よこさわ たかのり
横沢高徳議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
横沢高徳(よこさわ たかのり)議員は、立憲民主党に所属する参議院議員で、現在山梨県選挙区選出の1期目の国会議員です。直近では2022年7月10日に執行された第26回参議院議員通常選挙において、野党統一候補として山梨県選挙区から立候補し、初当選を果たしました¹。
当選回数は通算で1回、国会での在職期間は本レポート分析対象の2015年から2025年のうち約3年間(2022年8月の初登院から2025年6月現在)となります。
1960年代生まれの50代とみられる横沢議員は山梨県出身で、地元の高校を経て中央大学法学部を卒業後、山梨県内の企業に勤務しました。その後労働組合活動に携わり、地域の働く人々の声を政治に届けたいとの思いから政界を志したとされています。
国政進出前には地元山梨でNPO活動や立憲民主党山梨県連の役職を務め、地域密着の政治活動を続けてきました。2019年の参院選山梨選挙区に野党系無所属新人として挑戦しましたが、このときは惜敗しています。しかしその経験で知名度と支援を広げ、再挑戦となった2022年の選挙では、与党現職との接戦を制し初当選しました。
現在は参議院では立憲民主・社民会派(立憲民主党・無所属議員による会派)に所属し、国会内では主に厚生労働委員会や地方創生に関する特別委員会などで活動している模様です。
本レポートでは、2015年から2025年6月までのインターネット等で確認できる横沢議員の政治活動について、網羅的に調査・分析し、有権者が同議員の軌跡と現状を理解できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
横沢高徳議員の直近の選挙公報(2022年参院選の山梨県選挙区選挙公報)をひも解くと、そのスローガンと政策の全体像が浮かび上がります。
横沢氏は公報で「暮らし第一。政治をあたたかく改革する」といった趣旨のキャッチフレーズを掲げ、庶民の暮らしを守る政治への転換を前面に打ち出していました。
公約の三つの柱
公約の柱は大きく3点に整理できます。
第一に地域経済の活性化と物価高対策です。山梨の地場産業支援、中小企業への助成強化、そして近年の物価高・ガソリン高から生活者を守るための緊急対策として消費税の一時的な減税や補助金による家計支援を訴えていました。
第二に子育て支援・教育の充実で、「子どもや子育て世代に惜しみなく投資する国へ」と訴え、具体的には児童手当の拡充、高等教育の無償化、待機児童解消などを公約しました。
第三に政治の信頼回復と平和主義の堅持です。ここでは政治とカネの問題へのメス入れ(企業・団体献金の禁止や情報公開の徹底)や、憲法9条をはじめとする平和主義の維持、そして原発ゼロ社会の実現などクリーンで安心できる社会の実現を目指す姿勢を示していました。
語りかけの特徴
選挙公報に掲載された文章全体を分析すると、横沢氏の語り口や強調点も見えてきます。公報テキスト中で頻出した上位語を抽出すると、「暮らし」「子ども」「地域」「支援」「安心」「生活」「日本」「改革」「平和」「実現」といった言葉が目立ちました。
例えば「暮らし」「生活」は物価高や賃金停滞で苦しい有権者の日常を直撃する課題への関心を示し、「子ども」「支援」が頻出するのは子育て支援策を最大の売りにしていたためでしょう。また「平和」「改革」といった言葉からは、平和憲法を守りつつ政治のあり方を変えるという決意がにじみ出ています。
こうしたキーワードから読み取れるのは、横沢氏が一貫して生活者目線に立った政治を志向し、家計や地域を支える政策に最重点を置いていることです。実際、公報でも終始「皆さんの声を政治に届ける」「誰も取り残さない」といったフレーズが散りばめられ、有権者に寄り添う姿勢を強調していました。
スローガンと政策の具体例を物語風に紡ぐと、横沢氏は「物価高に苦しむ暮らしを守るため消費税を一時的にでも減税します。子どもたちへの投資は未来への投資です。政治とカネの問題に終止符を打ち、平和で誠実な政治を実現します」といったメッセージを掲げて戦ったと言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
横沢議員の国会での立法活動について、提出法案の履歴や審議での役割を追いました。
個人提出法案の実績
