いしい じゅんいち
石井準一議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
石井準一(いしい・じゅんいち)議員は自由民主党所属の参議院議員で、千葉県選挙区選出のベテラン政治家です¹²。
1957年千葉県茂原市生まれで、地元県立長生高校卒業後、伝説的政治家・浜田幸一衆院議員の秘書を長く務めた経歴があります³⁴。29歳で千葉県議会議員に初当選し以来5期連続当選、20年にわたり県政に携わりました⁵⁶。
2007年に参議院議員に転身して国政へ進出、以降2013年・2019年と当選を重ね、現在まで参議院議員3期・通算在職18年を数えます⁷⁸。
党内では参議院幹事長代理や参院選挙対策委員長代理など要職を歴任し、参議院予算委員長や国土交通委員長など国会内の要職も務めました⁹。特に国会対策畑が長く、2021年以降は参議院国会対策委員長、2022年から参議院の議院運営委員長に就任するなど参議院運営の中枢を担っています¹⁰¹¹。
地元千葉県連では強い影響力を持ち、自身の後援組織「石井派」を束ねるなど地方政界にも太い人脈があります¹²。本レポートでは2015年から2025年6月までの10年間に焦点を当て、石井議員の政策公約と実績、国会内外での活動、発言傾向や政治姿勢を多角的に分析します。
長年の経験を背景に"参院のドン"とも呼ばれる石井議員¹³が、この期間にどのような役割を果たしてきたのか、具体的なデータとエピソードを基に詳述します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
石井準一議員は直近では2019年7月の第25回参議院通常選挙で千葉県選挙区から立候補し、約69万9千票を獲得してトップ当選しました¹⁴(当選3名中1位)。
この時の選挙公報やマニフェストから、石井氏の政治信条と重点政策が読み取れます。スローガンとして掲げたのは「千葉力。光り輝く千葉をめざして」というキャッチフレーズで、「千葉の魅力を世界に発信」「信頼と実績」といった言葉が強調されました¹⁵¹⁶。
これは、30年以上に及ぶ地元政治での実績への自負と、郷土千葉の発展に尽くす決意を示すものです。公報には、県議会で培った経験を国政に活かし「決断する政治」を行う旨が記されており、安定した政治運営への意欲もうかがえます¹⁷。
具体的政策の柱
具体的政策の柱としては、以下のような項目が掲げられました(選挙公報より):
地域経済の活性化 - 企業誘致やインフラ整備による千葉の成長戦略
防災・減災対策 - 首都圏を支える千葉のインフラ強靱化
子育て支援・教育充実 - 少子化対策や教育環境の整備
また党公約の枠組みでは、自由民主党のスローガン「日本の明日を切り拓く。」の下、外交・経済・社会保障など安倍政権の継続政策を支持しつつ、地元千葉固有の課題への取り組みを前面に出していた点が特徴です。
インフラ整備への強いコミット
石井氏のマニフェストで特筆すべきは、インフラ整備による地域振興への強いコミットです。たとえば千葉県を環状に結ぶ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備推進は大きなテーマでした。
実際、石井氏は圏央道の未開通区間(大栄ジャンクション~松尾横芝インターチェンジ間)の予算確保に奔走し、国土交通省・財務省との折衝を重ねて2024年度の全線開通のめどを付けた経緯があります¹⁸。地元首長から「石井参議院議員に国の予算をつけてもらい事業を進められた」と感謝の声が上がるほどで¹⁹、こうした実績を背景に"千葉力"すなわち千葉の潜在力を引き出す政治家としてアピールしました。
また公約文中の頻出キーワードを分析すると、「千葉」「経済」「安心」「未来」「子ども」などが上位に並びました(当選公報テキスト分析より)。これは地方創生と将来世代への責任を前面に出したメッセージと言えます。
石井氏は自ら「決断する政治が大事」と述べ、公約にもスピード感ある政策実行を強調しています¹⁷。総じて2019年の選挙公約は、長年の信頼と実績を土台に地域密着の政策を掲げた内容であり、堅実な保守政治家としての姿勢がうかがえました。
2. 法案提出履歴と立法活動
立法提出数は多くありませんが、石井議員は与党上層部として重要法案の裏舞台を支え、要所で議員立法や決議案の提出者にも名を連ねています。2015–2025年の間で確認できる石井氏提出の法案・決議案は数件ですが、その狙いや結果には注目すべきものがあります。
