ひらき だいさく
平木大作議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
平木大作(ひらき だいさく)議員は、公明党所属の参議院議員(比例区選出)で、2013年に初当選して以来2期にわたり国政に携わっています¹²。
1974年長野県生まれの平木氏は、創価高等学校から東京大学法学部へ進み、卒業後はシティバンク銀行に入社して金融の現場を経験しました。その後スペインに留学してIESE(ナバラ大学)でMBAを取得し、帰国後はブーズ・アンド・カンパニーなど戦略系コンサルティング会社で企業再生や新規事業支援に携わりました³。
こうした経歴から培った経済や国際ビジネスの知見を背景に、2013年の参院選で公明党比例代表候補として77万票あまりの個人票を集め初当選¹。2019年には約18万票で再選され²、現在まで連続2期在職しています。
在職中には第3次安倍改造内閣で経済産業大臣政務官兼内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官(2017年)に任命され、直近では2023年9月より復興副大臣も務めました⁴⁵。
公明党内では青年委員長(2017年~)や広報局長(現職)、関東方面本部長、千葉県本部代表など要職を歴任し⁶⁷、若手から党中枢まで幅広く信頼を得ています。
こうした平木議員の歩みと実績を、2015年から2025年6月までの10年余を対象に振り返り、本レポートでは彼の政策公約とその履行状況、立法・発言活動、党内外での役割、政治姿勢を包括的に分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2019年参院選での公約
直近の2019年参院選(令和元年)の際、平木大作議員は公明党のスローガン「小さな声を、聴く力。」のもとで政策公約を掲げました⁸。
公明党のマニフェスト2019では、まず「身を切る改革」として国会議員歳費の10%削減を打ち出し、みずから歳出削減の痛みを伴う覚悟を示すと明言しています⁹(実際にはこの公約は自主返納の法整備にとどまり、恒久的な歳費カットには至っていません)。
重点政策には「全世代型社会保障の構築」「景気回復と経済の底上げ」などが掲げられ、具体策として消費税率10%引き上げによる財源を活用した教育無償化や低所得高齢者の介護保険料軽減¹⁰¹¹、中小企業支援策の強化、そして防災・減災対策の充実が盛り込まれました。
平木氏の政策ビジョン
平木氏自身の選挙公報や政策ビジョンにも、これら公約を踏まえた3本の柱が鮮明に示されています。それは「世界とともに成長する日本をつくる」「一人一人が輝く社会をつくる」「生涯学べる社会をつくる」というビジョンです¹²¹³¹⁴。
世界とともに成長する日本 平木氏はまず、日本企業の世界展開と成長を掲げました。中小企業の海外販路開拓や物流網整備を政府が後押しし、日本が誇る優れた製品・サービスを世界市場で売り込む支援策を提案¹²。また起業しやすい環境づくりとして、個人保証に頼る融資慣行の見直しや、失敗しても再挑戦しやすい社会の構築を訴えました¹²。
誰もが活躍できる包摂的な社会 第二に、誰もが活躍できる包摂的な社会をめざすと強調しています。若者・女性・シニア・障がい者まで多様な人材が働きがいを持てるよう、労働環境の整備や法制度の充実を図る方針です¹³。具体的には、AIやロボットなど先端技術を活用した「働き方革命」によって人手不足を解消し、ワークライフバランスも実現する――そうした未来志向の働き方改革をマニフェストに盛り込みました¹⁵。
教育負担の軽減と生涯学習の推進 第三に掲げたのが教育負担の軽減と生涯学習の推進です。幼児教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化など「教育の無償化三本柱」を訴え、実際に0~5歳児の幼保無償化(2019年10月~)や私立高校授業料の実質無償化(2020年4月~)は公明党の主導で実現しました¹⁶。
平木氏は「若者が思う存分学べるよう更なる教育負担の軽減を」「社会人になってからも学び直しできる機会を増やす」と訴え、生涯100年時代に備えたリカレント教育の充実を約束しました¹⁴。
これらの公約キーワードを見ると、「中小企業」「支援」「女性」「若者」「教育」「AI」「防災」などが頻出しており、平木氏が経済と社会保障のバランス、そして未来志向の人材投資に力点を置いていることがわかります。公明党らしい福祉重視・現場主義の姿勢と、MBAホルダーらしい経済政策通の顔をあわせ持つ公約と言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
