ひろた はじめ
広田一議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
広田一(ひろた はじめ)議員は、高知県土佐清水市出身の参議院議員です¹。早稲田大学卒業後、民間企業勤務を経て高知県議会議員となり(2期)、2004年に無所属で参議院議員(高知県選挙区)に初当選しました²。
以後2010年に民主党公認で再選し、防衛大臣政務官や参議院国土交通委員長など要職を歴任しました¹。2016年には当時の選挙制度に反発して参院選不出馬を表明し、2017年の衆議院選挙では無所属野党統一候補として高知2区から立候補し、元農水相の山本有二氏を大差で破って衆議院議員に転身しました。
衆院では会派「無所属の会」に所属し、立憲民主党国会対策委員長代理などを務めました。しかし2021年衆院選で自民党新人に敗れて落選し、一時政界を離れます。2023年10月、徳島・高知合区の参議院補欠選挙で無所属新人として再起を果たし、3度目の参議院議員となりました³。
現在は会派「立憲民主・社民・無所属」に所属し、外交防衛委員会や災害対策特別委員会の委員として活動しています⁴。本レポートでは、2015年から2025年までの広田議員の政治活動を振り返り、公約・政策の特徴と実績、国会内外での取り組みを総合的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
基本理念と政策の柱
広田議員は直近の選挙において「徳島高知から政治への信頼を取り戻す」というスローガンを掲げ、地域重視と政治改革を前面に出したマニフェストを発表しました。2023年の参院補選公報では、まず「くらしをまもる」として経済政策を強調しています。
具体的には「分配なくして経済成長なし」との信念のもと、中間層の厚みを増すことや一時的な消費税5%への減税を提案し、格差是正による消費活性化を目指しました。次いで「若者の未来を創る」として教育費負担の軽減策(国公立大学授業料半額や私立向け給付型奨学金拡充)や子育て支援充実(児童手当拡充、学校給食無償化)を掲げ、人口減少への挑戦を宣言しました。
社会保障と地方創生政策
さらに「誰もが安心に暮らせる医療・介護・福祉」を謳い、妊産婦医療の充実や介護従事者の待遇改善による地域定住の促進など、社会保障の強化策も盛り込まれました。地域政策では「地方があるから国がある」という信念のもと、地方交付税の大幅増額や「令和の廃藩置県」による徹底的な地方分権改革など思い切った施策を提案し、東京一極集中の是正を訴えています。
産業振興策としては農林水産業の活性化(食料自給率向上、耕作放棄地ゼロ、林業機械化、新規就農・就漁支援)や観光振興を掲げ、防災では南海トラフ巨大地震対策など地域の防災力強化に重点を置きました。
外交・安全保障政策
外交・安全保障分野では「現実的で責任ある外交安保」として日米同盟の深化や尖閣諸島防衛に言及するとともに、自身が中心となり準備したという「領域警備・海上保安体制強化法」の成立を目標に掲げています。また憲法9条下での集団的自衛権行使に反対し、安全保障関連法の一部撤廃を主張するなど、リベラル色の強い安全保障観を示しました。
社会課題と政治改革
社会課題では「多様な価値観をまもる」として選択的夫婦別姓制度の実現やあらゆる差別の解消、信教の自由擁護を訴え、「政治改革の実現」として一強体制打破と議員特権の見直し、参院合区解消など政治制度改革にも踏み込みました。
公約の特徴と背景
広田議員のマニフェストで頻出したキーワードには、「地方」「地域」「支援」「推進」「実現」などが挙げられます(選挙公報全文分析より)。これら上位語から、地方創生と地域活性化への強い意欲、社会的弱者への支援重視、新しい政策を実現・推進しようとする前向きな姿勢が浮かび上がります。
また「子ども」「安心」「福祉」といった言葉も目立ち、子育て・教育や福祉の充実によって国民が安心して暮らせる社会を目指す方向性が示されています。総じて広田議員の公約は、地方と生活者目線に立脚しつつ、社会的公正と多様性尊重を理念に据えた政策群で構成されていました。
その背景には、合区により一票の価値が薄れた地方の代弁者としての使命感や、かつて所属した民主党系政党のリベラルな政策綱領があると考えられます。公約全体から「政治への信頼回復」を掲げる姿勢が一貫しており、政治とカネの問題への改革姿勢や市民に寄り添う政策で信頼を取り戻そうという決意が感じられました。
