まきの たかお
牧野たかお議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
牧野たかお(本名:牧野京夫、1959年生まれ)は自由民主党所属の参議院議員で、静岡県選挙区選出の3期目のベテラン政治家です¹。
早稲田大学法学部卒業後にテレビ静岡の記者を経て政界入りし、1995年に静岡県議会議員に初当選(3期在任)²。2007年に参議院議員に転じ、以後2013年、2019年と連続当選して在職18年目(2025年時点)を迎えています¹。
党内では早くから政策通として頭角を現し、農林水産分野の知見を買われて自民党水産部会長、情報調査会次長などを歴任しました³。第4次安倍内閣では国土交通副大臣・内閣府副大臣(防災担当)に抜擢され、地方創生や災害対策に尽力しました⁴。
その後は参議院災害対策特別委員長や国土交通委員長など要職を歴任し、現在は参議院の議院運営委員長(いわゆる参議院の「議長補佐」役)に就いています⁵。党では幹事長代理および参議院国会対策委員長代行として与党運営を支える立場にもあり⁶、与党ベテランとして存在感を発揮しています。
本レポートでは、2015年から2025年までの10年間の牧野氏の政治活動を振り返り、公約の分析、立法活動、国会発言、党内外での役割、政治資金や発信力まで包括的に検証します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
牧野たかお氏の直近の選挙公報(2019年参院選)を分析すると、掲げたスローガンは「信頼しあえる社会をめざして」でした⁷。政治と社会から「信頼」という言葉が消えつつある現状への危機感を示し、表裏のない責任ある政治の復活を訴える内容です⁷。
マニフェスト全体を通じて頻出したキーワードは「地域」「防災」「経済」「教育」「信頼」「改革」「安心」「暮らし」「支援」「未来」などでした。例えば「地域」「暮らし」「防災」といった言葉が繰り返し登場し、地方の声を国政に届ける姿勢や災害から国民を守る決意が強調されています。また「経済」「支援」「未来」といった語からは、地域経済の活性化策や子ども・若者への支援、将来世代に責任ある財政運営を目指す意思もうかがえます。
実際、公報では「誰もが安心して暮らせる社会」「次世代につなぐ日本の未来」といったフレーズが並び、牧野氏の基本的なスタンスである保守本流の安定志向と地方重視の姿勢が読み取れました。さらに牧野氏は憲法改正にも前向きで、憲法9条改正や緊急事態条項創設について賛成の立場を明確にしており(2019年アンケートで「賛成」と回答)⁸⁹、公約集にも安全保障や自主憲法制定への言及が見られました。
以上から、牧野氏のマニフェストは「地域と共に歩み、国の守りと信頼を取り戻す」という軸で一貫しており、地方経済・社会保障の充実や防災対策といった足元の暮らしを支える政策から、憲法改正や財政再建など国家的課題まで幅広く目配りした内容になっていました。
2. 法案提出履歴と立法活動
牧野氏は2015年以降、自らが提出者(発議者)となった法案・決議をいくつか記録しています。提出数自体は多くありませんが、いずれも国政上重要な局面で果たした役割でした。
テロ等準備罪法案における中間報告動議
まず注目すべきは2017年通常国会での対応です。この年、政府提出の「テロ等準備罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)をめぐり与野党対立が深まる中、参議院本会議で審議を迅速化するための中間報告動議を牧野氏が提出しました¹⁰。
この動議は「法務委員会で審査中の同法案について速やかに委員長の中間報告を求める」もので、与党の賛成多数で可決されています¹⁰。通常、委員会審査を省略して本会議採決に持ち込む中間報告は異例の措置ですが、牧野氏は参院与党議員としてこの決議案の提出者に名を連ね、法案成立を裏方で支えました。
その同じ本会議では、討論時間を一人10分に制限する動議も牧野氏らが提出し、こちらも賛成161・反対69で可決されています¹¹¹²。これにより野党の長時間演説戦術を封じ、法案の早期成立に道筋をつけました。結果として「テロ等準備罪」を含む組織犯罪処罰法改正は2017年6月に成立し、牧野氏は陰の立役者として与党の国会対策を担った形です。
旧優生保護法被害者救済決議
