にいづま ひでき
新妻秀規議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
新妻秀規(にいづま ひでき)議員は、公明党所属の参議院議員(全国比例区選出)で当選2回(2013年・2019年)を数えます¹。1970年埼玉県越谷市生まれの53歳(2025年現在)で、東京大学大学院工学系研究科修士課程(航空宇宙工学専攻)修了後、川崎重工業で航空機エンジニアとして17年間勤務した経歴を持ちます。
航空機開発ではボーイング787の開発に携わり、米国駐在を経験するなど技術者として活躍しました。2013年、公明党の草川昭三氏の後継として参院選に初出馬し、全国比例で26,044票を獲得して初当選。2019年の参院選でも比例区で再選(281,832票)を果たし、以後参議院議員として現在まで在職しています²。
在職期間中、一貫して公明党の国会議員として与党(自公連立)に属し、文部科学大臣政務官・復興大臣政務官(第3次安倍第3次改造内閣)や復興副大臣(第2次岸田内閣)など政府職も歴任しました²。復興副大臣就任時には「父の故郷・福島の創造的復興は自分自身の使命」と述べ、東日本大震災後の風評被害払拭や被災地支援に強い意欲を示しました。
公明党内では2024年より党国際委員長を務めるほか、環境部会長代理、復興・防災部会長代理、文化局次長、愛知県本部副代表など要職を歴任しています。また参議院では2023年に総務委員長、災害対策特別委員長に就任するなど、委員会運営にも携わっています。
本総覧では、2015年から2025年6月までの10年間にわたる新妻議員の政治活動を深く分析し、その公約と実績、政策立法や発言動向、党内外での役割、情報発信などを総合的に描出します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
新妻秀規議員は2019年参院選に臨む際、「寄り添うココロ。やり抜くチカラ!」というスローガンを掲げました。これは「一人ひとりの声に寄り添い、最後までやり遂げる」という信条を端的に表したものです。実際、初当選以来、新妻氏は全国各地の"現場"に足を運び、直接有権者の声を聴く姿勢を貫いてきました。
選挙公報や政策集からは、彼が特に力を入れた政策分野として若者支援・教育充実、災害対策・防災、科学技術振興、中小企業支援などが浮かび上がります。たとえば公明党青年委員会の一員として取りまとめた「青年政策アクションプラン」では、教育費負担軽減のための給付型奨学金創設や学校での公衆無線LAN整備などを提言し、実現に導きました。
公約のキーワード分析
公約のキーワードとして「現場」「声」「防災」「教育」「ものづくり」「ひとづくり」「科学技術」といった言葉が頻出しており、現場主義に根差した政策遂行と科学技術立国への意欲がうかがえます。例えば、「誰もが安心できる社会」を目指す公約では、防災インフラの強化や学校施設の安全点検の推進を明記し、実際に避難所となる学校の天井等の老朽化点検を全国で実施させる成果につなげました。
また「未来を拓く日本の力」としては、大学の研究力強化や宇宙利用推進など技術革新への投資を訴え、10兆円規模の大学ファンド創設にも尽力しています。
公約の柱
公約で掲げた政策の柱は、おおむね以下の4つに分類できます:
- 子ども・若者への投資(教育無償化や子育て支援)
- 災害に強い国づくり(防災減災、復興支援)
- 経済の下支え(中小企業・地域産業支援)
- 未来への挑戦(科学技術・宇宙・環境)
新妻氏はそれらを軸に具体的な施策を次々と提案してきました。
教育・子育て分野での実績
特に教育・子育て分野では、公明党が掲げる「子ども・子育て支援強化」を体現する公約が目立ちます。たとえば「返済不要の給付型奨学金の創設」は、2017年に実現しており、新妻氏も若者の声を政府に届け後押ししました。また「幼児教育の無償化」や「私立高校授業料の実質無償化」などは2019年に実施され、公明党の公約実現として新妻氏も各地で成果を訴えています。
防災・科学技術公約の具体化
防災公約では、「防災・減災、国土強靭化の推進」を掲げ、具体策として情報収集衛星の防災活用や学校施設の安全点検を盛り込みました。実際に、後述するように災害時に内閣衛星情報センターの衛星画像を自治体に提供する仕組みを新妻氏が提案し、政府の運用ルール変更に結び付けています。
科学技術政策では「ものづくり産業の支援」「大学研究への投資」「宇宙利用促進」が公約に掲げられ、新妻氏自身、技術士の国家資格を持つ専門性を活かしてこれら政策をリードしてきました。たとえば「大学発のイノベーション創出」に向けた10兆円大学基金について、公明党として政府に提言を行い、新妻氏も党プロジェクトチームメンバーとして基金構想を訴えた結果、2021年に実現しています。
キーワード分析の結果
選挙公報に見るトップ10のキーワードを分析すると、「若者」「子育て」「教育」「防災」「復興」「中小企業」「現場」「声」「科学技術」「環境」といった語が上位に来ました(推定)。これらから、新妻氏の政治姿勢は「国民の小さな声を拾い上げ、現場主義で課題を解決すること」と「未来志向で日本の活力を高めること」に重きを置くことが読み取れます。
その姿勢は、公約キャッチコピー「寄り添うココロ」に象徴されるように、一人ひとりの暮らしの安心(防災・社会保障)と、「やり抜くチカラ」が示す長期的展望(科学技術・人材育成)の双方にバランス良く現れています。
総じて、新妻議員のマニフェストは、公明党の平和・福祉路線を踏まえつつ、自身の理工系エンジニアの経験を活かした科学技術政策への熱意と、被災地福島にルーツを持つ者としての防災・復興への並々ならぬ決意が色濃く反映された内容と言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
新妻秀規議員の立法活動は、議員立法の提出よりも委員会質疑や党を通じた政策提言を通じて実を結んだケースが多く見られます。調査期間中、新妻氏が単独もしくは主要提案者となって提出した議員立法は確認できません(ゼロ件)³が、これは公明党が与党内で政策実現を図る戦略によるもので、彼自身は政府提出法案の修正協議や党のプロジェクトチームを通じて法律改正に深く関与しています。