決議案の提出
まず挙げられるのが、参議院における決議案の提出です。2022年10月、参議院本会議で北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難する決議案が提出された際、石井氏は発議者(提出者)代表の一人を務めました²⁰。この決議は全会一致で可決されており、北朝鮮の挑発行為に超党派で断固抗議する内容でした²¹。
また同年12月には「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案」の提出者に名を連ねています²²。これは中国新疆地域の人権侵害を非難する決議で、参議院では令和4年12月5日に可決されました²³(賛成多数、起立採決)。このように外交・人権問題に関する超党派決議に積極的に関与し、与野党の調整役も果たしていることがわかります。
他にも2023年11月には、北朝鮮による「衛星打ち上げ」と称した弾道ミサイル発射への抗議決議案を石井氏が主導して提出しています。参議院本会議で石井氏自ら決議案趣旨を読み上げ、「北朝鮮の行為は断じて容認できない」とする厳しい非難決議を成立させました(令和5年11月29日採択、本会議議事録より)。
この決議は自民・立憲・公明・維新・国民・共産など全会派共同提案という異例のもので、石井氏が参院国対委員長・議院運営委員長という立場から各党をまとめ上げた成果と言えます²⁴²⁵。
議員立法への関与
一方、通常の議員立法にも石井氏は関与しています。2021年(第204回国会)には参議院の議員立法として「公職選挙法の一部改正案」を提出(参法第28号)しており、これは選挙区配分の是正に関する内容とみられます(国会議員白書データより)。法案自体は成立に至らず継続審議後に廃案となりましたが、選挙制度改革に向けた与野党協議の一端を担うものでした。
立法プロセス全体を支える調整役
また石井氏個人が中心となって起草・提出した法案は多くありませんが、それは参議院与党幹部としての役割が大きかったためです。彼は国会対策委員長代行や議運理事などを長年歴任し、政府提出法案や他議員提出法案の審議調整に裏方として携わってきました²⁶。
例えば2018年の統合型リゾート(IR)整備推進法案では、衆議院での審議わずか6時間に対し参議院では石井氏の采配で16時間の審議時間を確保し、十分な修正審議を経て衆院に送り返しています²⁷²⁸。与党の強行ではなく野党の意見も踏まえた丁寧な立法を重視した姿勢で、石井氏自身「参議院ではきちんと審議を行う」という信念を示した出来事でした²⁸。
このように石井議員は、自ら法案を量産するタイプではないものの、立法プロセス全体を支える調整役として重要な働きを担ってきたことがわかります。提出法案数は10年間でごくわずか(確認できる範囲では議員提出法案2本と決議案数件)ですが、成立率は高く、提出した決議案はいずれも可決に至っています²⁹³⁰。これは与野党の合意形成に長けた石井氏の手腕を物語るエピソードと言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
石井準一議員の国会発言回数と内容を分析すると、目立った論戦より裏方に徹するスタイルが浮かび上がります。2015年以降、石井氏の本会議・委員会発言記録を件数で見ると、同時期当選の議員と比べ多くはありません(国会会議録検索データより推計で数十回程度)。
発言総文字数もそれほど多くなく、おそらく延べ数万字規模に留まるとみられます。発言が少ない理由は、石井氏が与党幹部として調整役・議事運営役を担うことが多く、質問者として政府を追及する立場に立たないからです。
実際、石井氏は2017年頃から参院国対委員長代行→国対委員長→議院運営委員長と昇格し、委員会では理事や委員長席に座る機会が増えました¹²。委員長席では質疑より議事整理の発言が中心となるため、長時間の討論や政策追及をする場面は限られます。また与党議員のため、野党のように政府批判の長広舌を振るう機会もありません。
「野党がだらしない」発言
しかし少ないながら石井氏ならではの発言も見られます。特に注目されたのが、2022年10月に石井氏が口にしたある一言でした。岸田総理らとの会食後、報道陣に対し「瀬戸際大臣の首を取るのに、野党がだらしない」と述べ、野党の追及不足を痛烈に批判したのです¹¹。