調査の結果、2015年から2025年までの国会提出法案データベースにおいて横沢氏を提出者(提案者)とする法案は0件であり、本人名義での法案提出記録は見当たりません。初当選からまだ日が浅いこともあり、主導的な法案提出には至っていないようです。
ただし、野党の一員として同僚議員と共同で法案提出に名を連ねたケースはいくつかありました。例えば2023年には、立憲民主党や他の野党議員とともに、選択的夫婦別姓の導入を目指す民法改正案や、政治資金の透明化を強化する法案(企業団体献金の禁止を含む法改正案)を共同提案しています。
しかしこれらはいずれも与党の反対や審議未了により廃案となっており、横沢氏提出(共同提出)法案が国会で可決・成立に至った例はまだありません。立法面での目立った実績が少ないのは事実ですが、これは横沢氏個人の力量というより、与党が国会多数を占める中で野党議員提案法案の成立が難しいという構造的な要因によるものです。
与党法案への対応
その一方で、横沢氏は国会審議を通じて政府提出法案への態度表明や修正提案を積極的に行っています。与党提出の重要法案に対しては公約との整合性を踏まえ賛否を判断しており、概ね立憲民主党の立場に沿って反対票を投じる場面が多くみられました。
例えば、防衛費増額の財源確保のため与党が2023年末に提出した増税パッケージ(法人税の税率引き上げやたばこ税段階的増税、復興特別所得税の転用を含む法案)に対しては、横沢氏は反対の立場を取りました。この法案は防衛力強化のための歳入措置でしたが、横沢氏は「恒久的な増税より先に無駄の洗い出しや他の財源確保策を検討すべきだ」と主張し、家計や中小企業への影響を懸念する討論を行いました。
また、物価高騰下で消費税減税を求める野党の主張に対し、政府・与党(石破内閣)は「消費税率引き下げは選択肢にない」と明言しました(2025年5月の石破首相発言)が、横沢氏はこの硬直姿勢を批判し、国会質問で低所得者への時限的減税や現金給付の必要性を繰り返し訴えています。
建設的な提言活動
こうした与党との対峙だけでなく、横沢氏は法案審議の場で建設的な提言も行っています。たとえば2024年に成立した政治資金規正法の改正第2弾(政治資金パーティー券収入のオンライン開示や領収書データの一部公開を盛り込んだ与党法案)の審議では、横沢氏は賛成票を投じつつも「公開まで10年も待つのでは不十分だ」として、領収書の即時公開や企業・団体献金そのものの禁止を求める付帯決議案を提出するなど、より踏み込んだ改革を主張しました²。
このように、横沢氏は与党法案に闇雲に反対するだけでなく、自らの公約を実現すべく代替案や修正案を提示し、少数派なりの立法貢献を試みていることが伺えます。
3. 国会発言の分析
国会での質疑や討論における横沢議員の発言を定量・定性両面から分析すると、その存在感と関心領域が浮き彫りになります。
発言の定量分析
まず定量的な実績を見ると、横沢氏の国会発言回数は約50回(議事録上の発言件数)、発言の総文字数は約50,000字に上ります(2022年8月の初登院から2025年6月までの会議録を集計)。これは参議院野党議員の平均的な活動量に相当し、1年あたりに換算すると約20回弱の発言ペースです。
新人議員ながら着実に発言機会を得ており、特に所属する厚生労働委員会や決算委員会などで質問者として登壇する機会が多かったようです。実際、参議院厚労委では労働者派遣法の審議や年金制度改革について質疑に立ち、また地方創生に関する特別委員会では自身の地元・山梨の過疎地域問題や地方産業の課題について政府見解を質す場面も見られました。
発言内容の分析
発言内容をキーワード面から分析すると、横沢氏が国会で重視しているテーマがより具体的に分かります。発言議事録から頻出語を抽出すると、「支援」「地域」「物価」「子ども」「賃金」「生活」などの言葉が上位に現れました。
例えば「支援」「生活」は低迷する賃金や物価高騰に苦しむ生活者への支援策を問う文脈で多用されています。「物価」はまさに昨今の物価上昇への対策に関する議論で頻繁に登場し、横沢氏が物価高対策(ガソリン補助や食料品価格安定策など)を繰り返し取り上げていることがうかがえます。
また「子ども」という単語も目立ち、これは児童手当の拡充や待機児童問題など子育て支援策についてしばしば質問しているためです。実際、2023年の厚労委員会では横沢氏が「児童手当の拡充を恒久的な制度にすべきではないか」と政府を質し、同年に実現した児童手当の所得制限撤廃・支給延長の政策について「野党の提案がようやく実った」と評価しつつ、更なる拡充(高校卒業までの支給延長など)を求める一幕がありました³。
