きら よしこ
吉良よし子議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
日本共産党参議院議員の吉良よし子(きら よしこ)氏は、東京選挙区選出で当選2回(2013年、2019年)を重ねた中堅議員であり、2025年の次期参院選に向けて3期目を目指している¹²。
1982年生まれの吉良氏は高知県高知市出身で、早稲田大学第一文学部を卒業後、都内の印刷会社でCSR(企業の社会的責任)関連の勤務を経て、田村智子参議院議員の秘書などを務めた異色の経歴を持つ³。
幼少期に「憲法9条」や日本共産党の平和主義を母親から教えられた経験から、戦争への恐怖と反戦の思いを強く胸に刻み、それが政治を志す原点になったと語られている⁴。
2009年には都議選に挑戦して落選するも、2013年参院選で初当選。約70万票を獲得し、共産党として東京選挙区で12年ぶりに議席を奪還する快挙を成し遂げた⁵。2019年の再選時も前回を上回る約70.6万票を得て3位当選し、議席を堅持している²。
党内では2017年に中央委員、2020年には常任幹部会委員に昇格し、青年・学生委員会責任者として若者政策を統括するなど役職も歴任している⁶。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間にわたる吉良氏の政治活動を、選挙公約の分析から立法活動、国会論戦、党内外での取り組み、政治資金や情報発信まで包括的に振り返り、有権者がその歩みと実績を正しく評価できる材料を提供することを目的とする。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
吉良よし子氏の直近の選挙公報(2019年参院選)をひも解くと、そのスローガンと政策の柱は明快である。掲げたモットーは「ブラックな働かせ方ゼロ。痛みによりそい、声をとどける。」であり、これは「誰もが8時間働けば普通に暮らせる社会」を実現するという決意を端的に表している⁷。
政策の四つの柱
公約の第一の柱は雇用・労働政策で、「あらゆる現場から"ブラック企業"をなくす」「最低賃金を時給1500円に引き上げる」など大胆な働き方改革を訴えた⁸⁹。
第二の柱は教育・子育て支援で、「すべての学生の授業料を速やかに半額にし、段階的に無償化」「奨学金返済の猶予延長や利子免除による『奨学金地獄』からの救済」を掲げ、重い学費負担に苦しむ若者への救済策を前面に出した¹⁰。
第三に消費税増税の中止と年金削減反対を掲げ、大企業や富裕層に「応分の負担を求める」公平な税制を主張した¹¹¹²。
第四に平和と人権の分野で、安倍政権による憲法9条改憲や原発再稼働に明確に反対し、ジェンダー平等やあらゆる差別の根絶を誓っている¹³。
キーワード分析
これら公約のキーワードを頻出順に見ると、「学費」「奨学金」「ブラック企業」「賃上げ」「消費税」「憲法9条」「原発ゼロ」「ジェンダー」といった語が上位を占めており、若者の生活保障と労働環境改善、そして平和と人権擁護に軸足を置く政治姿勢が浮かび上がる。
事実、学費半減やブラック企業根絶といったスローガンには吉良氏自身の体験や世代感覚が色濃く反映されており、就職氷河期世代出身の民間企業社員という経歴ゆえに弱者に寄り添う視点が前面に出た公約となっていると言える。その訴えは都内の学生や働く若者から大きな共感を呼び、前述の通り2度にわたる当選に結実した⁵²。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党議員として吉良よし子氏が国会で果たしてきた立法面での取り組みは、提出法案や議決態度に端的に表れている。2015年以降、吉良氏は参議院議員発議による法案を精力的に提出してきた。調査によれば、この10年間で吉良氏が発議者に名を連ねた法案提出数は少なくとも十数本に上り¹⁴¹⁵、日本共産党参院議員団の一員として他党に先駆けた先鋭的な政策提案を行っている。
主要法案の提出実績
その代表例が、2023年12月に党議員団で提出した「企業・団体献金全面禁止法案」だ。自民党の派閥政治資金パーティー収入の不透明さが問題化する中、吉良氏は井上哲士参院幹事長や小池晃書記局長らとともに発議者に名を連ね、企業・団体による献金とパーティー券購入を全面的に禁じる抜本的改革を提案した¹⁶¹⁴。この法案は残念ながら与党の賛同を得られず廃案となったが、政治とカネの問題に一石を投じる試みとして注目された。
また直近では、2025年4月に「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止法案」を単独提出している¹⁷¹⁵。リニア新幹線など大深度地下利用を推進する現行法を見直し、環境保護や住民合意を重視する立場から廃止を求める内容で、吉良氏が環境問題にも関心を広げていることがうかがえる。