政府提出法案への関与
実際、新妻氏は政府提出法案への賛否では常に与党議員として賛成票を投じつつ、質疑を通じて法案内容の充実を図る役割を果たしました。例えば、2025年成立の医薬品医療機器法(薬機法)改正では、参院厚生労働委員として審議に加わり、「市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)防止策強化」「製薬企業の品質管理体制の厳格化」といった論点を政府に質しました。
新妻氏は過去の睡眠薬混入事件による健康被害を引き合いに出し、監督官庁である厚労省と医薬品医療機構(PMDA)に対し、違反兆候の早期察知と専門監視官の増員を強く求めました。その結果、改正薬機法には市販薬購入時の本人確認義務や販売履歴チェックの制度化、製造現場のGMP遵守徹底などが盛り込まれ、公明党の主張が反映されています。
復興関連法整備への貢献
また、新妻氏は復興副大臣として被災地関連の法整備にも携わりました。特に2022年前後には、東日本大震災からの復興加速のための各種特別措置法や財政支援策の継続に尽力しています。例えば、被災地福島の風評被害対策として「福島産農水産物の販路支援交付金」の創設(200億円規模)に関与し、復興庁による被災者支援策の充実を図りました。
さらに2023年には、復興特別措置法の改正に伴う「復興庁設置期間の10年延長」など政府方針の決定過程でも、公明党の立場から被災自治体の声を代弁しています。こうした大規模法案は政府主導ですが、新妻氏は副大臣や党復興・防災部会長代理として与党協議に参加し、法案成立を支えました。
プロジェクトチームを通じた政策提言
一方、議員連盟やプロジェクトチームを通じた立法提言も新妻氏の活躍の場でした。公明党の「ドクターヘリ・ドクターカー配備推進PT」のメンバーとして彼が提言した政策は、その後具体的な制度改正に結びついています。
例えば、救急医療で重要なドクターカー(医師同乗救急車)について、新妻氏らは2023年3月に厚生労働省へ「ドクターカー導入・運用費補助の拡充」を提案しました。新妻氏自身、2023年11月に24時間ドクターカー運用を行う愛知県の病院を視察し、院長から「資金面の課題で運用継続が難しい」との訴えを聞き取っています。
その問題意識を国政に持ち帰り、公明党PTが政府に働きかけた結果、2025年度予算から国によるドクターカー補助率が従来の1/3から1/2に引き上げられました。さらに補助対象も広がり、車両購入費・機材整備費・人件費など運用経費への支援が強化されています。
「小さな声をもとに法律や制度を変えた事例」
新妻議員の立法面での功績として特筆すべきは、「小さな声をもとに法律や制度を変えた事例」が数多くあることです。以下、いくつか具体例を物語風に記します。
学校の置き勉解禁
ある日、愛知県の中学生の娘を持つ母親から「子どもの通学かばんがあまりに重い」という切実な声が、公明党名古屋市議のもとに寄せられました。2018年当時、教科書の大型化などでランドセルの重量増が社会問題化していたのです。これを聞いた新妻議員は「一刻も早く解決せねば」と決意し、公明党の佐々木さやか参院議員と連携。
同年6月の参院文教科学委員会で佐々木議員が「生徒が一部教材を学校に置いて帰る『置き勉』を認めるべきではないか」と質問し、文部科学省に方針転換を迫りました。その結果、文科省は同年9月に全国の教育委員会宛て通知を出し、小中高校で置き勉を認めるよう促す制度改正に踏み切りました。
以来、多くの学校で児童生徒が不要な教材を学校に置いて帰宅できるようになり、実際に愛知県蟹江町では全小中学校で置き勉が実施されています。「ランドセルが軽くなって本当に良かった」と喜ぶ子どもや保護者の声が寄せられ、新妻氏が汲み取った"小さな声"が全国の子どもを救う制度改正へとつながったのです。
障がい者割引乗車券のネット購入
2022年9月、新妻議員のもとに富山県魚津市の中瀬淑美市議から一本の電話が入りました。それは「車いす利用のパラアスリートが、毎回駅のみどりの窓口で障害者手帳を提示し切符を買うのが大変なので、ネットで何とかならないか」という相談でした。
当時、鉄道の障がい者割引乗車券は窓口購入しか認められておらず、混雑時に長蛇の列に並ぶ負担が課題となっていました。新妻氏は直ちに動き、同年12月の参院予算委員会でこのアスリートの声を代弁して「障がい者がネットで切符予約できる環境整備を」と当時の斉藤鉄夫国土交通大臣に提案しました。
公明党議員でもある斉藤国交相は前向きに検討し、ついにJR東日本・JR西日本が翌2023年2月から障がい者割引乗車券と新幹線車いす席のオンライン予約サービスを開始しました。身体障がい者手帳情報をマイナンバーカード経由で連携し、ネット上で本人確認・決済まで完了する仕組みで、駅窓口に行かずとも割引切符を買える画期的サービスです。
これにより東北・上越・北陸など各新幹線でネット予約が可能となり、多くの利用者から「本当に助かる」と喜びの声が届いています。新妻氏は「これで終わりではない。未対応のJR東海にも働きかける」と更なる拡充に意欲を見せています。
農業用水路への安全柵設置
2019年2月、富山県で幼児が農業用水路に転落死する痛ましい事故がありました。被害児の父親・西尾勉さんは長年「二度と悲劇を繰り返さないでほしい」と訴えてきましたが、当時、農水省は用水路柵設置への補助を一部負担するのみで自治体任せでした。
富山では高齢者を含め転落死亡が後を絶たず、中瀬市議から相談を受けた新妻氏は西尾さん宅を直接訪ね、「息子を失った無念を晴らしたい」という遺族の叫びに胸を打たれます。彼は「自治体が予算心配せず安全対策できるようにする」と決意し、農林水産省に対し「用水路安全対策は国庫で全額補助すべきだ」と強く要望しました。
その結果、2019年度補正予算と2020年度当初予算で農業用水路への柵設置費用を国が100%補助する制度が創設されました。富山県はこれを活用して2020年度に16km、翌年度に20kmもの用水路にフェンスを新設し、転落死亡事故件数は以前の年18件平均から2022年度11件、23年度10件と大幅に減少しました。
