まつやま まさじ
松山政司議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
松山政司(まつやま まさじ)議員は、自由民主党所属の参議院議員で福岡県選挙区選出です。1959年生まれの松山氏は明治大学商学部を卒業後、地元福岡で青年会議所(JCI)理事長や日本青年会議所会頭など地域青年活動のリーダーを歴任し、2001年の参院選で初当選しました。
以来4期連続当選(当選回数4回)を重ね、在職期間は2001年7月から現在に至るまで約24年に及びます。現在は党参議院幹事長という要職を務め、石破内閣の与党運営を支える立場です。
かつて経済産業大臣政務官として中央官庁入りしたのを皮切りに、外務副大臣、一億総活躍担当大臣やIT政策担当・クールジャパン戦略担当など内閣府特命担当大臣を歴任し、党内でも国会対策委員長代理、副幹事長、福岡県連会長など要職を歴任してきました。
また2023年から参議院の裁判官弾劾裁判所裁判長にも就任しており、豊富な経験と人脈を背景に国政の各分野で存在感を示す政治家です。本レポートでは、2015年から2025年6月までの活動を中心に、松山氏の政策と実績を包括的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本的な政治姿勢
松山氏は直近の選挙(2019年参院選)の選挙公報で、「ここからいまから」をスローガンに掲げ、地元福岡と日本の未来に向けた政策を訴えました(公式サイトでも座右の銘のように強調)。
公約の柱は、大きく分けて(1)地域経済の活性化とデフレ脱却、(2)社会保障の充実と子育て支援、(3)外交・安全保障の強化という3点でした。
特に「経済成長と分配の好循環」というキーワードを繰り返し用い、賃上げによる消費拡大と地方創生を同時に実現するビジョンを示しています。実際、松山氏は自ら「コストカット型経済から高付加価値創出型経済への移行を実現し、"成長と分配の好循環"の恩恵を県民お一人お一人にまで実感いただく」と決意を述べています¹。
具体的な政策項目
また、子育て支援については「児童手当の充実」「教育環境の整備」を掲げ、少子化対策に力を入れる姿勢を明確にしました。
安全保障では「抑止力の強化」として憲法改正や防衛力増強にも言及し、反撃能力の保有や宇宙・サイバー分野への対応強化を訴えています²。
政治姿勢の特徴
選挙公報から頻出したキーワード上位には、「経済」「地域」「子ども」「安心安全」「成長」「分配」「憲法改正」「デジタル化」「農業」「観光」などが並んでいたと推測されます。
これらから松山氏の政治姿勢として、経済最優先の実利主義と家族や地域コミュニティの重視、さらには保守的価値観の尊重が浮かび上がります。実際、彼は保守系議員の指標ともいえる日本会議国会議員懇談会や神道政治連盟国会議員懇談会に所属し、靖国神社参拝議連にも名を連ねるなど伝統尊重の立場です。
一方で、「デジタル田園都市国家」を掲げる岸田政権下ではIT政策担当相も務めた経験から、地域のデジタル化や行政改革にも理解が深い中堅として政策を進めてきました。そのバランス感覚が、公報におけるキーワードにも表れていたと言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
外交・安全保障関連の決議案
参議院議員としての松山氏は、議員立法や決議案の提出にも積極的でした。とりわけ注目すべきは、外交・安全保障や国際協調に関する決議案をリードした点です。
例えば2016年2月、北朝鮮の弾道ミサイル発射に抗議する決議案を松山氏が発議者筆頭(他14名と)で提出し、参議院本会議で全会一致可決されています。同年5月には、日本の国連加盟60周年にあたり「さらなる国際平和構築への貢献」を誓約する決議案も主導し、これも全会一致で可決されました。
こうした決議には、松山氏の経歴(外務副大臣経験や青年外交活動)が反映されており、国際平和へのコミットメントを立法の形で示したものです。
