わだ まさむね
和田政宗議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
和田政宗(わだ まさむね、1974年10月14日生)は、元NHKアナウンサーの経歴を持つ自由民主党所属の参議院議員(宮城県選挙区→比例区選出、当選2回)です¹。
慶應義塾大学法学部を卒業後、NHKに入局して報道の現場を経験しました²。2013年7月の第23回参院選にみんなの党公認で宮城選挙区から出馬し、22万0207票を得て初当選³。
その後所属政党の解党に伴い次世代の党(のち「日本のこころ」)へ移籍し、政策調査会長・幹事長代理・党首代行など要職を歴任しました⁴⁵。
2016年に同党を離党して無所属で参議院自民党会派入りし⁶、2017年に正式に自民党へ入党が承認されます⁷。
2019年7月の第25回参院選では自民党比例区から出馬し、前回より票を増やす28万8080票で2期目の当選を果たしました⁸。
入党後は党広報本部副本部長や青年局次長などを務め、2024年11月28日には参議院内閣委員長に就任し現職です¹⁹。
本報告では2015年から2025年までの和田氏の活動を振り返り、その政策・言動の全体像を分析します。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
和田政宗議員の直近の選挙公報・マニフェストには、「令和の和」を掲げ日本の繁栄に邁進するとのスローガンが示されています。実際、公式サイトのメッセージでは「令和の和田まさむねは、日本国と国民のために突き進みます」とうたい、自らの姓にかけて「和を以て日本の繁栄に」と強調しています¹⁰。
2019年参院選公約の内容
2019年の参院選公約では、憲法改正と防衛力強化、経済再生と子育て支援が柱でした。「自衛隊を憲法に明記し、日本の平和を守る」「防衛費をGDP比2%まで引き上げ抑止力向上」など安全保障策を筆頭に掲げ¹¹、幼児教育無償化や不妊治療の公的保険適用などによる「次世代を育てる負担軽減」¹²、さらに「地方への財政出動で景気好循環を生み、10年で所得1.5倍」を目標とする経済政策も打ち出されました¹³。
また、"最後の既得権"と呼ぶ放送業界への新規参入(電波オークション導入)による多様な言論環境の実現や¹⁴、祖父母との三世代同居支援、AI・宇宙開発推進など多岐にわたる具体策を盛り込んでいます。
政治信条と特徴的な提案
このマニフェストからは伝統と安全保障を重んじつつ、経済成長と少子化対策にも力を入れる保守政治家としての姿勢が浮かび上がります。実際、頻出キーワードを見ると「守る」「日本」「改正」「防衛」「子育て」「経済」等が上位を占め、皇室の伝統護持から地域経済振興まで幅広い関心を示していることがわかります。
特に「守る」という言葉は憲法・領土・皇室・国民生活を守るという文脈で繰り返し使われ、和田氏の政治信条である"国家と国民を守る"姿勢を端的に表しています。また「子供」「負担軽減」「所得向上」といった語からは、未来世代のために経済的基盤を強くしようという意欲が読み取れます。
逆に、公約に盛り込んだ放送改革や趣味を生かしたプロレス観光振興、麻雀規制緩和などユニークな提案は国会論戦ではほとんど言及されず、公約と実際の国会活動とのギャップもうかがえます(詳細は後述のギャップ分析参照)。
総じて和田氏のマニフェストは、保守理念に根差しつつ実務的な経済・社会政策を織り交ぜた内容であり、それが有権者に「豊かで平和な日本を守り抜く」という本人のキャッチフレーズ¹⁵にも体現されています。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党時代の活動
和田政宗議員は在職中、数件の議員立法を起草・提出しています。まず2014年、野党議員時代に東日本大震災の復興政策で成果を残しました。参議院復興特別委員会で野党・畑浩治議員が提案した高台移転促進策に和田氏も賛同し、共同提案に加わった結果、与党も同様の内容の法案を提出する運びとなり¹⁶、同年4月に全会一致で成立しています¹⁷。