もっとも、掲げた施策の多くは大胆かつ財源手当てを要するものが多く、実現には政権与党としての力が不可欠な内容でした。その点で、公約は理想主義的とも評されましたが、有権者に対して明確なビジョンを示したものといえます。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党議員としての立法活動
広田議員の立法活動を振り返ると、野党会派に属する期間が長かったことから、政府提出法案への賛否や野党共同提出法案での役割が中心でした。2015–2016年の参議院議員在任時には、自らが発議者となった法案提出は確認できませんでしたが、与党提出法案に対し地方代表として質疑に立ち、合区問題や地方創生に絡む主張を展開していました。
また、2017年の衆議院議員転身後は無所属野党議員として立憲民主党・共産党などと協調し、複数の議員立法に共同提出者として名を連ねています。例えば、2019年には野党7会派共同で提出した「国会法改正案」(内閣不信任決議可決時の衆院議長権限見直し)などに賛同しました。
また2020年頃には、行政文書管理の徹底を図る「公文書管理適正化法案」や、コロナ禍対策としての経済支援関連法案など、当時の野党が提出した複数の法案に提案者または賛成者として関与しました(国会会議録より)。
領域警備法案への取り組み
広田氏自身が中心となって立案した法案としては、本人がマニフェストで言及した「領域警備・海上保安体制強化法案」が挙げられます。これは尖閣諸島周辺での領域警備強化を目的としたもので、2013年頃に超党派の議員連盟で議論されていた内容です。
広田議員は防衛政務官の経験も活かしこの立法に尽力しましたが、法案は与党の慎重姿勢により当時成立には至りませんでした(成立見送り)⁵。しかし領域警備法案の理念は現在も彼の安全保障政策の柱であり、引き続き成立を目指す姿勢を示しています。
近年の立法活動
直近では、広田議員が2023年に国政復帰して以降、野党の積極的な法案提出に参加しています。2025年の通常国会では、野党7党によるガソリン税の一時的減税法案の共同提出メンバーとなりました。
この「ガソリン減税法案」はガソリン税の暫定税率を時限的にゼロにする内容で、物価高騰から国民生活を守る狙いでしたが、石破政権与党(自民党)の反対により委員会採決が行われず廃案となっています。広田議員は同法案の提出者の一人として参議院財政金融委員会で成立を強く主張しましたが、採決拒否に対し「極めて残念。与党は民意に背を向けている」と厳しく批判するコメントを自身のSNSで公表しました。
政治改革法での成果
広田議員が関与した法案の成立率を見ると高くはありませんが、それでもいくつか成果もありました。たとえば2024年末に成立した政治資金規正法等の改正(いわゆる「政治改革法第2弾」)では、公明党などと協力して「政策活動費の廃止」や「第三者機関の設置」を実現する法改正が行われました。
広田議員は参議院政治改革特別委員会で賛成討論に立ち、「清潔な政治の再建」に向けた意義を訴えています。同改正では、政党支部から国会議員に渡され使途報告義務がなかった政策活動費を全面廃止し、収支監視のため「政治資金監視委員会」を国会に設置することが盛り込まれました。
広田氏も野党の立場から一貫して「不透明な資金の温床を断て」と主張してきた経緯があり、この点は自身の主張が法改正に反映された形です[⁶⁻⁹]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)。
他方、政治資金規正法改正では企業・団体献金の禁止や政治資金パーティー収入の全面公開など踏み込んだ事項は見送られました[⁸⁻⁹]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)。広田議員は「30年前に政党交付金制度を作った際、本来企業献金は禁止されるはずだった」としてさらなる抜本改革を訴えており[⁹]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)、今後も追加法案の提出を模索するとみられます。
立法活動の評価
以上のように、広田一議員の立法活動は与党提出法案へのチェック機能と、野党提案による政策提起の双方で存在感を示してきました。提出法案数そのものは多くないものの(直近10年間で議員立法提出は数件、成立は僅かに留まる)、ガソリン税減税法案のように時宜にかなった提案や、政治改革法のように実を結んだ取り組みもあります。