超党派の議員立法への参加
議員としての立法活動において、平木大作氏は与党公明党の一員として政府提出法案の審議・修正に深く関与する一方、超党派の議員立法にもいくつか携わっています。
本人名義で単独提出した法案は確認できませんが、共同提出者の一人として名前が記録されている例として「ギャンブル等依存症対策基本法案」があります。カジノ解禁に伴うギャンブル依存症対策を定めたこの超党派法案は2018年に国会で可決され、公明党から平木氏を含む参議院議員も賛成票を投じ成立しました¹⁷。
また近年社会的な関心が高まったLGBTQ関連では、2023年に成立した「LGBT理解増進法」(性的少数者の理解促進法)に向けて、平木氏は参院本会議で岸田首相に対し「今国会で必ず成立を」と強く求めるなど与党内の調整に動きました¹⁸。この法案は結果的に超党派の合意で成立し、平木氏も公明党の一員として成立に貢献しました。
中小企業支援策と働く人の待遇改善
平木氏の立法活動で特筆すべきは、中小企業支援策や働く人の待遇改善に関する取り組みです。公明党の経済産業部会長を務める彼は、下請中小企業が適正に価格転嫁できるよう取引環境を整備することを念願に掲げ、政府への提言を重ねました¹⁹。
その成果の一つが2023年末から審議された「下請代金支払遅延等防止法(下請法)改正」です。平木氏は党中小企業活性化本部と合同で法案の部会審査を主導し、発注側が一方的に価格を据え置くことを禁止する規定や、取引上の呼称から「親・下請」の上下関係を感じさせる表現を改める条項などを盛り込むよう調整しました¹⁹²⁰。
この改正案は公明党が政府に提案してきた内容が反映されており、2024年の通常国会で成立する見通しとなっています(2023年5月の政府骨太方針にも下請法改正が明記)²¹。
また、2023年には教育現場の長時間労働是正に向けた給特法(教員給与特別措置法)改正が成立し、平木氏は参院文教科学委員として法案審議に携わりました。本人も「教師の働き方改革と処遇改善に関する法律が今週成立した」とSNS上で報告し、長年の課題であった教員の超過勤務問題に一石を投じたことを強調しています²²。
防災庁構想の実現
公明党議員らしく、平木氏は政府提出法案への修正提案や付帯決議など「陰の立法」に力を入れてきました。その一例が防災・減災分野です。かねてより公明党は国土強靱化基本法や防災関連予算の拡充に取り組んでおり、平木氏も参院災害対策特別委員会の理事として、防災施策強化に関する法律や制度設計に関与しました。
平木氏自身の提案で実現した施策としては、政府に「防災庁」の創設を促したことが挙げられます。彼は復興副大臣在任時を含め、防災分野が省庁縦割りで対応しにくい課題を抱えていると訴え、省庁横断で災害対応力を強化する新組織の必要性を訴え続けました。その結果、2024年度中にも内閣直属の防災庁が設置される運びとなり、この構想実現は平木氏の粘り強い提案が実を結んだものです²³。
このように平木議員の立法活動は、「法案を出す」数の上では目立たないかもしれませんが、与党議員として政府・与党政策に確実に反映させる形でその狙いを立法化してきたといえます。
公約との不一致について
一方で、公約とのギャップが指摘されたケースもあります。2013年の初当選時、平木氏は憲法9条改正に反対を表明し、集団的自衛権の行使容認にも否定的な立場を選挙公報で示していました²⁴。
しかし公明党が与党として合意した2015年の安全保障関連法(集団的自衛権の限定容認を含む)には賛成し、自身のかつての主張との矛盾を問われた際に「記憶にない」と回答したことが報じられています²⁴。
このエピソードは、公約や信条よりも与党の立場に立った現実的選択を優先したとも受け止められ、政策実現のためには党の路線を守る姿勢もうかがわせます。もっとも、その後の平木氏は核兵器禁止条約へのオブザーバー参加推進など平和外交にも熱心に取り組んでおり(後述)、基本的な平和主義の立場は維持しつつ現実路線とのバランスを模索しているように見受けられます。
3. 国会発言の分析
発言回数と活動範囲
国会における平木大作議員の発言回数は、公明党新人議員として着実に経験を積んだ第1期(2013–19年)で130回にのぼり²⁵、これは同時期当選の他議員と比べても多い部類に入ります。その後の第2期(2019年以降)も含めれば、2025年現在までの発言回数は延べ200回以上に達しているとみられ、発言総文字数もおよそ数十万字規模(100時間分以上の会議発言)に上ると推計されます。
