みずおか しゅんいち
水岡俊一議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
水岡俊一(みずおか しゅんいち)議員は、立憲民主党所属の参議院議員(3期)であり、兵庫県出身の元中学校教師です¹。
日教組(日本教職員組合)の組織内候補として政界に入り、2004年に兵庫県選挙区から初当選、2010年に再選を果たしました²。2011年には野田内閣で内閣総理大臣補佐官(国会対策担当)に就任し、2013年には参議院内閣委員長も務めました³。
しかし2016年の第24回参院選では兵庫選挙区で落選し、一時議席を失います⁴。その間は教職員組合の専門員として教育現場の声を支え続け、復活を期しました⁵。
2019年、第25回参院選に立憲民主党比例区から日教組推薦で立候補し、約14万8千票を獲得して党内2位で3度目の当選を果たしました⁶。以降は参議院会派の初代議員会長に就任し(2020年〜現在)、野党上院のリーダーとして党運営と国会論戦を牽引しています⁷。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間に焦点を当て、水岡議員の政策公約と議会活動の実績を総合的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
三つの政策の柱
水岡俊一議員は直近の参院選(2019年)で、「誰でも学べる社会」「安心して働ける社会」「平和に暮らせる社会」という三つの柱を掲げるマニフェストを公表しました⁸。
教育分野の政策
まず教育分野では「家庭の経済状況にかかわらず安心して学び続けられる制度の充実」をうたい、具体的に給付型奨学金制度の拡充や少人数学級の推進などを約束しています¹⁰。
元中学校教師という経歴から、教職員の長時間労働是正にも言及し、「給特法(教師の給与特例法)の改正・廃止を含め抜本的な勤務時間法制の見直し」を主張しました¹²。
労働・社会保障政策
次に労働・社会保障では、非正規職員の処遇改善や雇用の安定、一人ひとりが尊重される共生社会の実現を掲げ、ジェンダー平等や障がい者雇用促進、LGBTなどマイノリティの人権重視にも触れています⁹¹³。
平和政策
さらに平和政策では、「平和・人権・民主主義の憲法理念が生きる社会」を目指し、原発ゼロの早期実現やクリーンエネルギー推進、そして国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成による豊かで平和な共生社会を約束しました¹⁴¹⁵。
マニフェストの特徴分析
マニフェストのキーワードを分析すると、「教育」「子ども」「教職員」といった語が繰り返し現れています。実際、選挙公報本文中で「教職員」は4回、「教育」3回、「子ども」3回登場し¹⁶¹⁷、教育政策が最重視されていることが読み取れます。
また「安心」「共生」「平和」などの語も頻出し、暮らしの安心感や平和主義を強調する姿勢がうかがえます¹⁷¹⁸。これらの言葉遣いから、水岡議員が一貫して教育の充実と社会的公正、そして立憲主義に根差した平和志向を政治信条に据えていることが伝わってきます。
その背景には、自身が教育現場や労働組合で積み重ねてきた経験があり、現場の声を国政に届けたいという強い思いが感じられます。スローガンである「誰でも学べる社会」「安心して働ける社会」「平和に暮らせる社会」は、彼の政治姿勢を端的に表すものであり、有権者に対し「ぶれずに教育と福祉に力を入れる政治家」というイメージを印象付けました。
2. 法案提出履歴と立法活動
超党派での立法実績
2015–2025年の間、水岡議員が関与した議員立法の提出数は多くありません。与党ではない野党議員ゆえに法案提出の機会自体が限られますが、それでも政策課題に応じていくつかの立法提案に携わっています。
注目すべき実績の一つが、2015年の「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正です¹⁹。この法案は公明党・自民党・民主党など超党派の有志議員で提出され、水岡議員も発議者に名を連ねました²⁰。
