々62640から、読者の皆様には石川氏の信念と行動力を感じ取っていただけたのではないでしょうか。今後も彼の歩みから目が離せません。
1 2 3 4 5 6 7 8 30 31 32 33 34 35 36 41 48 石川大我 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/石川大我 9 10 石川大我 (いしかわたいが) | 参議院 比例 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/member/1838 11 国会の多様化へ一歩 LGBT・石川大我さん 「一人一人尊重する国 ... https://static.tokyo-np.co.jp/tokyo-np/archives/article/senkyo/kokusei201907/sou/CK2019072302100012.html 12 議事経過:参議院公報 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/koho/217/koho/ko240202505280840.htm 13 政策|石川大我 公式サイト http://www.taigaweb.jp/policy.html 14 15 16 25 50 婚姻の平等、トランスジェンダーの権利向上の実現へ議員立法を提出 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/news/20250619_9408 17 18 19 20 21 26 52 石川大我議員(立憲)の質疑 2024年4月19日参議院本会議|七緒 https://note.com/nao302198765/n/n5554606271e8 22 参議院 石川大我 | 国会審議映像検索システム https://gclip1.grips.ac.jp/video/dietmember/873/speeches 23 24 提出法案・政府への要請等 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/visions/submission_bills 27 2024年5月16日【石川大我参議院議員 参議院 法務委員会】共同親権 ... https://www.youtube.com/watch?v=h7rIsEi_SCY 28 【全国からどこからでも】石川大我【全国比例区】 - X https://x.com/ishikawataiga 29 [PDF] 日本学術会議解体法案 参院で審議開始 http://www.kenpoukaigi.gr.jp/sokuhou/20250602No1583.pdf 37 [PDF] 共同会派 文部科学部会 次第 - 立憲民主党 https://archive2017.cdp-japan.jp/files/download/Pvkf/DtnR/TRXp/kErI/PvkfDtnRTRXpkErIeygOUU5o.pdf 38 39 立憲民主党「石川大我参院議員」が政治ジャーナリストから名誉棄損で訴えられていた | デイリー新 潮 https://www.dailyshincho.jp/article/2019/10031100/ 40 石川大我議員、新宿二丁目で警察と大ゲンカの裏側...なぜ警察に批判の矛先が向いたのか (2020年5月3 日) - エキサイトニュース https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_202005_post_155264/ 42 【参院予算委】川田、高木、石川各議員が農業、出生数 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/news/20250312_8945 43 Top Tweets for #石川 on Twitter. - TwStalker https://ww.twstalker.com/hashtag/%23石川 44 小池武志 on X: "【令和7年6月17日】参議院 内閣委員会 立憲民主党 ... https://x.com/koike2009128/status/1934836616801214590 45 石川 大我 (@taiga_ishikawa0703) • Instagram photos and videos https://www.instagram.com/taiga_ishikawa0703/ 46 石川大我 公式ページ http://www.taigaweb.jp/ 47 49 51 石川 大我 - マリフォー国会メーター https://meter.marriageforall.jp/san/石川 大我/ 53 石川 大我(いしかわ たいが) - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7019004.htm 54 第213回国会質問主意書・答弁書一覧 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/213/syuisyo.htm 55 lgbtetc.jphttp://lgbtetc.jp/wp/wp-content/uploads/ 2019/07/20190711_%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E5%80%99%E8%A3%9C%E8%80%85%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A5%A8%EF%BC