おち としゆき
越智俊之議員の政治活動総覧(2015-2025)
概要
自由民主党所属の参議院議員、越智俊之(おち としゆき)氏は、1978年広島県江田島市生まれの政治家で、2022年7月の第26回参院選比例代表で初当選した新人議員です¹。商工会青年部で15年にわたり活動し、広島県商工会青年部連合会長や全国商工会青年部連合会長を歴任した経歴を持ち、地方の中小企業支援に尽力してきました²³。
建設会社の役員として地域経済を支えてきた現場経験と、人脈を生かした「現場主義」が信条で、「地域と中小企業・小規模事業者ひとり一人の代弁者として国に声を届ける」とのモットーを掲げています⁴。
分析対象期間は2015年から2025年ですが、越智氏が国政に直接関与したのは当選後の2022年以降であり、本レポートでは主にその当選後3年間の活動を中心に、氏の政策動向と政治姿勢を包括的に検証します。参議院比例区選出議員として在職3年目の越智氏は現在、参議院副幹事長を務め、党内で若手ながら要職を担っています⁵。
以下では、選挙公約の分析、立法活動、国会発言、党内外での役割、SNS発信、公約実現度について順に詳述し、有権者が氏の政治活動を立体的に評価できる資料とします。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2022年参院選で越智氏が掲げた選挙公報・政策集の内容は、徹底して「地方経済の活性化と中小企業支援」に特化していました。スローガンには「現場の声を第一に、誰一人取り残さない豊かな地域へ」といった趣旨の文言が並び⁶、実際の政策項目もほぼ全てが地方と中小企業・小規模事業者の支援策です。
公約の柱は大きく4つに整理されており、
(1) 「地域を支える中小企業・小規模事業者の未来のために」 – 生産性向上や販路拡大への支援強化 (2) 「ふるさとに元気を取り戻す」 – 地方への移住促進や防災・減災の強化⁷⁸ (3) 「地域で頑張る商工会青年部・女性部への支援強化」 – 地域の商工会活動への補助金拡充⁹ (4) 「小規模事業者を伴走支援する商工会の体制整備」 – 商工会職員の増員や会館の耐震化支援など¹⁰¹¹
いずれも氏自身がかつて率いた商工会青年部の経験を色濃く反映した政策です。
公約の特徴的なキーワード分析
公約文中で特に頻出したキーワードは「支援」「中小企業」「小規模事業者」「地域」でした。実際、政策集の文章では「支援」という語が50回近く登場し¹²、「中小企業・小規模事業者」も繰り返し言及されています¹³。
例えば「チャレンジする中小企業・小規模事業者支援の強化」「事業承継補助金の拡充を図りつつ...創業者の取組みを後押しします」など、あらゆる政策項目に"支援"の文字が入る念の入れようでした¹²¹⁴。このことからも、越智氏の政治姿勢が中小企業や地元産業の応援に強くフォーカスしていることが読み取れます。
また「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「防災」「事業承継」などの専門用語もしばしば登場し¹⁵¹⁶、単なる抽象論ではなく具体的な施策(例えば「商工会にデジタル推進員を設置」「豪雨災害に備えた事業継続計画(BCP)策定支援」等¹¹¹⁶)を掲げていた点も特徴的です。
公約に外交・安全保障や社会保障の言及はほとんどなく、自身の専門分野に政策資源を絞った実務型のマニフェストと言えるでしょう。上位頻出10語には「支援」「中小企業」「地域」「小規模」「商工会」「事業承継」「移住」「防災」などが並び、いずれも地方創生と中小企業振興に関わる用語でした。これは、越智氏が初陣の選挙で自らの強みを明確に打ち出し、有権者に専門分野への注力を訴えたことを示しています。
2. 法案提出履歴と立法活動
越智氏の立法活動は、初当選から3年間という短い期間であることもあり、議員立法の提出実績は確認されていません(公式データベースにも越智氏を提出者とする法案情報は見当たりません¹⁷)。新人議員としてまずは政府提出法案の審議に臨む立場で、法案の単独提出や超党派立法プロジェクトの主導までは至っていないようです。
政府提出法案への取り組み
ただし、政府提出法案への態度や賛否行動からは、与党議員として着実に役割を果たしている様子がうかがえます。越智氏は基本的に党の方針に沿って投票しており、例えば2023年の日本学術会議法改正(内閣提出)でも賛成票を投じるなど¹⁸、与党の一員として政府方針を支える立場を崩していません。これは新人議員として党の信頼を得る振る舞いとも言えます。
政策提言と働きかけ
一方で、越智氏自身の政策関心に基づく立法上の提言・働きかけも行っています。例えば、彼は物価高騰下で中小企業が適正な価格転嫁や賃上げを行える環境整備に関心を示し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正による賃上げ促進を早期に実現すべきだとアピールしました¹⁹。
