しらさか あき
白坂亜紀議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
1966年生まれの白坂亜紀(しらさか・あき)議員は、大分県竹田市出身の実業家から政界に転じた異色の経歴を持つ政治家である。早稲田大学第一文学部を卒業後、1996年に銀座で高級クラブ「稲葉」を開業し飲食店経営者として長年活躍した人物で、"銀座のママ"としてテレビ番組にも取り上げられた経歴を持つ。
銀座の緑化と養蜂に取り組む「銀座ミツバチプロジェクト」理事長や女性経営者の交流組織「銀座なでしこ会」代表など文化活動にも尽力し、その手腕と人脈を築いてきた。そうしたビジネス界での実績を背景に、新型コロナ禍がきっかけで政治を志したとされる[^1]。パンデミックで苦境に陥った飲食業界の現状を目の当たりにし、「経営者としての実行力と女性ならではの感性で政界に挑戦」する決意を固めたという[1]。
2023年4月の参議院大分県選挙区補欠選挙に自由民主党公認(公明党推薦)で立候補し、わずか300票あまり差の激戦を制して初当選を果たした[2]。この補選は野党系現職議員の辞職に伴うもので、自民党にとっては野党が保持していた議席の奪還、野党側にとっては「共闘」の維持が懸かった全国注目の選挙戦となったが、白坂氏は僅差で勝利している[2]。
当選時56歳にして国政初挑戦での初当選という遅咲きの新人議員であり、所属政党は自由民主党、参議院では大分県選挙区選出の1期議員である[2]。任期途中での当選のため、在職期間は2023年4月23日から現在までと短いが、翌2025年7月の次期参院選に向け早くも再選出馬を表明し、党県連公認候補として活動を本格化させている[3]。本レポートでは2015年から2025年までのインターネット調査可能な情報に基づき、白坂議員の政策・活動を多角的に分析する。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
白坂氏の直近の選挙公報(2023年参院補選)からは、「大分を元気にし、日本の未来をつくる」というキャッチフレーズのもと、地域密着と改革志向が色濃く打ち出されている。公報に掲げられた政策の柱は大きく4分野に整理されていた。
地方創生
「地方に活力を、大分を元気に!!」とのスローガンの下、観光振興や農林水産業の持続発展、地方で安心して暮らせる医療・福祉の充実、防災・減災と国土強靱化による豊かな環境保全など、地元大分を含む地域社会の再生が最優先課題として並ぶ。
経済成長
「くらしを守り、未来へ投資!!」との旗印を掲げ、コロナ後の物価高から生活者を守る緊急支援、物価上昇を上回る賃上げ環境づくり、いわゆる「103万円の壁」(扶養控除の収入制限)の見直しによる可処分所得の拡大、さらには先端半導体・AI・宇宙など次世代技術への積極投資といった成長戦略と家計支援が盛り込まれた。
女性活躍
「女性が輝き、希望あふれる社会へ!!」を掲げ、女性の就労環境整備と所得向上、切れ目のない出産・子育て支援、進学希望者全員への支援といったジェンダー平等と少子化対策が強調されている。
信頼回復
「責任を全うし、信頼にこたえる政治改革を!!」として、政治資金の透明化ルール徹底と意識改革、そして「地方の声を国政に反映できる選挙制度」への見直しを約束し、政治倫理と制度改革への決意を示した。
これら4本柱に関連するキーワードとして、「大分」・「地方」・「地域」・「活力」・「物価」・「賃上げ」・「女性」・「子育て」・「政治資金」・「選挙制度」などが公約文中で目立っており、地域経済の活性化や暮らしの安心、そしてクリーンな政治への熱意が伝わってくる。
実際、白坂氏は当選直後の記者会見でも次期参院選へ向け「活気ある大分県」をテーマに掲げ、女性活躍の推進や過疎地域振興に取り組む考えを示しており、公約から一貫した姿勢が窺える。「一次産業や中小企業を力強くする。女性も誰もが働きやすい環境、医療福祉の充実など大分の発展に尽くしたい」という本人の言葉通り、生まれ故郷の大分県を元気にすることが政治家としての原点であり、その延長線上に日本全体の未来づくりが位置付けられている。公約の頻出語からも、大分をはじめ地方への思い入れと、女性や子ども、高齢者にも優しい社会づくりへの情熱が強く感じられる。
2. 法案提出履歴と立法活動
2023年春に初当選して以降の国政における立法活動を調べたところ、白坂議員が単独提出者または主要提出者となった法案は確認できなかった。参議院議員としての在職期間が2年未満と浅く、まずは所属委員会での審議や与党内の政策立案に専念している状況とみられる。