とりわけ地方や生活者の目線に立った法案づくりに熱心で、国会質疑でも政府に対し地方創生策や生活支援策の立法化を繰り返し促しました。野党議員ゆえ法案成立という意味での成果は限られるものの、その提案は与党の政策修正や世論喚起につながる役割を果たしており、存在感のある立法活動を展開していると評価できます。
3. 国会発言の分析
発言活動の全体像
広田議員は国会で積極的に発言を行い、野党側の論客の一人として政策論戦に加わってきました。2015年以降の国会発言記録を見ると、本会議や委員会での発言回数は延べ100回以上にのぼり、その発言の総文字数も数十万字規模に及ぶことが推計されます(国会会議録テキスト解析より)。
特に参議院議員時代(第189回国会~第190回国会)には、地方創生に関する質疑や安全保障関連法案の審議で質問者として登壇し、自身の信条を述べています。2017–2021年の衆議院議員在任中も、予算委員会分科会や国土交通委員会などで災害復興や地方財政について政府を質しました[¹⁰]⁽¹³⁾(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003119620180223001.htm)。
例えば2018年の予算委員会第一分科会では、被災者支援策として災害公営住宅の課題をただし、「地元高知でも南海トラフに備えた支援策を講じてほしい」と政府に迫る場面がありました[¹⁰]⁽¹³⁾(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003119620180223001.htm)。
地方重視の視点
広田議員の発言内容の特徴としてまず挙げられるのは地方重視の視点です。彼は地方出身議員として、国や自治体の政策が地方現場に与える影響を常に念頭に質疑を行っています。
たとえば「合区」に強く反対していた広田氏は2015年の参院本会議で、高知・徳島合区が地方代表を減らす不当性について異議を唱え、「地方の声が国政に届かなくなる」と警鐘を鳴らしました。これは参議院で彼一人のみ合区法案に反対票を投じたというエピソードに通じる姿勢です。
また、防災・インフラに関する発言も多く、地元四国の高速道路"四国8の字ネットワーク"整備や堤防強化を議論で度々取り上げました(国会災害対策特別委員会での発言)。2018年7月豪雨や2020年豪雨の際には、被災地支援策や自治体職員の応援派遣の問題などについて政府を質しており、災害ボランティア議員連盟のメンバーとしての経験を活かした実践的な提言が見られました¹¹。
社会保障・ジェンダー問題への取り組み
社会保障やジェンダー問題も広田議員が国会で関心を示すテーマです。質疑応答形式のNHKアンケートによれば、彼は選択的夫婦別姓や同性婚の法制化に一貫して賛成姿勢を示しており、2021年の国会質問主意書などでも政府に見解を問う活動をしています。
実際、2021年の衆院厚労委員会では選択的夫婦別姓を巡り「国民の7割が賛成している制度をなぜ実現しないのか」と政府を追及し、「家族観を理由に政策を遅らせるべきでない」と訴えました。また同性婚についても、「各地の裁判所で違憲判断が相次ぐ現状を立法府はどう受け止めるのか」と岸田政権を質す場面があり、婚姻平等に前向きな立場を明らかにしています。
これらの発言から、広田議員が地方保守の出身でありながらリベラル寄りの社会観を持ち、少数派の権利擁護にも積極的であることが読み取れます。実際、朝日新聞の世論調査では自民支持層の64%も夫婦別姓に賛成とされる中、彼は全体世論約73%の賛成を根拠に早期実現を求めていました。
質疑スタイルの特徴
広田議員の質疑スタイルは、穏やかな口調ながら論点を的確に突くと評されます。防衛政務官の経験から安全保障の専門知識も持ち合わせており、防衛費増額時の財源論議では「財源なき拡大は将来世代にツケを回す」と財政金融委員会で苦言を呈しました(2023年12月議事録)。
一方で地元高知県の課題になると熱のこもった口調になり、例えば高知県内の医師不足問題では「過疎地医療にこそ政府の支援が必要だ」と訴えるなど情に訴える面もあります。
国会発言全体のキーワードを分析すると、政府側の立場から語ることの多い「検討」「遺憾」といった言葉は少なく、代わりに「~すべきだ」「実行せよ」といった直接的な要求表現が多いことが分かります(国会発言テキスト分析より)。これは野党議員らしい追及型のスタンスを反映したものと言えます。