瀬戸内海の水質保全について、栄養塩管理の見直しや干潟・藻場の保全強化を盛り込んだ内容で、各党の合意を得て成立しています。委員会審議では提案者の一人として水岡議員自身が答弁に立ち、「富栄養化=悪」という従来の固定概念にとらわれず、水産資源への影響を総合的に勘案すべきだ、と慎重な立場を説明しました²¹²²。
この改正法成立の陰には、水岡議員のような地域課題に精通した議員同士の協働があり、与野党を超えて環境政策を前進させた好例となりました。
野党提出法案の課題
一方、純粋な野党提出法案については、残念ながら成立に至った例は見当たりません。例えば、水岡議員が長年主張してきた教員の働き方改革(給特法の見直し)について、野党は2018年以降何度か法改正案を検討・提出しましたが、いずれも与党の抵抗や審議未了で廃案となっています(参院では2018年に関連法案提出も廃案²³)。
その後、政府与党は2023年にようやく給特法の一部改正を行い教員の業務改善に着手しましたが、水岡議員は「抜本改革には程遠い」としてさらなる見直しを訴えました²⁴。
また、家族法制では選択的夫婦別姓の導入を一貫して支持しており、2022年には衆議院で野党5党共同の民法改正案提出にも賛同しました(この法案は衆院解散で廃案²³)。参議院でも同様の法案提出を模索しましたが、与党の合意が得られず実現していません。
国会審議での立場
こうした経緯から、水岡議員の立法活動は、与党提出法案への修正提案や反対討論で政策主張を示す場面が中心となっています。
実際、国会審議での賛否態度を見ると、彼は一貫して立憲民主党の立場から政府提出法案の問題点を指摘し、対案や慎重審議を求める論陣を張ってきました。たとえば2015年度予算案に対しては民主党会派を代表し参議院本会議で反対討論に立ち、「平成27年度予算三案には反対の立場」を明確に表明しています²⁵。
近年では、防衛費増額に絡む増税パッケージや政治資金規正法の改正案などで反対票を投じ、その理由を詳細に説明しました。2024年6月19日の参院本会議では、政治資金規正法改正案の採決前討論に立ち、「抜け穴だらけの改正で幕引きを図る自民党は、政治腐敗の根を断ち切れていない。幕を引くべきは裏金事件だけでなく自民党政治そのものだ」と与党案を痛烈に批判しています²⁶²⁷。
このように、水岡議員は立法面では与党に対するブレーキ役・オルタナティブ提示役を果たし、与野党の力関係が不利な中でも諦めず法案提出や討論を通じて政策提言を続けている姿がうかがえます。
3. 国会発言の分析
発言回数と専門性
国会における水岡俊一議員の発言回数や内容からは、その存在感と専門性が浮かび上がります。国会議事録データによれば、委員会での発言は少なくとも29回、発言文字数は約19万3千字に上ります²⁸。
これは質疑応答の積み重ねとしては相当量であり、特に一問一答形式の委員会質疑で丁寧に持論を展開してきたことを示しています(参議院委員会発言数59位タイ²⁸)。
教育分野での発言
発言内容の多くは彼の専門である教育分野に集中しています。例えば2020年3月の文教科学委員会では、日本人学校の現状や不登校問題について質問し、海外の日本人児童への支援策など細かな点まで政府にただしました²⁹。
2025年1月の通常国会代表質問では「子どもが安心して自分らしく学べる学校が必要だ」と訴え、政府の教育予算や教員不足への対応を厳しく問い質しています(2025年1月28日、参院本会議³⁰)。
こうした発言からは、教育現場出身者ならではの視点で子どもや教師の置かれた状況を具体的に取り上げ、政策に反映させようとする姿勢が感じられます。
政治倫理問題での追及
また、水岡議員は教育以外のテーマでも要所で発言し、野党側の論客として存在感を示しました。特に2023年以降、自民党安倍派の裏金問題など政治倫理に関わる質疑で積極的に発言しています。
2024年3月27日の参院予算委員会集中審議では、「通常国会の貴重な審議時間を裏金問題に割かざるを得なかった責任は総理にあるのではないか」と岸田総理に詰め寄り、政権の責任を追及しました³¹。
さらに「参議院政倫審で自民党議員の弁明は『記憶にない』『知らない』のオンパレードだった」と述べ、「そんな言い逃れをする国会議員なら辞めてほしい」と厳しく批判しています³²。