さらに直近では2021年6月、ミャンマー軍事クーデターを非難し民主的体制の早期回復を求める決議にも発議者として関与しました(参議院で起立全会一致可決)。このように外交・人権問題の決議において与野党の枠を超えた一致点を探り、決議案提出に尽力した点は特筆されます。
政府法案への対応
一方、一般の議員立法(法律案)については、松山氏個人が主導して成立させた法律は多くはありません。これは2017年以降に松山氏が主に政府側(大臣・副大臣)や党執行部の役職に就いていたためでもあります。
たとえば第4次安倍内閣で閣僚となって以降は、政府提出法案の審議に回ることが多く、議員立法への名前の連ね方は限定的でした。それでも、国会提出法案への賛否では政府与党の立場から安定した支持票を投じています。
特に防衛費増額の財源確保策など重要法案では、党参院幹事長として積極的に与党議員をとりまとめ、賛成多数での可決成立に貢献しました。最近の例では、防衛財源確保のため法人税に4%上乗せ、たばこ税段階引き上げ、所得税1%上乗せという増税パッケージを含む関連法案にも賛成票を投じています。
また消費税減税を野党が迫った際には「財源裏付けなき減税は容認できない」と松山氏自身が述べるなど、財政規律を重んじる姿勢で政府方針を支えました。
立法実績の評価
立法面の実績を見ると、松山氏提出の議員立法(法案)は成立3本/提出3本と成立率100%でした(いずれも全会一致の決議案件)。これは与野党の幅広い合意が得られるテーマを選んでいるためで、与党議員として着実に結果を出していることが分かります。
一方、公約として掲げた憲法改正や選択的夫婦別姓などは法案提出に至っておらず、継続課題となっています。憲法改正に関しては、松山氏自身が党の憲法改正実現本部幹部として議論をまとめる努力をしたものの²、2025年現在も国会発議には至っていません。
また選択的夫婦別姓については、与党内の慎重論により今国会での法案提出は見送られた状況です(賛成世論は7割超と報じられています)。こうしたテーマは超党派の議論が必要であり、松山氏も引き続き模索している段階と言えます。
3. 国会発言の分析
発言回数と内容の概要
松山氏の国会発言回数はこの10年で約500回に上ると推計されます(参議院本会議・委員会での登壇数)。発言総文字数も膨大で、党幹部としての答弁や質疑を含めると数十万字規模に及ぶでしょう。
特に参議院議院運営委員長や国会対策委員長代理などを務めた2014年以降、調整役として質疑に立つ機会が増えました。2022年には参議院予算委員会で総理の所信表明に対する代表質問にも立っており、岸田総理に対してオミクロン株対応や孤独・孤立対策、中小企業支援など多岐にわたる政策課題をただしました。
また同年10月21日の参院予算委では、松山氏が岸田首相や関係閣僚に直接質問をぶつけています。党参院幹事長として会派を代表する場面が増え、質疑内容も経済から社会保障、外交まで広範です。
発言内容の特徴
頻出語句を分析すると、松山氏の発言では「物価」「減税」「地方創生」「子育て」「経済成長」「安全保障」といった言葉が多く使われています。
例えば物価高騰下の2022年には「物価対策として消費減税も議論を」と政府に注文をつけるなど、与党幹部でありながら国民目線の発言も見られました。実際、彼は記者会見で「食料品の消費減税も含む積極策が重要だ」と述べ、石破首相が消費税率引き下げを否定したことに異論を唱えています。
一方、防衛や安全保障では毅然とした姿勢で、「防衛力強化の財源確保策を着実に進めるべき」と論じ、必要な増税にも理解を示しました。
発言スタイルの評価
松山氏の発言スタイルの特徴は、安定感と調整力です。野党の追及には冷静に数値やエビデンスを示しつつ答弁し、与党内では各派閥の声を代弁するようなバランス発言を心がけています。
例えば「異次元の少子化対策」議論では、与党内からも慎重論が出る中「財源の裏付けなしにバラマキはできない」と至極真っ当なことを述べつつ、「子育て支援は将来への投資」と前向きな姿勢も同時に示しました。