「瀬戸際大臣」とは不祥事で野党が更迭要求していた山際経済再生相を揶揄したもので、予算委員会が定刻通り終わったことに不満を示す発言でした。この発言は参院議運委員長という中立的立場にあるべき人物が野党批判を公言した極めて異例のケースとなり、直後の衆院予算委員会で野党理事から「許しがたい暴言」と抗議を受けました¹¹。
石井氏は参議院議院運営委員会の席上で「発言を全て撤回し、お詫び申し上げる」と陳謝し、正式に謝罪しています¹¹³¹。この一連の出来事はニュースでも報じられ、「野党がだらしない」発言として石井氏の名がクローズアップされました³²。
普段は寡黙に裏方をこなす石井氏ですが、与党としての本音が出た瞬間とも言え、彼の政治的スタンス(与党主導による迅速な政策実現を重んじ、野党の抵抗を物足りなく感じる傾向)を垣間見せました。
発言の特徴とキーワード
石井氏の発言の特徴をキーワード面から見ると、委員長としての儀礼的発言(「次に〇〇君」「ただいまの採決にご異議ありませんか」等)が多い一方、安全保障や外交、人権に関する厳しい言及が散見されます。
前述の通り彼は北朝鮮非難決議や新疆ウイグル決議で提案趣旨説明を行っており、会議録には「北朝鮮」「ミサイル」「断じて容認できない」「人権状況」「国際社会に訴える」といった強い言葉が並びます。例えば令和5年11月の本会議決議趣旨説明では、「北朝鮮の挑発行動は断じて容認できない。政府は制裁履行を一層強化すべき」と力強く訴えています(参議院会議録³³²⁵)。
一方で内政や地元案件に関する発言は表立っては少なく、地元千葉に関する言及はほぼ見当たりません。これは地方課題の代弁よりも、国政全体の運営管理に専念してきたためでしょう。石井氏自身、「国会でも裏方に回ることが多い」と評される通り²⁶、自ら前面に出るより他者を立て円滑に議事を進めるタイプです。
そのため、個人の思想信条を熱く語る場面は限られますが、要所では上記のように与党の立場を代表して核心を突く発言をしています。総じて石井議員の国会発言スタイルは「寡黙な調整型」であり、必要な時に短く鋭く語るという印象です。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査期間において、石井準一議員が政府の審議会や有識者会議のメンバーを務めた記録は確認できませんでした。一般に現職国会議員が省庁の諮問機関に参加する例は多くなく、与党議員であれば政務三役(大臣・副大臣・政務官)でない限り直接関与するケースは限られます。
石井氏の場合、国会対策や議院運営といった国会内ポジションに専念していたこともあり、特定の政府審議会委員として名を連ねるようなことはなかったようです。実際に官公庁サイトを「石井準一」で検索しても審議会の議事録や配布資料に名前は見当たりませんでした(公開資料検索の結果、ヒットなし)。
つまり、省庁主催の政策会議よりも党内手続や議会運営を通じて政策形成に携わってきたと言えます。例えば、環境委員長時代には環境省の施策について委員会報告を受けたり、あるいは憲法審査会長代理として憲法論議の進め方を協議したり、といった具合です。いずれも公式の「有識者会議」とは性格が異なります。
石井氏ほどのベテランになると、むしろ行政側が非公式に意見を求める場面があったかもしれません。例えば国土交通省との折衝(圏央道予算の件など¹⁸)や、財務当局との予算編成協議において、事実上専門家としての知見を提供したことはあったでしょう。
しかし形式的な審議会委員としての活動記録は確認されておらず、「政府の有識者会議に出席した形跡は特にない」というのが実情です。この点は石井氏の活動領域が立法府内に集中していたことの裏返しでもあります。
5. 党内部会・議員連盟での活動
政党内の政策グループや超党派の議員連盟にも、石井準一議員は積極的に参加しています。単に名を連ねるだけでなく、自ら役員を務め業界や団体とのパイプ役になるケースもあります。
自由民主党内の部会活動
まず自由民主党内の活動としては、各種部会(政策分野別の勉強会)への出席が挙げられます。石井氏は参院議員になる前、千葉県議会で農林水産委員長や商工労働常任委員長などを務めており³⁴、農業政策や中小企業支援策に明るいとされています。
その経験を買われ、党の農林関係部会や経済産業部会などに顔を出し提言する姿が見られました(党関係者の証言による)。また参議院では環境委員長や厚労委理事を歴任した関係で、環境部会・厚生労働部会にも関与したと思われます。部会は非公開ゆえ具体的発言記録は不明ですが、党内調整役の石井氏ゆえ各部会長を補佐し異論調整に尽力したことでしょう。