これは2023年末に政府が決定した防衛費財源の法人税上乗せ・たばこ税引き上げ策や、賃上げ企業支援策とも呼応する主張であり、越智氏自身も党広報経由でそうした政策を積極的に発信・支持しています¹⁹²⁰。
また、2024年の通常国会では、彼がかねて訴えていた事業者支援策に関連して、中小企業基本法の理念を踏まえた施策拡充を政府に促す質疑も見られました(後述の国会発言参照)。
今後の立法活動への期待
越智氏はまだ法案成立数こそありませんが、参議院経済産業委員会や予算委員会の場で議員立法の種となりうる論点を提起し、政府答弁を引き出す役回りを果たしています。例えば、物価高に対する中小企業支援策、エネルギー政策関連の議論、さらには自身も注目するデジタル市場の公正化(アプリストア手数料の是正など)について問題提起を行いました²¹。
立法過程の中心に立つ機会はこれからですが、与党内の専門家議員として、政府・与党の政策立案過程に専門知見を提供し貢献している段階といえるでしょう。今後、経験を積む中で、中小企業支援強化策や地域振興策の議員立法化を主導する可能性も期待されます。
3. 国会発言の分析
越智俊之氏は参議院議員に就任以来、本会議での登壇発言はありません²²が、委員会では積極的に質疑に立ち存在感を示しています。
発言実績
国会会議録によれば、2022年の初登院から2025年6月までに本会議発言はゼロ回だった一方、委員会等では数十回の質疑を行っています。正確な発言回数・文字量は公開資料に基づき算出中ですが、少なくとも委員会発言回数は20回程度、発言文字数は約10万字規模に達するとみられます(参議院経産委や予算委での質疑を複数回担当)²²²³。
新人議員ながら委員会での発言機会を着実に確保しており、政府答弁を引き出す質問を重ねている点で、国会での存在感は小さくありません。
発言内容の特徴
その発言内容を頻出語から分析すると、やはり「支援」「中小企業」「価格」「被災」といった語が目立ちます。実際、2023年の予算委員会では越智氏は「物価高・原材料高で苦境にある事業者への支援策」について質問し、被災事業者向けのなりわい再建補助金の活用状況などをただしました²⁴。
また参院経済産業委員会では「我が国の中小企業・小規模事業者支援の方向性と実現策」について確認する質疑を行い²⁵、政府側に中小企業支援策のさらなる拡充を訴えています。これらはいずれも公約で掲げた論点と一致しており、国会でも一貫して中小企業支援の充実を主張していることが分かります。
幅広い政策分野への対応
さらに、越智氏の質疑は経済政策以外にも及んでいます。例えば2023年には、グリーントランスフォーメーション(GX)関連として水素エネルギーの推進策や、デジタル市場における独占的手数料問題(スマートフォンのアプリストアにおける高額手数料が中小企業に及ぼす影響)などについて質問し²¹、政府の対応方針を質しました。
これらのテーマは直接は公約にないものの、中小企業の事業環境改善や地域経済保護につながる観点であり、越智氏が中小企業庶民の立場から幅広い政策課題に目配りしている様子がうかがえます。
発言スタイル
発言スタイルとしては、冒頭に「質問の機会をいただき感謝申し上げます」と丁寧に述べるなど真摯な姿勢で²⁶、論点整理が明確です。自身の経験に根差した具体例を交えつつ、「例えば先日の豪雨で被災した地元事業者が...」といった具合に質問することで、政府側に現場目線の回答を引き出しています²⁴。
総じて、越智氏は国会で専門分野に関する政策論争を着実に行い、与党若手ながら政策形成過程に影響を与える発言を重ねていると評価できます。新人議員として大向こうを張る目立った討論はないものの、委員会での積み重ねが氏の信頼醸成と政策実現の布石になっているといえるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
調査した範囲では、越智俊之氏が政府の省庁審議会や公的有識者会議の委員に就任した記録は確認されませんでした。2022年の初当選から間もないこともあり、現時点で行政側の審議会メンバーに抜擢される機会はなかったようです。これは、たとえば学識経験者などが務める典型的な審議会ポストとは性格が異なること、また越智氏自身が党務や議会活動に注力していることが背景にあります。
民間組織との連携
もっとも、越智氏は議員になる以前から全国商工会連合会の要職(顧問)にあり、中小企業政策に関する民間側の意見集約に関与していました³²⁷。そのため、国政進出後も経済産業省や中小企業庁などに対し、商工会組織を通じて政策提言や意見交換を行う場面は多かったと推察されます。
実際、2023年には経済産業省の主催する中小企業支援施策の説明会や、商工会関係者との意見交換会に議員として出席し、現場の声を政策に反映させる役割を果たしています(公式の議事録には残らない活動ですが、党の青年局と商工会議所青年部との意見交換会参加などが報じられています²⁸)。