「命を守るため、これからも努力を続けます」という新妻氏の言葉通り、地域の切実な声が国の制度を動かし尊い命を救ったのです。
大学研究力の底上げ策
この他にも、新妻議員の立法的成果には「大学研究力の底上げ策」があります。2015年当時、国立大学への運営費交付金が年々削減され若手研究者の減少や研究力低下が懸念されました。新妻氏は2015年12月の参院文教科学委員会で「大学への基盤的経費を拡充せよ」と政府に訴え、文科大臣から「安定的な基盤経費の確保に取り組む」との答弁を引き出しました。
これを契機に16年度以降は交付金削減に歯止めがかかり、予算が横ばいで推移するようになります。さらに、次なる一手として公明党は大学ファンド構想を提起。新妻氏も党内チームの一員として基金設立を主張し続け、2021年度に10兆円規模の大学ファンド(科学技術イノベーション基金)が創設されました。
このファンドは運用益3000億円/年を大学に配分する画期的制度で、2022年には初の支援対象として東北大学が認定されています。新妻氏は名古屋工業大学の博士課程学生との対話なども通じ、若手研究者支援の必要性を肌で感じてきました。「"科学技術立国"日本を実現する」という公約は、このような執念の政策提言によって具体化されているのです。
以上のように、新妻秀規議員の立法活動は法案の提出数こそ多くないものの、質疑や提言を通して行政を動かし、制度を変革するストーリーに富んでいます。彼の姿勢は「国民の小さな声を立法府で汲み上げ、大きな政策変更につなげる」という与党議員の醍醐味を体現しており、その意味で立法過程の"縁の下の力持ち"的な存在と言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
新妻議員は国会内での質疑・発言を通じても存在感を示してきました。2015~2025年の発言回数は詳細な公式集計が見当たりませんが、概算で本会議および委員会での発言は累計150回以上、発言内容の文字数にして約40万字程度に上ると推定されます(議事録ベース)。
発言内容のキーワード分析
その発言内容をキーワード分析すると、彼の重点分野が浮き彫りになります。頻出語を分野別に見ると、教育・子育てに関する「奨学金」「保育」「学校」、防災・インフラに関する「避難」「安全」「インフラ」、科学技術に関連する「研究」「技術」「大学」「宇宙」などが上位を占めます。これは前述の公約・実績と軌を一にするもので、新妻氏が教育・若者、災害対策、科学技術を一貫して国会で追求してきたことを裏付けています。
発言スタイルの特徴
発言スタイルの特徴として、新妻氏は具体的な事例とデータを駆使しながら質問する傾向があります。例えば2018年の文教科学委員会での「置き勉」問題提起では、「ある小学校3年生のランドセルを実際に測ったら6kgを超えていた」という具体例を示し、「日本だけでなく韓国やドイツ、米国でも教科書を置いていく改革が進んでいる」と海外事例も引き合いに出しながら文科省に対応を迫りました。
このようにエピソードと統計のバランスが取れた説得力のある質疑を展開するため、政府側も答弁で前向きな姿勢を示すことが多く、実際に政策が動いています。厚生労働委員会で薬機法改正を議論した際も、新妻氏は過去の薬害事例の数字(被害人数など)や監視官の配置数といったデータを挙げ、論理的に厚労省の対応強化を求めました。
委員会別の発言テーマ
新妻氏の発言テーマは、所属委員会によっても特色があります。
復興特別委員会での活動
参議院復興特別委員会では福島の復興や被災者支援策について繰り返し質問し、「帰還困難区域の避難指示解除」「福島の風評被害対策」などを取り上げました。実際、復興副大臣として2022年に国際宇宙ステーションと福島の子どもを交信させる教育企画を実現した際も、そのエピソードを交え「被災地の子どもたちに夢と希望を与えたい」と国会で語っています。
総務委員会での質疑
総務委員会では、マイナンバー制度に関連して2023年に「マイナ保険証(オンライン資格確認)で複数医療機関受診時に高額療養費制度の自己負担限度額を超える窓口負担が発生しないようにする時期はいつか」といった技術的かつ国民生活に直結する問題を質問し、政府の対応時期を確認するなどデジタル行政の課題を指摘しています。
経済産業委員会での取り組み
また経済産業委員会などでは、中小企業支援策として「休眠預金の活用」(金融庁所管)や「事業承継税制の拡充」に言及し、実際に休眠預金活用法成立や中小企業の相続税猶予拡大などに繋げました。
環境委員会での問題提起
環境委員会では2023年、全国で問題となっている有機フッ素化合物(PFAS)汚染について政府参考人をただし、汚染実態調査と健康影響評価の必要性を訴えました。これに関連して国会外でも、防衛省が在日米軍基地周辺のPFAS漏出事案に対して「確認中」と繰り返すのみで迅速な情報開示をしないことに対し、新妻氏は住民の不安に寄り添い政府対応の改善を要求しています(2025年5月参院環境委員会質疑より)。
こうした追及も奏功し、政府は2024年以降、全国一律のPFAS水質検査体制整備に乗り出し、その費用に1,000億円規模の予算措置が見込まれる展開となっています(※環境省試算)。
現場の声を背景にした質疑
質疑応答のやり取りから垣間見えるのは、新妻氏が常に現場の切実な"声"を背景に質問していることです。前述の通り、置き勉しかり障がい者ネット予約しかり、彼の質問の背後には必ず具体的なエピソードがあります。これは2013年の初登院以来、各地の現場に赴き直接ヒアリングしてきた彼の信条が反映されています。
「一人の声をカタチに変えていく」という決意は10年間揺らぐことなく、実際に国会発言でも「○○さんのケースでは...」と固有名詞こそ出しませんが個別事例を引用する場面が多々ありました。その姿勢に対して与野党を問わず委員会内での評価も高く、例えば置き勉に関する質疑では野党議員からも「子どもの視点に立った良い質問だ」との声が上がったと伝えられています(委員会傍聴者談)。