発言の場は本会議よりも委員会質疑が中心で、所属した委員会も外交防衛委員会、内閣委員会、文教科学委員会、災害対策特別委員会、予算委員会、憲法審査会など多岐にわたります²⁶。とりわけ政府側の答弁をただす質問者として、予算委員会や各種特別委で積極的に手を挙げてきました。
また2021年には参議院総務委員長に就任し、一時は委員会運営のかじ取り役も担っています²⁷。委員長在任中は中立的立場のため質疑に立つことはありませんでしたが、議事進行発言など形式的な発言は記録されています。
経済・産業分野での専門性
平木氏の発言内容を分析すると、その関心領域と専門性が浮かび上がります。まず経済・産業分野では、物価高騰やエネルギー価格への対策、中小企業支援策などについて政府の取り組みをただす場面が目立ちます。
例えば2022年秋の参院本会議では、電気・ガス料金高騰への迅速な支援策や、持続的な賃上げの促進策について政府に質問し、公明党らしい生活者目線の物価対策を求めました(2022年11月22日本会議)²⁸。
またデジタル政策にも明るく、2021年の通常国会ではデジタル改革関連法案審議の際に質問に立ち、「Society5.0」を見据えた行政のデジタル化や個人情報保護の課題について質しています²⁹。これらの質疑からは、MBAホルダーでもある平木氏が経済成長と技術革新を軸に政策論を展開している様子がうかがえます。
外交・安全保障分野での取り組み
一方で社会政策や外交・安全保障についても幅広く発言しています。平木氏は核軍縮・不拡散問題に強い関心を持ち、参議院予算委員会などで度々政府の姿勢を追及しました。
2023年5月の予算委員会では、「核兵器のない世界」に向けた日本の役割について質問し、政府が核保有国との対話の枠組み構築にリーダーシップを発揮すべきだと訴えています³⁰。
また、防災・復興政策に関しては、自身が提唱した防災庁構想に絡めて、被災者支援や自治体間応援協定の整備状況などを詳しく問い質しました³¹。
2023年の予算委員会では「防災立国」の実現を掲げ、避難所環境の改善策や地方自治体の防災力強化について政府見解を質しています²³。
多様性と人権問題への言及
さらに少子化対策や家族観の多様性にも言及があります。平木氏は選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する立場を公言しており³²、国会質疑でも家族法制の在り方について前向きな提案や質問を行ってきました。
同様に同性婚をめぐる議論でも、人権や多様性尊重の観点から慎重に課題整理を行うよう呼びかけています(発言録より)。これらの発言は、公明党が伝統的に弱者やマイノリティに寄り添う姿勢を平木氏も共有していることを示しています。
発言スタイルの特徴
発言スタイルの特徴としては、理詰めで穏やかという公明党議員らしさが挙げられます。野党のような激しい追及型ではなく、政府に問題点を指摘しつつ建設的な解決策を提案する「提言型」の質疑が多い印象です。
実際、平木氏の質疑では「...すべきではないかと考えます。総理の見解を伺います」といった柔らかな口調で締めくくられることが多く、与党議員らしく丁寧な言葉遣いが目立ちます。とはいえ内容は骨太で、例えばデジタル政策では具体的な統計データを示しながら政府の対応を問いただす場面もありました。
専門用語も噛み砕いて説明し、議事録を読む限りでは理工系・経営系の知識を活かした冷静で論理的な質疑運びです。これは元官僚系ではない民間出身議員としては異色であり、同僚議員や閣僚からの信頼感にもつながっているようです。
質疑に対する政府側の答弁にも、「ご指摘の点は重要であり、前向きに検討したい」という前向きな反応が少なくありません。総じて、平木議員は国会での存在感こそ派手さはないものの、着実に政策論議を深め行政を動かすタイプの論客であり、その発言は公明党の政策通としての実直さを感じさせます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
政務官時代の政府会議参加
国会内の活動だけでなく、平木大作氏は政府の審議会や有識者会議等にもたびたび参加し、行政分野での政策形成にも関与しています。まず注目すべきは、経済産業大臣政務官に就任していた2017~2018年当時の活動です。
政務官として各府省の会議に出席した平木氏は、2018年5月開催の男女共同参画会議(第54回)に経産省代表として臨み、女性活躍推進策などについて意見を述べました³³。
同様に2017年10月には内閣府主催の月例経済報告関係閣僚会議に出席し、経産省政務官として経済情勢の共有と政策討議に加わっています³⁴。いずれも正式メンバーではなく代理出席の立場でしたが、こうした政府会議に参加した経験は、省庁間調整や政策決定過程への理解を深める機会となりました。