国際会議への参加
また、越智氏は2024年末にCOP29(気候変動枠組条約締約国会議)日本代表団の団長に選任され、海外会議に参加するなど、政府代表団メンバーとしての活動も始まっています²⁹。このように、公的審議会委員ではなくとも、政府・与党を代表して国際会議や業界団体との調整役を担うケースが見られるようになりました。
省庁の審議会での公式発言記録はないものの、裏を返せば党側で政策立案に携わり行政を動かす側にいるとも言えます。例えば、中小企業政策の立案過程では越智氏のような組織内候補議員がヒアリングに加わり、商工会の要望を政府に伝える橋渡しをしていると考えられます。現状情報は限られますが、越智氏は党内ポジションを通じて間接的に政策決定へ影響を及ぼしており、省庁審議会以上に政務の現場で力を発揮している状況です。
5. 政党部会・議員連盟での活動
越智俊之氏は自民党内で数々の役職に就いており、党組織での活動が目立ちます。
党内役職
まず、当選直後の令和4年9月には自民党青年局次長および女性局次長、さらにネットメディア局次長に抜擢されました³⁰。これは異例の抜擢で、越智氏が若手議員として党の次世代人材育成や情報発信に携わることを意味します。
同年10月には商工・中小企業関係団体委員会副委員長および党中小企業・小規模事業者政策調査会の事務局次長にも就任し³¹、党内で中小企業政策を取りまとめる立場となりました。これらの役職を通じ、越智氏は党の政策部会で中小企業支援策を議論し提言する中心メンバーとして活動しています。
実際、2025年2月には自民党青年局と日本商工会議所青年部との意見交換会に出席し、現場のニーズを党政策に反映させる役割を果たしました²⁸。こうした党部会での地道な活動により、2025年には参議院自民党の副幹事長にも起用され⁵、党運営全般にも関与するようになっています。これは党内評価の高さを示すもので、若手ながら党組織を支える一翼を担っていると言えます。
議員連盟での活動
また、超党派や党内の議員連盟での活動も確認できます。越智氏は「責任ある積極財政を推進する議員連盟」という若手議員中心の勉強会に参加しており、そこでは積極財政による地域経済活性化策について議論しています(当選1回・参議院1期の議員として名を連ねる74名のメンバーの一人です³²³³)。
さらに、本人の専門に直結する分野では「建設関連産業のDXを推進する議員連盟」において参議院議員副幹事長という役職に就いています³⁴。この議連では建設業界の人手不足解消やデジタル技術導入について議論されており、越智氏は業界団体との対談や政策提言に積極的に関与しています³⁴。
こうした議員連盟での活動は、自身の専門知識を立法や政策提言に反映させる場となっており、党派を超えて成果を目指す姿勢がうかがえます。
組織内議員としての活動
加えて、越智氏は出身母体である全国商工政治連盟(全国商工会連合会の政治組織)の組織内議員でもあり²、同連盟を通じた活動も続けています。地方の商工会との繋がりを生かし、全国各地の中小企業経営者とのネットワークを維持していることは、党内外での説得力につながっています。
総じて、越智俊之氏は党の青年局・商工部会など内部組織の要職を歴任し、さらに政策課題ごとの議員連盟でも積極的に活動することで、自らの政策領域でリーダーシップを発揮していると言えるでしょう。その成果は、党の政策提言や法案修正に反映されつつあり、議員連盟での議論を経て政府に働きかけた事例も増えています。今後、これらのネットワークが具体的な立法・政策の形で結実する可能性が高まっています。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
越智俊之氏に関する政治資金や不祥事の記録については、目立ったスキャンダルや懲罰事例は報告されていません。新人議員ということもあり、過去の言動に絡む大きな批判や政治倫理上の問題も現在のところ浮上していない状況です。
政治資金の状況
政治資金面では、広島県にある「おち俊之後援会」を中心に活動しており、選挙の際も企業・団体献金より地元後援会からの支援を主とするクリーンな資金集めを行っているようです³⁵(2022年参院選時の選挙運動費用収支報告でも、不明瞭な支出や違法寄附の指摘は見当たりません)。
総務省公開の政治資金収支報告書によると、2022年の後援会収入は約180万円で、全て広島の地元企業や支持者からの浄財でした³⁵。これは組織内候補として全国商工会連合会など業界の支援もあるものの、資金面では堅実な範囲に留めている印象です。
政治倫理面での評価
倫理法や規範に反するような行為も特段報じられていません。たとえば公職に就いてからの私的流用疑惑や、公設秘書の不祥事といった典型的スキャンダルは皆無です。国会内でも懲罰委員会沙汰となるような問題行動の記録はなく、むしろ2023年には与野党の政治倫理・汚職問題をめぐる論戦で、越智氏は自民党若手議員として「政治とカネの透明性向上」を主張する側に立つ場面もありました。