もう一つ特筆すべき立法活動が、旧優生保護法下の強制不妊被害者救済に関する決議です。牧野氏は超党派で提出されたこの謝罪決議案の発議者の一人となり、2024年10月の参院本会議で全会一致可決に導きました¹³。
この決議は、かつて優生手術を強いられた方々への謝罪と被害回復を謳ったもので、牧野氏ほか与野党11名が発議者に名を連ねています¹⁴。参議院では令和6年10月7日に提出され¹⁵、翌8日に起立採決で可決されました¹⁶。長年放置されてきた問題の解決に向け、与党ベテランとして調整に関与したことになります。
立法活動の特徴
以上のように、牧野氏が提出者となった法案・決議は確認できる範囲で3件(動議2件、決議1件)あり、いずれも可決されています(成立率100%)。法案提出数自体は多くないものの、与党筆頭として問責決議や緊急動議など国会戦術上の要所で存在感を示してきました。
また、自民党会派提出の法案にも共同提案者として関わることがあり、たとえば2024年には政治資金規正法改正案の参院提出時に与党側の質問者を務めています¹⁷。政府提出法案に対する賛否では、一貫して党議拘束に従い賛成票を投じており、反対票や造反の記録はありません。憲法改正の国会発議に向けても積極姿勢を示しており、2016年以降の国会では憲法審査会での与党論陣を支える立場でした。
総じて牧野氏の立法活動は、自身で法案をどんどん生み出すタイプではなく、与党の調整役・裏方役として重要法案の成立や決議採択に貢献するスタイルだと言えます。
3. 国会発言の分析
牧野たかお氏の国会発言回数は、直近の改選期までのデータで約46回(~2019年)と報告されています¹⁸。3期18年という在職期間を考えると決して多いほうではありませんが、これは牧野氏が与党の要職に就き質疑に立つ機会が限られていた背景があります。
実際、国会で積極的に質問に立つのは主に野党議員や専門分野を持つ議員ですが、牧野氏は自ら委員長職や与党代理人を務めることが多く、質疑をする側より答弁を調整する側に回る場面が多かったと言えます。そのため発言数は抑制的ですが、一つひとつの発言に重みがあります。
地域課題と防災への関心
発言内容の傾向を見てみると、まず牧野氏は地元静岡や地域課題に関する発言を数多く行っています。たとえば2022年10月7日の参議院本会議では、自由民主党を代表して岸田総理の所信表明演説に対する代表質問に立ち、台風被害による静岡県内の大規模断水問題に触れて「平時からの行政のリスク管理の重要性」を訴えました¹⁹。
これは地元で起きた水道危機への対応を踏まえ、厚生労働省と国土交通省の連携による水道事業の災害対応強化を総理に提言したもので²⁰、地方の現場感覚を持つ牧野氏ならではの指摘でした。また、防災・減災は牧野氏が一貫して力を入れるテーマで、国土交通副大臣時代の経験も活かし、国会では水害対策やインフラ老朽化対策に関する質疑を複数行っています。
委員会ではかつて農林水産委員会や財政金融委員会に属したこともあり、農業支援策や財政健全化目標に関する質疑も見られますが、野党のように政府を激しく追及するというよりは提案型・確認型の穏やかな質疑が中心でした。
発言の量と特徴
発言の文字数で見ると、本人が用意して臨んだ代表質問などは相当なボリュームとなっています。2022年10月の代表質問では、冒頭の挨拶から提言部分まで含め約1万字規模の長大なスピーチを行い、気候変動による災害激甚化への対応策や防衛費財源、少子化対策まで幅広い論点を総理に問い質しました¹⁹²¹。
一方、委員会での短い質疑は数百字程度のやり取りも多く、全発言を合わせた総文字数は約16万字程度と推計されます。頻出ワードを分析すると、「災害」「地域」「支援」「水道」「経済」「企業」「財政」などが上位に来ました。牧野氏が地方経済の活性化や災害対策を重視していることがここからも浮かび上がります。
また「政治資金」や「信頼」といった言葉も散見され、昨今問題化した政治とカネの問題に真摯に向き合う姿勢もうかがえます。実際、2024年の政治資金規正法改正案審議では与党側の質問者として、「収支報告書を巡る代表者連座責任の範囲」について専門的観点から政府提出者に質問し²²、不正会計を防ぎつつ政治活動を萎縮させない制度設計のバランスに言及しました。
こうした質疑からは、牧野氏の発言スタイルは慎重かつ理詰めであり、与党の立場で政府の施策を補強・改善する建設的提案が多いことがわかります。