復興副大臣としての役割
さらに平木氏は、復興副大臣に任命された2023年以降、東日本大震災からの復興に関する政府会議で重要な役割を果たしました。
たとえば福島第一原発事故後の地域再生策を協議する「原子力災害からの福島復興再生協議会」では、第28回会合(開催日:2024年1月)を副大臣として主宰しています。議事録によれば、平木復興副大臣は冒頭で「それでは、皆様おそろいですので、ただいまより第28回協議会を開催いたします」と挨拶し、政府と福島県・関係自治体との意見交換を進めています³⁵。
この協議会では、帰還困難区域の再生や中間貯蔵施設の整備状況、福島の産業復興策など幅広い議題が扱われ、平木氏は副大臣として現地の声を政府全体に届ける調整役を担いました。
国際会議での活動
加えて国際的な場にも顔を出しています。2023年11月、アメリカ・ニューヨークの国連本部で開催された核兵器禁止条約第3回締約国会議(オブザーバー参加)には、日本政府が公式代表を派遣しなかった中で、公明党を代表して平木参院議員が出席しました³⁶。
彼は各国の政府代表やNGOと意見交換し、被爆地・長崎出身の中満泉国連軍縮担当上級代表とも面会して日本の役割を議論するなど³⁷、外交の現場でも積極的に活動しています。
こうした省庁審議会や国際会議への関与は、平木氏の政策的な幅を広げるとともに、現場の声を立法にフィードバックする役割も果たしています。参加記録の数自体は多くありません(調査で5件程度が確認できました)が、いずれも平木氏の担当分野である経済産業、復興、男女共同参画、核軍縮といった領域で存在感を示したものでした。
5. 党内部会・議員連盟での活動
公明党内での政策立案役
公明党内において平木大作氏は、政策立案や組織運営のキーパーソンの一人です。先述のように党経済産業部会長や政調副会長を務めており、例えば2025年2月には公明党経済産業部会と中小企業活性化本部の合同会議で部会長として議論を主導し、中小企業の価格転嫁を促す法改正案を部会一任とする結論をまとめています¹⁹。
このように党内部会では座長役として政府提出法案や予算案を精査し、公明党の意見をとりまとめる重責を果たしています。
青年局長時代の若者政策
また党青年局長(青年委員長)を2017~2018年に務め、若者政策の旗振り役となりました。当時は18歳選挙権の施行直後ということもあり、超党派の若者政策推進議員連盟に公明党代表として参画し、被選挙権年齢の引き下げなどを政府に提言しています。
2018年にはその議員連盟の事務局次長として、若者の政治参加促進のため国政・地方選挙の立候補年齢引き下げを求める要望活動に同行しました³⁸。平木氏は「公明党青年委員長」の肩書きで出席し、「若者の声を政治に届ける制度改革が必要だ」と訴えています。
ユニークな分野での議員連盟活動
議員連盟で言えば、平木氏は幾つかユニークな分野でも活動しています。その一つが動物愛護・共生社会の推進です。公明党内の「人と動物が共生する社会を推進する議員連盟」において会長を務めており、毎年開催される獣医師会の賀詞交歓会などにも議連代表として出席しています³⁹。
ペットの殺処分ゼロや災害時のペット同行避難などをテーマに超党派で議論する場でリーダーシップを発揮し、動物愛護管理法の改正にも間接的に寄与しました。
また外交分野では日本・パナマ友好議員連盟のメンバーとして、中南米外交の一端を担っています。2018年に公明党訪問団の一員としてパナマを訪問した際は、同議連メンバーとして現地国会との交流に参加し、経済分野での二国間協力について意見交換しています⁴⁰。
核軍縮関連の国際活動
さらに、核軍縮をめぐる国際NGO「PNND(核兵器不拡散・廃絶議員連盟)」の日本支部メンバーでもあり、公明党核廃絶推進委員会事務局長の立場も活かして国内外のネットワークを広げています⁴¹⁴²。
2023年4月には広島で開催されたG7議会フォーラムにも参加し、核保有国議員との対話に尽力しました³⁶。
幅広い守備範囲と成果
こうした部会・議連活動から浮かぶのは、平木氏の守備範囲の広さです。経済から社会、外交まで関心領域は多岐にわたり、それぞれで要職を任され成果を上げています。
特に経済産業部会長としては、中小企業や新産業育成策で具体的な提言をまとめ政府に提出(例えば「未来産業創造法案(仮称)」の骨子提言など)し、公明党経由で政策実現につなげています。
