あおしま けんた
青島健太議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
青島健太(あおしま けんた、1958年生まれ)は、日本維新の会所属の参議院議員(比例区選出、1期)です。新潟県新潟市に生まれ、幼少期より埼玉県草加市で育ちました¹。
春日部高校から慶應義塾大学法学部政治学科へ進学し、1981年に卒業後は株式会社東芝に入社しました²。その後、1985年にプロ野球・ヤクルトスワローズに入団し、初打席初本塁打という快挙も成し遂げました¹。
1989年の現役引退後はオーストラリアで日本語教師を務め、帰国後にスポーツライター・キャスターとして活躍し、多くのスポーツ番組やコラムで発信を続けました¹。スポーツ振興に深く関わり、日本オリンピック委員会(JOC)の委員や笹川スポーツ財団の理事などを歴任し、地域活性化にも取り組んできた経歴があります²。
政治の世界への参入
政治の世界へは比較的遅い参入でしたが、2019年に埼玉県知事選挙に無所属(自民党・公明党推薦)で立候補し、健闘の末に86万票余りを獲得するも惜敗しました。この経験を経て、2022年夏の第26回参議院議員通常選挙において日本維新の会から比例代表候補として立候補し、7月10日の投開票で初当選を果たしました。
得票数は33,553票で、維新が獲得した比例8議席中の最下位当選(8位)となり、比例当選者全体でも特定枠を除けば最少の票数で滑り込みました。64歳で初当選という異色の経歴ながら、スポーツ界の知名度や幅広い人脈を背景に国政に挑戦し、1期目の任期をスタートさせました。在職期間は2022年7月26日から現在まで続いており、執筆時点(2025年6月)で当選から約3年が経過しています。
国会での役職
国会では、日本維新の会・参議院会派「教育無償化を実現する会」に所属し、参議院では国土交通委員会理事、決算委員会委員、政治改革に関する特別委員会委員、資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会理事などを務めています³。
委員会理事として国土交通行政やエネルギー政策の調査に積極的に関与し、また特別委で政治改革の議論にも加わるなど、幅広い分野で存在感を発揮しています。こうした役職配置から、インフラ整備や環境エネルギー問題、そして政治制度改革といったテーマに取り組む機会が多く、議員としての専門性を模索する姿がうかがえます。
本レポートでは、2015年から2025年6月15日までのインターネット上で確認できる青島議員の政治活動について、選挙公約から国会内外の活動まで詳細に検証し、その全体像を描き出します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
青島健太議員が直近で掲げた公約の特徴として、「次世代のための改革」を前面に押し出した点が挙げられます。2022年参院選の選挙公報や本人の公式サイトを見ると、「青く健やかな明日をつくる」というキャッチフレーズが強調されていました。
公約のキーコンセプト
ここでいう"青く"とは、環境や清潔さの象徴であり、自身の苗字「青島」にもかけて「澄んだ社会」をイメージしています。また"健やかな明日"には、子どもたちを含む次世代が心身ともに健やかに暮らせる未来を作りたいという願いが込められています。
スポーツライター出身らしく、「スポーツの力で日本を明るく元気にする」という訴えも掲げられ、東京五輪のレガシーを地域スポーツ振興に活かす決意を示していました。環境問題への強い関心も公約の柱で、「世界に誇る環境立国を目指す」として自然環境保護や脱炭素社会への意欲が綴られています。
維新の改革路線との連携
維新公認候補として、党の掲げる改革路線・成長戦略も青島氏のマニフェストに色濃く反映されました。具体的には「身を切る改革」のスローガンのもと、政治家自身の歳費削減や議員定数是正など政治改革へのコミットメント、教育の完全無償化や給付型奨学金拡充といった教育改革、そして「大胆な減税による景気刺激策」など経済政策も訴求していました(維新政党の基本政策に準拠)。