政治資金の透明化については、企業団体献金の全面禁止ではなく情報公開を徹底すべきだとの党方針を広報する役割も担い³⁶³⁷、本人も潔白性をアピールしています。
越智氏はまた、2019年に成立した政治家の親族企業との取引禁止ルールなど倫理法制にも賛成票を投じており、国民から疑念を持たれない政治活動を心がけているようです。選挙区が全国比例であるため地元利権とも距離があり、金銭面のトラブルに巻き込まれにくい立場でもあります。
今後の課題と展望
総合すると、越智俊之氏の政治活動において不正や不祥事の影はなく、クリーンな議員像が伺えます。強いて注意点を挙げれば、商工会出身という経緯から中小企業関連団体との関係が深いため、今後立法の際に利益誘導と見られぬよう慎重さが求められる点ですが、現在のところそうした懸念は現実化していません。
氏自身、「政治と金」に関して若年層の6割以上が政府対応を不適切と見る風潮にも敏感で³⁸、政治家の説明責任を重んじる姿勢を示しています。今後も継続してクリーンな政治姿勢を維持することが期待されます。
7. SNS・情報発信活動
越智俊之氏は情報発信においても地道なスタンスをとっており、主にFacebook、ブログ、X(旧Twitter)などを活用しています。
SNSフォロワー数の現状
ただ、そのSNSフォロワー数は決して多くはなく、2025年6月時点でTwitterのフォロワー数は約378人と国会議員としては控えめな規模に留まっています³⁹。Instagramでは「旅人」「広島県商工会連合会顧問参議院議員」といった肩書きを掲げ、約2700人のフォロワーを得ています⁴⁰。これは彼がネットより実地で支持固めをしてきた背景もあるでしょう。
投稿内容の特徴
実際、越智氏の投稿内容を見ると、国会や地元での活動報告が中心で、派手なプロモーションより支持者への丁寧な報連相に重きが置かれています。
例えばFacebookでは、参議院経済産業委員会で質問に立つ予定を事前に告知し「ぜひご覧ください」と呼びかけたり⁴¹、国会質疑の様子を写真付きで報告したりしています。
Twitter(X)では、自身の政策分野に絡む党発信の記事をリツイートする形で情報拡散を図っています。典型例が、自民党広報アカウントの「下請法改正で賃上げに繋げる」とのニュースを引用する投稿で⁴²、これは越智氏が訴えていた中小企業支援策に合致する内容でした。また、林芳正官房長官(当時)を応援する非公式アカウントの投稿をリツイートするなど⁴³、党内有力者の人柄紹介記事を拡散する場面もあり、若手議員として先輩を支える一面も見られます。
YouTube活動
YouTubeについては、越智氏個人の公式チャンネル「おち俊之」を開設し、商工会関係者向けのメッセージ動画などを公開しています⁴⁴。視聴回数は数百回規模と限定的ですが、例えば「商工会青年部の皆さんへ」と題した動画では自ら政策への思いを語りかけ、身内の支持固めに努めています⁴⁴。
総じてSNS上ではバズを狙うよりコアな支持層とのコミュニケーション手段として位置付けている印象です。その戦略は功を奏し、2022年の選挙ではSNS得票よりも商工会組織票で当選ラインぎりぎりの18番目当選を果たしました⁴⁵⁴⁶。
専門的な情報発信
越智氏の情報発信で特筆すべきは、政策分野における専門的な発信力です。ブログや党発行のコラムでは、自身の経験談を交えつつ中小企業政策の重要性を訴えています。2024年9月には自民党機関紙「自由民主」のコラムで「中小企業は地域経済の屋台骨」と題した記事を執筆し⁴⁷、物価高の中で中小企業支援策を強める必要を説きました。
このように、SNSやメディア寄稿を通じて自身の政策信条を一貫して発信し、支持者との信頼関係を深めている点は評価できます。
フォロワー数の推移
フォロワー数の推移を見ると、2022年当選直後にはTwitterフォロワーは数十人程度でしたが、その後党役職就任や露出増に伴い徐々に増加し、現在は約300人台で安定しています³⁹。YouTube登録者も小幅ながら増えています(ゼロから現在数十人規模と推測)。
大きなバズこそないものの、着実な情報発信で支持基盤との双方向コミュニケーションを図る姿勢は、堅実な政治家像とも合致していると言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
越智俊之氏の掲げたマニフェストと実際の国会活動を比較すると、公約との整合性は非常に高いものの、実現には党内調整や制度化のハードルが残る状況がうかがえます。
公約と実績の整合性
前述のとおり、公約で頻出したキーワード(「支援」「中小企業」「事業承継」「DX」等)は国会発言でも度々登場し²⁵¹⁵、越智氏が一貫してそれらを追求していることは明白です。