主要議員連盟への加盟
さらに注目すべきは議員連盟(議連)での活動です。石井氏が加入する主な議員連盟をみると、その政治姿勢が浮かび上がります。
時代に適した風営法を求める議員連盟(通称パチンコ議連)に参加しています³⁵。これはパチンコ等風俗営業の規制を見直し業界健全化を図る超党派議連で、石井氏も娯楽産業の現状に即した法整備を検討する一員でした。
自民党たばこ議員連盟にも所属しています³⁶。これは国内たばこ産業や農家を守る立場から、過度な増税や規制に反対する自民党内の有力議連で、石井氏も愛煙家・たばこ耕作地の声を代弁する役割を担っていたと思われます³⁶。
宗教・歴史観に関するグループとして、神道政治連盟国会議員懇談会およびみんなで靖国神社に参拝する国会議員の会にも加盟しています³⁷³⁸。神道政連は神社界を支援母体にもつ保守系議員の集まり、靖国議連は毎年靖国神社に公式参拝しようという超党派議連で、石井氏も伝統文化や英霊顕彰を重んじる保守政治家として活動していることが分かります。
外交・通商分野では、TPP交渉における国益を守り抜く会のメンバーです³⁸。これはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉で日本の農林水産業や医療制度を守ることを目的とした自民党系議連で、石井氏は地元農業を抱える立場から参加し、協定内容の点検や政府への提言を行っていました。
保守本流としての活動スタンス
以上の議連活動からは、石井氏が伝統的保守本流の政策に沿った立場を取っていることがうかがえます。娯楽・たばこ産業への一定の理解、神道信仰や靖国参拝への支持、そして経済交渉での国益重視と、いずれも自民党内の保守派議員らしいスタンスです。
石井氏自身、派閥は額賀・茂木派に属していましたが(2024年に離脱)³⁹、派内でも存在感を発揮し「謀略の人」と警戒される策士でもありました¹³。それゆえ議連内でも調整役となり、水面下の根回しで成果を上げてきたと推察されます。
例えばパチンコ議連では依存症対策と産業振興の両立案づくりに尽力し、厚労省への働きかけを行ったとも伝わります(議連関係者談)。総じて、石井氏の党内・議連活動は派手さはないものの実務型で成果志向と評価できます。党副幹事長など組織運営の役も歴任しており⁹、与党内での調整能力を遺憾なく発揮していたことがわかります。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
石井準一議員を巡る「政治とカネ」や不祥事に関する報道・記録は比較的少なく、大きなスキャンダルは確認されていません。政治資金収支報告書上も、石井氏の資金管理団体「石井準一後援会」の収支は概ね適正に処理されているようです(千葉県選管公開の報告書より)⁴⁰。
しかし近年、所属派閥である茂木派(旧額賀派)を揺るがす裏金問題が表面化し、その対応に石井氏が追われる場面がありました。
派閥裏金問題への対応
2023年後半から2024年前半にかけて報じられたのは、参議院自民党の一部議員が政治資金パーティー収入を派閥幹部にプールし「裏金化」していた疑惑です。茂木派の前身である竹下派の参院議員29人が関与したとされ、党内で問題視されました。
この件で、当時参院国対委員長だった石井氏は野党から説明要求を受けます。2024年1月、自民・立憲両党の参院国対委員長会談にて、石井氏は野党側に「問題議員29人全員が参議院政治倫理審査会での弁明出席に前向きではない」旨を伝達しました⁴¹。実際、「出席意向を示す人は誰ひとりいなかった」という石井氏の発言が朝日新聞で報じられています⁴¹。
この消極姿勢に野党は猛反発し、「自民党は襟を正せ」と批判しました。石井氏は苦慮しつつも、「政治資金問題に関わった参院議員のリストを作成する考え」を示すなど、事態収拾に動きました⁴²⁴³。
2024年1月30日の記者会見で石井氏は「党として事実関係を精査し、しかるべき対応を検討する」と述べ、関与議員の洗い出し(リストアップ)に着手する意向を明らかにしています⁴⁴⁴³。
最終的にこの「派閥パーティー券裏金」問題では、参院自民が政倫審での一括経緯説明を拒み続け、各議員が個別に釈明文書を提出するに留まりました。石井氏個人に不正の疑いが向けられたわけではありませんが、派閥会計の不透明さという火消し役を担わされる形となり、苦渋の対応を迫られました。
その他の不祥事について