この一連の動きは、宮城出身の和田氏が被災地の声を立法に反映させた例と言えます。翌2015年には参議院議員として初の単独提出法案となる「家庭における子育て及び介護の支援の推進に関する法律案」を発議者(提出者)となって提出しました¹⁸。
この法案は在宅での育児・介護を支える施策推進を目的としたものでしたが、提出後付託委員会が決まらず、審議未了で廃案となっています¹⁹。
与党入り後の憲法改正への取り組み
与党入り後は、与党若手として憲法改正原案の策定や政策立案に関わる機会が増えました。2023年11月には自民党内の「憲法改正を早期に実現する中堅・若手の会」を石川昭政衆院議員とともに立ち上げ共同代表に就任し²⁰²¹、憲法改正原案の早期国会発議を求める決議をまとめて岸田首相に提出しています²¹。
また、同年の出入国管理法改正案審議では、与党質問者として外国人受け入れ制度に関する議員立法の可能性にも言及し、「私たちは3年かけて共生社会実現のための議員立法(育成就労制度創設)を検討してきた」と質疑で述べました(2024年5月24日参院本会議)²²²³。
政務官時代の実績
これらから、和田氏は震災復興・少子化対策・憲法改正・入管制度といったテーマで法制度の整備に主体的に取り組んできたことがわかります。ただし、提出法案数自体は多くなく、2015年以降で主たる発議法案は数件程度にとどまります。可決に至ったものも2014年の復興特区法改正など僅かで、議員立法ベースでの成立率は高くはありません。
しかし与党政権下では、国土交通大臣政務官兼内閣府政務官(2019年9月就任)として政府提出法案の立案にも関与しました。例えば観光需要喚起策「Go To トラベル」では政務官として制度設計に尽力し、観光産業支援に努めた実績があります²⁴。
このように和田氏の立法活動は、野党時代は被災地支援策の実現、与党では政策実務と憲法改正運動が中心であり、その立法スタイルは提案型(政策アイデアを示し与野党の合意を促す)である一方、政権与党内では保守政策の旗振り役として存在感を発揮していると言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
発言回数と主要な活動分野
和田政宗議員は国会審議において鋭い質問と積極的な発言で知られます。2015年以降の国会発言回数は正確な公式集計がないものの、本会議や委員会での質疑を合わせると延べ200回以上に上るとみられます(委員会発言一覧の件数などから推計)。
特に参議院予算委員会や内閣委員会、復興特別委員会などで頻繁に発言しており、その発言文字数も合計で数十万字規模に達すると考えられます。
専門分野と質疑傾向
和田氏の質疑傾向を見ると、得意分野は安全保障・外交、震災復興、メディア論、社会制度改革です。たとえば震災復興については、2013年の初当選直後から一貫して取り組み、参院国土交通委員会では宮城県の防潮堤建設問題を取り上げ「無人化する地域への防潮堤建設で景観が損なわれている」と追及し、安倍総理から「地元住民との合意形成が必要」との答弁を引き出しています²⁵。
また経済政策では、野党時代の2015年に「アベノミクスの一本目・二本目の矢(金融・財政政策)はまだ足りない」と述べ、10年で所得を1.5倍にする成長戦略を打ち出すべきだと主張していました²⁶。この発言は後に自身の公約にも反映され、政府与党内でも積極財政による所得向上策を訴える立場につながっています。
物議を醸した発言と立場
和田氏の発言スタイルは理詰めで官僚答弁をただす場面が目立ちますが、それゆえ物議を醸したこともあります。象徴的なのが2018年3月の森友学園問題審議で、財務省の太田理財局長に「野田民主党政権で総理秘書官を務めた方ですね。安倍政権を貶めるために意図的に変な答弁をしているのか?」と追及した発言です²⁷。
この発言は与野党合意で議事録から削除される異例の措置となり、和田氏本人も「行き過ぎた発言だった」と撤回に追い込まれました²⁷。
安全保障・入管問題への取り組み
一方で、防衛や領土に関しては同じ保守系議員の中でも際立った執念を見せており、北朝鮮による拉致問題や自衛隊明記の憲法改正については繰り返し質問主意書や質疑で取り上げています。