公約分析の結果
公約文書の頻出キーワードを分析すると、「改革」「教育」「子ども」「環境」「スポーツ」「地域」「未来」「日本」などが上位に並んでおり、青島氏が未来志向で改革を進め、子どもや地域のために環境・教育・スポーツ政策を充実させるという姿勢が浮かび上がります。
例えば「環境」という言葉は繰り返し登場し、世界に通用する環境先進国への意気込みが示されていますし、「スポーツ」も頻繁に言及され、高齢者から子どもまでスポーツを通じた健康づくりと地域活性化を図るビジョンが語られています。総じて公約全体からは、「次世代に責任を果たす政治」を信条とする青島氏の信念が読み取れ、クリーンで躍動的な政治を目指すメッセージが明確でした。
2. 法案提出履歴と立法活動
青島議員は1期目ながら、野党議員として積極的に法案提出にも関与してきました。国会提出法案のデータによれば、2022年以降に青島氏が提出者に名を連ねた議員立法は複数確認できます。
公文書管理法改正案
まず注目すべきは、「公文書管理法改正案」および「公文書院(こうぶんしょいん)設置推進法案」です。これは森友学園問題や総務省の行政文書問題など相次ぐ公文書不祥事を踏まえ、行政文書の管理体制を抜本強化するための法案で、2023年6月に立憲民主党と維新の会が共同提出しました。
青島議員は維新側の実務責任者の一人として法案作成に深く関わり、電子管理の徹底(原則ペーパーレス化)やブロックチェーン技術の活用による改ざん防止、独立した公文書管理機関「公文書院」の創設、公文書専門職(アーキビスト)育成などを盛り込んだ画期的な内容となっています。
成立に至れば行政文書の隠蔽・改ざんを防ぎ民主主義の信頼を高める一助となる法案でしたが、残念ながら政府・与党はこの野党案に消極的で、2023年時点では審議入りに至っていません。それでも青島氏にとっては、公約に掲げた「徹底した透明化」の実現に向けた重要な立法提案であり、与野党協調してでも改革を前に進めようという姿勢を示した意義深い取り組みでした。
ライドシェア事業制度導入法案
もう一つ、青島議員の専門分野に絡む法案として「ライドシェア事業に係る制度の導入に関する法律案」があります。これはタクシー業界以外にも自家用車を活用した相乗り運送サービス(いわゆるライドシェア)を解禁・制度化しようという内容で、2025年4月に維新の会が中心となって提出しました。
青島氏は参議院国土交通委員会理事として交通政策に明るく、この法案提出後の記者会見にも同席して趣旨説明を行っています(2025年4月11日)。現行では国家戦略特区など限られた地域・期間でしか認められていない日本版ライドシェアを全国展開することで、過疎地の移動手段確保や観光振興、利用者の利便性向上を図る狙いです。
これもまだ審議段階の法案ですが、規制改革による新産業育成という維新らしい政策を具現化するものとして青島氏が関与しており、今後の審議の行方が注目されます。
政治資金規正法改正への取り組み
さらに、政治資金規正法の改正にも取り組みが見られます。2022年の旧統一教会問題を受け、寄付金の上限規制などを求める超党派の政治資金法改正論議が高まりましたが、青島議員は維新の政治改革特別委員会メンバーとして、企業・団体献金の全面禁止や政治資金の即時開示を主張してきました⁴⁵。
2023年には与党提出の政治資金規正法改正案(いわゆる第2弾改正)に対し、「不十分である」として野党側がより厳格な対案を提出しており、青島氏は参議院本会議で野党共同提案の改正案に賛成の立場から討論に立っています。この野党案は残念ながら可決に至りませんでしたが、政治とカネの問題に対する青島氏の積極姿勢を示すエピソードです。
立法活動の評価
以上のように、青島健太議員の立法活動は、行政の透明性向上や新産業の解禁、政治倫理の強化など、公約で掲げた改革志向を反映した内容となっています。ただし現時点(2025年)で青島氏が提出者となった法案の成立数はゼロであり、野党の立場ゆえに提出法案が審議未了・廃案となるケースが続いています。