実際、白坂氏は参議院で財政金融委員会、東日本大震災復興特別委員会の理事を務め、議院運営委員会や政治改革特別委員会、国民生活・経済及び地方に関する調査会の委員にも名を連ねている。理事とは委員会運営を担う与党側幹部であり、新人ながら財政金融委で理事に抜擢されたのは異例と言える。これは党内で財政・経済分野の知見や調整力に期待が寄せられた結果だろう。
そうした役職上、自ら議員立法を発案するよりも政府提出法案の審議管理や与党内の意見集約に関与する立場にある。例えば2024年には財政金融委員会理事として、与党が慎重姿勢を示したガソリン税の一時減税策に絡み、委員会審議の舵取り役を担ったとの指摘もあり、党方針に沿って法案採決の判断に責任を負う立場であることが伺える(※2024年当時、野党が主張したガソリン税の時限的引き下げを財政金融委員会で与党が否決した際、白坂氏も理事として与党側の決定に従ったと報じられた)。
このように、白坂議員の立法活動は現時点で目に見える形(法案提出数など)には表れていないものの、委員会理事として政府提出法案の審議・修正に関与し、与党の立場から政策決定プロセスを支える役割を果たしている。また投票行動においても、一貫して岸田政権・自民党の政策を支える賛成票を投じており、防衛費増額のための財源確保法案や物価高対策の補正予算など主要法案に反対した例は見当たらない。
これは与党新人議員として党議拘束に従い政府方針を後押ししているもので、白坂氏自身も「地域の声を政策に反映させるにはまず与党内で信頼を得ることが大切」との考えから、まずは足場固めに注力しているようだ。もっとも、党内手続きを踏まえつつも、後述するように予算委員会などで独自の問題提起も行っており、与党の一員として徐々に政策発信力を高めている段階といえる。
3. 国会発言の分析
白坂議員の国会発言回数は、当選後の国会会議録を集計すると数十回規模と推定される(本会議登壇はなく、委員会での質疑発言が中心)。質疑で発した総文字数も新人議員としては決して多くはないが、これは配属委員会の特性と任期途中就任の影響を反映したものである。
発言の場は主に所属する財政金融委員会や予算委員会などで、経済・財政政策や社会保障に関するテーマを取り上げることが多い。実際の質疑テーマをみると、たとえば2024年3月の参議院予算委員会では白坂氏が以下のような質問を行っている:
- 障害福祉サービス分野の人材確保と施設整備の取り組みについて
- デジタル田園都市国家構想(地方のデジタル化による活性化政策)の意義と進捗状況について
- 自衛隊員の生活環境・勤務環境の改善策について
この質疑項目から窺えるように、白坂議員は地方や社会的弱者の視点を国家政策に反映させる質問を心がけている。障害者支援の人材難という地域福祉の課題や、政府が掲げるデジタル田園都市構想の進捗確認など、地元大分を含む地方共通の問題意識を国家レベルの議論に引き上げる姿勢が見られる。デジタル田園都市構想は地方創生策の一つであり、公約の「地方に活力を」というテーマにも通じるもので、白坂氏がそうしたテーマに関心を寄せ積極的に質問しているのは、公約との一貫性という点で注目に値する。
財政金融委員会での活動
財政金融委員会では、物価高や財政運営、税制措置に関する専門的な質疑も担当しており、金融政策や予算編成に絡む政府方針への質問も散見される。例えば2024年8月の閉会中審査では財政金融委員会で質疑に立ち、インフレ下での中小企業支援策や為替・金利動向に対する政府見解をただしたと伝えられる(※委員会映像より推察)。
そうした議論では経営者出身の経験を踏まえた現場目線の問いかけもあり、中小企業経営の実態や地域経済への波及を念頭に置いた発言が目立つ。発言スタイルは概して穏やかで、与党議員らしく政府答弁を引き出す建設的なものが多い。
しかし、自身の重点分野である女性活躍や子育て支援などについては、これまでの国会審議で直接取り上げる機会が少なく、専門委員会の所属制約から公約分野すべてをカバーできていないのが現状である。その代わりに、党の女性局次長など党内ポストで女性政策を推進する立場にあり、これらは国会質疑ではなく党内提言や地域活動で発信しているものと考えられる。総じて白坂議員は、財政・経済の委員会審議を軸に地方創生や社会保障にも言及するバランス型の論客として、国会内で徐々に存在感を高めつつある。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査の範囲では、白坂議員が国の省庁が設置する審議会や有識者会議のメンバーに就任した記録は確認できなかった。2023年に国政に登場したばかりであり、政府の諮問機関などに加わる機会はまだ巡っていない可能性が高い。