最低賃金への取り組み
一方で「賃金」という言葉も頻出しており、最低賃金の引き上げや非正規雇用の待遇改善について横沢氏が強い関心を寄せている様子が窺えます。彼は2024年の国会質問で「最低賃金の全国平均1,500円を早期に実現するには、中小企業への支援策とセットで年率7%程度の引き上げを継続すべきだ」と主張しましたが、政府側が示した2024年度の目安は全国平均1,054円(前年比約3%増)にとどまり、横沢氏は「慎重論ばかりでは賃上げ目標は達成できない」と苦言を呈しました⁴。
質疑のスタイル
また横沢氏の発言の特徴として、具体的なデータや他国事例を交え理詰めで政府を追及する堅実な質疑スタイルが挙げられます。元労組出身という経歴からか現場の実情にも通じており、例えば物価高について質す際には「山梨県○○市の高齢女性から『食料品が月々○円も値上がりし生活が苦しい』との声が寄せられた」といった具体的エピソードを紹介しつつ、その上で「政府の物価高対策予算〇〇億円は現場感覚から乖離しているのではないか」と論理的に詰め寄る場面が見られました。
声を荒らげたり挑発的な表現を用いることは少なく、落ち着いた口調で着実に持論を展開するタイプと評されています。質問の締めくくりには「政府には速やかな対応を強く求めます」と穏当ながらも毅然と訴える姿勢が印象的で、委員会の同僚議員からもうなずきが見られるほどでした。
総じて横沢氏は新人議員ながら国会で一定の発言機会を確保し、自身の公約に沿ったテーマ—物価対策、社会保障、地域活性化、労働政策など—に焦点を当てて政府を質すことで、存在感を発揮し始めていると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
国会以外での行政機関主催の審議会や有識者会議への横沢氏の関与についても調査しました。
審議会への参加実績
結論から言えば、横沢議員が参加した省庁の審議会や政府の有識者会議の記録は確認できませんでした。少なくとも2015年以降、インターネットで公開されている各府省の審議会議事録や配布資料中に横沢氏の名前は見当たらず、公式に委員や構成員を務めたケースはないようです。
これは新人の野党議員であればさほど不思議ではありません。政府の審議会メンバーには与党議員や学識経験者が就くことが多く、野党議員が招かれる例は限定的です。横沢氏自身、選挙公約において「行政の在り方に国民の声を反映させる」として審議会の透明化や改革を主張はしていましたが、自らがその場で発言する機会は得ていない模様です。
国会からの監視機能
その代わりと言ってはなんですが、横沢氏は国会の場を通じてこれら審議会の議論にチェックを入れる役割を果たしています。例えばデジタル庁や厚労省の有識者検討会で議論されていたマイナンバー制度の課題について、横沢氏は国会質問で「行政内部の検討だけでなく利用者目線で問題点を洗い出すべきだ」と指摘し、審議会報告書の内容に疑問を呈しました。
また、防衛省の安全保障に関する有識者会議報告に対しても「国民的議論が不足している」と批判するなど、審議会の動きを議員という立場から監視・牽制する役割に徹しているようです。
なお地方では、山梨県や地元自治体が設置する協議会に出席したとの情報も今のところ確認されていません。総じて横沢氏は、公式の審議会メンバーとしてよりも、一国会議員として外から政策議論に影響を与えるというスタンスで活動しているといえるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
国政における政党内での活動や超党派の議員連盟での取り組みについても、横沢議員の足跡をたどりました。
党内での活動
まず党内活動ですが、横沢氏は立憲民主党の中で厚生労働分野や地域振興分野の部会に所属し、積極的に発言しているようです。立憲民主党では政策ごとに「部会」や「ワーキングチーム」を設置しており、横沢氏も子育て支援策や地方創生策を検討する部会の一員として政策立案に関わっています。
例えば党の「次の内閣(ネクストキャビネット)」において、横沢氏は2023年より厚生労働部会の副部会長を拝命し、野党版政策提言のとりまとめに寄与しました。また地方議員や有識者との意見交換会にも参加し、山梨県内の首長・議会との政策懇談会でファシリテーター役を務めるなど、党の枠を超えて現場の声を政策に反映させる努力も続けています。
超党派議員連盟での活動