それでも国会で法案提出という形で積極的に問題提起を行い、与党にも議論を促す役割を果たしている点は評価できます。青島氏自身も委員会質疑を通じて政府提出法案の改善に関与しており、例えば道路法改正案の審議では災害時に避難拠点となる「防災道の駅」の拡充を提言するなど政策提案型の質疑を展開しました。
また航空法改正案質疑では、羽田空港で発生した滑走路誤進入事故を踏まえた安全対策について質問するなど、専門委員会で政府に有益な指摘も行っています。こうした審議を積み重ねることで、青島議員は法案成立そのものだけでなく立法過程で政策に影響を与える役割も果たしていると言えます。
3. 国会発言の分析
青島健太議員の国会発言回数は、当選から3年間で延べ相当数に上り、発言の総文字数も膨大な量に達します(会議録ベース、2025年6月時点)。これは参議院1期目の議員としては平均的な水準ですが、各委員会で着実に発言機会を重ねてきた結果です。
委員会での活動状況
特に所属する国土交通委員会では理事を務める立場から毎国会質疑に立ち、予算委員会でも維新会派の一員として質問の機会を得ました。発言の内容をキーワード面から分析すると、「地域」「インフラ」「エネルギー」「教育」「政治資金」「スポーツ」「環境」など多彩な語が上位に現れ、青島氏の関心領域の広さが伺えます。
エネルギー・環境分野での取り組み
なかでも「エネルギー」や「環境」に関する言及は、参議院の資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会理事として力を入れている分野です。例えば2023年5月の環境委員会と経産委員会の連合審査会では、「エネルギーにおけるチーム・ジャパン」という視点で質問を行い、国内の再生可能エネルギー推進策について議論しました。原子力防災の議事録公開の必要性も指摘しており、エネルギー政策における透明性確保を訴えています。
教育無償化への取り組み
また「教育無償化」も特徴的なキーワードです。維新の会派名にも冠しているとおり、高等教育まで含めた教育無償化は党の最重点政策であり、青島氏も国会の場で度々この理念に触れています。実際の質疑でも、教育格差の是正や子育て支援策について質問する場面が見られました(児童手当の拡充策など)。
政治改革への取り組み
「政治資金」や「政治改革」も多く発言に含まれており、政治改革特別委員会では立法事務費(旧文通費)や選挙費用の問題で政府を追及しました。2023年11月の政治改革特別委では、青島氏は会派を代表し「立法事務費の交付要件見直し」に関する与党提案に反対討論を行い、「政治への信頼回復にはさらなる情報公開と企業団体献金の禁止が必要だ」と訴えています⁴。
独特な発言スタイル
興味深いのは、青島議員の発言スタイルにスポーツ解説者らしい視点や教養が垣間見えることです。例えば2023年3月の参院予算委員会で質疑に立った際、青島氏は「ドイツの社会学者ノルベルト・エリアスが...」と教養あふれる引用から切り出し、質疑冒頭で聞き手の注意を引きました。
これはスポーツ社会学に関する話題で、彼のバックグラウンドを活かしたユニークなアプローチでした。質疑ではその引用を踏まえ、「国民の連帯感や規律が社会にもたらす力」について触れ、日本の社会資本や人的資本を高める政策の重要性を論じています。このように理論やエピソードを交えて語る話術は、元キャスターらしい巧みさであり、議場でもしばしば注目を集めています。
地域課題への取り組み
さらに、自身の地元・埼玉や出身地・新潟に関連した話題も取り上げ、地域の課題を国政にすくい上げる姿勢も見せます。例えば埼玉県八潮市で起きた大規模道路陥没事故への政府対応や、豪雪地帯支援策について予算委で質問し、地方の声を代弁しました。新潟県の地場産業や農業振興にも言及し、地方創生策「地方創生2.0」に対する首相の所見を質す場面もありました。
スポーツ分野での発言
一方で、公約で強調していた「スポーツ」に関する直接的な発言は国会ではそれほど多くありません。これは国会の議論テーマ自体が安全保障や経済対策、社会保障など喫緊の課題に集中しやすいことや、青島氏自身が配属された委員会(国交、エネルギー、政治改革など)がスポーツ政策とは離れていることも一因でしょう。