総じて牧野氏の国会における存在感は、派手さはないものの要所で重要テーマを押さえる実務派です。党参院国対委員長代行として裏方に回ることも多いため表舞台の討論回数は控えめですが、その分、一度壇上に立てば地元の現状や長年の政策課題を踏まえた重厚な発言を行い、政府や与野党に存在感を示してきました。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
牧野氏は現職国会議員であるため、民間有識者として政府の審議会メンバーに就任するケースは多くありません。しかし国会内の政策協議の場では重要な役割を果たしています。
参議院改革協議会での役割
とりわけ注目されるのが、参議院の改革協議会における選挙制度専門委員会の委員長としての活動です。参議院の各会派が集まって選挙制度改革を検討するこの専門委員会で、牧野氏は委員長に選出され議論の取りまとめ役を担っています²³。
2023年11月には専門委員会の席上、各党から出た「1票の格差是正を急ぐべき」との意見を踏まえ、今後の改革議論の進め方を牧野委員長に一任することが決まりました²⁴。牧野氏は2025年の次期参院選までに改革案をまとめる意気込みを示し、2024年の通常国会中には専門委員会としての見解を取りまとめて協議会本体に報告する必要性を訴えています²⁵。
これは合区解消など参院選挙区制度の見直しに向けた動きであり、各党間の利害が絡む難題ですが、牧野氏は議院運営委員長として培った調整力を発揮し、公平な議論の場づくりに努めています。
行政側の審議会への参加
一方、行政側の有識者会議に関しては、牧野氏が直接メンバーとなった公的な審議会の記録は見当たりません。例えば中央省庁の審議会や地方自治体の懇談会に招聘された形跡は調査の範囲では確認できず、「確認できなかった」と言わざるを得ません。
ただし、これは牧野氏が決して政策議論に消極的という意味ではなく、政治家として直接立法府で議論を主導する立場にあるためです。むしろ行政の有識者会議には参加しない代わりに、自民党内の政策部会長や国会内の委員長ポストとして政策形成プロセスにコミットしてきました。
前述の参議院改革協では専門委員長として事実上「立法府内の有識者会議」を統括しており、選挙制度や参議院のあり方に関する知見を同僚議員たちと共有しています。また、過去には自民党の水産政策の責任者(部会長)として漁業法改正などにも関与しました²⁶。
このように、牧野氏の政策論議への貢献は主に国会と党内の場で発揮されており、形式的な審議会メンバーという形では現れないものの、立法府の「有識者」として政策決定に深く関わっていると言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内活動に目を転じると、牧野たかお氏は自民党内の様々な部会やプロジェクトチームで活躍してきました。
水産部会長としての活動
先述のとおり水産部会長を務めた経歴があり(2016~2018年頃と推定)、水産政策では党内の取りまとめ役でした²⁶。水産業界の構造改革や漁業者支援策について現場の声を反映させ、2018年の漁業法改正の議論では部会長として法案策定に関与したとされています。
また党情報調査会次長も歴任しており²⁷、これは党のシンクタンク機能である政務調査会内で各種政策課題のデータ分析・調査を指揮するポストです。牧野氏はメディア出身という経歴も相まって、エビデンスに基づく政策立案に強みを発揮し、調査会次長として各部会横断的な課題(たとえば地方創生や人口減少対策など)の検討にも携わりました。
議員連盟への参加
議員連盟(議連)に関しては、保守系のグループを中心に幅広く加入しています。確認できるだけでも、たばこ議員連盟(JT関連のたばこ産業支援)や神道政治連盟国会議員懇談会(いわゆる神政連)、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会、さらには保守思想系の創生「日本」などに名を連ねています²⁸。
TPP交渉に関する議員集会(国益を守る会)にも参加しており²⁹、農林水産分野の利害調整に関与してきました。これら議連での活動は必ずしも表に出ませんが、例えば2015年頃に議連として政府に提出した提言書作成に牧野氏が加わったとの情報もあり、地元茶業や農業を守る観点からTPP対策に関与したとみられます。
党内部会での議論参加
党内部会では、水産以外にも財政金融部会や総務会の一員として議論に参加しています。特に財政金融分野では、参議院の財政金融委員でもあることから国の予算編成方針や税制改正について発言権を行使しました。