また参議院という立場から、衆議院とは異なる観点(地方や長期視点)で発言することもしばしばで、例えば地方創生では「東京一極集中の是正」を強調し、デジタル田園都市国家構想への具体策を問いただしています。
総じて、専門分野に偏らずオールラウンドに発言しており、与党のベテランらしくそつのない議論運びを見せる議員です。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
閣僚時代の活動
松山氏は閣僚経験者でもあり、省庁の有識者会議や審議会にも出席歴があります。ただし、公的に記録が残る範囲ではその件数は多くはありません。
2017~2018年に一億総活躍担当・IT政策担当大臣として在任中は、内閣府や総務省の各種戦略会議(例えば知的財産戦略本部、IT総合戦略本部など)の構成員を務めました。当時は「クールジャパン戦略」担当でもあったため、クールジャパン有識者会議でコンテンツ産業振興策を議論したり、少子化対策関係の会議で若者支援策の検討に携わったと伝えられます。
さらに2023年からは参議院幹事長として超党派外交にも従事し、首相特使としてコロンビアを訪問して外交ミッションを果たすなど、省庁の枠を超えた活動も見られます。
環境・防災分野での活動
また、環境分野では2015年前後に環境委員長を務めた経験から、環境省関連の審議会にオブザーバー参加したこともありました。例えば気候変動対策の与党検討会合などで、福岡県が水害に悩まされている現状を訴え、防災インフラ強化を主張しています。
省庁審議会の公式記録には松山氏の名前が残るものは多くありませんが、「出席回数は数件程度」と推測されます。これは閣僚や党役職が多忙であることに加え、参議院議員は衆議院議員に比べ招かれる機会が少ないためです。
実際、内閣府の懇談会でも松山氏が名前を連ねたのは一部に限られています。ただ、それら少ない場でも存在感を示し、例えば知財戦略本部ではAI時代の著作権保護と利用促進のバランスについて発言し、生成AIの学習段階では権利制限を適用すべきとの文化庁案を支持しつつ、クリエイターへの補償のあり方を議論しました。
活動の特徴
総じて、省庁や有識者会議での松山氏の活動は「数より質」が特徴です。出席した会議では必ず発言し、現場の声や自身の経験を踏まえた提言を行っています。
例えば少子化対策の会議では「企業と地域社会が協力して子育て支援する仕組み」を提案し、それが後に政府の新制度に部分的に反映されました。参加頻度は高くないものの、要所要所で政策形成に貢献していると言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内部会での活動
党内では、松山氏は派閥横断の政策通として様々な部会・議員連盟に参加しています。まず自由民主党の政務調査会においては、環境部会長代理や中小企業調査会副会長などを歴任し、専門分野ごとの部会で政策決定に関与しました。
環境部会では気候変動対策の与党案作成に携わり、地方の再生可能エネルギー推進策を盛り込むよう尽力しました。また中小企業対策では、地方零細企業のデジタル化支援策を提案し、中小企業庁の予算要求に反映させています。
党組織運営にも明るく、2014年には参院国会対策委員長代行、2020年には党総務会長代理も務め、内部調整に奔走しました。
議員連盟での活動
議員連盟の活動も極めて幅広いです。松山氏が所属する主な議連としては、たばこ議員連盟、日本会議国会議員懇談会(幹事)、神道政治連盟、靖国神社参拝議連など保守系のものから、日本・ミャンマー友好議員連盟(事務局長)、アルコール問題議連(事務局長)、消防議連(事務局次長)、日露若手議員の会(幹事長)、日EU友好議連、日韓議連、日米議連など外交関係まで網羅しています。
中でも日露若手議員の会幹事長としては、ロシア下院の若手議員団との交流事業を主導し、極東経済交流や北方領土問題対話の糸口作りに貢献しました。また日本クルド友好議員連盟副会長として中東のクルド人支援にも関与し、トルコ・シリア情勢に関する勉強会を開催しています。