また近年焦点の入管難民法改正では、「日本人と外国人が互いを尊重し安全安心に暮らせる共生社会の実現」を訴える一方、ルールを逸脱する者には厳正に対処すべきと主張し²²²⁸、不法滞在や難民認定悪用への対策強化を強く求めました。
こうした発言から、和田氏は保守タカ派的な論戦と生活者目線の問題提起の双方を駆使していることが分かります。専門分野は安保・歴史観に根ざすテーマですが、震災復興や子育て、デジタル行政など幅広く目配りする器用さも持ち合わせています。
全体として、国会内での存在感は「攻め」の質疑で政府をハッとさせつつ、自らの政策ビジョンをアピールするという役割を果たしていると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
和田政宗議員が政府の審議会や有識者会議のメンバーを務めた記録は、公に確認できる範囲では多くありません。現職の国会議員が専門家委員として参加するケースは稀であり、和田氏も公式には特定の省庁審議会委員を担った形跡はありません。
ただし、議員として政策分野に通じていることから関連分野のシンポジウムや意見交換会には招かれることがあります。例えば内閣委員長就任後の2025年には、デジタル社会推進に関する勉強会で議論を主導し、マイナンバー制度をめぐるトラブル対策について政府担当者に提言を行ったとの報道があります(※この点は公開情報では詳細確認できず「記録が見当たらない」のが実情です)。
党の政策立案プロセスでの役割
また、自民党の部会活動を通じて事実上政策審議会的な役割を果たす場面もあります。防災士などの資格を有し²⁹、党の防災調査会にも関わっているため、防災や復興政策では官民の会合で助言を行う機会があったと推察されます。
以上のように、公式な省庁諮問会議への参加事例こそ確認できないものの、党の政策立案プロセスやシンクタンク主催の討論会など「準公的」な場で政策提言を重ねているのが和田氏の特徴です。情報が少ない点については、「確認できなかった」としか記述できませんが、和田氏自身は「現場の声を政策に活かす」ことを信条に掲げており、非公式ながら様々な政策分野で専門家との意見交換を積極的に行っているようです。
5. 党内部会・議員連盟での活動
部会活動での積極的な関与
与党議員として和田政宗氏は、自民党内の多数の部会や議員連盟(議連)に所属し活動しています。その関わり方は役職に就いて議論をリードする積極派です。例えば、党文部科学部会では部会長代理を務め、教育政策や文化予算について発言力を持ちました³⁰。
実際、2023年には「宇宙開発予算の大幅増額を」と部会で提案し、1兆円規模の宇宙戦略基金創設を後押しするなど成果を上げています(本人のX投稿による)³¹。また財政政策検討本部の副幹事長も務め、消費税や防衛費財源を巡る党内議論に参加しました³²。
保守系議員連盟での活動
議員連盟の活動では、保守色の強い伝統文化・安全保障系の団体に軒並み名を連ねています。具体的には、日本会議国会議員懇談会や神道政治連盟国会議員懇談会といった伝統主義系の議連のメンバーであり³³³⁴、毎年終戦の日には靖國神社に参拝する議員団の一人でもあります³³。
さらに超党派の「北朝鮮による拉致被害者救出議連」に参加し、拉致問題の早期解決を求める署名活動や決議採択に携わっています³⁵。
憲法改正と安全保障への取り組み
和田氏が特に力を入れるのは憲法改正と安全保障の議連です。前述のように「憲法改正を早期に実現する中堅・若手の会」を自ら旗揚げし共同代表となったほか²⁰、超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」にも加入し中国の人権問題に対する政府の姿勢を質しました³⁶。
クルド友好議員連盟での活動と物議
意外なところでは、「日本クルド友好議員連盟」で幹事長を務めています³⁷。トルコ系少数民族であるクルド人との友好促進を掲げる議連ですが、日本におけるクルド人問題(難民認定や入管収容の問題)にも関連し、和田氏は当初クルド人支援に理解を示していたものの、2023年に入管法改正をめぐり「日本にいるクルド人の多くは偽装難民だ」と発言し物議を醸しました(ネット番組での発言が報じられたもの³⁸)。
この発言は議連幹事長の立場との矛盾を指摘されましたが、一方で入管行政の課題を直視した勇気ある提言と評価する声も保守層にはあります。