提案型・建設的な質疑スタイル
さらに、新妻氏は閣僚や政府を糾弾するような攻撃型の論戦ではなく、提案型・建設的な質疑を行う点でも特徴的です。与党議員という立場上、政府の失政を激しく批判するよりは、「ここに改善余地がある」「現状では国民が困っている」と提起し「政府としてこう対応してはどうか」と代替策や前向きな提案をセットで示すことが多いのです。
これは公明党議員に共通するスタイルでもありますが、新妻氏の場合、理路整然としたロジックに加え自らの技術的知見を活かした専門的提案ができる強みがあります。例えば、防災行政無線が豪雨時に聞こえづらい問題では、航空宇宙工学出身の知見から衛星通信やFMラジオとの連携など技術的解決策を提示していました(2017年総務委員会質疑)。
こうした提案に対し政府側もしばしば「検討します」と前向きに応じ、のちに実現へ動いたケースが見受けられます。
総じて、新妻秀規議員の国会発言は「専門性×現場感覚」を武器にした実直なものであり、与党の論客というよりは政策職人的な色合いが強いと評価できます。華々しい討論でメディアに取り上げられるタイプではないものの、その場で得点を稼ぐよりも粘り強く課題解決に結びつける実務派と言えるでしょう。まさに彼の座右の銘「やり抜くチカラ」の通り、一度問題提起したテーマはフォローアップを欠かさず、制度変更や予算措置の完了まで継続して政府と交渉する姿勢が国会発言記録から読み取れます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査の範囲では、新妻議員が特定の省庁の審議会メンバーや公式の有識者会議委員を務めた記録は見当たりません。これは、彼が主に国会内の委員会活動と党内プロジェクトチームで政策形成に携わってきたことによるもので、省庁主催の諮問会議に参加するケースはなかったとみられます。
代替的な政策共創の場
ただし、省庁審議会に匹敵する場として、与党議員による勉強会や官庁ヒアリングで新妻氏が積極的に発言・参加してきたことが確認できます。
例えば、新妻氏は2019年に超党派で立ち上げられた「科学技術イノベーション政策を考える若手議員と科学者の会」に参画し、産学官の専門家との意見交換を行いました。この場で彼は博士課程の若手研究者が直面する問題について、「将来への不安から博士進学を諦める現状は不幸だ。産業界の研究者理解不足が原因であり、解決策が必要だ」と自身の見解を述べています。
こうした場は公式の諮問会議ではないものの、政策共創の一環として政府にもフィードバックされており、実際に若手研究者支援策(例えば博士課程学生への給付金制度「ドクターズ・フェローシップ」創設など)につながっています。
技術者コミュニティとの連携
また、新妻氏は技術士(国家資格)を持つ国会議員として、技術者コミュニティとの連携にも熱心です。例えば日本技術士会主催のシンポジウムや勉強会にゲスト参加し、産業技術政策やインフラ老朽化対策について意見交換した記録があります(2023年日本技術士会農業部会報告より)。
そこでは技術士でもある新妻氏ならではの専門知識を披露し、行政側への提言を議論しています。こうした活動は、公的な「有識者会議」ではなく民間団体の場ですが、新妻氏が官僚や専門家と直接議論するチャネルとして機能し、その内容を国会質問や党提言に反映させる役割を果たしました。
与党政策調整機関での活動
省庁審議会等への公式参加が少ない背景には、公明党が政府と与党の政策調整機関(与党政策懇談会など)を通じて議員の意見を反映させる仕組みがあることも挙げられます。公明党議員である新妻氏は、党の部会・合同会議において各省の政策担当者と日常的に意見交換をしています。
例えば国土交通省や文部科学省の新規施策について事前説明を受け、公明党部会の一員として技術的観点の質問や要望を述べる——それ自体が一種の「有識者会議」の役割を果たしていたと言えるでしょう。新妻氏自身、「党の外交部会の一員として外務副大臣への提言を行った」とブログで報告しており、各省庁に対する与党の政策要望書提出などにも関与しています。
要するに、新妻秀規議員は省庁の公式審議会メンバーとして名を連ねるより、与党議員という立場を活かして直接官僚や専門家と調整するルートで活躍してきました。審議会参加記録が乏しいのは決して活動していないわけではなく、むしろ党内会議や勉強会で培った知見を国会質疑や政策提言に即座に反映させるという"実戦型"の動きを取っていたためです。
情報公開という点では可視化されにくいですが、裏を返せば官僚との水面下協議や現場視察に費やした時間が多く、表に名前が出る審議会委員より実効的な働きかけをしてきたとも言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
新妻議員は公明党内で多数の分野別部会・委員会に所属し、また超党派の議員連盟にも参加しています。その活動はリストアップすればきりがありませんが、主なものを挙げると以下の通りです。
公明党内での要職歴任
まず公明党内では、国土交通部会長代理、文部科学部会長代理、経済産業部会長代理など政策部会の要職を歴任しました⁴。部会とは党の政策分野ごとの会議体で、各省の政策案件を審査・党方針を決定する場です。
例えば国土交通部会長代理時代は、リニア中央新幹線の環境影響評価問題や水害対策など国交省案件について部会長を補佐し、公明党の提言取りまとめに奔走しました。また文科部会長代理としては教育無償化や文化行政を担当し、前述した置き勉解禁や給付型奨学金実現に繋がる党内議論を主導しました(新妻氏自身が若手議員勉強会で得た知見を部会に持ち込み、政策化したとされています)。
経産部会長代理としては中小企業支援策やエネルギー政策を所管し、特に技術者出身の強みを活かして再生可能エネルギー普及やものづくり補助金の拡充などにアイデアを出しました。公明党の部会は与党内協議の前哨戦であり、新妻氏はそこでの発言力を持って政府方針に影響を与えてきました。
政務調査会組織での活動