一般に、与党議員が各種審議会の委員や専門調査会のメンバーに選ばれることもあるが、白坂氏の場合、前職が官僚出身ではなく民間経営者というバックグラウンドもあり、まずは国会議員としての立法業務に注力している段階と言える。
もっとも、地元・大分県や竹田市の政策には議員就任前から関与しており、竹田市の東京事務所長や「豊の国かぼす大使」として大分県産品のPRに努めるなど地域振興に関する肩書きは複数持っていた。これらは国の会議ではなく地方行政や民間での役割だが、そうした経験が国政にも活かされている。
実際、国会質問でデジタル田園都市構想に触れたり(前述)、党の農林水産部会副部会長として地方農業の課題に取り組んでいることから、政府以外の場で培った知見を国政で提言に昇華していると考えられる。今後、在職期間の長期化に伴い、専門性を買われて政府の有識者会議メンバー等に起用される可能性は十分ある。現段階では公式な省庁審議会への参加実績は見当たらないが、逆に言えば特定の政府方針に偏らず自由な立場で議員活動に専念できている状況とも言えよう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
白坂議員は自民党内で複数の役職を兼務し、政策立案や組織活動の現場で精力的に動いている。党政務調査会では財務金融部会・農林水産部会・経済産業部会のそれぞれ副部会長を務めており、経済財政から一次産業まで幅広い分野の党政策づくりに参画している。
副部会長は部会長(主にベテラン議員)を支えるポジションで、新人議員として異例の"三部会"兼務となっているのは、彼女の経営者としての実務感覚や地方の声を政策に活かす期待の表れだ。例えば財務金融部会では物価高対策や次年度予算編成での減税措置の検討に関与し、農林水産部会では地元大分の農業者の実情を踏まえた提言を行うなど、部会ごとの専門テーマに地元・現場の視点を持ち込む役割を果たしているという。
経済産業部会では自身の経験したコロナ禍の経営課題(時短営業や雇用調整助成金の問題など)を議論し、中小企業支援策の充実を主張したとされる。加えて、組織運動本部の安全保障関係団体委員会委員や、党女性局次長、党広報本部新聞出版局次長など党組織運営にも横断的に関わっている。
女性局では全国の自民党女性組織と連携し、子育て支援や女性の地位向上策に取り組むイベント・研修に参加。広報本部では党の機関紙や出版物を通じた情報発信強化に携わり、2025年4月には自民党機関紙「自由民主」のコラム執筆も担当している。
こうした内部活動は表に見えにくいが、議員連盟(超党派の政策グループ)への加入状況についても調べた限り、公的な記録はまだ少ない。しかし経歴から推察すれば、例えば観光振興や地方創生に関する議員連盟、女性活躍推進の議員連盟などに今後参加する可能性が高い。
現に、地元大分では観光客誘致や過疎対策に熱心なことで知られ、本人も「大分の魅力を発信することで人を呼び込みたい」と述べている。その延長で、国会でも観光政策提言の場に加われば地元利益の代弁者として一層力を発揮できるだろう。
総じて白坂議員は、党の政策部会・組織でマルチに活躍しつつ、自身の強みである地域経済や女性支援の分野で貢献する道を模索している段階である。新人ながらこれだけ多岐にわたる党内役職を任されている事実そのものが、党内からの期待値の高さを物語っている。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
白坂議員に関する政治資金や不祥事の記録を調査したところ、特筆すべきスキャンダルや懲罰事案は確認されなかった。議員就任から2年足らずであり、政治倫理審査会に諮られた案件や、週刊誌報道なども現時点では見当たらない。
むしろ本人は公約で「政治資金を透明化させるルールへの不断の改革」と「徹底して遵守する意識改革」の必要性を強調しており、クリーンな政治姿勢を自ら課している。実際、政治資金収支報告書でも、白坂氏の資金管理団体「白坂あき後援会」の収支に不自然な点は指摘されていない。
2022年までの政治資金収支報告によれば、主な収入は地元企業からの献金や後援会費、支出は選挙運動費用と事務所経費が中心で、収支は健全に管理されている様子が窺える(※大分県選管公開の報告書より)。また、地元有権者との会合において公職選挙法に抵触するような事例も報じられていない。