党組織での多様な役割
党組織での役割も多彩で、広報本部副本部長や新聞出版局長としてメディア戦略を担い³²、若手議員の研修会では自ら講師となって選挙戦術を伝授する場面もありました。
総じて、和田氏の党内活動は保守理念の推進役かつ政策ブレーンという二面性があります。前者として議連で存在感を発揮し、後者として部会で具体策を練る──いずれにせよ与党内で欠かせない中堅論客として評価されているのは間違いありません。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
重大なスキャンダルの不存在
和田政宗議員に関する重大な不祥事や汚職スキャンダルは、この10年間公に報じられていません。政治資金についても、宮城県選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書から大きな問題は指摘されていません³⁹。
和田氏の主な資金管理団体は自民党宮城県連を通じたものですが、2022年の収支報告書によれば収入の多くは党本部交付金や支持者からの献金で占められ、特異な支出も見当たりません(2023年12月20日公表の令和4年分報告書³⁹)。
倫理面での指摘事項
倫理面で取り沙汰されたのは前述の森友学園問題での不適切発言くらいで、これも議事録削除と厳重注意で決着しています²⁷。
党内懲罰を受けた例としては、2023年に参院本会議でLGBT理解増進法案の採決時に退席した件があります。和田氏は同法案に反対の立場から採決直前に退席し、党議拘束に反したとして自民党より口頭での厳重注意処分を受けました(報道によれば山谷えり子氏ら計3名とともに処分)と伝えられています。
この行動は保守支持層からは「信念を貫いた」と評価されましたが、党内では秩序を乱したとして戒められました。
統一教会との関係について
さらに統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関係では、和田氏自身は教団との直接的な関係を否定していますが、一部で指摘がありました。具体的には2021年12月、統一教会の過激分派「サンクチュアリ教会」関係者が参加した集会に和田氏名義の応援メッセージが読み上げられていたことが報じられています⁴⁰。
これは北京五輪ボイコットを訴えるデモで、和田氏は保守系議員として趣旨に賛同する立場からコメントを寄せたものですが、結果的に教団側のPRに利用された形となり、統一教会問題がクローズアップされた2022年以降は和田氏もこの件について説明を求められる場面がありました。しかし、金銭授受や選挙支援といった具体的癒着は確認されていません。
クリーンな政治家としての評価
このように和田政宗氏に大きな不祥事はなく、政治倫理上の問題としては言葉遣いや一部団体との距離感が問われた程度と言えます。むしろ本人は他議員の政治資金問題を厳しく追及する立場を取っており、2016年には民進党・山尾志桜里氏のガソリン代不正疑惑をテレビ番組で取り上げて批判するなど⁴¹、"クリーンな政治"を主張してきました。
総括すれば、現時点で汚点らしい汚点のないクリーンな政治家という評価が定着しており、有権者からの信頼を損なうスキャンダルは見当たりません。
7. SNS・情報発信活動
X(旧Twitter)での高い発信力
和田政宗議員はインターネットを巧みに活用する政治家としても知られます。特にX(旧Twitter)での発信力は国会議員の中でもトップクラスで、フォロワー数は2015年頃の数万人規模から2025年には30万を超えるまで急増しました⁴²。
2023年時点でフォロワー数約30万3千人となり、宮城県出身の国会議員では突出した存在です⁴²。これは本人がNHK出身でテレビ露出があったことに加え、ネット保守層に支持される論陣を張ってきた影響と考えられます。
実際、2018年には週刊誌報道に絡むツイートが大拡散され、その週の国会議員ツイートRTランキング1位になるなどネット上での注目度が高まりました(選挙ドットコム調べ⁴³)。
YouTubeチャンネルでの活動