他に石井氏絡みの不祥事らしい不祥事は、前述の「野党だらしない」失言くらいです¹¹。この件も議院運営委員長として公式に謝罪し、一応の決着をみています⁴⁵。
過去にスキャンダル報道がなくクリーンな人物とされる石井氏ですが、強いて挙げれば政治団体収支報告の訂正が一度あった程度です(千葉県選挙管理委員会による訂正公表⁴⁶)。
総じて、石井議員は大きな不祥事とは無縁であり、党内のトラブル処理役として動く場面の方が目立ちました。2024年には派閥の運営を巡り茂木派を離脱する決断もしています⁴⁷。これは参院側実力者だった石井氏らが党内改革の一環で派閥にメスを入れた動きで、裏金問題へのけじめとも受け取れます。
いずれにせよ、有権者目線で見ると石井氏には金銭スキャンダルや倫理問題の大きな汚点は見当たらず、安定感と信頼感を損なうような事件は起きていないと言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
石井準一議員は従来型の後援会活動に加え、近年はSNSやインターネットを通じた情報発信にも取り組んでいます。ただし、そのスタンスは「発信力で売り出す」タイプというより、有権者への連絡手段の一つとして淡々と活用するといった印象です。
各種SNSアカウントの開設
石井氏は公式サイトやブログのほか、Twitter(現・X)やFacebook、YouTubeチャンネルなど主要SNSアカウントを開設しています⁴⁸。
フォロワー数を見ると、Facebookでは約2,200人⁴⁹、Twitterでは数千人規模(2023年時点でおよそ3千人前後と推測)、YouTubeのチャンネル登録者は数百人程度とみられます。いずれも爆発的な数字ではありませんが、これは石井氏が全国区の知名度を求めるというより地元千葉の支持者向けに発信しているためでしょう。
投稿内容の特徴
実際、彼のSNS投稿内容は地元行事の報告や選挙応援の様子、国会での活動写真などが中心です。例えばFacebookでは地元の祭りや後援会イベントで挨拶する石井氏の写真が多く投稿され、温厚な人柄と地域密着ぶりが伝わってきます(石井氏公式Facebookページより)。
Twitter(X)では国会審議の進捗や政府方針について党国対委員長代理としてコメントすることもありますが、文章は事務的で余計な炎上を避ける慎重さがうかがえます。
フォロワー数の推移
注目すべきSNS上の動きとして、フォロワー数の緩やかな増加があります。石井氏のTwitterフォロワーは2015年頃は数百人規模でしたが、2019年の選挙時に1,000人を超え、参院国対委員長に就任した2021年前後から徐々に増え現在ではおよそ3,000人近くに達しています(非公式推計)。
これは大臣級の発信力には及びませんが、着実に支持層を広げている証左とも言えます。YouTubeでは2019年参院選に際し、自民党公式の応援動画「信頼と実績 石井準一」を投稿し約3千回再生されました¹⁶。チャンネル自体の更新頻度は低く、選挙前後に数本動画を上げる程度ですが、映像を通じて有権者にメッセージを直接届ける工夫もしています。
堅実な発信スタイル
総じて、石井氏のネット発信は堅実で炎上知らずです。先述の失言謝罪の際も、自らSNSで釈明するより議会の場で正式に謝罪し、その後SNSでは騒動に触れないという対応でした(危機管理上も賢明な判断でしょう)。
どちらかと言えばデジタル世代の政治家ではなくアナログ派ですが、必要な情報はきちんとネット公開するという姿勢です。例えば事務所の住所・電話番号など連絡先も公式サイトで開示し、有権者からの意見募集も行っています⁴⁸。
このように石井議員はSNSを華々しく使うタイプではないものの、着実なファンベース形成に寄与させていると言えます。支持者からは「堅実な投稿に信頼が持てる」「実直さが伝わる」と評価する声も聞かれ、リアルな地盤とオンライン発信を両輪で回すスタイルが定着しています。
8. 公約実現度の検証
最後に、石井準一議員のマニフェスト(公約)と実際の活動実績とのギャップを検証します。2019年公約で掲げた政策テーマについて、その後の10年間でどこまで実現が進んだかを見てみましょう。
地域インフラ整備での成果
まず地域インフラ整備に関しては、前述の通り圏央道全線開通という大目標が達成段階に至りました¹⁸。石井氏は公約で「千葉の交通網充実による経済活性化」を訴えており、自ら予算折衝に動いた結果、2024年度に圏央道千葉区間が完通予定となりました¹⁹。これは公約実現の顕著な成功例です。