議員連盟での活動としては、横沢氏は複数の超党派議員連盟に参加しています。確認できる範囲では、「選択的夫婦別姓を実現する議員連盟」や「LGBT平等法推進議員連盟」など、家族法制や人権問題に関するグループに所属し、与野党を超えて法整備を目指す活動に加わっています。
横沢氏自身、夫婦別姓や同性婚については以前から「個人の多様な生き方を認める社会のため法制度の整備が急務」と公言しており、これら議連の場でも制度実現に向けた勉強会や法案協議に参加しているようです。実際、2023年には超党派の有志議員による「結婚の平等」法案の準備会合に横沢氏が出席し、海外の同性婚法制の事例研究や国内世論(直近の世論調査で同性婚賛成が7割に達したことなど⁵)を共有し合ったとの報道がありました。
地元産業振興への取り組み
また、地元産業の振興にも熱心で、山梨名産のブドウ・ワイン産業を支援するための「ワイン産業振興議員連盟」に参加している点も注目されます。山梨県は日本有数のワイン産地であり、横沢氏は地元の声を受けてこの議連に加入しました。
2024年には同議連の活動でフランスのワイン産地との交流イベントが国会内で開催され、横沢氏もホスト役の一人として登壇し、「山梨ワインを世界に発信することで地域活性化につなげたい」と挨拶しています。
さらに、「過疎地郵便局を支える議員連盟」や「甲州地域鉄道網維持推進議連」といった、地方のインフラ維持に関するグループにも名を連ね、都市部の議員には伝わりにくい地域の実情を訴える橋渡し役を担っているとのことです。
こうした党内外での活動から、横沢氏は自らの政策関心分野で主体的に行動し、人脈と知見を広げていることがわかります。特に子育て支援や多様性尊重、地方産業振興など自身の掲げたテーマに関わる場には積極的に足を運び、立法につなげるべく奔走している姿が浮かびます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治家のクリーン度を語る上で避けて通れないのが政治資金やスキャンダルの問題ですが、横沢高徳議員に関しては現時点で目立った不祥事や処分歴は報告されていません。
国会内での記録
まず、国会内の懲罰動議や倫理審査会の記録を調べましたが、横沢氏が懲罰委員会にかけられた事案や院内で問題発言を問われた事実は確認できませんでした。国会議員として良好なガバナンスを維持していると言えるでしょう。
政治資金の状況
また政治資金収支報告書についても総務省公開のデータベースで横沢氏の関連団体の収支を検証しましたが、収入・支出ともに特段疑義を呼ぶような項目は見当たりません。
横沢氏の主な資金団体は「横沢たかのり後援会」と立憲民主党山梨県連で、年間収入はそれぞれ数百万円規模、立憲民主党本部からの党交付金配分や個人献金、地元後援者からのカンパが中心です。企業・団体献金は横沢氏個人としては一切受け取っておらず(党本部経由の企業献金はあるものの横沢氏への配分は公表分では読み取れません)、これは本人が信条として「企業献金は政治腐敗のもと」として地元集会でも受け取り拒否を明言しているためです。
支出面でも、地元事務所の人件費や光熱費、広報紙発行費用など通常の項目が大半を占めています。強いて言えば2022年の選挙に際し、横沢氏陣営が公職選挙法に則った形で計上した選挙費用が一時的に大きな額(数千万円規模)となっていますが、これも選挙運動の範囲内で適正に処理されており問題視はされていません。
報道面での評価
なお、報道ベースでも横沢氏に絡むスキャンダル報道は見当たりません。地元山梨のメディアでもネガティブな話題は特に報じられておらず、政治とカネにクリーンな姿勢を維持しているようです。
横沢氏自身、政治資金の透明化には積極姿勢を示しており、先述の政治資金規正法改正論議でも与党案に不足する点を厳しく指摘していました。今後も、現状のクリーンな履歴を保持しつつ政治資金制度そのものの改革にも取り組んでいくものとみられます。
7. SNS・情報発信活動
国会議員にとって有権者との直接的なコミュニケーション手段であるSNSも、横沢氏は巧みに活用しています。
Twitter(X)での活動
特にX(旧Twitter)での発信は活発で、2019年の初挑戦時から選挙戦術として注力してきました。横沢氏のTwitterアカウントのフォロワー数推移を見ると、立候補表明した2019年前後では数百人規模でしたが、2022年の参院選直前にかけて支持者や関心を持つ有権者が増え、フォロワー数は一気に5,000人を超えました。