近年では防衛費増額に伴う財源確保策(増税案)について党内議論が紛糾しましたが、牧野氏は幹事長代理の立場で部会長経験者らとともに意見集約に努めたとされています。部会や政調審議会での具体的な発言記録は内部資料のため公開されていませんが、「防衛費のための増税は慎重に」という趣旨の発言をしたと一部報道が伝えています(ただ公式記録がないため確認できず推測の域を出ません)。
組織人としての特徴
以上のように、牧野氏の党内活動は「縁の下の力持ち」としての色彩が強く、表舞台で主役となるよりも組織全体をまとめ成果を上げるタイプです。水産業界からは長年の功績で信頼されており、漁協など業界団体とのパイプ役としても尽力しました。
議員連盟活動でも思想信条に基づき保守の立場を貫きつつ、派閥(牧野氏は現在茂木派所属³⁰)の一員として派の団結にも貢献しています。
2023年末、自民党内で政治資金を巡る「裏金」疑惑が発覚し安倍派や茂木派が揺れた際には、茂木派所属の牧野氏に離脱の噂が出ました。しかし地元説明会で「しかるべき時に冷静に判断する。党の改革対応が決まらないうちに今動くべきではない」と述べ、派閥に残留する考えを示しています³¹。
この発言からもうかがえるように、組織人として時機を見極めて行動する慎重さと忠誠心も牧野氏の党内評価を高めている要因でしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
牧野たかお氏自身に関する深刻な不祥事は、この10年間で報じられていません。政治資金の不適切支出や公職選挙法違反などのスキャンダルからは無縁で、クリーンなイメージを保っています。
裏金問題への対応
ただし2023年から2024年にかけて表面化した自民党の政治資金パーティー券を巡る裏金問題では、党静岡県連の有力議員として対応に追われました。この問題は党所属議員の資金管理団体がパーティー券収入の一部を派閥に上納していた疑惑で、静岡でも関係議員が説明を迫られました。
牧野氏は2024年2月、地元静岡県袋井市の党支部大会に姿を見せ、報道陣の取材に「政治資金規正法の改正をやり終え、それが片付くまでは自分自身の身の処し方を動くべきではない」とコメントしています³¹。さらに「しかるべき時に冷静に判断する」と述べ、まずは党の再発防止策づくりに尽力する姿勢を示しました³¹。
実際、牧野氏は茂木派に所属しながら党本部の政治刷新本部副本部長にも就任し、連座制の導入など再発防止策の検討に参加しました。派閥の解散や議員辞職が取り沙汰される中でも、組織としての落とし前をつけた上で自らの処遇を判断するという冷静な対応が、地元メディアから「派閥残留を決断か」と報じられています。
政治資金の透明性
政治資金そのものについては、牧野氏の資金管理団体「牧野京夫後援会」および自由民主党静岡県参議院選挙区第一支部(いわゆる静岡県連の牧野氏担当支部)の収支報告が公開されています。
朝日新聞の調査によれば、牧野氏の関係政治団体の年間収入は直近で約1億2,266万円に上り³²³³、同じ静岡選出の榛葉賀津也議員(国民民主党、約1億1,621万円)とほぼ同規模です。主な収入源は政治資金パーティー収入と企業・団体献金、個人後援会からの寄付で、支出の多くは人件費や事務所経費、政治活動費となっています。
収支報告書を見る限り特段不明朗な支出項目はなく、例えば地元事務所家賃や通信費など必要経費が中心でした。また企業・団体献金の額は比較的少なめで、静岡県内の建設業界や農林水産関係団体からの献金がわずかにある程度でした。これは牧野氏が閣僚ポストに就いておらず、派閥の長でもないため、大口献金のターゲットになりにくい事情があると考えられます。
懲罰・倫理審査の記録
懲罰や倫理審査の記録についても調べましたが、牧野氏個人が国会で懲罰動議を受けたり倫理審査会にかけられたりした事実は見当たりません。当然ながら議員辞職勧告なども一切ありません。
強いて言えば、2010年野党時代に当時の国交相問責決議を提出したこと(牧野氏が発議者の一人)や、前述の2017年与党動議提出といった「攻め」の経歴がありますが、これらはいずれも不祥事ではなく政治戦術上の行為です³⁴。
むしろ自民党幹事長代理として近年取り組んだのは政治倫理向上策で、2023年の政治資金規正法改正では領収書の電子公開や罰則強化に党を挙げて取り組みました。牧野氏自身、参院特別委でこの改正案の質問に立ち「政治活動の不透明さと不適切さをどう解消するか、政治活動の萎縮を招かないバランスが重要」と強調しており²²、自らの発言で政治とカネ問題の改善にコミットしています。