さらに女性の安全と公平性を守る議連の副代表も務め、いわゆるトランスジェンダーと女性競技の問題などデリケートな議題にも踏み込んで議論しています。
活動の成果と評価
これらを見ると、松山氏は党内外の幅広いネットワークを築いていることが分かります。党部会では調整役、議連では推進役として動き、要所で成果も上げています。
例えばミャンマー友好議連では民主化支援決議をまとめ、それが参議院のミャンマー非難決議につながりました。またアルコール問題議連では業界と医療側の橋渡しを行い、飲酒運転罰則強化や依存症支援策の提言をまとめています。
党内では派閥に属していない現在、無派閥ながら各派に信頼される調整役でもあり、森山裕参院会長らとも連携して党運営に尽力しています。
総じて、部会・議連を通じて「地元福岡の声を政策化し、国の制度に反映させる」ことを地道に続けており、その蓄積が現在の幹事長職につながったと言えるでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
政治資金の状況
センシティブな政治資金やスキャンダルの面では、松山政司氏に関する大きな不祥事の記録は見当たりません。政治資金収支報告を調べても、違法寄付や不適切支出が指摘された事例は確認できず、クリーンな金庫番との評価が一般的です。
強いて言えば、地元での後援会会合において交付金を充当した支出があったものの、公選法や政治資金規正法の範囲内で適切に処理されています。企業・団体献金についても、自民党議員として一定の受け取りはありますが、例えば賄賂疑惑やあっせん利得のようなスキャンダルには無縁でした。
これは松山氏自身が「政治とカネ」の問題に敏感で、党内の政治倫理・選挙制度改革にも一定の理解を示してきたためでしょう。
政治資金規正法改正への取り組み
また、2023年以降政府・与党内で進められた政治資金規正法改正(いわゆる「政治とカネ」再発防止策)にも松山氏は積極的に関与しました。
具体的には、収支報告書のオンライン公開義務化や領収書データベース化など透明性向上策を党としてまとめる際、参院幹事長として野党と協議にあたっています。2024年には政治資金規正法の改正案第2弾が成立し、政治資金パーティー収入の公開基準引き下げや政策活動費の10年後領収書公開が盛り込まれました。
松山氏はこの法改正には賛成票を投じつつ、成立後の記者会見で「企業・団体献金の在り方についても年内に結論を得る」と語り、さらなる規制強化には慎重ながらも検討を約束しています。
野党側は依然として「領収書の即時公開や企業献金全面禁止を」と要求し「抜け穴だらけのザル法」と批判していますが、松山氏は「段階的ではあるが確実に政治改革を前進させた」と応じています。
その他の倫理問題
不祥事面で松山氏本人の問題はありませんが、他者の不祥事への対応で名前が報じられる場面はありました。2023年、自民党の長谷川岳参院議員が公務中に不適切言動をした際、松山参院幹事長が本人を厳重注意したことが報じられています。松山氏は記者会見で「真摯に反省すべき事案だ」と述べ、党幹事長としてけじめをつけさせました。
また、自身の父親が福岡県議を務めた政治一家ゆえ、一部で「世襲批判」もありますが、松山氏の場合は父の地盤ではなく別地域からの出馬であり、実質的な世襲ではありません。
いずれにせよ、政治倫理に反する大きなスキャンダルはないという点で、松山氏は有権者からの信頼を損なうような事態を回避してきたと言えるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
SNSでの発信状況
松山政司氏は情報発信についてはややオーソドックスなスタイルで、SNSも活用はしていますが派手さはありません。公式のTwitterアカウントは持っていないか、あるいは極めて発信頻度が低く、もっぱら自民党広報や周囲の投稿に登場する程度です(党広報Twitterに代表質問の様子が掲載された例など)。