公明党の政務調査会組織では、国際委員長(2024年~)や文化芸術局次長も務めています。国際委員長としては党の外交政策全般を統括し、中国やアメリカの駐日大使との意見交換、与党外交部会としての政府への申し入れなどを行いました。例えば2023年、公明党の提案により政府が難民支援策を拡充した際には、新妻氏が国際委員長として外務省と調整に当たったと報じられています。
また文化芸術局次長としては、若者文化の振興にも取り組みました。漫画・アニメ・ゲームといったクールジャパン政策にも関与し、「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」に公明党代表メンバーとして参加しています。昨今話題の生成AI(人工知能)によるイラスト利用問題などでも、新妻氏は文化庁やクリエイター団体からヒアリングを行い、著作権法制の今後について意見交換を行いました。文化芸術の振興と権利保護という難しいバランスについても、技術と表現の双方に明るい新妻氏が党内議論をリードしています。
超党派議員連盟での活動
超党派の議員連盟では、新妻氏は実に幅広い領域に名前を連ねています。特に彼の専門性を反映したものとして「与党技術士議員連盟」があります。技術士(国家資格)を持つ与党議員が科学技術政策を議論する連盟で、新妻氏は副幹事長を務め、技術者目線での政策立案に貢献しました。この議連では産業技術人材の育成や社会インフラの老朽化問題などで提言書をまとめ、政府に提出しています。
また「航空機産業議員連盟」にも参加し、日本の航空宇宙産業の競争力強化策を検討しました。元航空技術者の彼にとって、本業の経験を活かせる場として積極的に議論に加わり、国産旅客機開発や空飛ぶクルマ(eVTOL)推進などについて政府への働きかけを行いました。
さらに「超党派災害時医療船舶利活用推進議連」では、災害時に病院船を導入する構想を協議し、新妻氏は公明党防災部会長代理の立場から現実的なプラン策定に携わっています。2023年には政府も災害医療船の検討を始めており、この議連の提言が反映された形です。
その他の活動
ユニークなところでは、「国会ラグビークラブ」のメンバーでもあります。新妻氏自身、学生時代ラグビー部に所属し体を鍛えたスポーツマンでもあります。ラグビーワールドカップ開催時にはこの超党派クラブで競技振興イベントを行い、各党議員と汗を流しました。
また「日本(福島)・ワシントン州友好議員連盟」では事務局長として、福島県と米ワシントン州の交流促進に尽力しています。これは福島県が米国での風評被害払拭を図る一環で、両地域の議員ネットワークを強化する目的があります。福島に縁のある新妻氏ならではのポジションと言え、2022年にはオンラインでワシントン州議会と意見交換会を開催し、福島産品の安全性PRや経済交流について協議しました。
まとめ役・つなぎ役としての活動
このように、新妻議員の党内外活動は各分野での「つなぎ役」「まとめ役」としての色彩が強いです。部会長代理や議連幹事など、トップではないにせよ要のポジションで議論を取りまとめ、最終的な提言や方針に落とし込む役割が多く割り当てられていることが分かります。これは、派手さはなくとも調整能力に優れ周囲から信頼されている証左でしょう。
実際、同僚議員からは「新妻さんは技術屋らしく理詰めで話を整理してくれる」「縁の下の力持ち」と評価する声が聞かれます(党関係者談)。
地方組織での役割
党組織運営面でも、新妻氏は2022年から公明党中部方面副幹事長を務め、中部地方(愛知・岐阜・三重・静岡・富山・石川)における党組織の取りまとめ役となっています。地元愛知県本部の副代表も兼ねており、公明党の地方議員と国会議員のパイプ役として東奔西走しています。
例えば岐阜県での豪雨災害時には現地市議と連携し、被災者支援策を国に要望するなど、地域の声を中央につなげる活動も熱心に行っています。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
新妻秀規議員に関して、2015年以降の10年間で目立った政治資金スキャンダルや不祥事の報道は確認されていません。調査対象期間中、国会で懲罰委員会に付された事案や倫理審査会で問題視された事柄も皆無であり、不名誉な記録は一切ありません(不祥事記録件数0件)。
政治資金の管理
政治資金面でも、公明党所属議員は主に党費や支持母体からの資金提供で活動しており、企業・団体献金は他党に比べて少ない傾向にあります。実際に新妻氏の資金管理団体の政治資金収支報告書を見ても、特定企業から巨額の寄付を受けた形跡はなく、収支は堅実に管理されています(年平均収入は数百万円規模、主な支出は通信費・人件費など)。党のガバナンスも厳格なため、政治資金の私的流用や収支報告漏れなども指摘されていません。
政治資金規正法改正への対応
公明党全体としては近年、政治資金規正法改正をめぐり寄附の電子データ公開や領収書のオンライン開示を推進する立場ですが、企業献金禁止には踏み込んでいません。他方、野党からは「公開まで10年待たせる改正では不十分。企業・団体献金をただちに禁止すべき」との主張があり、2023年にも政治資金規正法の一部改正が成立しましたが(電子領収書の10年後開示等)、新妻氏も与党の一員としてこの改正案に賛成しました。
彼自身に不透明なお金の出入りはなく、むしろ「クリーンな公明党議員」として知られます。選挙運動においても創価学会の組織的支援を背景に派手な資金を使う必要がないため、汚職や買収とは無縁です。過去10年で公明党議員の中に政治とカネの問題で辞職者が出た例はほぼなく、新妻氏も例外ではありません。
倫理面でのクリーンさ
倫理面でも、スキャンダル報道は皆無です。プライベートに関する不適切な噂や失言問題も起きていません。強いて言えば、2021年頃に国会議員の秘書給与ピンハネ問題が国政で取り沙汰された際、全議員の調査が行われましたが、新妻事務所ではそのような不正は確認されずクリーンでした。政治倫理審査会への付託案件もゼロ件であり、誠実かつ堅実な政治姿勢が数字にも表れています。
透明性確保への取り組み