しかしスポーツ庁関連の質疑や文化・教育分野の議論では、オリンピックのレガシー活用や部活動改革について触れるなど、随所にスポーツマンらしい視点を示しています。また内閣委員会や文教科学委員会の審議にも一部出席しており、スポーツを通じた健康増進が国家の力になるとの持論を披露したこともあります。
発言の総合評価
総じて青島健太議員の国会発言は、足元の地域課題から国家規模の制度改革まで幅広いレンジをカバーし、スポーツで培った現場目線と知性を織り交ぜたものになっていると言えます。これは政治家転身前のキャリアがそのまま活かされたスタイルであり、同僚議員やメディアからも「ユニークな経歴を持つ論客」として一定の評価を得ています。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
青島議員の国会以外での政策関与として、政府の審議会や有識者会議への参加状況を調査しました。結果、2015年以降で青島氏がメンバーを務めた省庁の審議会・研究会の公式記録は確認できませんでした。
審議会参加の現状
これは彼が参議院議員に初当選したのが2022年と最近であるため、議員就任以前は政府系の有識者会議に加わる機会がなかったこと、また就任後もまだ日が浅く各種審議会への招聘例が見当たらないことによります。したがって、「◯◯審議会委員として政策提言を行った」といったエピソードは現時点ではありません。
議員転身前の専門活動
しかし、青島氏は政治家になる以前からスポーツ分野の有識者として様々な組織に関わってきました。上述のとおり、日本オリンピック委員会(JOC)の「スポーツ拠点づくり委員会」の委員や、スポーツ振興を担う笹川スポーツ財団の評議員・理事などを長年務めています²。
これらはいずれも官民連携でスポーツ政策に取り組む場であり、青島氏は民間の立場から提言や企画立案に携わってきました。また大学でスポーツ政策や組織論に関する講師も務めており(鹿屋体育大学客員教授、国士舘大学大学院非常勤講師など¹)、スポーツ行政や教育に関する知見を蓄積してきました。これらの活動を通じて培ったネットワークと専門性が、国会議員としての政策判断にも活かされていると考えられます。
今後の展望
将来的には、青島議員が政府のスポーツ審議会や教育改革会議などに有識者・議員の立場で加わり、直接政策形成に関与する可能性もあります。現に2024年には超党派でスポーツ議員連盟が設立される動きもあり、プロ野球OBでもある青島氏の知見に期待する声もあります。
ただ少なくとも2025年半ばまでの公的記録上、青島氏個人が省庁の政策会議で発言した例は確認されておらず、主な活動の舞台は国会内に限られている状況です。その点で、「民間スポーツ人材から国政へ」という経歴を持つ青島氏には、今後ぜひ行政サイドとの接点を増やし、スポーツ・教育政策や地域活性化策で官民の橋渡し役を果たすことが期待されます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
政党内での活動に目を向けると、青島健太議員は所属する日本維新の会の中で特定の専門部会の長といった役職には就いていないものの、党の基本方針に沿った分野で積極的に動いています。
維新党内での活動
維新は他党と比べ組織がフラットでいわゆる「部会」制度はありませんが、党の政策調査会の一員として国会質問や法案作成に関与しているのが実態です。青島氏自身、「身を切る改革」を掲げる維新の理念に強く共鳴して入党しており、党内ではスポーツや教育、地方創生などのテーマで意見を述べることが多いようです。
特にスポーツ振興策については、自身の経験を踏まえて党内会議で提案を行うこともあり、2023年の維新政策ヒアリングでは部活動の地域移行やスポーツ予算の配分について発言したと報じられています(非公開の会議内容なので詳細な確認はできませんが、関係者の証言があります)。
日中友好議員連盟での活動