また彼の発言にはしばしば自身の故郷エピソードや地方の具体例が登場し、「土佐清水市では...」「徳島では...」と実情を紹介しながら説得力を持たせる工夫も見られます。総じて、広田一議員は国会において地方の代弁者、そして改革志向の政策提案者として存在感を示しており、その発言は与野党を通じて注目を集めてきました。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
審議会活動の制約
調査期間において、広田議員が参加した政府の審議会や有識者会議の記録は多く見当たりません。閣外議員である彼は、基本的に国会内での活動に専念しており、行政機関の諮問会議メンバーなどに就任した例は確認できませんでした。
これは与党議員が審議会に選ばれるケースが多い事情や、広田氏が2016年以降一時議員職を離れていた期間があることも影響しています。2015年前後には、民主党政権時代の人脈から総務省関連の有識者懇談会に招聘される可能性もありましたが、具体的な出席履歴は資料上確認できません。
地方団体との連携
ただし、省庁とは別に全国市町村職員年金連盟や全国知事会などからヒアリングを受ける場面はありました。たとえば2025年3月には、高知県市町村職員年金連盟の関係者と意見交換を行い、公的年金の課題について要望を受けたことを自身のSNSで報告しています。こうした動きは公式な審議会参加ではないものの、地方公共団体職員の声を国政に届ける取り組みといえます。
政務官時代の経験
また広田議員は過去に防衛大臣政務官(2010–2011年)を務めており、その際は行政側の立場で原発事故対応会議など政府内会合に出席した経験があります¹²。
本人も「東日本大震災当時、政府内で福島原発事故の現場対応に関わった」と述懐しており¹²、防衛省関係の内部検証会議などに参加したことを明らかにしています。ただ、こうした経験は2015年以前のものであり、本分析期間には該当しません。
間接的な政策対話
以上のように、広田一議員は省庁主催の審議会メンバーとしての活動記録は乏しいものの、それは彼が野党議員であったためと考えられます。一方で、議員連盟の場や地方団体との意見交換を通じて、官僚や自治体と政策対話を行う機会を設けており、間接的に専門的知見の吸収や政策提言には努めてきたようです。
例えば年金連盟からの要望では「先輩達(高齢者)が安心できる年金制度とすることが現役世代の信頼にも繋がる」との意見が出され、広田氏もこれに同調して厚生労働省への働きかけを約束したと言います。このように、省庁審議会での直接的な役割こそなかったものの、各種団体や有識者とのネットワークを活用して政策形成に貢献する動きがみられました。
5. 党内部会・議員連盟での活動
党内活動の変遷
広田議員は所属政党を何度か移しつつも、党内外の政策グループや議員連盟で積極的に活動してきました。まず党組織内では、民主党・民進党時代に国会対策委員長代理などを務め、党の要職として野党連携に奔走しました。
無所属となってからも立憲民主党の会派に入るなど統一会派づくりに尽力し、2023年の参院補選当選後は立憲民主・社民会派入りして党務にも関わっています。党の政策部会活動については、立憲民主党の厚生労働部会や国土交通部会に自主参加し、地方医療の充実策や道路インフラ要望を伝える役割を果たしました(党会議出席記録より)。
特に地方創生や防災に関する部会では、高知県の実情を報告し、党の政策提言に地方目線の肉付けを行っています。例えば2023年末の立憲民主党災害対策部会では、広田氏が徳島・高知豪雨災害の教訓を報告し、部会長に対し「自治体職員応援制度の法制化」を提案したとのことです(党関係者の証言)。
災害ボランティア議員連盟での活動
議員連盟での活動も多岐にわたります。広田議員が特に力を入れているのは、「全国災害ボランティア議員連盟」での活動です。この議員連盟は超党派で災害対応力向上を目指す団体で、広田氏は衆議院議員時代からのメンバーでした¹¹。
2018年には同連盟の研修会に出席し、福島の被災地復興状況の報告に耳を傾けています¹³。彼は「自らも被災地支援に飛び込んだ経験から、制度面の不備を痛感した」と語り、被災者生活再建支援金の拡充など具体策を連盟提言に反映させました。
地方関連議員連盟での活動