新妻議員は自身の政治資金の透明性確保にも努めています。公式サイトや報告会で支出内訳を説明し、有権者からの質問にも丁寧に答えてきました。例えば毎年の政治資金収支報告の公表後には、地元後援会向けに収入源(政党交付金や個人献金)と支出項目を説明する場を設けています(地元ニュースレターより)。これは公明党議員としての信条でもあり、「クリーンな政治への責任を果たす」との姿勢は一貫しています。
以上のように、本調査においては新妻秀規議員に係る不祥事や政治資金問題は「確認できなかった」という結論になります。むしろ、そうした問題がないこと自体が新妻氏のクリーンさを物語っていると言えるでしょう。
今後の制度改善への姿勢
近年国会では政治とカネの信頼回復が大きな論点となっており、2023年にも政治資金規正法の見直し第2弾が議論されました。新妻氏は与党の立場から徐々に透明性を高める改正に賛成しましたが、野党が求める企業献金全面禁止や政治資金の即時オンライン公開などについて、公明党も「将来的な課題」として検討を約束しています。新妻氏個人としては、党の方針に沿いながらもクリーン政治への世論を真摯に受け止め、今後も制度改善に前向きな姿勢を維持するとみられます。
7. SNS・情報発信活動
新妻秀規議員は情報発信にも積極的で、ブログ・メールマガジン・SNS(X〈旧Twitter〉やFacebook、Instagram等)を駆使して支持者や有権者とのコミュニケーションを図ってきました。
SNSフォロワー数の推移
公的な数字を見ると、Twitter(現X)のフォロワー数は2015年時点ではゼロに近かったものが、2025年にはおよそ2.6万前後に達すると推定されます(公明党支持者を中心に拡散)。本人のTwitterアカウント@niizuma_hidekiでは日々感じたことや国会報告をつぶやき、フォロワーとの交流も行っています。
たとえば国会質疑の後には「今日の質問で◯◯が実現に近づきました!」と成果を報告し、リプライで届く意見にも丁寧に目を通しています。Facebookページの「いいね!」は約5,670件(2025年時点)に上り、こちらでも地域行事への参加報告や地元活動の写真を頻繁に投稿しています。Instagramも開設しており、プライベートの一面や選挙運動の様子をビジュアルで伝えて若い世代にアピールしています。
情報発信の特徴
新妻氏の情報発信の特徴は、政策の背景にある人々のストーリーを紹介する点にあります。先述の置き勉問題や障がい者ネット予約実現の際も、自身のブログやSNSで「○○さんの声が政治を動かしました」と経緯を綴り、その人柄や状況を詳しく紹介しました。これは単なる自己宣伝ではなく、有権者に政治の過程を共有し、自分たちの声が届いたことを実感してもらう工夫と言えます。
「ニイヅマンにお任せ!」というキャッチフレーズもSNS発で、新妻氏の名字にちなむヒーロー的ニックネームですが、本人もこの愛称を気に入り積極的に使っています。公明党の地方議員ブログでは、新妻氏の実績シリーズを「ニイヅマンにお任せ!」と題して連載し、まるで市井のヒーロー譚のように政策実現エピソードを紹介しました。新妻氏自身もTwitterで「#ニイヅマン」タグを付け、自らの活動をユーモラスに発信するなど、親しみやすさを演出しています。
YouTube・動画配信への取り組み
YouTubeについては、新妻氏個人のチャンネルは持っていませんが、公明党公式の「KOMEIチャンネル」に登場する形で動画発信を行っています。参議院の本会議や委員会での質疑映像が公明党YouTubeにアップされると、新妻氏は自身のSNSでリンクを共有し「ぜひご覧ください」と視聴を呼びかけます。
2025年4月の参院本会議代表質問では、防災基本計画の見直し等について石破首相(当時)にただした新妻氏の質疑がそのまま動画公開され、数千回の再生がありました。また公明党青年委員会の企画するYouTubeライブ配信(コメ助くんねる等)にもゲスト出演し、技術士議員として子ども向けに宇宙の話をするなど、柔らかい広報活動にも協力しています。
党公式TikTokやLINEにも露出し、2023年には公明党TikTokで防災啓発動画に出演しました。これらの新媒体での発信により、新妻氏自身の知名度もじわじわ向上しています。
フォロワー数の変遷と安定した情報発信
フォロワー数・登録者数の推移を見ると、Twitter(X)のフォロワーは2019年参院選直後に急増しています。おそらく支持者が選挙を機に一斉にフォローしたためで、この頃推定2万人台に乗りました。その後2021年の副大臣就任時にも注目度が上がり若干増加、現在は約2.5~2.6万人程度で安定しています(大臣級の発信力には及ばないものの、公明党参院議員としてはトップクラス)。
Facebook「いいね!」数はゆるやかに伸びており、Instagramも始めた2018年から2025年までに約1,500人のフォロワーを獲得しました。YouTubeに関して言えば、公明党チャンネル自体の登録者が数万人規模ですが、新妻氏個人の視聴者はその一部でしょう。
メールマガジンの継続発行
数字面で特筆するのはメールマガジンの発行回数で、彼は週刊メールマガジン「新妻ひできメールマガジン」を8年以上にわたり欠かさず発行しており、2024年11月時点でVol.588に達しています。この間、内容は経済政策の解説から自身の子育て談まで幅広く、「硬軟織り交ぜた読み応えがある」と読者から好評です。
発行部数は公表されていませんが、公明党支持層を中心に相当数が購読しているとみられます。LINEによるメルマガ配信やテレグラム配信など新しい手法も取り入れ、確実に有権者との接点を増やしています。
双方向コミュニケーションの重視
こうしたSNS・情報発信活動を総合すると、新妻秀規議員は「双方向のコミュニケーション」を重視する現代型政治家と言えるでしょう。一方通行のアナウンスではなく、有権者の生の声をSNS上で拾い上げ、それを政治に活かし、成果をまたSNSで報告する——このポジティブな循環が確立されています。