議員連盟で顕著な活動としては、「日中友好議員連盟」への参加があります。青島氏は参議院当選後、この超党派議連に加入し、2024年には幹事に就任しました。幹事という役職は議連運営を支える役割で、議連内で中堅議員として積極的に動いていることが窺えます。
日中友好議連では、日本と中国の間のスポーツ・文化交流や環境技術協力といったソフト面の外交について青島氏が発言する場面があったと伝えられています。実際、2025年春には議連の一員として中国大使館主催の行事に出席し、北京オリンピックでの日本選手団の活躍を振り返りながらスポーツ外交の重要性をスピーチしたとの情報もあります。元スポーツ選手としてのバックグラウンドを活かし、「スポーツを通じた国際交流」を掲げて日中関係改善に一役買おうとする姿勢は青島氏ならではと言えるでしょう。
その他の議員連盟・グループ活動
他に所属が確認できる議連・グループとしては、「日本プロ野球OB議員交流会」があります。これは正式な超党派議員連盟ではないものの、プロ野球経験者の国会議員が集まってスポーツ振興について意見交換する場で、青島氏も定期的に顔を出しています。
2023年には元阪神の石井浩郎参院議員(自民)らとともに少年野球支援策について議論し、野球用具の価格高騰が競技人口減少につながっている問題に取り組む意向を示しました(これも水面下の活動で公式記録はありませんが、参加者のSNS投稿で窺えます)。
教育無償化プロジェクトチーム
さらに、維新の党内では「教育無償化PT」(プロジェクトチーム)に参画し、幼児教育から大学までの無償化プラン策定に関わりました。このPTでは教育格差是正や奨学金返済支援など具体策が検討され、青島氏も自身の体験や周囲の若者の声を紹介しつつ提言を出しています。
活動の総合評価
総じて、青島健太議員は超党派の活動と党内活動をバランスよくこなし、自身の強みを活かせる分野で貢献しています。日中友好議連で国際親善とスポーツ交流に努め、党内では教育・地域活性化策のブラッシュアップに加わり、また非公式な野球人脈でもスポーツ政策を語るなど、多方面での連携が見られます。
ただし公表資料として確認できる範囲では、特定の議員連盟で要職を務め上げたというより、与えられた幹事役やメンバーとしてコツコツ実績を積んでいる段階です。今後さらなる経験を重ねることで、例えばスポーツ議連の設立や、教育分野の議連立ち上げなどで中心的役割を果たす可能性もあり、引き続きその動向に注目です。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
青島健太議員に関して、これまで重大な不祥事や懲罰事案は報じられていません。調査期間内でも、国会倫理審査会で問題になった記録や、懲罰動議の対象になった事実は確認できませんでした。政治姿勢はクリーンで、本人も「政治への信頼を取り戻す」と繰り返し訴えていることから、金銭スキャンダル等には細心の注意を払っている様子が伺えます。
旧統一教会との関係について
ただ一つ、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関係が取り沙汰された件がありました。2022年8月、安倍晋三元首相銃撃事件を機に各議員と旧統一教会の接点が問題化した際、維新の会は所属議員の関与を自主調査・公表しました。
その中で青島議員は、2019年の埼玉県知事選挙中に旧統一教会関連の集会に一度出席して挨拶したことを認めています。具体的には、知事選さなかの2019年8月、選挙運動員に誘われる形で夜間に約30人規模の集会に顔を出し、自己紹介と支援依頼の挨拶を5分ほど行ったというものです⁶。
青島氏自身「誘われて行ってみたら、それが統一教会の集会だった」と述べており、結果的に同団体と知らずに接点を持ってしまった形ですが、選挙で追い込まれる中での判断だったようです。この件について青島氏は維新の調査発表で速やかに事実を認め、「特定の宗教団体が政治に深く関与するのは望ましくない。維新は企業・団体献金の全面禁止を訴えており、もちろん特定宗教からの献金も受け取らない」とコメントしています⁴。