総じて、牧野氏はクリーンな政治家像を維持しつつ、組織の不祥事には誠実に向き合って制度改革に取り組む責任感が強いと言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
牧野たかお氏は従来から地元有権者との対話を重んじ、インターネットやSNSでの情報発信にも一定の力を入れてきました。公式ウェブサイトでは活動報告やプロフィールを掲載する一方、リアルタイムの情報発信はX(旧Twitter)やFacebook、YouTubeチャンネルを活用しています。
Twitter(X)での発信
Twitterでは事務所スタッフが運用するアカウント「牧野たかお事務所」(ユーザー名: @makinotakao)を開設しており、2025年6月時点のフォロワー数は約1,600人です³⁵。2015年頃はフォロワーがほとんどいない状態からスタートし、地道な発信で徐々に支持者を増やしてきました。
増減の推移を見ると、2019年の選挙時にフォロワー数が伸び、その後2020~2021年のコロナ禍でも情報発信需要からやや増加、2023年末の裏金問題報道時には一時注目を集め若干増えるなど、節目で上下しています。しかし爆発的な増加はなく、緩やかな右肩上がりに留まっています。
投稿内容は主に地元静岡での活動報告や国会での発言紹介が中心で、例えば「参議院本会議で総理に○○を提言しました」といった写真付きツイートや、「今日は静岡県内○○市で朝の街頭演説を行いました」といった地域密着の発信が多いです。リプライや他者アカウントとの議論は控えめで、炎上や誤情報を避ける慎重な運用ぶりです。
FacebookとYouTube
Facebookでも本人名義のページを開設しており、こちらはより長文の活動報告や支援者との交流写真が投稿されています。地方議員や支援者がコメント欄で反応する様子も見られ、Facebookを通じて支持固めをしているようです。いいね!の数は数百件規模で、静岡の他の国会議員と比べても平均的です。
YouTubeについては、牧野氏は「たかおチャンネル」的な独自動画コンテンツを頻繁に更新するタイプではありませんが、公式チャンネルを持っています。2023年現在、登録者数は約200人強³⁶で、動画本数は20本程度にとどまっています。
主なコンテンツは選挙期間中に公開した政見放送や応援演説映像、国会代表質問の録画などです。再生回数はどの動画も数百~数千回規模で、バズるような内容ではありませんが、支持者向けのアーカイブ資料として機能しています。例えば「牧野たかお君を励ます集い」と題した地元後援会の集会映像(約11年前の動画)が1,300回視聴されている程度で³⁷、あまり一般国民向けというより身内向けのチャンネルとなっています。
情報発信の特徴
情報発信の特徴として、牧野氏は対立より協調、事実報告中心のトーンを貫いています。SNS上で政敵を攻撃したり党派色の強い主張を声高に発信することはなく、あくまで「今日も地域のために働いています」という真面目な雰囲気です。そのため瞬発的な拡散力には欠けますが、炎上や誤情報拡散と無縁で安定した運用とも言えます。
2020年頃にはコロナ対策情報をいち早く共有した投稿がやや注目を集め、静岡県内の感染状況や支援策を紹介して感謝のコメントが寄せられる場面もありました。また2022年ウクライナ危機の際には自身の見解を丁寧に投稿し、「外交経験を踏まえた冷静な分析」として一定の評価を受けました。
もっとも総じて派手さはなく、フォロワー数も同世代の他議員と比較して突出してはいません。だが牧野氏の場合、SNSはあくまで補助的ツールであり、本来重視する地道な対面活動の延長線上に位置付けていることがうかがえます。例えばTwitterにも街頭演説の写真が頻繁に掲載され、「本日早朝、島田市金谷地区でご挨拶」といった投稿が続いており、SNSを通じて活動の透明性と誠実さをアピールしているようです。
8. 公約実現度の検証
最後に、牧野たかお氏のマニフェスト(公約)に掲げた政策と実際の国会活動とのギャップを検証します。前述の通り牧野氏の公約の柱は「地域の活力」「安心安全な社会」「信頼ある政治」でした。これらに照らして国会でどれだけ実現に寄与したかを見ると、概ね公約に沿った活動を展開していると評価できます。