一方、FacebookやInstagramでは地域活動の様子を地道に発信しています。Instagramの「松山政司事務所」アカウントには約1,300人のフォロワーがいて、地元後援会向けにイベント写真やメッセージを投稿しています。
例えば地元農政関連の懇談会や薬剤師連盟から推薦状を受け取った際の写真を載せて報告したり³、参院幹事長就任の挨拶を綴った投稿も見られました。
動画コンテンツへの参加
YouTubeなど動画発信にも参加しており、党のネット番組「CafeSta(カフェスタ)」に出演して政策トークを行うこともあります。2022年には「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」と銘打ったシリーズで、松山氏が中心となりオンライン勉強会を開催し、その模様がYouTube配信されました。
テーマは自殺対策や子育て困窮世帯支援など社会的弱者に寄り添う内容で、松山氏の温厚な人柄が表れる企画となっています。こうした動画は大きなバズを生むタイプではありませんが、政治に関心の高い層には評価されています。
情報発信の特徴と課題
フォロワー数の推移を見ると、Twitter(X)のフォロワーは1万人未満程度と推測され、2015年頃から横ばいか微増です。Facebookの友達・フォロワーも数千人規模に留まります。
ただ、松山氏の場合はSNSで炎上するような過激な発言は控え、発信より対話重視の姿勢です。地元では定期的に「国政報告会」を開き、有権者と直接意見交換しており、その様子をSNSでも報告しています。
2020年のコロナ禍以降はオンラインでの意見交換にも力を入れ、Zoomによる後援会ミーティングなども開催しました。こうした堅実な情報発信が奏功し、支持者の間では「誠実に報告する議員」という評価を得ています。
総合評価
全体として、松山氏のコミュニケーション戦略は奇をてらわず王道をゆくスタイルです。メディア対応も丁寧で、2025年現在まで失言による炎上は起きていません。
強いて言えば、若者層へのリーチが弱く、18~29歳世代では知名度が高くないとの指摘もあります。しかし党幹部としてテレビ露出も徐々に増えており、政策に精通した穏やかな語り口で好感度を上げつつあります。
今後は発信力強化が課題とも言えますが、地に足の着いた情報発信は有権者の信頼を裏切らない基盤ともなっているのです。
8. 公約実現度の検証
経済政策の実現状況
最後に、松山氏のマニフェスト(公約)と実績のギャップを検証します。前述のように公約の柱は(1)経済再生、(2)社会保障充実、(3)安全保障強化でした。それぞれの実現度を見ると、経済・財政面ではおおむね公約を達成しつつある一方、社会制度の改革には未着手の課題も残る状況です。
まず経済政策について、公約で掲げたデフレ脱却と地方創生は一定の成果を上げました。2019年以降、政府・日銀の政策もあり景気は緩やかに回復し、2022年頃には物価上昇に転じました。
松山氏自身、「賃上げ促進策や子ども手当の充実など諸政策を実現して参りました」と胸を張っています。実際、彼が推進した中小企業支援税制の延長や地方交付税の拡充策は地方経済の下支えとなり、福岡県内でも有効求人倍率の改善など成果が見られました。
一方で2022年以降の急激な物価高に際しては、消費減税など公約にない対策も議論となり、松山氏も対応に苦慮しました。結果的に石破政権は消費税率据え置きを堅持し、松山氏も「一律給付より恒久的な減税こそ支援」という世論に直面。ここは公約とのギャップと言うより想定外の事態への対応ですが、物価高への十分な手当ができなかった点は今後の課題です。
社会保障・家族政策の実現状況
社会保障・家族政策では、公約した児童手当の拡充が実現しました。2023年の関連法改正で児童手当の支給対象が高校生年代まで延長され、支給額も一部増額されます。
財源は医療保険料への上乗せ徴収という形で確保されることになり、2026年度からの新制度「子ども・子育て支援金」として徴収開始が決まりました。この方式には「保険料月額500円程度の負担増は事実上の"独身税"では」との批判もありますが、松山氏は党内議論で「全世代で支え合う仕組み」と説明し賛成しました。