実際、青島氏は統一教会側から献金や人員支援を受けた事実は「一切ない」と回答しており⁷、前出の集会出席もそれ以上の関係には発展していません。旧統一教会に対しては、献金上限を設ける法規制を検討すべきとの立場を示しており⁸、結果的に自らの小さな失敗を教訓として同種の問題根絶に取り組む姿勢を見せています。
政治資金の状況
政治資金の面では、青島健太議員の資金管理団体「青く健やかな明日をつくる会」の収支報告書が総務省から公開されています(最新は2022年分)。これによれば、2022年の収入は主に個人からの寄付と政治資金パーティー収入で成り立っており、企業・団体献金は受けていません。
支出面では選挙関係費用と人件費・事務所費が中心で、とりわけ同年7月の参院選に向けた活動費が大半を占めました。特筆すべき不正支出や収支の異常は指摘されておらず、オープンな資金運用に努めている印象です。ネット上で一部、「政治資金パーティー収入の用途が不明瞭ではないか」との指摘もありましたが(SNS上の匿名投稿)、公式の収支報告を見る限り法令に則った処理がなされています。
いずれにせよ、現時点で青島氏に関するスキャンダルは旧統一教会との接点程度で、大きな政治倫理上の問題は露呈していません。
説明責任と透明性の姿勢
最後に付言すると、青島氏は政治家としての説明責任を比較的果たすタイプで、記者会見やブログ等で自らの行動を発信しています。例えば統一教会との接点公表時も、自ら経緯を認めた上で再発防止策(宗教団体への寄付規制法案提出)に言及しました⁸。
このように透明性を重んじる姿勢は評価できます。引き続きクリーンな政治活動を維持しつつ、課題である政治と宗教、政治とカネの問題に向き合っていくことが期待されます。
7. SNS・情報発信活動
青島健太議員は、SNSやインターネットを活用した情報発信にも取り組んでいます。
Twitter(X)での活動
Twitter(現・X)ではアカウント「@AoshimaKenta4」を運用し、2022年4月の開設以来フォロワーは約1,500人ほどに増えました。フォロワー数は決して多くはありませんが、国会質疑の予定や活動報告を欠かさずツイートしており、議会での発言動画や地元での街頭演説の様子なども積極的に共有しています。
例えば「国土交通委員会で道路法改正案について質疑に立ちました」といったツイートでは、防災拠点となる道の駅の拡充を提案したことを報告し、専門的な政策議論を一般有権者にも伝える努力が見られました。また、統一教会問題への自身の対応を説明する際もTwitterで声明文を掲載し、支持者からの質問に答える場面もありました。こうした丁寧な発信は"大きなバズ"こそ起こさないものの、徐々に支持者の信頼を積み重ねているようです。
Facebook・Instagramでの発信
Facebookでは「チーム青島健太」というページを運営し、こちらは約430人のフォロワーがいます。Facebookでは主に選挙区(比例代表ですが事実上の地元である埼玉・新潟)の支援者向けに、国政報告会の案内や議員生活の近況を伝えています。
Instagramも活用しており、写真中心に活動の様子や趣味のランニング風景などを投稿、約700人のフォロワーを集めています。インスタでは「青島ブルー」をテーマカラーに、爽やかな人柄や環境への思いを伝える工夫がなされており、スポーツ仲間や同郷の新潟出身者との交流も垣間見えます。
YouTubeでの情報発信
さらに注目すべきはYouTubeでの情報発信です。青島議員は自身のYouTubeチャンネル「青島健太の課題最前線」を運営しており、国政や地域の課題を自ら取材・対話する動画を定期的に公開しています。動画では全国各地の現場に赴き、農家や中小企業経営者、教育現場の声を拾って政策に反映しようとする試みが続けられています。
その本数は30本以上に上りますが、登録者数はまだ数百人規模(約330人)に留まっています。しかし再生回数は動画によって数千回に達するものもあり、たとえば「東京五輪のレガシーをどう活かすか」と題した動画では、オリンピアンや地域スポーツ関係者との対談が反響を呼びました。
青島氏自身、「現場の生の声を国政に届ける」というモットーを掲げており、このYouTube企画はそれを具現化したものです。地味ながらも着実に視聴者の共感を集め、コメント欄には「現場目線の政治に期待します」といった激励が寄せられています。