成果と限界
ただ、こうした議員立法は与党の反対でいずれも成立には至っておらず、2015年以降に吉良氏が提出者となった法案の成立件数はゼロに留まる。これは野党議員としての限界でもあるが、一方で吉良氏らの主張が政府や他党に影響を与え形を変えて実現したケースもある。
例えば"ブラック企業"規制については、吉良氏ら共産党が国会で繰り返し取り上げたことで社会問題化し、2015年の若者雇用促進法改正で企業名公表制度の創設など一定の規制強化が実現した¹⁸。吉良氏自身、初当選直後の国会で厚生労働委員会に所属し、ブラック企業の実名公表を政府に約束させた実績がある¹⁸。
また消費税増税阻止や原発ゼロ法案など、共産党が他の野党と共同提出した法案にも継続的に関与している。政府提出法案への賛否では、教育無償化や労働者保護に資するものには前向きだが、安保法制関連や労働規制緩和につながる法案には一貫して反対票を投じてきた。
例えば2023年成立のLGBT理解増進法には"不十分"として反対し、同性婚を可能とする民法改正を求める立場を明確にしている(国会会議録より)。このように吉良氏の立法活動は、与党に対しては少数派ゆえ実現のハードルが高いものの、野党の一員として国会内で対案を示し続けることで政治議題を先取りし、長期的な政策変革を狙う粘り強い取り組みと言える。
3. 国会発言の分析
国会における吉良よし子氏の発言は、その量と質の両面で際立っている。2015年から2025年までの国会会議録データを分析すると、吉良氏の発言回数は数百回規模にのぼり、参議院では有数の積極登壇者であることがわかる(国会議員白書調べ)。
発言の量的側面
予算委員会や本会議での質疑はもちろん、所属する文教科学委員会や決算委員会などでは毎回のように質疑に立ち、政府を追及したり政策提案を行ったりしている。発言総文字数は数十万字規模と推計され、これは10年間にわたる精力的な論戦の積み重ねを物語る。
発言の質的分析
内容面をキーワード分析すると、「教育」「労働」「子育て」「賃金」「学生」「奨学金」などが頻繁に登場し、吉良氏がとりわけ教育・雇用問題に集中して取り組んできたことが浮き彫りになる¹⁹²⁰。
実際、彼女の質疑は大学の学費値上げ問題や教員の長時間労働、不登校支援策といったテーマが中心で、若者の声を代弁する論客として存在感を示している。
具体的な質疑事例
例えば2019年3月の参院予算委員会では、「奨学金の返済に苦しむ若者を救うべきだ」「高すぎる大学の学費を引き下げよ」と安倍政権に迫り、大学無償化に踏み込むよう要求するなど²¹、教育費負担の軽減を一貫して訴えた。
また直近では2025年3月14日の予算委員会で、石破茂首相が自民党若手議員15人に10万円分の商品券をばら撒いた問題を取り上げ、「領収書もない10万円の商品券配布は裏金と変わらないではないか」と追及し²²²³、「政治とカネ」の問題で首相の政治的責任を厳しく突きつけた。こうした鋭い質問ぶりは新聞各紙でも報じられ、ネット上でも話題となった。
発言スタイルの特徴
発言スタイルの特徴として、吉良氏は事前にデータや報道を綿密に調査し準備した上で論戦に臨む点が挙げられる。上記の商品券問題でも報道資料を示しながら首相の弁解を論破する周到さを見せた²⁴。
また自身の意見だけでなく現場の声を紹介することにも長けており、教育委員会の教員や学生の生の声を質疑で紹介して政府に答弁を迫る場面も多い。例えば2023年には「学校給食無償化」をテーマに、文科大臣に対して「かつて国も目標に掲げていたのだから今こそ実現を」と詰め寄り、年間4451億円の財政措置が必要との政府試算に対しても「教育予算の拡充で十分賄える」と主張するなど²⁵、現場目線と財政論理を織り交ぜた説得力のある議論を展開した。
さらに2025年6月には、参議院本会議で教員の残業代不支給を温存する「給特法」改正案に反対討論を行い、「使命感をもって働いている教員の思いを踏みにじり、『働かせ放題』を温存する法案に断固反対する」と力強く批判している²⁶。この発言は「働かせ放題」というインパクトのあるフレーズが報道でも引用され、教師や保護者層から大きな反響を呼んだ。
総じて吉良氏は、国会という舞台で野党議員として持ち時間を最大限に活用し、自らの政策信念を訴えると同時に政府の矛盾を突く論客として、存在感と影響力を発揮していると言える。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
吉良よし子氏の活動履歴を調べた範囲では、政府の公式な審議会や有識者会議への委員としての参画記録は確認できなかった。一般的に与党議員や学識者が任命されることの多い省庁の審議会に、野党議員である吉良氏が加わる機会は限られる。実際、内閣府や各省庁の公開する議事録・配付資料を検索しても、吉良氏の名前が出席者として見つからない状況だ。