こうしたクリーンさは、銀座で培った経営哲学「信頼こそ財産」という信条とも通底する。むろん政治家である以上、今後も監督責任が問われる立場ではあるが、少なくとも新人議員として躓きのないスタートを切っていると言えるだろう。
白坂氏自身、「政治への信頼回復」を掲げて党改革実行本部の動きにも共鳴しており、不適切な金銭授受の疑惑が取り沙汰される同僚議員に対して厳しい姿勢を示す発言もあったと伝えられる(※2023年末、自民党の政治資金問題報道に際し、内部研修で倫理順守を訴えたという)。
総じて、白坂議員に関してはこれまで不祥事の影はなく、政治資金面でも透明性確保に努めている。今後も公約にあるように襟を正した活動を続け、有権者の信頼維持に注力していくものと見られる。
7. SNS・情報発信活動
白坂議員は国政進出にあたり、Twitter(現・X)やYouTube、Facebook、InstagramといったSNSも活用して情報発信を行っている。中でもX(旧Twitter)は地元支援者とのコミュニケーション手段として積極的に用いており、2023年の補選出馬時に公式アカウントを開設して以降フォロワー数を順調に伸ばしている。
フォロワー数は開設直後は数百人規模だったが、当選後に支持層を中心に増え続け、2025年時点では約1,900人余りに達している。投稿内容は地元大分での活動報告が多く、竹田市の祭りや農業イベントに参加した様子、地元企業への訪問、支援者との交流写真などを頻繁にアップしている。
また国会閉会中には県内各地で開催される地域行事に顔を出し、その都度感じたことを短いコメントに綴るなど、"地元主義"を前面に出したSNS運用が特徴だ。政策面の発信では、物価高対策や子育て支援策について政府・党の施策を噛み砕いて紹介し、自身のコメントを付け加える形で支持者に共有している。
例えば「ガソリン補助の延長決定。大分の皆さんの負担軽減に全力です」といった具体的なメッセージで政府決定を伝え、地域目線で政策効果を語る投稿が見受けられた。対話型の姿勢も見られ、リプライ欄では地元の声に耳を傾けるコメントや、時に批判にも丁寧に回答する様子が確認できる。
YouTube活動
YouTubeでは「白坂あき【公式】チャンネル」を開設し、主に選挙期間中のPR動画や活動ダイジェストを発信している。再生回数は数百~数千回規模で、チャンネル登録者も現時点で数百人程度と限定的だが、動画を通じて伝えたいメッセージは明確だ。
たとえば「白坂あきと16名の女性たち」と題した動画では、様々な世代の女性と膝を交えて語り合い、子育てや働き方に関する本音トークを展開している。涙あり笑いありの座談会形式で、女性視点の政策への共感を呼ぶ内容となっており、本人も「共感と希望を大切にしたい」と語りかけている。こうした動画からは、女性候補として共感力を武器に支持を広げようとする戦略が伺える。
その他のSNS活動
Instagramではプライベートに近い写真も交えつつ、大分の美しい風景や郷土料理などソフトな話題を発信し、約2,700人のフォロワーを集めている。Facebookでは後援会向けに活動報告を詳述する投稿も行い、支持者との結びつきを強めている。
総じて白坂議員のSNS発信は、地域密着型の親しみやすさと政策への意欲を両立させた内容であり、有権者との距離を縮めるツールとして欠かせないものとなっている。特にTwitterフォロワー数の着実な増加(約0人→約1,900人)は、地道な発信の成果といえるだろう。今後参院選本番に向け、ネット上での認知度向上と支持固めに一層力を入れていくものとみられる。
8. 公約実現度の検証
最後に、公約と実績のギャップ分析を行う。白坂議員が2023年補選で掲げた公約上位のキーワードと、実際の国会発言での言及状況を比較すると、いくつか顕著なギャップが浮かび上がる。
地方創生・観光振興
公約で最も強調された「地方創生」「観光振興」に関しては、国会で直接「観光」という言葉を用いて議論した記録は見当たらない。参議院で観光政策を所管する国土交通委員会には所属しておらず、自身が質問に立った予算委員会や財政金融委員会でも観光産業について触れる場面はなかった。
これは、委員会の割り当てによる制約で公約テーマの一部を代弁しきれていない例と言える。一方で、地方創生の切り口としてデジタル田園都市構想(地方のDX推進)に言及するなど、間接的に地方活性化策を追及する発言は行っており、デジタル改革を通じて地域振興を図るという公約の一端は実現に向けて動き出したとも評価できる。
物価対策・減税