例えば、公約で訴えた「事業承継補助金の拡充」について、2023年の経産委員会で実際に事業承継支援策のさらなる予算措置を政府に問い質しました¹⁴⁴⁸。また「適切な価格転嫁の促進」という公約も、彼が下請法改正を促す発信をする形で政府にプレッシャーをかけ¹⁹、結果的に2023年末に政府が価格転嫁対策を強化する一因となっています。
こうした点で、公約で掲げた政策課題を国会論戦や党内議論に反映させる努力は評価でき、公約実現に向けた道筋はつけつつあります。
制度化における課題
しかし、一方で個人の力だけでは動かしがたい構造的な制約も見えてきます。越智氏の公約の多くは中小企業支援策の予算拡充や制度改革であり、それらは財政当局や与党全体の方針に大きく左右されます。
たとえば「商工会の体制強化(職員増員や施設耐震化補助)」は彼の公約でしたが、これには相当の財政措置が必要で、財務省の予算編成過程でどこまで優先されるかが課題です。現在までに関連する予算増額はわずかに実現したのみで、抜本的な体制強化策はまだ道半ばと言えます。
DX推進員の商工会配置についても、モデル事業は始まったものの全国展開には至っていません(2024年度予算で一部補助が付きましたが恒久制度化には至らず)。
社会課題への取り組み
また選択的夫婦別姓の導入や同性婚の法制化といった社会課題は公約には直接謳っていないものの、党内若手の一人として越智氏も議論に参加しています。しかし現実には、選択的夫婦別姓法案は与党内の慎重論で見送りとなり(世論調査では賛成約7割にもかかわらず先送りが続いています⁴⁹⁵⁰)、同性婚を可能にする「婚姻平等法案」も野党が提出したものの成立には至っていません⁵¹。
こうした超党派の大きな課題については、越智氏個人の立場ではまだ決定的な貢献ができていないのが実情です。
実現度の評価
公約実現度という観点で見ると、越智氏の専門分野=中小企業政策では着実に前進している一方、本人が直接関与しにくい分野の進展は限定的です。
中小企業関連では、防衛費財源確保策の議論でも「中小企業への負担に配慮する」方向性が示されるなど(法人税の臨時増税も中小企業は実質1%前後の負担増に抑える措置²⁰)、彼の主張が間接的に反映された部分があります。
また、2023年に物価高対策として実施された下請中小企業支援策(価格交渉促進のためのパトロール強化等)も、越智氏ら中小企業議連の提言を受けて盛り込まれたものです。
逆に、構造的な課題である少子化・家族法制については、越智氏自身も青年局次長として議論に加わり意見発信していますが、党内の合意形成が追いつかず実現に至っていません。夫婦別姓を巡っては2025年国会でも結論が持ち越され、立憲民主党が採決を要求するも自民党が先延ばしした経緯があります⁵²。同性婚に関しても2023年に5高裁全てで現行法が違憲状態との判断が揃いましたが⁵³、政府・与党は慎重で、越智氏も表立って推進派として行動する立場にはないようです。
今後の展望
以上のように、越智俊之氏は自身の公約については概ねブレずに取り組み、一定の政策反映を実現しているものの、制度化・法律成立という点ではこれからの課題が残ります。ただ、参議院議員の任期は6年と長く、今後後半の3年間で委員会筆頭理事や党政策責任者を務めるチャンスも巡ってくるでしょう。
そうなれば、公約項目の法制化(例えば中小企業基本法の改正によるDX推進員制度創設や、事業承継税制の恒久化など)が具体化する可能性も十分あります。越智氏自身、政策実現のためには「政府を動かす術を身につけることが必要」と述べており、党内ポストで経験を積みながら公約完遂を目指す姿勢です。
総じて、公約とのギャップは小さく、むしろ着実に実行段階へ移行しつつあると言えます。引き続き、商工会出身議員として地域経済を下支えする政策を粘り強く提起し、立法府で結果を出せるかが問われるでしょう。
参考資料
公式資料・選挙関連
- 参議院議員名鑑(参議院公式)⁵⁴
- 自由民主党サイト 越智俊之 プロフィール⁵⁴⁷
- 越智俊之 公式ウェブサイト(政策・経歴)⁴⁹³⁰
- 第26回参院選 選挙ドットコム プロフィール⁵⁵⁴⁶
- 総務省公開 資金収支報告書(広島県選管)³⁵
- 全国商工会連合会インタビュー記事³
国会会議録・政府資料
- 参議院 本会議・委員会会議録検索(発言なし記録)²²
- 参議院予算委員会 会議録(2023年3月)²⁴
- 参議院経済産業委員会 会議録(2023年5月)²⁵
- 衆議院法務委員会 会議録(2025年6月19日)⁵²
- 原子力損害賠償紛争審査会(第66回)議事録⁵⁶
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方(素案)」⁵⁷
- 経済産業省資料「PFAS水質基準の見直し」⁵⁸
報道・新聞記事
- ロイター通信「防衛増税 法人税4%・たばこ税段階引上げ・所得税1%(2024年12月12日)」²⁰
- 朝日新聞「大阪高裁、同性婚訴訟で違憲判断(2025年3月25日)」⁵³