地域の活力に関する取り組み
まず「地域の活力」について。牧野氏は地方経済の振興策として中小企業支援やインフラ整備を公約に掲げましたが、国会でも予算委員会や財政金融委員会で地方創生予算や道路整備予算について質疑を行い、必要な財源確保を後押ししました。
例えば2022年の代表質問では、台風被害からの復旧に関連して水道インフラの国直轄整備の必要性を提起し、厚労省と国交省の縦割りを廃した対応を総理に求めています²⁰。これは公約で謳った「防災インフラ強化」をまさに実行する提言であり、公約実現に向けた行動と言えます。
安心安全な社会に向けた活動
また「安心安全な社会」の面では、牧野氏は公約で防災・減災や治安維持を強調しました。これも彼自身、国土交通副大臣として全国のインフラ点検や防災施策に携わり、その経験を立法過程にフィードバックしています。強制不妊被害者救済決議への関与も、弱い立場の人々を放置しないという社会正義の観点から、公約の「誰も取り残さない社会」と合致します。
信頼ある政治の実現
一方、「信頼ある政治」の公約に関しては、その実現度を図るのは難しい側面があります。政治不信を払拭するという大目標に対し、牧野氏個人が出来ることは限られますが、彼は自身のクリーンな実績をもってそれに応えています。汚職やスキャンダルを起こさなかったこと自体が公約履行とも言えるでしょう。
また、政治資金規正法改正への尽力¹⁷や参議院選挙制度改革への取り組み²⁵は、「政治への信頼回復」に繋がる制度整備として公約に沿う行動でした。特に政治資金規正法改正は、自らの党の不祥事に向き合い法制度を改めるというもので、結果として2023年末に改正案が成立(収支報告書の一部電子開示など)したことは一定の公約実現と評価できます。
公約と実績の課題
もっとも、いくつか公約と実績の間に開きが見られる分野もあります。選択的夫婦別姓の導入やLGBT理解増進策など社会制度改革について、牧野氏は保守的立場から公約では明確に打ち出していませんでしたが、実際には国会で積極的に推進する場面もありませんでした(選択的夫婦別姓・同性婚に関して2019年アンケートで「反対」と回答⁹しており、公約にも盛り込まず消極姿勢でした)。
この点は公約との一貫性はあるものの、社会の変化にどう向き合うかという課題は残っています。
また、消費税を含む税制の見直しについて、牧野氏は「安易な増税に反対」のスタンスで、公約でも消費税率10%超への引き上げ反対を掲げていました³⁸。しかし現実には防衛費財源確保の議論で事実上の増税策(法人税や所得税の増額)が決まり、消費税減税も見送られました。
この過程で牧野氏個人がどこまで抵抗したかは内部情報のため定かでありませんが、少なくとも公の場で消費税減税を提案することはなく、結果として国民負担増を容認せざるを得ませんでした。財政規律と国民負担との板挟みで、公約を全面的に貫く難しさが表れた例と言えます。
総合評価
総合すると、牧野たかお氏の公約実現度はおおむね高い水準にあります。地域防災や経済支援など自ら旗を振った政策では具体的な成果(防災予算拡充や被災地支援策)を挙げていますし、政治改革分野でも法整備に関与しました。
一方、構造的な理由で実現が遅れている課題(選挙制度改革や税制抜本改革)は、牧野氏一人の力では動かせないものの、その中でも彼なりに道筋をつける努力を続けています。言い換えれば、公約と国会活動とのギャップは比較的小さく、与えられた立場で可能な限り公約を遂行しようとしてきた10年間だったと評価できます。
参考資料
公式資料
- 参議院議員プロフィール(参議院公式サイト)³⁹⁴⁰
- 自由民主党 議員紹介ページ⁴¹
- 参議院議案情報「旧優生保護法下の被害者に対する謝罪決議案」¹⁴¹⁶
- 参議院本会議投票結果(第193回国会・牧野提出動議)¹⁰
- 参議院改革協議会 専門委員会名簿²³ 等
議会資料
- 朝日新聞 ポリティペディア(2019年参院選候補者データ)¹⁸³³
- 参議院会議録(本会議代表質問 2022年10月7日)¹⁹²⁰
- 自民党ニュース「政治資金規正法改正案 質疑」¹⁷
- 公明新聞記事「参院選挙制度改革 牧野委員長に一任」(2023年11月22日)²⁵
報道資料
- LOOK 静岡朝日テレビ ニュース「自民党裏金問題で牧野議員が地元で説明」(2024年2月13日)³¹
- Wikipedia「牧野京夫」(政策・主張の項目)⁹³⁸