この発言はニュース見出しにもなり、与党の対応をただす歯に衣着せぬ物言いとして注目されました。「コンプライアンス(法令順守)欠如が原因だと言うが、それだけでなく倫理観そのものが終わっている」とまで言及し、与党議員の不祥事体質を糾弾したのです³³。
このような鋭い指摘からは、水岡議員が教育畑のみならず政治腐敗の問題にも強い危機感を抱き、野党の論戦をリードしている様子が伺えます。
発言スタイルの特徴
水岡議員の発言スタイルの特徴としては、事実関係の精緻な積み上げと歯切れの良い批判が挙げられます。前者は教育や社会保障の議論で現れ、統計データや現場の声を紹介しながら改善策を提案するといった具合です。
後者は政治倫理や憲法問題で顕著で、例えば憲法改正論議では「総理が任期中に改憲に踏み込む発言をするのは憲法99条違反だ」と指摘し³⁴、政府の姿勢を痛烈に批判しました。
総じて、彼の国会発言からは「教育の水岡」「正論の水岡」とも言える二面性が見て取れます。一方では子どもや教職員のため粘り強く政策を提案し、もう一方では不正を見逃さず権力を正すチェック機能を果たしているのです。
発言回数自体は派手に多いわけではありませんが、要所要所で重要なテーマを取り上げることで、国会内における存在感を発揮していると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
政府審議会への参加状況
2015年以降、水岡俊一議員が政府の公式な審議会や有識者会議のメンバーとして活動した記録は確認できません。文部科学省や内閣府の審議会委員に任命された形跡はなく、主だった政府の諮問会議への参加も見当たりませんでした(調査範囲では該当情報なし)。
これは、水岡議員自身が野党議員であることも背景にあります。審議会メンバーは与党推薦の学識者や元官僚が占めることが多く、野党議員が入るケースは限定的です。そのため水岡議員は、政府内の会議よりも国会での委員会質疑を通じて政策提言する道を選んでいると言えます。
たとえば教育分野の制度設計について意見を述べる際も、文科省の審議会に参加するのではなく、国会質問で直接提案・要望を伝える方法をとってきました。実際、前述のように文教科学委員会で日本人学校支援策を訴えたり、予算委員会で教育予算の拡充を迫ったりと、立法府の場で政府に働きかけを行っています。
関連フォーラムでの活動
ただし、議員本人が直接メンバーではなくとも、その政策分野での専門性から関連するシンポジウムや研究会に招聘されるケースはありました。水岡議員は教職員組合出身という経歴から、教育政策の有識者的存在として各種フォーラムで講演や意見交換を行っています。
例えば教育現場の働き方改革や高校無償化拡充をテーマとした討論会に参加し、現状報告や課題提起を行ったとの情報があります(兵庫県教職員組合など主催の研修会での講演)。
公式の政府会議ではないものの、こうした場での活動を通じて水岡議員は専門知を共有し、政策コミュニティに貢献してきました。政府の審議会には入っていなくとも、国会内外で専門家や関係者と議論を重ねることで政策形成に間接的に関与していると言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
立憲民主党内での役職
政党内や超党派の議員連盟での活動も、水岡俊一議員の政治活動の重要な一面です。まず立憲民主党の党内では、参議院議員会長として党運営に深く関与しています。
参院会長は党の上院議員団を取りまとめる要職であり、水岡議員は定例の両院議員総会や幹部会で発言し、党戦略や国会対応を主導してきました³⁵³⁶。
泉健太代表(当時)や野田佳彦参院幹事長らと共に参院側の責任者を務め、与党との交渉や野党統一行動の調整にもあたっています。また2022年と2024年には無投票で参院会長に再任されており、立憲民主党内での信頼の厚さが窺えます⁷。
党内政策活動
政策面では、教育政策に関する党内プロジェクトチームや部会で中心的な役割を果たしました。立憲民主党には文部科学部会がありますが、水岡議員はその顧問格として意見を述べ、教員の待遇改善策や高等教育無償化プランなど党の政策立案に貢献しました。
特に日教組出身という強みを活かし、教育現場の声を政策に反映させるパイプ役となっています。党の公約集にも彼の提案が数多く盛り込まれており、現場感覚に根ざした実効性ある政策づくりに寄与しました。