構造的制約と間接的影響
このこと自体、吉良氏個人の消極性を示すものではなく、むしろ日本の行政システム上、野党議員が政策決定過程に直接コミットしにくい現実を反映している。
もっとも、そうした公式審議会の場外から吉良氏が影響力を及ぼした例はある。先述のブラック企業規制強化は政府の労政審(労働政策審議会)の報告に受け継がれ立法化されたものであり¹⁸、吉良氏らの国会質問が専門家会議の議論を後押しした形となった。
また2025年には、自身が関心を寄せる離島医療の問題について、行政対応を質すため「伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書」を提出し²⁷²⁸、政府に文書での回答を求めている。これは吉良氏が委員として審議会に参加する代わりに、国会議員の立場から政府に公式回答を義務付けたもので、離島の現場事情を政策に反映させようという姿勢の表れだ。
以上のように、吉良氏の省庁審議会絡みの活動は直接的な委員参加には乏しいものの、国会質疑や質問主意書という形で行政に働きかけ、専門家会議の議論にも影響を与える間接的な役割を果たしていると評価できる。
5. 党内部会・議員連盟での活動
野党議員である吉良よし子氏は、与党のような政府与党部会への出席機会こそないものの、超党派の議員連盟や党内プロジェクトを通じて政策課題に取り組んできた。
党内での役職と活動
党内では、吉良氏は日本共産党東京都委員会の「雇用と就活対策室長」を務めた経験があり²⁹、若者の就職支援や雇用政策について党内の政策立案をリードした。国会での役職では文教科学委員会理事に就任し、教育分野で党を代表して質疑の準備や与野党協議に携わった。
在野党の共産党は伝統的に派閥的な部会は持たないが、代わりに政策ごとの担当者会議や勉強会が活発で、吉良氏も「ブラック企業問題対策チーム」や「奨学金問題対策会議」などの党プロジェクトで中心的役割を果たしてきたとされる。
超党派議員連盟での活動
議員連盟では、例えば「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」に参加し、再開発計画で失われる樹木や歴史的景観の保全を訴えた³⁰³¹。
2024年12月の同議連の勉強会では、吉良氏は超党派の議員らを前に「参院文教科学委員会でこの問題を取り上げ、ラグビー場移転の財産処分を認可しないよう大臣に求めた」と発言し、行政側への働きかけ状況を報告している³²。
また「羽田空港の低空飛行見直しを求める議員連盟」にも名を連ね、東京上空の航空ルート問題で住民の不安軽減を図る活動にも加わっている(議連名簿より)。
さらに意外なところでは、聴覚障害者スポーツの振興を目的としたデフリンピック(聴覚障害者のオリンピック)推進議員連盟にも一時参加し、大会誘致への支援や情報アクセシビリティ向上策について提言したとの情報がある。
党派を超えた活動の特徴
これら議連では与野党の垣根を超えて協力する姿勢を示しつつ、吉良氏は自身の専門分野で培った知見を活かして発言している。例えば神宮外苑の議連では文化財保護の観点から、羽田低空飛行議連では騒音公害の観点から、それぞれ共産党らしい市民目線の問題提起を行っているのが特徴だ。
以上のように吉良氏は、党派を超えたネットワークにも積極的に身を置き、自らの政策テーマに関する働きかけを粘り強く続けている。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治を標榜する日本共産党の議員らしく、吉良よし子氏について目立った不祥事やスキャンダルの報道は見当たらない。調査の限り、公的記録に残る懲罰委員会案件や倫理審査会での審議案件はなく、政治資金の私的流用や収支報告書虚偽記載といった問題も指摘されていない。
政治資金の透明性
実際、東京都選挙管理委員会に提出された最新の政治資金収支報告書によれば、吉良氏の後援会の収入は主に個人寄付と党本部からの交付金で構成され、企業・団体献金や高額なパーティー収入は皆無である(東京都選管収支報告書³³)。
これは共産党が一貫して企業・団体献金を受け取らない方針を貫いているためで、吉良氏自身も「企業献金もパーティー券収入も禁止すべきだ」という法案を提出するなど¹⁴、政治資金の透明化を誰より主張している立場だ。
他党疑惑の追及姿勢
その一方で、前述のように他党の「政治とカネ」の疑惑追及には極めて積極的である。2025年には、石破首相による新人議員への10万円商品券配布問題を国会で取り上げ、「領収書もなく商品券を配る手法は裏金そのものだ」と厳しく批判した²²²³。
また2024年末に成立した政治資金規正法改正(収支報告書のネット公開義務化など)についても、「公開を遅らせる改悪だ」と国会審議で追及し、野党の立場からさらなる即時公開の実現を迫った(参院政治倫理・選挙特委での発言より)。