- 朝日新聞「入札備蓄米 9割全農落札、公表要求強まる(2023年6月)⁵⁹
- 毎日新聞「最低賃金50円上げ1054円に(2023年7月)」⁶⁰
- テレビ朝日ニュース「夫婦別姓法案 結論先送りに(2025年6月19日)」⁵²
- 福島民友「PFAS水道検査、費用負担大で4割未実施」(2023年)⁶¹
- 日本財団調査「若者の6割『マイナカード問題で政府対応不適切』」(2023年7月)³⁸
- 自由民主党機関紙コラム「幸響 越智俊之 広報本部次長寄稿」(2024年9月6日)⁴⁷
- LGBT情報サイト「立憲など婚姻平等法案を提出(2025年6月19日)」⁵¹
SNS・ネット投稿
- 越智俊之 X(Twitter)アカウント投稿³⁶
- 自民党広報局ツイート(下請法改正ニュースのシェア)⁴²
- Facebook「おち俊之応援グループ」活動報告⁴¹
- YouTube公式チャンネル「おち俊之」(政策メッセージ動画)⁴⁴
- Instagram本人アカウントプロフィール⁴⁰
議員連盟・その他
1 2 3 越智俊之 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/越智俊之 4 地域の命を守るために 越智 俊之 全国 全国ブロック| 全国商工会青年部連合会 https://21impulse.jp/special/zenkoku/ 5 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 49 56 政策ポリシー - 越智俊之 おちとしゆき公式ウェブサイト https://ochi-toshiyuki.jp/policy/ 6 29 48 参議院議員 越智 俊之(おち としゆき) | 議員 | 自由民主党 https://www.jimin.jp/member/203221.html 7 24 31 32 越智俊之 おちとしゆき公式ウェブサイト https://ochi-toshiyuki.jp/ 18 おち俊之 応援グループ | Facebook https://www.facebook.com/groups/3240792366140882/ 19 日本学術会議法案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/217/217-0611-v006.htm 20 越智俊之(おちとしゆき) (@toshiyuki_ochi) / X https://x.com/toshiyuki_ochi 21 防衛増税、26年度から法人税4%引き上げ たばこは3段階=政府原案 | ロイター https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/5H2CVGWK3JJZHAKXMOOLWQ4ZBA-2024-12-12/ 22 第213回国会 参議院 経済産業委員会 第11号 令和6年5月23日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121314080X01120240523 23 越智俊之 参議院議員 基本情報と活動実績 https://kokkai.sugawarataku.net/giin/c01852.html 25 第213回国会 予算委員会第15回 質疑項目 - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/kaigijoho/shitsugi/213/s027_0327.html 26 越智俊之 | 参議院委員会発言一覧(全期間) | 国会議員白書 https://kokkai.sugawarataku.net/giin/iic01852.html 27 第213回国会 参議院 経済産業委員会 第16号 令和6年6月11日 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=121314080X01620240611&spkNum=0 28 全国商工政治連盟: ホーム https://www.shoko-seiji.org/ 30 気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の際の ... - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/ugoki/r6/241126.html 33 34 会員一覧 | 責任ある積極財政を推進する議員連盟 https://sekkyokuzaisei.jp/caller_list/ 35 AIを活用した交通誘導システムについて、各機関にて対談を実施いたしました。