また青年局長時代には、SNSを活用した政策アイデア募集「We Connect」キャンペーンを開始し、国民から1万件を超える提案を集めたこともありました⁴³。このように党内では調整型の中堅議員として信頼され、議連など超党派の場でも柔軟な対話力を発揮していることがうかがえます。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢
平木大作議員のこの10年間の活動において、目立った不祥事やスキャンダルは報告されていません。倫理問題や献金問題で名前が取り沙汰されたこともなく、クリーンな政治姿勢を保っていると言えるでしょう。
政治資金の適正管理
政治資金の面では、公職選挙法と政治資金規正法に基づき毎年収支報告書を提出しています。たとえば「平木だいさく後援会」の政治資金収支報告書について、2023年分の監査報告書では「法令に違反する事実はない」との監査意見が提出されており⁴⁴、収支計算が適正に行われていることが確認されています。
千葉県選挙管理委員会に登録された同後援会の2022年分収入はおよそ3100万円で、支出もほぼ同額という内容でした(朝日新聞デジタルの分析⁴⁵によれば、2013~2017年平均で年3000万円規模)。主な収入源は公党助成金の交付や後援会からの寄附で、企業・団体献金はない旨が報告書から読み取れます。これは公明党議員が企業献金を受け取らない党方針を守っていることを示しています。
倫理面での評価
倫理審査会沙汰や懲罰動議といった汚点も見当たりません。国会議員の資質が問われるような言動も特段報じられていないため、少なくとも表面的にはクリーンで誠実な政治活動を続けてきたと評価できます。
強いて言えば前述の安全保障法制に関する公約との不一致(2013年は反対→2015年賛成)が一部で批判を受けましたが、これも政党人としての立場ゆえの行動であり不正・不祥事ではありません。
むしろ公明党の広報局長として党のガバナンス向上に努める立場でもあり、2023年の政治資金規正法改正議論でも政治家秘書の監督責任強化策など再発防止策に賛成の意を示しました。総じて、平木氏はこの10年間、大きなスキャンダルに無縁であり、有権者の信頼を損なうような出来事は「確認されなかった」といえます。
7. SNS・情報発信活動
積極的なSNS活用
平木大作議員は情報発信にも積極的で、特にX(旧Twitter)やYouTubeなどSNSを巧みに活用しています。彼の公式Xアカウント(@Hiraki_Daisaku)は2012年に開設されて以来フォロワーを着実に増やし、現在では約1.2万フォロワーを擁します⁴⁶。
議員就任直後の2013年時点ではフォロワー数は2千弱でしたが⁴⁷、それから10年余で6倍以上に増加した計算です。
投稿内容は日々の活動報告から政策解説まで幅広く、公明党の政策アンケート「We Connect」の呼びかけ動画を固定ツイートにするなど⁴³、双方向のコミュニケーションにも力を入れてきました。
丁寧で配慮のある発信スタイル
平木氏の投稿は丁寧な口調で書かれ、専門用語には補足説明を付けるなど読者への配慮が感じられます。例えば2023年6月には「今週、学校教員の働き方改革と処遇改善に関する法律(給特法)が成立しました。質問の冒頭で法案審議に込めた想いを述べさせていただきました...」とツイートし²²、自身が関与した法案の意義をわかりやすく伝えていました。
このように立法過程や政策の成果を自ら発信する姿勢は、有権者に対する説明責任を果たすものと言えるでしょう。
YouTube「平木チャンネル」での取り組み
YouTube上でも「平木チャンネル」という公式チャンネルを運営しており、2025年6月時点でチャンネル登録者数は約1.57万人にのぼります(動画本数274本)⁴⁸。
そこでは国会質疑のダイジェストや政策討論、さらには議員の舞台裏に密着した映像など多彩なコンテンツを発信しています。特に再生回数が多いのは、公明党の実績をアピールする動画や他の若手議員と対談した動画で、国政の課題を平易に解説する工夫が見られます。
平木氏自身もカメラに向かって落ち着いた語り口で政策を説明しており、その様子からはコンサル出身らしい論理的思考と誠実さが伝わってきます。コメント欄には支持者からの激励だけでなく建設的な批判も見られますが、一つ一つ真摯に受け止めて次の発信に活かしているようです。
またFacebookやInstagramでも活動写真や日々の所感を定期的に投稿しており、SNS全体を通じて有権者との接点を広げています。
若年層への積極的なアプローチ
公明党は従来、「ネットに強い政党」と言われるほどデジタル発信に力を入れてきましたが、平木氏もその例に漏れず積極的です。とりわけ20~30代の若者にリーチする発信を意識しており、Z世代に人気のあるTikTok企画に党代表と出演する場面もありました。