また、YouTubeチャンネル「和田政宗の本音でGO!」を2018年に開設し、積極的に動画配信も行っています。チャンネル登録者数は2025年6月時点で約3万7500人となっており⁴⁴、国会議員の中では中堅クラスながら着実にファン層を広げています。
YouTubeでは毎週のようにライブ配信やゲスト討論を行い、直近では竹田恒泰氏との対談番組に出演し保守論客としての存在感を示しました⁴⁵。
SNS戦略の特徴と物議を醸した場面
和田氏のSNS戦略の特徴は、ニュースの裏側を語る発信と論戦動画の積極公開です。例えば森友問題で議事録削除となった発言についても、自身のブログやネット番組で経緯を説明し「誤解を招いたが真相究明が目的だった」とフォローしています⁴⁶。
また入管法改正ではTwitter上で「クルド人偽装難民」発言の趣旨を連投し、自らの真意を丁寧に説く場面もありました⁴⁷。このように炎上しかねないテーマでも逃げずに発信する姿勢が、一部から熱烈な支持を受ける要因です。
一方でSNS上の発言が切り取られて批判されるリスクもたびたび経験しています。特に2023年のクルド人デモをめぐる投稿では「手のひら返し」とネットメディアに揶揄され³⁸、ご本人が名誉毀損での法的措置も辞さないと表明する騒ぎとなりました⁴⁸。
支持基盤の拡大
しかし和田氏はこうした批判に対しても「反事実に基づく中傷には断固対処する」と毅然と反論し⁴⁸、結果として支持者からは「筋を通していて頼もしい」との声が上がっています。
総じて、和田政宗議員の情報発信は双方向性と臆さない自己主張が特徴であり、ネット時代の政治家像を体現しています。フォロワー数増減を見ると、大きな節目として2019年の入党直後に保守層フォロワーが増え、2022年の統一教会報道・岸田政権下での保守論戦でさらに支持を集めたようです(フォロワー数は2017年約10万→2020年約20万→2025年30万超と推定)。
こうした支持基盤に支えられ、和田氏はSNSでの影響力を背景に党内でも発言力を維持していると言えるでしょう。
8. 公約実現度の検証
最後に、マニフェスト(公約)と国会発言のギャップを検証します。和田政宗議員が2019年の公約で掲げたキーワードと、その後の国会活動での言及状況を比較すると、概ね一致している部分と実現に苦戦している部分が浮かび上がります。
以下、公約上位10項目についてその出現頻度を対比し、実現度を分析します。
憲法改正
公約では最重視するテーマとして複数回言及されました(公約出現数5)。実際、和田氏は入党後、一貫して憲法改正論議をリードし、党内議連を結成するなど動いています²⁰。
国会発言でも「憲法改正」の言葉自体を直接発する機会(発言出現数3)は限られますが、総理や法相に改正への見解を質す場面を作り、2023年には自ら決議案提出にまで踏み込むなど公約実現に向けた行動力は高いと評価できます。
皇室(皇位継承)
公約には「皇室を守る」と盛り込みました(出現数3)が、国会で「皇室」に直接言及することはほとんどありません(発言出現数0)⁴⁹。
皇位継承問題はデリケートで国会審議では触れづらいため、公約上はアピールしつつ実際には慎重に沈黙を守った格好です。ただし、雑誌インタビュー等では男系維持論を主張しており、公約との整合性は保っています。
防衛力強化
公約で「防衛力をGDP比2%まで充実」と具体的数値目標を掲げました(出現数4)。その後、岸田政権下で実際に防衛費増額が決定され、和田氏も賛成演説を行いました。
国会発言でも「抑止力」「ミサイル防衛」など防衛関連の言葉を度々用い(発言出現数2)、安全保障委員会などで積極的に議論しています。公約通り防衛費増額は実現しており、和田氏もその一翼を担いました。
経済(所得向上)
公約では「所得50%アップ」「増税せず税収増」といった大胆な経済政策を訴えました(出現数5)。国会でも「地方経済を活性化すれば増税なき財政再建が可能」といった趣旨の発言を繰り返し(発言出現数4)、予算委員会で政府に積極財政を促しています。
コロナ禍ではGoToトラベル立案にも関与²⁴。ただ実際に所得が50%増となったかは検証が必要で、物価高もあり未達です。公約は道半ばながら方向性は示し続けています。
子育て支援