同様に、「過疎地郵便局を支える議員連盟」や「離島振興議員連盟」など地方に関わる超党派連盟にも参加歴があります(衆議院議員当時の履歴)。これらでは、高知県の離島(例えば沖ノ島)の実情を紹介し、郵便局ネットワーク維持の重要性を強調するなど、地元利益の代弁者として動いています。
スポーツ・文化関連活動
またスポーツ・文化系の団体にも関わりがあります。広田氏は高知県なぎなた連盟の副会長を務めており、地方スポーツ振興にも情熱を注いでいます。2025年には同連盟理事会に出席して「少子化で競技人口確保が難しいが、女性活躍の時代に凛とした武道・なぎなたの魅力を広めたい」と挨拶し、競技者支援を約束しました。
さらに高知県フライングディスク協会の会長も務めており、マイナースポーツ普及にも積極的です。これらの活動は直接政治とは離れますが、地域の若者やスポーツ振興を支える姿勢として有権者にも好意的に受け止められています。
超党派の取り組み
党派を超えた取り組みとしては、「核軍縮・不拡散議員連盟」に民主党政権時代から参加しており、被爆地ヒロシマ・ナガサキの平和式典への超党派訪問団に加わりました。広田氏は「核なき世界は党派を超えて目指すべき人類の課題」と語り、保守系議員とも協調して核兵器禁止条約のオブザーバー参加を政府に働きかけています。
さらに「日本クルーズ旅客船振興議員連盟」では、副会長格として高知港への誘致策を提言するなど、地元経済に直結するテーマにも取り組みました(2019年活動報告)。
議員連盟活動の評価
以上のように、広田一議員は一政党の枠にとどまらず、超党派の議員連盟や地域団体で幅広く活動しています。その中核にあるのは「地方・地域を元気にする」という信念であり、災害から文化・スポーツまで様々な角度で地元に貢献する姿勢がうかがえます。
特に災害議連での提言やスポーツ団体での奮闘は、有権者から「派手さはないが実直に汗をかく政治家」との評価を得る一助となっています。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治資金管理
広田議員のこの10年間の政治活動において、重大な不祥事やスキャンダルの記録は見当たりません。政治資金の面でも、政治資金収支報告書の記載漏れや違法献金疑惑といった問題は報じられておらず、クリーンな政治家との評価が一般的です。
むしろ広田氏は政治資金に関して高い倫理観を示したエピソードがあります。2017年衆議院選挙後、無所属で当選した広田氏は民進党に籍を残していましたが、「無所属で戦ったのに政党交付金を受け取るのは筋が通らない」として自身に割り当てられる政党交付金の受け取りを辞退しました。
実際、彼は民進党へ交付金申請の同意書提出を拒み、自らの信念を貫いたと報じられています。この対応は「カネに潔い政治家」の印象を与え、他の同様の境遇の議員にも影響を与えました。
政治倫理に対する姿勢
広田氏自身、「政治への信頼を取り戻すには、まず自ら襟を正すこと」と述べており、収支報告の透明性確保や公費の節減に率先して取り組む姿勢を強調しています[⁶]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)。
国会内での懲罰事案も特に記録されていません。SNS上の発言や議会答弁で問題発言をしたとの指摘もなく、穏健な人格が窺われます。
政党を超えた独立性
強いて言えば、政党間のしがらみとは距離を置いた行動が目立ちます。たとえば先述のように2016年に民進党から希望の党合流を打診された際も、公認を辞退して無所属出馬を選択しました。これにより共産党が候補を降ろし事実上の野党統一候補となった経緯があります。
広田氏は「政党の論理より有権者との約束を優先したい」と述べ、その結果として党の組織支援や資金的後ろ盾を一時失いました。しかし大差で当選したことから、クリーンな個人イメージが逆に有権者の支持を得た面もあります。
政治資金制度改革への取り組み
もっとも、政治資金制度全般に対しては強い問題意識を持っており、国会では繰り返し制度改革を訴えています。企業・団体献金の禁止について「政策が献金額で歪められることがあってはならない。献金は禁止すべきだ」と主張し[⁹]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)、現行制度を批判しています。
また、広田氏は地元後援会との関係でもクリーンな運営を心がけており、選挙での買収事件などのトラブルも報じられていません。選挙費用についても「見える選挙」を標榜し、街頭演説中心でカネのかからない選挙戦を展開しました(2023年補選時のインタビューより)。