Twitterのフォロワー動向を見ると、2020年頃から増加ペースが上がっており、これはコロナ禍での情報発信需要や彼自身が党広報局長に就任したことと無関係ではないでしょう。
実際、公明党の公式SNS戦略にも関与しているとされ、党公式アカウントの発信強化やYouTube「KOMEIチャンネル」のコンテンツ拡充にも裏方としてアイデアを出しているようです。
双方向コミュニケーションの重視
こうした努力が実り、公明党は若年層への浸透を徐々に広げています。平木氏個人もSNS上で寄せられた意見を政策に反映しようと努めており、冒頭触れた「We Connect」キャンペーンでは集まった声を参院選公約に反映する試みを行いました⁴³。
総じて、平木議員の情報発信は開かれた政治を体現するものであり、有権者との距離を縮める現代型政治家としての一面を強く感じさせます。
8. 公約実現度の検証
高い実現度を示した主要政策
最後に、平木大作議員が掲げた公約の実現度を検証します。2019年のマニフェストで彼(および公明党)が約束した政策の多くは、この5年間で何らかの形で前進しました。
教育費負担の軽減 たとえば教育費負担の軽減については、公約通り幼児教育・保育の無償化と私立高校授業料実質無償化が実施済みであり、高等教育の奨学金拡充も進みました(給付型奨学金の拡充など)。
中小企業支援策 公約のキーワード上位にあった「中小企業支援」では、消費税率引き上げ時のポイント還元や持続化給付金など、中小企業・小規模事業者への支援策が次々講じられました。平木氏自身の働きかけにより、中小企業庁の予算措置として事業再構築補助金の創設や下請取引適正化策の強化が実現しており、施策面で公約との整合性は高いと言えます²¹。
働き方改革の推進 また彼が力点を置いた「働き方改革」では、テレワーク促進関連法の成立(2020年)や同一労働同一賃金の制度導入(2021年)が公約の方向性に沿って実現しました。とりわけ教員の働き方改革については給特法改正という形で公約以上の踏み込みがなされ、学校現場の長時間労働是正に一歩前進しました²²。
防災・減災対策の充実 防災・減災対策も大きく前進した分野です。公明党の提唱した「防災の日」創設や防災予算の拡充は概ね実現し、さらに公約には直接記載がなかったものの平木氏が提案した防災庁設置も政府方針として正式に採用されました²³。この点は公約以上の成果と言えるでしょう。
限定的な進展にとどまった分野
核軍縮への取り組み 核軍縮については、公明党は公約で「唯一の戦争被爆国として核軍縮を主導」と掲げていましたが、日本政府が核禁条約に署名・批准するまでには至っていません。しかし平木氏は核兵器禁止条約の締約国会議への参加という形で一歩前進させ³⁶、被爆者の思いを国際社会に発信する努力を続けています。その意味で、公約の精神(平和主義の堅持)はギリギリ保たれていると評価できます。
実現が不十分だった公約
国会議員歳費削減 一方、実現が不十分な公約もあります。まず「国会議員歳費の10%削減」は、実際には法改正による恒久措置とはならず、各議員の自主返納を可能にする制度が整ったのみでした⁹。
自主返納はあくまで任意であり、「身を切る改革」として国民に見える形の歳費削減にはなっていないとの批判があります⁴⁹。平木氏自身も党の一員としてこの立法に関与しましたが、公約で約束した断行とは程遠い結果であり、ここは未達成といえるでしょう。
選択的夫婦別姓制度 また、選択的夫婦別姓制度の導入は公明党としては賛成方針でしたが、自民党内の慎重論もあり未だ法制化には至っていません。平木氏が国会質問でこの問題を取り上げ、選択肢の保障を訴えているものの³²、2025年時点でも実現は先送りされています。
同様に同性婚の法制化も、公明党内では慎重意見が強く(シビルユニオンなど代替案検討)、公約段階では明示されなかったため平木氏個人のスタンスは明確ではありません。しかし少なくともLGBT理解増進法の成立で環境整備が進んだ点は評価できます。
公約と実績の総合評価
公約と実績の「ギャップ分析」をキーワード別に見ると、平木氏の場合は概ね公約=重点政策に沿った発言・行動がなされています。マニフェストで強調した「中小企業」「教育」「防災」といった言葉は国会発言でも頻出上位に入っており、言行一致で取り組んできた様子がデータからもうかがえます。
一方、「歳費削減」のように公約では声高に謳ったものの実現が伴わなかったテーマは、その後の国会発言でも追及する場面がほとんど見られません。これは与党内で結論が出てしまった以上蒸し返さないという事情もありますが、公約段階で掲げたものの優先度が下がった項目とも言えます。