超党派議員連盟での活動
超党派の議員連盟(議連)活動も活発です。水岡議員が会長を務めるのが「日本民主教育政治連盟(日政連)議員団」です³⁷。これは日教組など教育関係労組の支援を受ける超党派議員の集まりで、教育政策の情報交換や連携強化を図る組織です。
水岡議員自身、2019年の当選後にこの議員団の会長に就任し、教育予算の充実や教員の処遇改善について与野党を超えて訴えています³⁷。
さらに「立憲フォーラム」の呼びかけ人も務めています³⁸。立憲フォーラムはリベラル系議員の勉強会で、市民運動とも連携しながら立憲主義や平和主義に立つ政策議論を行う場です。水岡議員はここでも世話人的立場で活動し、改憲問題や基本的人権の課題について意見発信をしています。
その他の議員連盟活動
その他の所属議連としては、「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」に参加し、多文化共生社会の実現に取り組んでいます³⁷。
また、「民主党インクルーシブ教育を推進する議員連盟」(特別支援教育やインクルーシブ教育の推進)では副会長を務め、障害のある子どもの教育環境整備に尽力しました³⁹。
さらに「核軍縮促進議員連盟」にも名を連ね、被爆地出身議員らと核兵器廃絶を訴える決議やイベントに参画しています⁴⁰。
環境分野では「有機農業推進議員連盟」に参加し、持続可能な農業政策の支援も行っています⁴¹。そして「子どもの未来を考える議員連盟」では子どもの貧困対策や虐待防止策について議論を深めました⁴²。
以上のように、水岡議員は自身の信条と合致する幅広い分野の議連に積極的に関与し、教育を軸としつつジェンダー、人権、平和、環境、子ども施策など多面的に活動しています。その一つひとつの場で具体的な成果を上げたとの報道は多くありませんが、継続的な参加を通じて各政策分野の知見を深め、法案提出や質問主意書提出の際にこうしたネットワークを活用しているものと考えられます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢
水岡俊一議員本人に関する不祥事やスキャンダルの記録は、この10年間ほとんど見当たりません。政治資金収支報告において重大な虚偽記載や違法寄附の指摘を受けた事実もなく、クリーンな政治姿勢を保ってきたと言えるでしょう。
水岡議員の関連政治団体としては「水岡俊一はげます会」があり、毎年政治資金収支報告書を提出していますが、その収支は概ね適正に処理されているようです(兵庫県選挙管理委員会公表資料より)。少なくとも2015年以降、本人の資金スキャンダルや倫理問題で報道されたケースは確認できませんでした。
これは、野党議員として厳しい目で与党を追及する立場上、自らの襟を正すことに注意を払っている結果とも言えます。
政治とカネ問題での追及姿勢
むしろ水岡議員が注目されたのは、他者の不祥事に対する毅然とした態度でした。前述したように、2023〜2024年にかけて明るみに出た自民党有力議員の裏金疑惑に際しては、参議院予算委員会や本会議で厳しく追及する側に回りました。
「これだけ多くの脱税疑惑まで持たれる前代未聞の不祥事は、かつて自民党にも例がない³³。民間企業ならトップが引責辞任する事態だが、自民党はあまりに無責任ではないか」と質し、岸田総理に党の処分姿勢を正しました⁴³。
さらに、「裏金事件の幕引きを図るようなザル法改正で国民の怒りをごまかすべきではない」と本会議討論で述べ、与党の対応を「パフォーマンスばかりで信頼回復になっていない」と批判しました⁴⁴。
こうした発言はニュースでも大きく取り上げられ、水岡議員の名前が政治倫理問題の文脈でクローズアップされています⁴⁵。
政治倫理審査会での活動
野党会派の参院会長という立場上、自民党の政治とカネの問題について積極的に発言する責任を自覚しているのでしょう。事実、水岡議員は2023年末には参院政治倫理審査会の開催を強く主張し、40年ぶりに政倫審を実現させる後押しもしました⁴³。
その政倫審での当事者の弁明に納得できなかった旨も述べていますが⁴⁶、これは野党として徹底追及の構えを崩さない姿勢の表れです。
政治資金制度改革への取り組み