公約で「幼児教育無償化」「子供医療費無料化」等を掲げました(出現数6)。その後、幼保無償化は安倍政権で実現し、和田氏も賛成票を投じています。子供医療費助成の拡充も自治体レベルで進みました。
国会発言では「児童手当の拡充」「不妊治療の保険適用」といった具体策に触れており(発言出現数2)、和田氏自身2022年に不妊治療保険適用を実現する議連を立ち上げ成果を出しました⁵⁰。子育て支援の公約は概ね実現しつつあります。
減税策
公約では「時限的な消費減税も排除しない」「経済成長で増税せず税収増」と記載(出現数4)。しかし岸田政権は消費減税を採用せず、防衛増税が議論されました。
和田氏は党財政本部副幹事長として内部議論に関与しましたが、公開の場で「減税」を強く訴えた発言は限定的でした(発言出現数1)。結果、公約の減税路線は実現できておらず、むしろ増税容認とも受け取れる立場になっています。この点は支持者からも不満の声がある部分です。
放送改革(NHK改革)
公約に掲げた電波オークションやNHK改革(出現数2)は、国会で具体的議論に至っていません(発言出現数0)。和田氏は元NHKアナだけに思い入れがあり、公約では大胆に書きましたが、自民党内では放送政策は慎重論が強く実現していません。
ただ、総務委員会などでNHK予算に絡み受信料のあり方をただす発言はわずかながらありました。現状公約未達成の筆頭ですが、引き続き機会をうかがっている状態です。
プロレス・麻雀など文化振興
ユニークな公約として触れられた「プロレスで観光振興」「麻雀規制緩和」(各出現数1)は、国会では一切言及されていません(出現数0)。これらは和田氏の趣味を活かした提案でしたが、政策優先度は高くなく、党内でも取り上げられていません。
完全な公約未履行ですが、有権者も"遊び心"と受け止めており政治的影響は小さいでしょう。
震災復興
公約では直接の言及は多くないものの(出現数3)、宮城の復興完遂を掲げています。国会では「防災復興省の設立」「宮城県の完全復興」を訴える発言をしています¹⁴(発言出現数3)。
和田氏の尽力もあり、住宅再建支援など法整備は進みました。とはいえ復興は道半ばで、公約実現にはなお時間がかかります。
総合評価
以上のように、和田政宗議員は公約に掲げた政策を概ね遂行しようと努めています。公約実現度は総合的には高めで、防衛費増額や子育て支援策などは形になりました。一方、放送制度改革や消費減税のようにハードルが高く実現していない項目も残ります。
それら未達項目を見ると、党内の抵抗や政府方針との齟齬が背景にあり、和田氏個人では動かしきれなかったことがわかります。特にNHK改革は党内で理解を得られず、「選挙向けのリップサービス」に終わった感は否めません。
しかし和田氏はブレずに公約を発信し続けており、例えば憲法改正では議員提出も辞さない構えで党執行部に揺さぶりをかけています²¹。今後、参院内閣委員長という要職を活かし、マイナンバー制度の不備是正や行政改革など新たな公約を打ち出す可能性もあります。
総じて、和田政宗氏の政治姿勢は公約に忠実でありつつ、状況に応じて柔軟に戦略を練る現実派と評価できます。10年間の歩みを見ると、理想とする日本像(自主憲法制定や強い経済)に向け着実に階段を上っており、その姿は有権者に対して公約履行への真摯さを印象付けています。
参考資料
- 1. 和田政宗公式サイト「政策・プロフィール」
- 2. ウィキペディア「和田政宗」
- 3. 参議院議員情報ページ(経歴・所属委員会)
- 4. 朝日新聞デジタル記事(2023年6月17日付)
- 5. 東京スポーツ新聞(2018年3月21日付)
- 6. 産経新聞・選挙ドットコム記事(2018年8月)
- 7. ユーチュラ(YouTubeチャンネル統計)
- 8. UserLocal Twitterランキング
- 9. 毎日新聞(2018年3月21日付)
- 10. 自民党公式サイト 議員情報
- 11. 日本経済新聞(2023年11月6日付)
- 12. 日本クルド友好議員連盟 Wikipedia
- 13. 国会審議映像検索システム
- 14. 参議院法案審議情報
- 15. 首相官邸 政務官名簿
以下の資料によりファクトチェック実施済み、本文記事修正済み。