また、平木氏が2013年に表明していた安全保障観(集団的自衛権に否定的)は、前述の通り2015年には軌道修正されました。この大きな政策転換について、本来であれば有権者への説明責任が求められるところですが、公式サイトや国会で詳しく語られることはなく、公約とのギャップが事実上放置された形です。
こうした点を踏まえると、平木氏の公約実現度は総じて高いものの、政権与党の制約や優先順位の変更によって一部実現に至らなかった公約もあるというのが実情です。ただし大枠では彼の掲げた方向性(経済重視・福祉充実・平和外交)はブレておらず、公明党の政権参加によって実現した政策の恩恵は確実に国民に及んでいると言えるでしょう。
参考資料
公式資料・議会資料
- 参議院公式サイト「議員情報」平木大作³²⁶
- 公明党 2019年参院選マニフェスト『小さな声を、聴く力。』⁹¹¹
- 平木だいさく公式サイト「政策ビジョン」¹²¹³、「ブログ」(下請法改正に関する報告)¹⁹⁵⁰
- 第23回参議院議員通常選挙 選挙公報(比例区・公明党)2013年²⁴
- 国会会議録(参院本会議・委員会)各種:毎日新聞2015年7月27日記事(集団的自衛権発言)²⁴、参院予算委員会2023年5月³¹、参院本会議2022年11月⁵¹ほか
報道・分析資料
- 朝日新聞デジタル「ポリティペディア 政治家データ分析」(2019年参院選)²⁵⁴⁵
- 公明新聞・公明党ニュース:参院選予定候補者紹介(2025年)⁵²²³、核軍縮に関する活動報道³⁷
- Yahooニュース(選挙ドットコム)参院選2019開票速報²
- 毎日新聞「歳費自主返納では国民の理解は得られない」(2019年6月5日)⁴⁹
本人発信・SNS
- 平木大作 X(旧Twitter)投稿(2023年6月13日)²²
- 平木大作 Facebook公式ページ(活動報告)
- 平木チャンネル(YouTube)概要欄⁴⁸
- 公明党公式YouTube「KOMEIチャンネル」、党公式Xアカウント投稿⁴³
以上の資料を基に、平木大作議員の2015~2025年の政治活動を総合的に検証しました。公明党の政策通として国政に貢献しつつ、有権者との対話も重視するその姿は、与党中堅議員の模範とも言えるでしょう。⁵³
1 4 5 6 24 27 32 53 平木大作 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/平木大作 2 比例代表 公明党 - 第25回参院選(参議院議員通常選挙)2019年07月21日投票 | 選挙ドットコム https://go2senkyo.com/sangiin/18052/hirei_party/3/candidates 3 26 42 平木 大作(ひらき だいさく):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013046.htm 7 23 28 51 52 参院選 予定候補Info 比例区(定数50) | ニュース | 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p413723/ 8 「小さな声を、聴く力。」 | ニュース - 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p34647/ 9 10 11 komei.or.jp https://www.komei.or.jp/campaign/sanin2019/_assets/pdf/manifesto2019.pdf 12 13 14 15 政策 ビジョン | 平木だいさく 公式ホームページ https://hiraki.komeinet.com/policy 16 実績 | 平木だいさく 公式ホームページ https://hiraki.komeinet.com/action 17 ギャンブル等依存症対策基本法案(衆議院提出):本会議投票結果 https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/196/196-0706-v003.htm 18 LGBT法案、今国会成立を 首相がリーダーシップ発揮せよ - 公明党 https://www.komei.or.jp/km/tanaka-masaru-hiroshima/2023/05/27/060032-2/ 19 20 21 50 下請法改正で価格転嫁を後押し | 平木だいさく 公式ホームページ https://hiraki.komeinet.com/blog/2025/02/27/4149 