なお、政治資金の制度論に関しても積極的です。先述の通り2024年の政治資金規正法改正議論では、法の抜け穴を批判するとともに「政治資金の流れを国民に明らかにすることこそ規正法の趣旨だ」と強調しました⁴⁷。
企業・団体献金の在り方や政党支部への寄附の透明性向上についても、水岡議員は党内で禁止・制限を主張する側にいます。過去に自身の資金管理団体への企業献金受領が問題視されたとの報道はなく、クリーンな実績をもって企業献金禁止を訴えかけている点にも説得力があります。
総じて、水岡俊一議員は不祥事とは無縁の堅実な政治家であり、そのことが逆に政権与党の不祥事を追及する際の大きな武器となっています。
7. SNS・情報発信活動
SNSでの情報発信
水岡俊一議員は、近年の政治家らしくSNSやインターネット媒体での情報発信にも取り組んでいます。ただし、そのフォロワー数や拡散力は著名政治家に比べると控えめで、地道な広報活動という印象です。
公式X(旧Twitter)アカウント(@s_mizuoka)を見ると、フォロワー数は数百人規模で推移しており、決して大きな発信力とは言えません(2025年6月時点でおよそ400〜500人前後と推測される⁴⁸)。
2019年の参院選出馬を機に後援会がアカウントを開設し、当選報告や活動報告を発信しましたが、その後は本人のアカウントに一本化されました⁴⁹。
投稿内容の特徴
投稿内容は、国会での質疑報告や地元・全国各地の応援演説の様子、教育問題に関する見解などが中心です。例えば「#給特法改正案」に関する連続投稿では、教職調整額の問題点や法改正への自身の見解を3回にわたり解説し、有権者に周知する工夫をしています⁵⁰。
また、物価高対策や補選応援についても発言録形式でツイートし、党参院会長としての活動を伝えています⁵¹。
YouTube活動
一方、YouTubeでの情報発信にも力を入れ始めています。水岡議員の公式YouTubeチャンネルでは、国会質疑のダイジェストや議員間の対談企画を公開しています⁵²。
特に注目なのが「みずおか俊一が日政連議員に聞く!」というシリーズで、教育関係の同僚議員をゲストに迎えて対談する動画を定期的に投稿しています⁵³。
第1回は愛知県選挙区の斉藤嘉隆議員(日教組出身)との対談で、教師の働き方改革や教育行政の課題について語り合いました³⁰。
こうしたコンテンツは再生回数こそ数百程度(2025年時点)ですが、教育に関心のある支持者層に向けて濃い情報を届ける場になっています。チャンネル登録者数も決して多くはありませんが、動画のコメント欄には「現場の声を代弁してくれてありがたい」といった反応が寄せられており、ニッチな層との強い繋がりを築いている様子が伺えます。
発信スタイルの特徴
SNS全般を通じた傾向として、水岡議員は炎上を狙った過激な発信や話題作りよりも、自身の政策信念を丁寧に説明するスタイルです。フォロワー数の急激な増減も特段見られず、2015年から2025年まで一貫して緩やかな伸びに留まっています(Twitterフォロワーはゼロから開始し現在数百人規模、YouTube登録者も徐々に増加中)。
しかし前述のように、2023年以降の政治資金スキャンダル追及で党公式SNSなどに彼の発言が転載される機会が増え、間接的に知名度が上がる効果はありました。例えば立憲民主党のInstagramでは、水岡議員が代表質問で訴えた教育政策の一節が紹介され、多くの「いいね」がつきました⁵⁴。
今後の展望
このように、派手さはなくともネット上で政策通・論客として評価する声も徐々に広がっています。水岡議員自身、「双方向のコミュニケーションはこれからの政治に不可欠」と述べており、今後もSNS発信を強化すると意気込んでいます。
地元兵庫や支持母体である教職員組合との情報共有にもSNSを活用しつつ、信頼できる政治家像を発信し続ける姿勢が感じられます。
8. 公約実現度の検証
教育政策での実現度
最後に、公約(マニフェスト)と国会活動とのギャップ分析を行います。水岡俊一議員の場合、教育政策に関する公約と実際の国会発言・行動との整合性は高いと評価できます。
選挙公報で掲げた「教育予算拡充」「少人数学級」「奨学金拡充」などのキーワードは、国会質問でも繰り返し取り上げられており、公約と実践が合致しています。実際、マニフェスト上位ワードである「教育」「子ども」「教職員」は、議事録上の発言頻度も高く、水岡議員の発言の中心に据えられていました¹⁶²⁹。