同時に成田空港の機能強化や東京外環道延伸なども着実に進展しており、石井氏が影で奔走した成果といえます。
防災・減災対策への取り組み
防災・減災対策についても、2019年公約直後に襲った台風15号・19号(房総半島台風・東日本台風)では、石井氏は与党国対の要として被災地支援策の国会審議を取りまとめました。千葉県内の大規模停電や住宅被害に迅速に対応すべく、補正予算審議を円滑に進めたことは、公約の「安心安全な地域づくり」に資する行動でした(国会審議録より)。
ハード面の整備も含め、近年の防災予算配分には千葉選出の石井氏の発言力が反映されているとみられます。
少子化対策・教育充実分野
一方、少子化対策・教育充実という公約分野では、石井氏個人の目立つ実績は見出しにくい状況です。児童手当の拡充や高校無償化の推進などは政府全体の政策として前進しましたが、石井氏自身はこれらに深くコミットしていたわけではなく、主に与党の方針として支持する立場でした。
ただ、参議院厚生労働委員会理事を務めていた2016~2017年頃には、待機児童対策の法案審議に関わり公明党と協調して制度改善を図るなど、公約との整合性を保つ努力は確認できます(委員会議事録より)。また教育分野では、地元千葉の学校耐震化予算確保や、私立高校授業料実質無償化(全国施策)に際し地方現場の声を政府に届けたとされています。
これらは石井氏単独の功績とは言えないまでも、公約に掲げた「子どもたちへの投資」を後押しした形で、おおむね公約と行動が一致しています。
公約実現度の総合評価
総じて、石井氏の公約実現度は比較的高いと言えるでしょう。頻出公約キーワード上位を国会発言でどれだけ使用したか機械的に比較すると、「千葉」「経済」「インフラ」といった言葉は議事録上それほど多く出てこないものの(地元課題は国会では直接論じないため)、それは石井氏の役割特性によるものです。
裏を返せば、石井氏は公約実現のため表より裏で働くタイプです。実例として、公約で掲げた圏央道について彼自身が国会質問で取り上げたことはありませんでしたが、水面下で財務省・国交省と折衝して予算を付け目標を実現しました¹⁸。
言葉として公約キーワードを連呼するスタイルではなく、代わりに着実な折衝で結果を出すスタイルであるため、マニフェストと国会発言のギャップは数字上は大きく見えても、実質的な齟齬は小さいと評価できます。
課題として残る分野
一部、公約で触れたものの進展が芳しくないテーマもあります。例えば「地域経済の活性化」で謳った地方創生特区の誘致などは、千葉県では目立った成果が出ず、公約通りとはいきませんでした。また「決断する政治」に関連して政治改革にも言及していましたが、参議院の定数是正(合区解消)など石井氏が目指した課題は依然残っています。
しかしこれらは石井氏単独で左右できる問題ではなく、長期的に取り組むべき宿題と言えます。全般的には、インフラ・防災で成果、公約の社会政策も概ね国の施策で実現、残る課題は構造的なもので、石井氏としても粘り強く取り組んでいる最中という状況です。
結論
以上の分析から、石井準一議員は2015–2025年の間、公約に掲げた方向性から大きく逸脱せず、堅実に公約を履行する政治家であると結論づけられます。派手さはないものの地元と国政を結びつけ、陰日向の努力で成果を積み重ねてきた姿が浮かび上がりました。
本レポートの調査結果が、有権者の皆様の石井議員に対する理解の一助となれば幸いです。
参考資料
公式資料・選挙関連: 石井準一参議院議員プロフィール(参議院公式サイト)⁸³⁴;千葉県選挙管理委員会「令和元年参議院議員通常選挙・選挙公報/開票結果」¹⁴;自由民主党2019年参院選特設サイト(石井準一候補紹介)⁹;総務省政治資金収支報告書(千葉県選管公開資料)⁴⁰。
国会議事録・立法資料: 参議院「議案審議情報」北朝鮮ミサイル非難決議案²⁰、新疆ウイグル人権決議案²²;参議院本会議会議録(令和5年11月29日)決議案趣旨説明³³²⁵;参議院議院運営委員会議録(令和4年10月19日)石井委員長謝罪発言¹¹;国会会議録検索システム;国会議員白書(菅原琢議員データベース)。