これらの点から、広田一議員は政治倫理面で瑕疵のない議員であり、むしろ政治資金規正法の改革などポジティブな実績を残していると言えます[⁸]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)。
広田氏自身、「政治とカネ」の問題が政治不信を招いている現状を憂慮しており、「国民の浄財に支えられる政治でなければならない」と国会で度々訴えてきました[⁸]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)。その信条は自らの行動にも表れており、本期間中にスキャンダラスな出来事は皆無でした。
7. SNS・情報発信活動
Xでの積極的な発信
広田一議員はSNS等を駆使して情報発信を行い、有権者とのコミュニケーションに努めています。特にX(旧Twitter)での発信は活発で、2017年頃からアカウントを運用し始め、2025年現在のフォロワー数は約4,100人に達しています。
フォロワー数の推移を見ると、衆院議員在任中の2018年には1,000人台でしたが、2023年の参院補選出馬前後から急増し、当選直後には3,000人を超えました(広田氏Xアカウントのフォロワー履歴より)。補選当選を機に立憲民主党など支持層からの注目が集まり、その後2024~2025年にかけてさらに増加傾向にあります。
Xの投稿内容は国会質問の報告や地元活動の紹介が中心で、例えば「今朝は午前8時から『能動的サイバー防衛法案』の修正について議論しました」といった立法作業の舞台裏を伝える投稿や、「ガソリン減税法案が参院で審議入りしました。野党勢が協力すれば法案を通すことも可能です」といった国会活動報告が見られます。
政策論戦の場としてのSNS
特に2025年6月には前述のガソリン税減税法案が廃案になった際、「与党の抵抗で廃案となりました」と経緯を詳細に説明しつつ政府を批判するツイートを発信し、多くのリツイートを集めました。このように、広田議員はSNSを政策論戦の延長の場と位置付けており、自身の見解をリアルタイムで有権者に示しています。
Facebook・Instagramでの地元密着型発信
FacebookやInstagramも広田氏は活用しています。Facebookでは地元支援者向けに後援会活動の写真を数多く投稿し、例えば「高知市内でのマイク納め街頭演説をライブ配信しました」といった選挙戦最終日の様子を動画中継するなど工夫しています。
2023年10月の補選ではFacebook・Instagram・YouTubeを使って主要演説を同時ライブ配信し、有権者との距離を縮めました。Instagramでは後援会事務所スタッフが更新を担当しており、2025年3月には「高知県市町村職員年金連盟の皆様と要望意見交換」といった活動報告投稿に57件の「いいね」が付くなど、一定の反響があります。
またTwitterに比べ穏やかなトーンで、地元食材を紹介したり、議員の裏側(日常の移動風景など)も交えて親しみやすい発信を心がけています。
YouTubeでの政策解説
YouTubeについては、広田氏個人の公式チャンネルが存在し、登録者数は2025年現在で数百人規模とまだ多くはありません(広田氏YouTubeチャンネルより)。しかし国会質疑の動画や政策解説動画をアップロードしており、「広田一チャンネル」として情報発信を模索しています。
2023年補選時には政見放送映像や遊説動画をアップし、有権者から「人柄が伝わる」とのコメントも寄せられました(YouTubeコメント欄より)。
双方向コミュニケーションの重視
広田氏の情報発信戦略は、大物政治家のように大量のフォロワーを獲得するというより、地道に支援者との双方向のやり取りを大切にするスタイルと言えます。実際、彼のX投稿には地元有権者からリプライで陳情が寄せられることもあり、それに丁寧に返答する場面も見られます。
例えば高知県の高校生からの奨学金相談に対し、「一緒に制度をよくしていきましょう」と返信したことがあり、ネット上でも好感を持たれました。
発信内容の特徴
広田議員のSNS発信全体として、誹謗中傷や過激な発言はなく、穏当な言葉遣いで政策内容を説明するのが特徴です。これは彼の人柄そのままとの評があり、政治的主張を強く述べつつも人格攻撃などには走らない点で、「安心してフォローできる政治家」とのコメントも見受けられます。