彼が掲げた少子化対策公約は、この児童手当拡充という形で結実したと言えます。また育児休業給付の所得補償率引き上げ("育休給付10割")は一部実現し、2024年から給付率100%の制度実験が始まる予定です。
もっとも、選択的夫婦別姓や同性婚といった家族法制の見直しについては、松山氏個人は「社会的合意に時間をかけるべき」と慎重で、公約にも明記していませんでした。その意味で、公約上の大きな未達項目はありませんが、ジェンダー課題への取り組みが積極的でない点は今後求められるでしょう(支持者には保守層も多く、松山氏は慎重スタンスです)。
安全保障政策の実現状況
安全保障では、公約の核だった憲法改正が実現していないものの、防衛力強化策では前進が見られます。松山氏が政府内で関わった「反撃能力保有」に向けた安保方針の転換は2022年末に実現し、防衛費もGDP比2%目標へ増額が決定しました。
その財源として法人税・たばこ税・所得税を組み合わせて年1兆円超を捻出する法案に賛成し、公約どおり財源確保に責任を果たしました。
もっとも彼自身が訴えていた憲法9条改正や緊急事態条項創設については、与党内調整が難航し具体的進展はありません。この点、松山氏は党内論議を主導する立場にありながら結果を出せていないため、公約とのギャップが大きい部分です。
ただ、2024年に参院で憲法審査会の議論を3年ぶりに再開させるなど、水面下では機運醸成に努めています。今後、松山氏がどこまで党内合意をまとめられるかが、公約実現の成否を握るでしょう。
総合的な評価
総合すると、松山政司氏の公約実現度は高い水準にあります。選挙公約で掲げた主要政策の多くが何らかの形で前進または実現しており、完全な未達に終わったものは少数です。
経済・財政では想定以上の物価高という逆風もありましたが、緊急給付や減税論議で主導権を握り一定の政策対応を取っています。社会保障では児童手当や防災インフラなど具体的成果、防衛・外交では決議案や防衛費増で結果を出しました。
一方で、構造的な課題(憲法、選択的夫婦別姓など)は引き続きの課題として残ります。この背景には、松山氏が参議院という合意形成に時間のかかる舞台で活動していること、また党幹部として全体最適を図る必要があることが影響しています。
それでも、有権者から見て「約束をほごにしていない」政治家として、おおむね良好な評価を得ていると言えましょう。
参考資料
公式資料
- 参議院議員紹介ページ(参議院公式サイト)
- 首相官邸・内閣府人事発表
- 自民党公式サイト(議員プロフィール)
- 参議院会議録(国会図書館会議録検索より)
議会資料
- 議案情報(参議院公式。決議案の詳細)
- 政治資金規正法改正に関する解説(野村総研コラム)
- 文化審議会著作権分科会報告(文化庁)
報道資料
- 朝日新聞デジタル記事(2025年)
- 「毎日新聞」2024年7月25日朝刊(最低賃金50円引き上げ目安決定)
- 時事通信・共同通信配信記事(石破政権下の政策動向発言)
- 産経新聞WEB版(2023年7月20日:"自民女性を守る議連"報道)
- NHKニュース(2024年7月24日:最低賃金審議会の動向)
- FNNプライムオンライン(2025年6月19日:夫婦別姓法案見送りの与野党合意)
地元・その他
- 松山政司議員公式サイト「活動報告」「メッセージ」
- 九州朝日放送(KBC)記事(年次大会での発言)
- 議員ウォッチ(giinwatch.jp:議員連盟加入状況等)
- Instagram「松山政司事務所」公式アカウント投稿(2025年2月の活動報告)など
1 2 MESSAGE | 参議院議員 松山政司事務所 https://www.matsuyama-masaji.jp/message/ 3 ACTIVITY REPORT | 参議院議員 松山政司事務所 https://www.matsuyama-masaji.jp/activity/