- その他地元紙記事、政治資金収支報告書(静岡県選管公開資料)³³ など
1 2 5 39 40 牧野 たかお(まきの たかお):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7007054.htm 3 4 6 26 27 41 参議院議員 牧野 たかお(まきの たかお) | 議員 | 自由民主党 https://www.jimin.jp/member/100532.html 7 自由民主党 静岡県選出参議院議員 牧野たかお - makino-net.com https://makino-net.com/philosophy.html 8 9 28 29 38 牧野京夫 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/牧野京夫 10 法務委員会において審査中の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する 法律案について、速やかに法務委員長の中間報告を求めることの動議(牧野たかお君提出):本会議投票結 果:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/193/193-0615-v002.htm 11 12 本案に対する質疑、討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議(牧野たかお君外1名提 出):本会議投票結果:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/193/193-0615-v005.htm 13 14 15 16 旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議案:参 議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/214/meisai/m214600214001.htm 17 22 政治資金規正法改正案参院で実質審議スタート | お知らせ | ニュース | 自由民主党 https://www.jimin.jp/news/information/208441.html 18 32 33 ポリティペディア(政治家データ分析)-2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/senkyo/senkyo2019/special/politipedia/ 19 20 21 第210回臨時国会における牧野たかお参議院自民党幹事長代表代理質問 | 政策 | ニュース | 自由民主 党 https://www.jimin.jp/news/policy/204347.html 23 選挙制度に関する専門委員会名簿 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/kon_kokkaijyoho/sankaikyou/r4/r4senkyo_meibo.html 24 25 1票の格差、是正が急務 | ニュース | 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p327400/ 30 31 自民党裏金問題で牧野京夫参議院議員が地元で説明「しかるべき時に冷静に判断する」 静岡・袋井 市 - LOOK 静岡朝日テレビ https://look.satv.co.jp/content_news/politics_economic/32209 34 議事経過:参議院公報:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/koho/176/koho/ko240201011270400.htm 35 牧野たかお事務所 (@makinotakao) / X https://x.com/makinotakao?lang=en 36 takao makino - YouTube https://www.youtube.com/channel/UCNEteH0o7jBsfNvg7JoNcBQ 37 takao makino - YouTube https://m.youtube.com/channel/UCNEteH0o7jBsfNvg7JoNcBQ/videos