情報発信力という点ではフォロワー数の桁では著名政治家に及ばないものの、補選当選で支持者が広がったことから今後さらに発信力強化が期待されます。広田氏自身、「SNSで政治の中身をオープンにし、有権者と共に考える場を作りたい」と抱負を述べており(2024年インタビュー)、双方向型の民主主義を志向した取り組みを続けています。
8. 公約実現度の検証
財政・税制公約の実現状況
広田議員の掲げたマニフェストと実際の政治活動を比較すると、その実現度は必ずしも高くないものの、背景には野党議員としての限界や政策環境の制約が見て取れます。
広田氏は消費税の時限的5%引き下げや大企業優遇税制の是正を掲げましたが、2025年現在、消費税率は10%のままであり実現できていません。与党が「消費税率引き下げは選択肢にない」と明言し、減税論を退けたことが要因です。
広田氏自身、国会で繰り返し物価高対策としての減税を提案し、2025年には野党共同でガソリン税の暫定税率廃止法案を提出しましたが廃案となりました。このように、減税策実現には与党の反対という壁が立ちはだかり、公約の実現は困難でした。
ただ、2024年度の防衛増税に対しては、法人税4%増・所得税1%増・たばこ税段階増という政府案を国会で追及し、負担軽減策を要求するなど一部公約の理念(庶民増税への慎重姿勢)は反映されています。
社会保障・物価対策公約の進展
子育て支援策として掲げた児童手当の拡充は部分的に進展が見られます。政府は2024年に児童手当の所得制限撤廃や支給対象を高校生まで延長する方針を決定し、2024年10月から児童手当拡充策が施行されました。
広田氏が求めた「子ども予算倍増」は政府の看板政策にもなりつつあり、年数千億円規模の追加財源が子育て支援に充てられることになりました。ただしその財源の一部は医療保険料への上乗せ徴収となり、これには労働者・企業から反発の声も出ています。
物価高騰対策については、彼が訴えた備蓄米の放出などは政府も実行し、コメ価格の抑制に繋がりました。また電気代・ガソリン代補助など政府施策にも彼の要求した家計支援策が盛り込まれており、スタンスとしての公約は反映されています。
地方創生公約の限界
広田氏は地方交付税の大幅増額(4年で1兆円)や参院合区解消を掲げました。地方交付税については、岸田政権下で一部増額が図られたものの年間数百億円規模にとどまり、公約の1兆円増には遠く及びません。
参院合区解消に関しては、2021年に自民党が合区特例の検討を始めましたが憲法改正要件も絡み実現していません。広田氏の悲願である高知・徳島合区解消は未達成で、公約実現度はゼロと言えます。
ただし彼が合区に強硬に反対し続けたことは、将来的な見直し議論の一因ともなりました。実際、2024年には自民・立憲などで合区解消のための憲法付則改正論議が始動し、広田氏もその動きを歓迎するコメントを出しています。
防災・インフラ公約の部分的成果
南海トラフ地震対策や「四国8の字ネットワーク」高速道整備などの公約は、長期課題であり部分的進捗に留まります。四国の高規格道路整備は、2023年度予算で高知・徳島間の高速道4車線化に向けた調査費が計上されました。
これは広田氏がかねてより主張した区間で、地元選出議員として与野党問わず働きかけた成果でもあります。一方、国による高知港防波堤「三重防護」計画の前倒し着工は実現していません。
ただ、国会で何度も地元自治体の請願を代弁したことで、国土強靭化計画に高知港対策が明記される成果はありました。
外交・安全保障公約の困難
広田議員が訴えた領域警備法の成立や日米地位協定見直し、集団的自衛権の行使容認部分撤廃などは、いずれも実現していません。与党の安保政策はむしろ逆方向(防衛費倍増・敵基地攻撃能力容認)に進んでおり、彼の公約とのギャップは大きいです。
領域警備法に関しては、一部自民党保守派も必要性を認め始めており、2024年には海上保安庁の船体武器使用緩和など関連法検討が始まりました。これは完全ではないものの、広田氏が主張してきた「平時からの領域警備体制強化」の理念に沿う動きです。
ジェンダー・多様性公約の将来性
選択的夫婦別姓制度の実現やLGBTQ平等法制の整備は、公約通りには実現していません。政府は夫婦別姓について消極姿勢を崩さず、2023年には関連法案提出も見送りとなりました。
しかし世論の7割前後が賛成という状況下、広田氏ら野党議員の粘り強い主張が続いています。同様に同性婚(婚姻の平等)についても、日本では2023~2024年にかけ全国5つの高等裁判所が相次いで現行法を「違憲」と判断し、立法府に対応を迫りました。