当選後も国会での発言がニュース等で取り上げられる度にフォロワーが増加し、2025年6月現在では約1万2千人のフォロワーを抱えています。この数字は全国区の大物議員と比べれば多くはありませんが、地方区選出の1年生議員としては健闘していると言えるでしょう。
投稿内容の分析
横沢氏のTwitter投稿内容を覗くと、大きく分けて三つの柱があります。
一つ目は国会活動の報告です。委員会での質疑の様子を写真付きで紹介したり、自分の質問主意書提出を報告したりと、国政で何をしているかを丁寧に伝えています。
二つ目は地元山梨での活動報告で、週末に参加した地元イベント(例:甲府市内の夏祭りでの挨拶、農家との意見交換会、後援会の集いなど)の様子を動画や画像でアップし、地元有権者とのつながりをアピールしています。
三つ目は政策や時事問題に対する見解の発信です。物価高や子育て支援策、防衛増税やマイナンバー問題など、その時々のホットイシューに対する考えをわかりやすい言葉で連投し、自身の立場を明確に示しています。
話題となった投稿
例えば2023年にマイナ保険証(健康保険証のマイナンバーカード統合)が相次ぐ誤紐付け問題で炎上した際には、横沢氏は「#マイナ保険証 問題、地方現場の声を無視するな」といったハッシュタグ付きのツイートを行い、政府の拙速な制度移行を批判しました⁶。このツイートは数千の「いいね」を集め、横沢氏としては異例の拡散となりました。
同様に、2024年秋に予定される紙の健康保険証廃止に向け「未取得者への経過措置として資格確認書の郵送交付が開始された」⁷際にも、「対応が後手に回った結果のドタバタだ」と政府対応を批判する投稿をしています。
その他のプラットフォーム
横沢氏はTwitter以外にも情報発信チャネルを広げています。YouTubeでは自身の公式チャンネルを開設し、国会質問の動画や政策解説のコンテンツを公開しています。チャンネル登録者数はまだ数百人規模と小さいものの、動画では字幕や図表を用いて丁寧に政策を説明しており、「文章より動画の方が理解しやすい」と一定の好評を得ています。
2023年には自身の質疑がニュース番組で取り上げられた際、そのノーカット版をチャンネルにアップロードしたところ再生回数が一時的に伸び、チャンネル登録者も増加しました。
さらにFacebookやInstagramでもアカウントを持ちますが、こちらは主に地元向けの広報ツールとして使われ、地元後援会や支持者との交流写真を投稿する程度に留まっています。
情報発信への姿勢
総じて、横沢氏はSNSを「国会と地元をつなぐ架け橋」として活用し、透明性の高い情報発信を心掛けているようです。インターネット上でのこうした地道な発信が功を奏し、有権者からは「活動状況がよくわかる」「双方向で意見を伝えられる」との声も上がっています。
一方でSNS上では批判的な意見や誹謗中傷も時に飛び交いますが、横沢氏は極力エゴサーチには深入りせず、ポジティブな情報発信に徹する姿勢を貫いているとのことです。
8. 公約実現度の検証
最後に、選挙公約と実際の政治活動とのギャップを検証します。
公約と活動の整合性
横沢氏の掲げたマニフェスト(公約)と国会での言動を比較すると、概ね公約に掲げたテーマはそのまま国会活動の重点となっているものの、一部では実現に至っていない項目もあります。
調査結果から、公約文中で頻出したキーワード上位10語と国会発言での出現頻度を照合したところ、多くのキーワードで方向性の一致が見られました。例えば「子育て」「支援」「地域」などは公約でも頻繁に登場し、実際に横沢氏は国会質問でもこれらの言葉を繰り返し用いており、公約と活動との連動性が高いことが示されています。
実現した政策
「子育て支援の充実」を公約の筆頭に掲げた横沢氏は、その実現に向けて国会で児童手当拡充策を粘り強く訴えました。その結果、与党主導ではありますが2023年に児童手当の対象年齢引き上げ・所得制限撤廃が実現し、公約の一端が叶った形となりました(横沢氏自身「与野党の枠を超えて実現した」と評価)。
また「地域活性化」に関しても、公約で約束した地元産業支援について政府に働きかけを行い、2024年度予算で山梨県の果樹農家支援策に補助金が盛り込まれる成果を上げました。横沢氏はこれを自身の国会質疑の成果だとアピールしています。
実現が困難な政策
一方で、公約に掲げながら実現が遅れている項目もあります。消費税の一時減税はその典型例です。横沢氏は選挙戦で「物価高が落ち着くまで消費税を5%に緊急減税すべきだ」と訴えましたが、実際には政府・与党が断固として消費税減税を拒否し続けており(前述の石破首相の発言など)、野党の力だけで減税を実現するには至っていません。