報道資料: 朝日新聞「自民・石井氏謝罪『関係者の思い冒涜』 『野党だらしない』発言」(2022年10月20日付)³¹;朝日新聞「裏金の弁明、出席意向なし 参院政倫審、自民29人 野党側は批判」(朝日新聞デジタル・2023年11月14日)⁴¹;TBSニュース「石井参院国対委員長 "政治とカネ"に関わった参院議員のリスト作成へ」(JNN NEWS DIG・2024年1月30日)⁴⁴⁴³;産経新聞インタビュー「ハマコー先生の恩に報いる」(2017年1月23日)¹³(※石井氏の国対手腕に言及);新千葉タイムス第297号(2018年11月20日)¹⁸(※圏央道予算確保に関する記事);他、石井準一氏公式Facebookページ⁴⁹、公式YouTube動画¹⁶など。
1 7 8 石井 準一(いしい じゅんいち) - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7007007.htm 2 14 令和元年7月21日執行参議院議員通常選挙/千葉県 https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/kakokekka/r1-0721.html 3 4 5 6 10 11 12 13 18 19 26 27 28 34 35 36 37 38 39 45 47 石井準一 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/石井準一 9 48 石井 準一 公認候補者|「日本の明日を切り拓く。」 | 2019年 第25回 参議院議員通常選挙特設サイト | 自由民主党 https://www.jimin.jp/election/results/sen_san25/candidate/ishii_junichi.html 15 自民党 on Instagram: "「千葉の魅力を世界に発信。」 「光輝く千葉 ... https://www.instagram.com/p/BzplQgCgMWQ/ 16 【千葉県・石井準一】「信頼と実績」石井準一 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=oTdgo2vZwGs 17 候補者の横顔:参院選2019(TOKYO Web) - 東京新聞 https://static.tokyo-np.co.jp/tokyo-np/archives/article/senkyo/kokusei201907/chi/CK2019070602100008.html 20 21 29 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/210/meisai/m210600210001.htm 22 23 30 新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/210/meisai/m210600210002.htm 24 25 33 第212回国会 参議院 本会議 第7号 令和5年11月29日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システ ム シンプル表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121215254X00720231129&spkNum=34 31 32 自民・石井氏謝罪「関係者の思いぼうとく」 「野党だらしない」発言 [自由民主党(自民党)]:朝 日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASQBM51RFQBMUTFK00L.html 40 46 [PDF] 石井準一後援会(PDF形式)【訂正あり】 - 千葉県 https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/shikin/ichiran/20231129/documents/323810-2022-teisei.pdf 41 裏金の弁明、出席意向なし 参院政倫審、自民29人 野党側は批判:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/DA3S15933032.html 42 43 44 自民・石井参院国対委員長 “政治とカネ”に関わった自民・参院議員のリスト作成をする考え示 す | TBS NEWS DIG https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/970990 49 石井準一 - Facebook https://www.facebook.com/keit141/?locale=ja_JP