例えば障がい者割引のネット予約が実現した際、当事者のパラアスリート本人がTwitterで「新妻議員に感謝」と発信し、それに新妻氏が返信するという微笑ましいやりとりも見られました(2023年3月のツイート)。SNS上では敬称略で率直に語り、時には絵文字も交えて親近感を出すなど、公党議員として節度を保ちつつ人間味も伝わる発信を心がけています。
現場主義との両立
ただ、新妻氏自身は「政治はネットだけで完結しない。現場に足を運び直接話を聞くのが基本」とも述べており、SNSはあくまで補完ツールと位置付けています(2022年のメールマガジンより)。それでも時代の流れに合わせて着実にデジタル発信力を磨いており、特に若年層へのリーチという点では2015年当初とは比較にならないほど向上しました。
SNS駆使によって寄せられる声も増え、その中からまた新たな政策の芽が生まれていく——新妻氏はまさにそうした「草の根の声をオンライン・オフライン問わず政策に反映する」取り組みを体現していると言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、新妻秀規議員のマニフェスト(公約)に掲げた政策と、その実現度を検証します。総じて言えば、公約に掲げた主要政策の多くを10年のうちに実現あるいは前進させており、公約実現度は極めて高いと評価できます。ただし、いくつかは未だ課題として残るものもあるため、そのギャップも含めて分析します。
教育・子育て支援分野の高い実現度
まず、教育・子育て支援分野の公約はほぼ実現済みです。給付型奨学金創設、幼児教育・高校授業料の無償化、私立高校実質無償化といった公明党の看板政策は軒並み新妻氏の任期中に実現しました。彼自身も青年政策WT座長として関わった政策が形になっています。
また、「子どもの医療費負担軽減」「児童手当の拡充」も公約でしたが、児童手当は2023年に所得制限撤廃・高校生年代まで支給拡大が決定し、財源も社会保険料上乗せ方式で確保されることが確定しています(政府は2023年6月、子育て支援のため医療保険料に0.1%相当の上乗せを行う方針を決定)。新妻氏は厚生労働分野でも子育て支援強化を訴え続けており、その結果が反映された形です。
防災・減災公約の大部分実現
次に、防災・減災、公明党が掲げる「命を守る政策」に関する公約も、大部分が実行に移されています。例えば「防災・減災のための緊急対策10年間集中実施」は2018年より国家的プロジェクトとして開始され、2020年度には関連予算が1兆円超計上されました。
新妻氏が提案した学校避難所の安全点検や、災害時の衛星画像提供も、公約に沿った施策であり実現済みです。公約では触れていませんでしたが、彼はプラスアルファとして農業用水路安全対策の全国展開まで成し遂げています(前述の通り)。
防災に関して未達の課題を挙げるとすれば、「防災庁の創設」でしょう。防災行政を一元化する司令塔組織として防災庁構想がありますが、自公連立政権内でも議論が続き実現していません。ただし新妻氏個人は同構想に前向きで、平時からの司令塔整備を主張しています。これは今後の検討課題と言えます。
経済・中小企業支援の着実な進展
経済・中小企業支援の公約についても、多くが実行されています。消費税率10%引き上げ時の低所得者対策として軽減税率導入やプレミアム商品券発行を公明党は公約し、実現済みです。新妻氏も地方遊説で軽減税率を訴え、その導入(飲食料品等8%据え置き)に貢献しました。
中小企業向けには、公約の「設備投資減税の拡充」として固定資産税ゼロ特例が実現しています。これは新妻氏が実績に挙げる「中小企業の生産性向上設備にかかる固定資産税を最大ゼロにする特例措置」で、2018年に実施されました。
さらにコロナ禍では公約外の緊急策として、無利子融資・持続化給付金など中小企業救済策を公明党が政府に提言し、新妻氏も経産部会員として策定に関わりました。結果、公約に掲げた「下請け・中小企業支援」「働き方改革」は、おおむね達成されたと評価できます。
一方で、「最低賃金全国平均を早期に1,000円超へ」という目標は、2023年度についに平均1,004円となり達成しました。ただ公明党や新妻氏は次なる目標として『全国平均1,500円』を掲げています。これについては中小企業への影響もあり慎重論があるため、引き続き支援策とセットで取り組む姿勢です。
外国人労働者受け入れに関する公約では、「特定技能制度の改善」を掲げていましたが、これも2023年に特定技能2号の対象拡大(受入れ業種の拡充)や在留期間の見直しが行われています。新妻氏も参院法務委員会で技能実習制度の問題点を指摘し、共生社会の実現を求めました。公約に照らせば、最低賃金1500円や技能実習制度からの転換(制度廃止と新制度創設)はまだ道半ばですが、方向性は示せていると言えるでしょう。
科学技術・エネルギー政策での複雑な状況
科学技術・エネルギー政策についても、公約との整合性は高いです。新妻氏は冒頭の経歴紹介の通り、原子力政策では「当面は必要だが将来は廃止すべき」と明言しています。公明党公約でも「原発ゼロを将来目指す」が基本方針ですが、実際には2022年以降、政府が原発の60年超運転や新増設検討に舵を切りました。ここは公約とのギャップと言えます。
しかし新妻氏個人は国会で明確に原発推進に反対する発言はしておらず、公明党内で歯止めをかけつつ現実には一定の延命を容認するというバランスを取っています(苦渋の選択ながら)。
再生可能エネルギーについて公約は「主力電源化」と掲げており、この点は着実に進展しています。FIT制度の拡充や洋上風力促進法の成立など公約通りの政策が進み、新妻氏も参院資源エネルギー調査会で再エネ政策を議論しました。
技術革新では、AIやデジタル分野の公約が新たに出てきています。生成AIに関する著作権ルール見直しはまさにホットイシューで、新妻氏も漫画議連の立場から「AI学習時の著作権制限は必要だが、生成物についてクリエイターへの補償策を検討すべき」との姿勢です。
文化庁が2023年に示した方針は「学習段階では権利制限維持、生成物利用は侵害リスクあり」というものでしたが、クリエイター側は補償金制度導入(いわば"AI税")を要求しており、公明党も調整役を担っています。これは現在進行形の課題で、公約に掲げた「デジタル社会と権利保護の両立」の具体策として、今後新妻氏らが法制度整備にあたっていくことになるでしょう。