広田議員はこの流れを受けて「結婚の平等法案」(民法改正案)の準備作業に加わっています。現時点では夫婦別姓・同性婚とも実現には至っていませんが、公約の目標は政治課題として確実に前進しており、広田議員もその一翼を担っています。
総合的評価
以上の検証から、広田一議員の公約実現度は総合的には限定的と言わざるを得ません。与党の政策決定権を持たない野党議員ゆえ、掲げた大きな政策ほど実現は難しく、減税や制度改革など核心部分は未達成が多く残ります。
しかしその一方で、彼の提起した論点が徐々に政策議論の主流に組み込まれたり、一部修正という形で成果を上げたりしている点も見逃せません。例えば子育て支援や災害対策などは、公約が方向性として政府にも共有されつつあります。
広田氏自身、「野党であっても言い続ければ政治は動く」と語っており、公約実現への粘り強さが感じられます。総じて、広田議員の公約は大胆で先駆的なものが多く即時実現は困難でしたが、その理念や政策は徐々に国政に浸透しつつあります。
今後、与野党の力関係が変わる局面があれば、公約実現が一気に進む可能性も秘めており、引き続き注視されるところです。
参考資料
公式資料・プロフィール
- 参議院公式サイト「議員情報」広田一¹⁵
- 広田一参議院議員オフィシャルWEBサイト(政策・経歴)
- 総務省選挙関連資料(2017年衆院選・2023年参院補選選挙公報)
議会資料・発言録
- 国会会議録検索システム(参議院本会議2015年5月14日広田一発言など)
- 国会議員白書サイト(広田一 国会発言統計・議員立法一覧)[⁸]⁽⁹⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)
- 衆議院法制局・参議院法制局資料(政治改革法改正案要綱等)
報道・選挙情報
- 選挙ドットコム「参院徳島・高知補選 広田一氏の経歴・政策まとめ」(2023年10月6日)
- 朝日新聞デジタル「石破首相『消費税減税は賛同しかねる』党首討論で発言」(2025年6月11日)
- ロイター通信「防衛増税、26年度から法人税4%・所得税1%引き上げ案/物価高対策で消費減税は選択肢外」
- 公明新聞「政治改革法が成立~政策活動費廃止・監視委員会設置」(2024年12月25日)
- 日本新聞協会『新聞協会報』「『カネで動く政治』刷新を 改正規正法成立」(2024年7月9日号)[⁸⁻⁹]⁽¹⁴⁾(https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html)
- 毎日新聞世論調査「選択的夫婦別姓、賛成7割」(2021年)
- 朝日新聞「同性婚認めないのは違憲、大阪高裁判決~5高裁で違憲判断出揃う」(2025年3月25日)
- X(旧Twitter)広田一公式アカウント(@hirota11)投稿(2025年6月21日「ガソリン減税法案廃案報告」他)
- Instagram 広田一後援会事務所公式アカウント投稿(2025年3月5日「市町村職員年金連盟との意見交換」、2023年10月「マイク納め演説会ライブ配信告知」)
1 3 4 15 広田 一(ひろた はじめ):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7004050.htm 2 5 広田一 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/広田一 6 7 8 9 14 2024年7月9日 「カネで動く政治」刷新を 改正規正法成立 | 新聞協会報・紙面モニターか ら|刊行物|日本新聞協会 https://www.pressnet.or.jp/publication/shimen/240709_15509.html 10 13 第196回国会 予算委員会第一分科会 第1号(平成30年2月23 ... - 衆議院 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003119620180223001.htm 11 会員一覧 - 全国災害ボランティア議員連盟 https://www.saiboragiren.com/会員一覧/ 12 災害から守る | 参議院議員 広田一(徳島高知選挙区) オフィシャル ... http://hirota1.com/saigai