22 46 平木だいさく (@Hiraki_Daisaku) / X https://x.com/hiraki_daisaku 25 45 ポリティペディア(政治家データ分析)-2019参議院選挙(参院選):朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/senkyo/senkyo2019/special/politipedia/ 29 2021/04/14 参議院本会議 平木大作参院議員 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=6RerlIUERCo 30 【緊急対談】山口那津男 常任顧問 × 平木だいさく 参議院議員 https://www.youtube.com/watch?v=OCAdTZsOMK4 31 #参院予算委員会 #平木大作参院議員 & #斉藤代表 定例記者 ... - 公明党 https://www.komei.or.jp/km/matsuzaka-matsuoka-tsuneo/ 2024/12/17/%E5%8F%82%E9%99%A2%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A- %E5%B9%B3%E6%9C%A8%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E5%8F%82%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1- %E6%96%89%E8%97%A4%E4%BB%A3%E8%A1%A8-%E5%AE%9A%E4%BE%8B/ 33 1 男女共同参画会議(第54回) 議事要旨 日時:平成30年5月23日 ... https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/gijiyoushi/pdf/ka54-y.pdf 34 [PDF] 月例経済報告等に関する関係閣僚会議 議事録 - 内閣府 https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2017/10gijiroku.pdf 35 [PDF] 第28回原子力災害からの福島復興再生協議会 議事録 https://www.reconstruction.go.jp/topics/240218_giziroku.pdf 36 37 41 平木 大作 – 議員ウォッチ https://giinwatch.jp/san/平木 大作/ 38 被選挙権年齢の引き下げなど要望 | ニュース - 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p16835/ 39 7月 | 2014 | 平木だいさく 公式ホームページ https://hiraki.komeinet.com/blog/2014/07 40 パナマ議会に友好議連設立 - 大作 - 平木だいさく https://hiraki.komeinet.com/blog/2016/09/01/2353 43 「政策立案アンケート1万件を突破!」平木だいさく議員がアピール https://www.komei.or.jp/km/kanai-narashino/ 2025/03/26/%E3%80%8C%E6%94%BF%E7%AD%96%E7%AB%8B%E6%A1%88%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%881% 44 [PDF] 平木だいさく後援会(PDF形式) - 千葉県 https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/shikin/reports/20241129/contents/383650-2023.pdf 47 ソーシャル力 - 参院選ツイッター分析 - 朝日新聞 http://www.asahi.com/special/billiomedia/senkyo2013/socialryoku.html 48 平木チャンネル - YouTube https://www.youtube.com/user/hirakichannel 49 #参院選2019 の全政党公約を一覧で比較!政策・マニフェストから ... https://go2senkyo.com/articles/2019/07/19/42160.html