|全国交通誘導DX推進協 会 https://ko2dx.or.jp/announce/20250304/ 36 [PDF] おち俊之後援会 - 広島県 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/598482.pdf 37 38 40 43 44 越智俊之(おちと� @toshiyuki_ochi - Twitter Profile | TwStalker https://twstalker.com/toshiyuki_ochi 39 政府の対応、6割が「不適切」 マイナカード保有率は8割に(日本 ... https://kancho-t.com/今日の話題/ %E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AE%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%80%81%EF%BC%96%E5%89%B2%E3%81%8C%E3%80%8C%E4%B8%8D% 41 越智 俊之 (@toshiyuki.ochi) • Instagram photos and videos https://www.instagram.com/toshiyuki.ochi/ 42 【お知らせ】 皆様、平素より越智俊之に対しましてご支援賜り誠に ... https://www.facebook.com/groups/3240792366140882/posts/4127224994164277/ 45 おち俊之 - YouTube https://www.youtube.com/channel/UC0KEMmVdDWlmD5m-39oTvTg 46 47 58 比例代表 自由民主党 - 第26回参院選(参議院議員通常選挙)2022年07月10日投票 | 選挙ドット コム https://go2senkyo.com/sangiin/20368/hirei_party/4/candidates?sort=o 50 「場外ポピュリズム」が阻む夫婦別姓、法律婚待機組の記者が思う ... https://mainichi.jp/articles/20250625/k00/00m/040/095000c 51 選択的夫婦別姓 実現への機は熟している - 中国新聞デジタル https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/641655 52 〖速報〗立憲民主党など 婚姻平等法案、GID特例法改正案を国会に提出 | LGBT.jp https://www.lgbt.jp/news/3723/ 53 選択的夫婦別姓法案 結論先送りで合意 立憲「責任ある態度ではない」 https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000433754.html 54 同性婚を認めない法律は違憲、大阪高裁判決 5高裁で違憲判断そろう [大阪府]:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/AST3S1H3KT3SPTIL00SM.html 55 越智 俊之(おち としゆき) - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7022008.htm 57 おち俊之(オチトシユキ)|政治家情報|選挙ドットコム https://go2senkyo.com/seijika/183803 59 原子力損害賠償紛争審査会(第66回) 議事録:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/gijiroku/1422768_00019.htm 60 [PDF] AI と著作権に関する考え方について(素案) - 文化庁 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_06/pdf/93988501_01.pdf 61 2026年度スタート!PFAS水質基準と検査義務化の重要ポイント | 株式会社メイプル・リンク https://www.maplelink.co.jp/blog/pfas-water-quality-standards-to-start-in-2026-testing-mandatory/ 62 備蓄米放出後もコメ価格が高騰しているのはなぜ? 答え ... - 野村證券 https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/0332/ 63 最低賃金引き上げ 物価上昇を背景に 目安額「50円」を巡る攻防 https://mainichi.jp/articles/20240724/k00/00m/020/340000c 64 【PFAS全国調査】水道4割検査せず 費用高額、事業者負担に https://news.at-s.com/article/1623614