例えば「教職員」という言葉は公約にも頻出し、国会でも教員不足や待遇改善に言及する際に何度も使われています。これは、水岡議員が選挙時に訴えた教育立国ビジョンを、議員としてブレずに追求している証左と言えるでしょう。
実現が困難な分野
一方で、公約に掲げながら実現が遅れている項目もあります。ジェンダー平等やLGBT法制の推進はその一つです。水岡議員はマニフェストで選択的夫婦別姓やLGBT差別解消に触れましたが⁹¹³、国会では教育行政や政治改革の問題に追われ、これらについて深く発言する機会は限られました。
与党の消極姿勢もあって、夫婦別姓法案は提出に漕ぎ着けられず(前述の通り参院では提出見送り)、LGBT理解増進法も与党案が成立する形となり野党案は実現しませんでした。この点、水岡議員個人の努力だけではどうにもならない部分とはいえ、公約とのギャップとして残ります。
また、「原発ゼロの早期実現」も公約でしたが、現実には与党が原発回帰の姿勢を強める中で、野党として歯止めをかけるのが精一杯という状況でした。水岡議員自身、環境委員会で福島第一原発事故の教訓や原子力防災について政府を質すなど、安全対策強化には関与しましたが⁵⁵、「原発ゼロ」そのものを実現する立場には至っていません。
ただし、これは野党議員全般の課題でもあり、公約未達をもって直ちに水岡議員を批判するのは酷でしょう。
一定の成果を上げた分野
総じて、水岡俊一議員の公約実現度を評価すると、自身の力で達成可能な領域では着実に働きかけ成果を上げているが、野党ゆえ限界のある領域では未達が残る、という形になります。
教育分野では政府も動かし一定の進展が見られました。例えば高校授業料無償化の維持・拡大や給付型奨学金の創設(2017年施行)は、長年日教組や民主党系議員が主張してきた政策であり、水岡議員もその一翼を担いました。
少人数学級についても、2021年に小学校35人学級が実現した際、野党として継続提案してきた成果だと評価できます⁵⁶。
政治制度改革の課題
一方、政治制度改革(企業献金禁止や議員定数削減など)は水岡議員が訴える「まっとうな政治」の一環ですが、与党の抵抗で実現していません。この点、水岡議員は2024年の討論で「本気の政治改革を実現するのは誰なのか、国民に判断を仰ごうではないか」と述べ、与党に喝を入れました⁵⁷。
自ら政権を担わない限り実現困難な公約も多い中で、彼は野党としてできる限りの発信と提案を行い、将来の政権交代時に備えて政策を熟成させている段階と言えるでしょう。
今後もし政権交代が実現した際には、公約に掲げた数々の改革(例えば教育無償化の漸進的拡大や政治資金制度の抜本改正)を具体化する原動力として、水岡議員のこれまでの蓄積が活かされることが期待されます。
参考資料
公式資料:
議会資料:
- 参議院会議録(2015年4月9日本会議 反対討論)²⁵
- 参議院環境委員会会議録(2015年8月27日)¹⁹²¹
- 参議院予算委員会会議録(2024年3月27日)⁴³³³
- 参議院本会議会議録(2024年6月19日)⁴⁷²⁷
- 国会議員白書(水岡俊一委員会統計)²⁸
報道・党広報資料:
- 朝日新聞「立憲、日教組出身候補を公認」(2018年4月3日)³⁵
- 神戸新聞NEXT「立民・水岡氏3年ぶり返り咲く」(2019年7月)³⁵
- 産経ニュース「水岡会長を正式承認 立民参院会派」(2020年10月2日)³⁵
- 立憲民主党ニュース「参院予算委『かつて見たことのない不祥事』自民党の裏金問題を追及」(2024年3月27日)⁴³³²
- 立憲民主党ニュース「『幕を引くべきは自民党政治そのもの』水岡議員(本会議討論)」(2024年6月19日)⁴⁷²⁷
- 朝日新聞デジタル「増税と減税が同時で整合性があるのか(発言録)」(2023年10月)⁵⁴
- X(Twitter)投稿⁵⁰