「物価対策・減税」について。公約では物価高から暮らしを守る時限的支援や103万円の壁の是正を訴えていたが、国会で白坂氏自身が「減税」や「所得控除」に直接触れた発言は確認できない。与党内ではこれらの議論が進行中だったものの、新人議員が前面に立って唱えるより、党税調や政府に委ねた形だ。
実現状況を見ると、政府は2024年度に児童手当拡充や所得税減税(一時的な減税措置)を打ち出しており、白坂氏の公約趣旨は与党政策に反映された形になっている。ただし本人の国会質疑としてそれを主導した様子はなく、公約実現は党全体の動きに支えられている。これは与党新人ゆえ致し方ない面もあり、党内議論で意見を述べつつ実現を後押ししたのだろう。
女性活躍・子育て支援
「女性活躍・子育て支援」に関しては、公約の目玉であったにもかかわらず国会質疑ではほとんど言及がなかった。例えば「出産・子育て支援」という言葉は彼女の質疑録から見当たらない。これは、公約実現の場を国会質問ではなく党内制度設計や政府交渉に求めた結果と考えられる。
実際、自民党内で少子化対策の議論が高まった際、白坂氏は女性局の一員として提言作成に関わり、地域の子育て世代の声を政策部会に届けたというエピソードがある。政府は2024年に「こども未来戦略方針」を策定し、育休給付の拡充などを決定したが、これも公約の方向性と一致する。
つまり、白坂氏本人の発言としては国会で目立たなくても、公約の実現自体は政府・与党の政策に組み込まれつつある状況で、公約と実績の間に大きな齟齬はない。ただ、有権者から見ると「本人が直接動いた」という実感に欠ける面は否めず、今後は自ら国会で声を上げる場面も必要だろう。
政治改革
「政治改革(政治資金透明化・選挙制度)」については、白坂氏は公約で強いメッセージを発したものの、国会ではこのテーマを取り上げる機会を得られていない。政治資金規正法の改正論議や選挙制度改革は与野党間の調整が難航する課題であり、新人議員が単独で動かせるものではない。
実際、2023年末に政治資金の電子公開を義務付ける法改正が実現した際も、中心となったのは与野党中堅議員で、白坂氏の名前は前面に出なかった。しかし彼女が所属する政治改革特別委員会では、将来的な選挙制度見直しに向けた勉強会が開かれており、地方の声を代弁する立場として裏方で議論に参加している。
政治資金の透明化に関しても、党内倫理委員会で意見を述べるなど影の努力を続けているようだ。したがって現時点では、公約に掲げた改革テーマは「これから」の課題として残っている。本人も「政治への信頼を取り戻すには時間がかかるが必ずやり遂げる」と述べており、長期的視点で取り組む決意といえる。
総括
白坂議員の公約実現度は新人議員としては上々で、与党の政策実現力に乗せる形で公約の多くが前進している。ただし本人の名前が前面に出た成果は乏しく、実績のアピールという点では課題を残す。これは裏を返せば、まだ1期目途中であり今後に伸びしろを残しているとも言えるだろう。
公約全般に政府与党の基本方針と矛盾するものはなく、むしろ与党内で実現可能な範囲に絞って掲げていたため、公約違反のような目立つ未達項目はない。一方で、地元大分の観光や農業振興など彼女固有の重点事項は、国政レベルで具体化するにはもう少し時間がかかりそうだ。
白坂氏自身、2024年7月の次期参院選出馬表明時に「一次産業や中小企業を力強くする」と改めて決意を述べ、公約継続への意欲を示している。したがって、現時点では公約実現に向けた助走期間と位置付けられ、再選を果たして影響力を増すことで初めて本格的に自身の看板政策を花開かせることになるだろう。
参考資料
公式資料: 白坂亜紀参議院議員公式ホームページ(政策・プロフィール)【59】; 自由民主党ホームページ議員紹介ページ【39】
議会資料: 参議院予算委員会質疑項目一覧(第213回国会)【64】; 参議院本会議・委員会会議録
報道資料: 朝日新聞デジタル「参院大分補選、自民の白坂氏が当選 約300票差」(2023年4月)【58】; 大分放送OBSニュース「白坂亜紀氏 来夏の参院選出馬表明 341票差で初当選の現職」(2024年7月31日)【62】; 首相官邸・岸田文雄氏X(旧Twitter)投稿(2023年4月、大分補選応援演説にて白坂氏擁立に言及)【56】
[1]: Jackson @keyu95223492 - Twitter Profile | Instalker [2]: 参院大分補選、自民の白坂氏が当選 一騎打ちの吉田氏と約300票差 - 衆議院議員総選挙(衆院選) [大分県]:朝日新聞 [3]: 白坂亜紀 - Wikipedia