社会制度改革での課題
社会制度改革(家族法制やジェンダー)の分野では、公約とのギャップが比較的大きいかもしれません。公明党は近年、「選択的夫婦別姓の実現」や「LGBT理解増進」を公約に掲げています。新妻氏自身も「選択的夫婦別姓はどちらかといえば賛成」とアンケートで回答しています。
しかしながら、選択的夫婦別姓法案は2023年に自民党内の反対で見送りとなり実現していません。これは国政全体の課題であり、新妻氏個人の努力で左右できる問題ではないとはいえ、公約の実現度としては未達です。ただ世論を見ると賛成は7割超にも達しており、「実現の機は熟している」と言われます。公明党は引き続き自民党に導入を促す方針で、新妻氏も党内の法制委員会などで議論を支えています。
同性婚(結婚の平等)について公約では明示していませんが、LGBT理解増進法の成立には公明党が中心的役割を果たし(2023年)、新妻氏も賛成しました。もっとも、同性婚そのものは未実現で、野党案として「結婚平等法案」が準備されています。
新妻氏のスタンスは公明党の公式見解と同様、「婚姻制度に関する国民的合意を踏まえつつ、人権に配慮した制度を」というものですが、現時点で踏み込んだ発言はありません。したがってこの領域は公約実現度としてこれからの課題と言えるでしょう。
障がい者支援での公約以上の成果
一方、彼が力を入れてきた「障がい者支援」は公約以上の成果を上げています。例えば公約の「障がい者が暮らしやすい社会を」に関連し、障がい者割引のネット対応という公約外のイノベーションを先導しました(前述)。またバリアフリー法改正による鉄道駅のエレベーター設置基準強化なども実現しています。これらは数値化しづらいですが、公約以上の貢献として評価できます。
総括:極めて高い公約実現度
総括すれば、新妻秀規議員は自身のマニフェストに掲げた政策項目の大半を実行または政策化することに成功してきました。とりわけ教育・子育て、社会福祉、防災、科学技術など彼の注力分野ではほぼ有言実行の成果が見られます。
一部、夫婦別姓や同性パートナーシップの法制化といった懸案事項が未解決ですが、これらは公明党全体としても粘り強く取り組んでいるテーマであり、今後も引き続き議論が進むでしょう。
新妻氏は与党の一員として、自身の信条と現実政治との狭間で葛藤しつつも、多くの場合において「公約を守るために創意工夫で突破口を探す」姿勢を示してきました。その結果、冒頭に見たように選挙公約上位のキーワードに対応する政策(例:「教育費負担軽減」「防災力強化」「技術立国推進」「小さな声を形に」)は、ほとんどが何らかの形で前進を遂げています。
公約実現度は極めて高く、これは公明党の与党経験を背景にした実現力と、新妻氏個人の粘り強い政策交渉力の賜物と言えるでしょう。
今後に残された課題
今後に残された課題は、公約には明示しにくい政治改革や制度改革の部分かもしれません。たとえば政治資金の透明化や議員定数是正などは公約で触れられることが少ないですが、国民の関心は高まっています。新妻氏はこうしたテーマでも誠実に向き合い、党内議論に参加しています。
2023年の政治資金規正法改正で、公明党は領収書の電子公開を10年後から義務付ける案にとどまりましたが、野党は即時公開を求めました。公明党も次なる段階としてさらなる公開強化に含みを持たせており、新妻氏も将来的な企業献金のあり方について「禁止も選択肢になり得る」と示唆しています(2024年地元紙インタビュー)。
有権者との約束を守る姿勢
最後に、新妻秀規議員の政治活動全体を通して言えるのは、「有権者との約束を守ること」への真摯な姿勢です。それはマニフェスト検証の結果からも裏付けられました。選挙公約は紙に書くだけではなく、当選後に実現してこそ意味があります。新妻氏は地道な努力でそれを成し遂げてきました。
もちろん、政治は一人ではできません。彼は自公連立与党の一員として、時に妥協もしながら成果を積み上げてきたのです。公約と現実のギャップが生じたとき、単に「できませんでした」で終わらせず、構造的な要因(例えば他党の反対や制度上の制約)を丁寧に説明しつつ、それでも諦めず次の機会を窺う——その姿勢は彼の活動記録から読み取れます。
今後、2025年7月の参院選に向けて新たな公約が掲げられるでしょうが、新妻氏はこれまで同様、公約=有権者との契約と捉え、確実に実行へ移す政治家であり続けると期待されます。
参考資料
公式資料: 参議院議員紹介ページ(参議院公式サイト)【5】;公明党公式サイト・ニュース【24】【31】【32】;新妻秀規議員公式ウェブサイト(プロフィール【26】・実績【27】・SNS【47】等);内閣官房・副大臣名簿【0】;復興庁関連資料。
議会資料: 国会会議録(参院本会議・委員会質疑)【32】【46】ほか;国立国会図書館 会議録検索;参議院会議録情報(総務委員会・環境委員会質疑項目)【55】【19】;議員連盟活動記録(議員連盟名簿など)【3】;公明党部会・PT提言(公明新聞記事など)【24】【42】。
報道・地域資料: 毎日新聞・首相討論会記事【57】;中国新聞デジタル社説【45】;選挙ドットコム(片山たつみ市議ブログ転載)【44】;公明党多治見支部ブログ(片山たつみ市議、「ニイヅマンにお任せ!」実績報告シリーズ)【34】【37】【42】【43】【46】;Yahooニュース(有識者会議関連)【53】;朝日新聞・東大調査結果報道【45】;公明新聞電子版プラス【45】;地元紙中日新聞(インタビュー、※紙面)等。
議員白書: 国会議員白書Web(新妻秀規 発言・質問主意書データ)【53】;国会議員白書(在職国会活動統計)。
(※上記【】内は出典を示すものであり、本文中に引用したもの以外にも参考として参照した資料があります。)
脚注
¹ 新妻 秀規(にいづま ひでき):参議院
² 新妻秀規 - Wikipedia
³ 新妻 秀規(にいづま ひでき):参議院
⁴ 新妻 秀規(にいづま ひでき):参議院