地域密着型の情報発信
青島議員の情報発信戦略は、派手なパフォーマンスではなく足元の支持固めと双方向の対話に重点が置かれていると言えます。特に地方出身者ならではの目線で、新潟や埼玉などゆかりの地に密着した話題が多いのが特徴です。
2023年には統一地方選挙の応援のため頻繁に各地を訪れ、その様子をSNSで写真付きで報告していました。新潟入りした際には、「米どころ新潟の課題を国政で取り上げます」と投稿し、米価下落やコメ輸出についての考えを示すなど、地域の声を拾い上げています。こうした投稿は地元メディアにも取り上げられ、青島氏の誠実な人柄と相まって好意的な評価を得ています。
発信活動の成果と課題
総じて、青島健太議員のSNS・ネット発信は規模こそ大きくないものの、有権者との距離を縮める効果を上げているように見受けられます。現にTwitterのフォロワー数は議員当選時点ではゼロでしたが、その後じわじわと増加しています。またYouTube登録者も着実に増加傾向にあります。
今後さらに発信力を強化し、彼の持ち味である「伝える力」を活かして支持層を広げていくことが期待されます。
8. 公約実現度の検証
最後に、青島健太議員が掲げた公約と実際の政治活動とのギャップを検証します。概ね公約で掲げたテーマに沿って国会でも発言しているものの、一部に差異があることが確認できます。
環境政策の実現状況
例えば公約で最も強調された「環境」関連の言葉は、国会発言でも相応に多く現れています。青島氏は環境委員会連合審査やエネルギー調査会で繰り返し環境問題を取り上げ、COP会議での日本の役割や原発処理水問題、再生可能エネルギー推進策などを論じました。
したがって環境公約については概ね公言通り熱心に追及していると評価できます。実際に立法面でも環境分野ではありませんが「公文書電子化」(ペーパーレス)は環境負荷軽減にも資する政策であり、公約の精神に通じる取り組みをしています。
スポーツ政策の課題
一方、「スポーツ」に関しては公約で大きく打ち出した割に国会発言での頻度は低調でした。これは前述のように、青島氏の配属委員会がスポーツ政策の審議機会が少ない場だったことや、政権提出法案にスポーツ関連が少なかった事情があります。
青島氏自身も「スポーツ庁の施策には注目しているが、限られた質問時間の中で優先課題を質問している」という趣旨の発言をしており、スポーツ政策は他の喫緊課題に押されて後回しになりがちだったようです。
ただし全く取り組んでいないわけではなく、超党派のスポーツ議連準備会に参加したり、スポーツ基本法改正に向けた有志勉強会に顔を出すなど、水面下での活動は続けています。公約のスポーツ振興策そのものはまだ具体的な成果に結びついていませんが、これは青島氏個人の怠慢というより、国政全体の優先順位の問題も大きいでしょう。今後文教科学委員会などに所属する機会があれば、公約で掲げたスポーツ立国のビジョンを実現する立法提案が期待されます。
教育無償化の進捗
「教育無償化」については、維新の最重要公約でありながら現時点で実現には至っていません。青島氏も会派名に掲げるほど力を入れていますが、与党の合意が得られず国としての制度化は進んでいない状況です。
ただ、2023年に政府が打ち出した異次元の少子化対策では幼児教育・高等教育の負担軽減策が盛り込まれるなど、一部前進も見られます。青島氏自身も児童手当の所得制限撤廃や給付額増額に賛成の立場で質問に立ち⁹、一定の成果(2024年度から児童手当拡充実施)が出ました。
義務教育以降の真の無償化までは道半ばですが、公約の方向性はぶれておらず、引き続き長期的課題として追求していると言えます。
政治改革の部分的成果
「政治改革・透明化」の公約については、部分的に成果が出ています。例えば文通費(現・調査研究広報滞在費)の改革は2022年に日割り支給と用途公開(一部)を実現し、2023年にはさらに使途の領収書公開を10年後に義務付ける改正が成立しました⁸。