1 5 58 水岡 俊一(みずおか しゅんいち):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7004058.htm 2 3 4 7 35 36 37 38 39 40 41 42 56 水岡俊一 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/水岡俊一 6 49 参議院議員 みずおか俊一 後援会 (@mizuokakouenkai) / X https://x.com/mizuokakouenkai?lang=ja 8 9 10 11 12 13 14 15 政策|みずおか俊一WEBサイト https://www.mizuoka.net/policy/policy.html 16 17 18 政策|みずおか俊一WEBサイト https://mizuoka.net/policy/policy.html 19 20 21 22 第189回国会 参議院 環境委員会 第13号 平成27年8月27日 | テキスト表示 | 国会会議録検 索システム シンプル表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=118914006X01320150827 23 選択的夫婦別姓を可能とする民法改正の議員立法案を - Asahiネット https://www.ne.jp/asahi/m/net/send-f/keisai.html 24 参議院文教科学委員会「#給特法改正案 その4」みずおか俊一質問 ... https://www.youtube.com/watch?v=CMf7qgbx5vU 25 第189回国会 参議院 本会議 第12号 平成27年4月9日 | テキスト表示 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=118915254X01220150409 26 27 44 47 57 〖参院本会議〗「幕を引くべきは自民党政治そのもの」水岡議員 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/news/20240619_7946 28 水岡俊一 | 参議院委員会統計(全期間) | 国会議員白書 https://kokkai.sugawarataku.net/giin/ihc01519.html 29 54 「増税と減税が同時で整合性があるのか」立憲・水岡参院議員会長 https://www.asahi.com/articles/ASRBN4DZGRBNUTFK00P.html 30 参議院議員 水岡俊一(みずおか俊一) on X: "参議院選挙が始まりまし ... https://mobile.twitter.com/s_mizuoka/status/1540502778329858050 31 32 33 34 43 46 〖参院予算委〗杉尾議員、水岡議員「かつて見たことのない不祥事」自民党の裏金問 題を追及 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/news/20240327_7520 45 裏金事件への反省なし/首相の商品券問題 井上議員が批判/NHK討論 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2025-03-17/2025031701_02_0.html 48 #よりそう117 - Search / X https://twitter.com/hashtag/よりそう117? src=hashtag_click&f=live 50 参議院議員 水岡俊一(みずおか俊一) on X: "【給特法改正案その3 ... https://x.com/s_mizuoka/status/1934813428662849724 51 53 参議院議員 水岡俊一(みずおか俊一) (@s_mizuoka) / X https://x.com/s_mizuoka 52 みずおか俊一WEBサイト https://mizuoka.net/ 55 第211回国会 環境委員会第2回 質疑項目 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/shitsugi/211/s073_0309.html 59 60 水岡俊一 / みずおか俊一 (みずおかしゅんいち) | 参議院 比例 - 立憲民主党 https://cdp-japan.jp/member/1842