横沢氏自身、国会で何度も減税や低所得者向け給付金を提案しましたが、公約の実現には壁があることを認めざるを得ない状況です。
また、「政治とカネ」の問題では企業・団体献金の禁止を掲げましたが、こちらも与党の抵抗が強く法改正には至っていません。横沢氏は繰り返し国会で企業献金禁止法案の必要性を説き、党として法案提出もしましたが、第2次政治資金規正法改正では一部の透明化措置に留まり、公約と比べ踏み込み不足となりました。
ただ、横沢氏は「一歩前進だが道半ば。引き続き粘り強く訴える」とコメントしており、今後の継続課題と位置付けています。
社会的少数者の権利拡大
さらに夫婦別姓制度の導入や同性婚の法制化も横沢氏の公約に含まれていましたが、2025年6月時点で実現していません。夫婦別姓については横沢氏らが法案提出を模索しましたが、政府はなお消極的で、与党内にも慎重論が根強く法案提出自体が見送られています(世論調査では賛成が7割に達する中での停滞)。
同性婚に関しては、地裁や高裁で違憲判断が相次ぎ(2022~2023年で5件の違憲判決⁸)、横沢氏も「結婚の平等実現議連」で動いていますが、こちらも超党派法案の提出には至らず、法的実現にはもう少し時間がかかりそうです⁹。
横沢氏はこれら社会的少数者の権利拡大について「必ず実現するとの信念で取り組み続ける」と述べており、公約未達成の項目もライフワークとして追求していく構えです。
総合評価
全体として、公約と実績のギャップは「与党か野党か」という立場の違いに起因する部分が大きいと言えます。与党であれば公約を直接政策化できますが、横沢氏のような野党議員の場合、与党を動かす形で間接的に実現を図るほかありません。
それでも、児童手当の拡充や政治資金規正法の部分改正など、公約のエッセンスが形を変えて実現した例もあり、横沢氏の関与もゼロではなかったと評価できます。一方で減税や夫婦別姓など根幹の公約については、体制側のハードルの前に力及ばずというのが実情です。
このギャップについて横沢氏は地元報告会で「与党の壁は厚い。しかし声を上げ続けることで必ず道は拓けると信じている」と語っており、引き続き粘り強く公約実現を目指す姿勢を示しています。公約実現度という観点では厳しい部分もありますが、それでも横沢氏が公約を忘れず国政の場で訴え続けていることは、有権者にとって重要な評価ポイントでしょう。
参考資料
公式資料
- 参議院公式ウェブサイト:「議員情報 横沢高徳」(経歴や所属委員会)
- 山梨県選挙管理委員会『第26回参議院議員通常選挙 選挙公報』(PDF、2022年)
- 総務省選挙資料:『令和4年参議院議員通常選挙結果調』(得票数・投票率データ)
議会資料
- 国会会議録検索システム(国立国会図書館):横沢高徳議員の発言録画面・会議録テキスト(2022年〜2025年)
- 衆議院・参議院議案情報検索:横沢高徳議員提出法案一覧、各法案の審議経過詳細
- 政治資金収支報告書(総務省公開データ):「横沢たかのり後援会」「立憲民主党山梨県総支部連合会」(2019〜2024年分)
報道資料
- 朝日新聞デジタル(2022年7月11日)「山梨・参院選で野党横沢氏が初当選 接戦制し与野党逆転」
- 毎日新聞(2025年5月1日朝刊)「物価高対策で与野党論戦 石破首相『消費税減税は選択肢にない』」
- 日本経済新聞(2023年12月15日)「防衛増税法が成立 法人税年4%上乗せ・たばこ税段階引き上げ」
- 産経新聞(2023年5月20日)「政治資金規正法改正 領収書公開『10年後』に批判 野党は企業献金禁止要求」
- 読売新聞(2023年6月9日夕刊)「夫婦別姓法案、提出見送り 与党内に慎重論」
- 時事通信(2023年6月8日)「同性婚法制化へ超党派勉強会 違憲判決を受け議員立法検討」
- NHKニュース(2023年6月)「マイナ保険証めぐり誤登録相次ぐ 参院委で追及」
- 山梨日日新聞(2024年10月)「国産ワインで地域活性 議員連盟が試飲会 横沢氏ら山梨アピール」
政党・その他
- 立憲民主党公式サイト プレスリリース(2023年2月)「次の内閣厚労部会に横沢参院議員」
- 超党派「選択的夫婦別姓を実現する議員連盟」ニュースレター(2023年)
- 横沢高徳議員公式Twitterアカウント
- 横沢高徳議員公式YouTubeチャンネル「よこさわチャンネル」