青島氏はこれら与党案には「不十分」として、即時全面公開や未使用分国庫返納を主張し続けていますが⁸、現行制度が一歩前進したのも事実です。また企業団体献金の扱いも、公約通り維新は自主ルールで受け取り禁止を継続し、2023年末にはついに与党も政党支部への企業献金額公開を義務づける改正に踏み切りました(全面禁止には至らず)⁴。
このように青島氏ら維新の主張が徐々に他党を動かしつつある面もあり、政治改革公約の実現度は部分的に高まっています。
その他の政策分野
その他の公約項目についても触れます。「地域活性化」に関して、青島氏は地元埼玉や新潟の課題を積極的に拾い上げ、道路補修や地方財政に関する質問を行いました。例えば埼玉県のインフラ老朽化問題を国会で取り上げたことで、一部の道路予算が前倒しで確保される結果につながったとの評価があります(地元紙報道による)。
「少子化対策」では、青島氏は政府のこども家庭庁設置法案に賛成票を投じ、維新提案の待機児童解消策などを後押ししています。公約で掲げた子育て支援策は与党主導で実現しつつある部分も多く、青島氏個人の功績とは言い難いものの、公約との整合性は保たれています。
「経済政策」については、物価高対策や減税について維新は大胆な提言を行いましたが、岸田政権下では消費税減税は議論に上らず、公約実現には至っていません。ただ青島氏は予算委員会で物価高騰下の家計支援について質問し、低所得世帯への給付金措置など一定の政府対応を引き出す一助となりました(議事録より)。
公約実現度の総合評価
総合すると、青島健太議員の公約実現度は「着手済みだが道半ば」のものが多いと言えます。環境や政治改革などは努力が成果に結びつきつつある反面、スポーツや教育無償化のように志半ばのテーマもあります。
しかし重要なのは、青島氏が公約を忘れず一貫して追求し続けている姿勢です。国会発言のキーワード分析からも、公約に掲げなかったことまで手広く扱うあまり公約をおろそかにしている様子はなく、むしろ地道に公約テーマを繰り返し訴えていることが分かります。
与党経験のない野党議員にとって公約実現のハードルは高いものですが、青島氏の場合、立法提案や質疑など手段を選ばず公約遂行に努めている点で誠実さが際立ちます。今後、在任期間が長くなり影響力が増せば、公約のいくつかは立法という形で実現にこぎ着ける可能性も十分あるでしょう。
参考資料
- 公式資料:参議院ウェブサイト「議員情報ページ」青島健太³¹;「参議院会議録」各号(国会会議録検索システム);総務省公開「政治資金収支報告書」令和4年分(青島健太関係分)
- 議会資料:国立国会図書館「国会会議録API」発言データ;参議院本会議議事録(令和5年11月17日政治改革特別委・討論部分)⁴;衆参提出法案一覧;青島健太参議院議員提出議員立法(令和5年公文書管理法改正案等)関連資料
- 党資料:日本維新の会政策集2022(維新八策);青島健太公式サイト「理念」「課題最前線」「基本政策」;維新プレスリリース(ライドシェア法案提出・記者会見、2025年4月11日)
- 報道資料:『埼玉新聞』2019年8月26日(埼玉知事選結果報道);『毎日新聞』2022年7月11日(参院選比例・当選者動向);共同通信「全国会議員アンケート:旧統一教会と政治」回答一覧⁶⁸;『物流ニッポン』2025年4月13日(ライドシェア法案に関する記事);『日経クロストレンド』2023年6月(公文書管理法改正案の解説)
- SNS発信:青島健太氏公式Twitter(国会質疑報告);Facebook「チーム青島健太」ページ;Instagram投稿;YouTubeチャンネル「青島健太の課題最前線」概要;石井浩郎議員Twitter(スポーツ議連関連);中村りか維新支部長Twitter(埼玉16区応援記録)
1 2 3 青島 健太(あおしま けんた):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7022002.htm 4 5 6 7 8 9 国会議員アンケート https://digital.kyodonews.jp/static/diet/questionnaire/list0.html