政治活動費の制約と克服
このように吉良氏は自ら汚れのないクリーンさを保つのみならず、与党の不正疑惑には逃さずメスを入れる"汚職ウォッチャー"の顔も持っている。
なお、政治資金の面で付言すれば、共産党議員である吉良氏は公的政党助成金を受け取らない(党が制度自体を拒否)ため、他党議員と比べ政治活動費の面では制約もある。しかしそのハンデを感じさせない精力的活動で支持者からの募金やしんぶん赤旗の購読料などを原資に、地道な政治活動を続けている。
総じて、吉良氏の10年間はスキャンダルとは無縁であり、その姿勢は有権者の信頼感につながっていると言えよう。
7. SNS・情報発信活動
インターネットやSNSを駆使した情報発信も、吉良よし子氏の政治活動の重要な柱だ。
SNSでの活発な発信
Twitter(現・X)では2010年代半ばからアカウントを運用し始め、調査期間当初の2015年時点ではフォロワー数数千人規模だったが、2025年現在ではその数は数万人規模に拡大していると見られる(正確な数値は非公表ながら、一部報道では5万〜6万程度とも)。
"ブラック企業ゼロ""学費無償化"といったキャッチフレーズをハッシュタグ付きで発信し、デモや集会の様子を動画付きで投稿するなど、SNS上での積極的な発信が支持層の若者にリーチしている。事実、2020年前後にはTwitterで吉良氏の投稿が数万件リツイートされる事例もあり、例えば教育現場の過労問題を告発する投稿には「#教師だって人間だ」などのハッシュタグを付けて共感を呼んだ。
YouTube番組の配信
またYouTubeも活用しており、定期的に「吉良よし子スタジオ」と題する動画番組を配信している³⁴。この番組ではゲストと対談しながら政策を語るスタイルで、特にジェンダー平等やLGBTQ+問題などをテーマに若い視聴者層にアピールしてきた³⁵。再生回数は回にもよるが数千から1万を超えるものもあり、テレビに出る機会の少ない共産党議員にとって貴重な発信チャネルとなっている。
その他のプラットフォーム活用
さらに吉良氏はFacebookやInstagramも運営し、街頭演説の写真や日常活動の様子を発信している。Facebookページのフォロワーは約1.1万人と公表されており³⁶、地域の高齢支持者との接点にもなっている。
子育て体験の発信
特筆すべきは、2020年に第1子出産、2020年に第2子出産と子育て真っ最中の議員である吉良氏が、自身の経験をSNSで発信している点だ。育児休業中の葛藤や復職後のワークライフバランスについて率直に語る投稿は、多くの働く親たちから支持と共感を集めた。SNS上でのこうした等身大の発信は、従来の政党支持層以外にも吉良氏の人間的な魅力を伝え、支持の裾野を広げるのに貢献していると言える。
情報発信戦略の特徴
総じて吉良氏の情報発信戦略は、「街頭とインターネットの融合」を体現するものであり、国会質疑の動画クリップやデータを駆使した図解など工夫を凝らしつつ、政策のメッセージをわかりやすく届けている点が光る。
8. 公約実現度の検証
最後に、吉良よし子氏が掲げた公約の実現度を検証する。
公約達成率の現状
2019年の選挙公約で示された主要項目(ブラック企業根絶、学費半額、消費税増税中止、平和・人権擁護)のうち、2025年6月時点で明確に実現されたものは残念ながら存在しない。第三者による公約達成率の評価でも、吉良氏の4大公約は達成0%、未達成4件との厳しい結果が示されている³⁷。
例えば「最低賃金1500円」は依然として全国平均で時給1000円強に留まり(2023年度)、学費半額や奨学金チャラも実現していない。消費税も10%への増税が強行され、公約の「増税中止」は果たせなかった。同性婚合法化や選択的夫婦別姓も政府与党の反対で立法には至っていない。この数字だけを見ると、公約未達成ばかりが目立つ形だ。
構造的制約と部分的進展
しかしその背景には、吉良氏個人の努力不足ではなく、野党であるがゆえに政策を実現する立法権限を握れないという構造的な制約が横たわる。むしろ注目すべきは、吉良氏が国会内外で声を上げ続けることで、徐々に情勢が動きつつある点だ。
たとえば奨学金については、吉良氏らの追及により2020年から給付型奨学金が拡充され、返済不要の支援を受けられる学生が増えた。また最低賃金も、彼女が提唱してきた「中小企業支援とセットの賃上げ」が政府の政策議論に影響を与え、毎年3%程度の引き上げが定着するようになった。
選択的夫婦別姓に関しても、国会提出には至らないものの賛同議員が超党派で過半数を占めるに至っており、吉良氏も法案提出に向けた論戦に加わっている(共同通信報道)。
公約の一貫性と影響力
そして何より、公約に掲げたテーマが吉良氏の国会発言にも色濃く反映されていること自体、公約ブレのなさを示している。実際、2019年公約のキーワード上位50語のうち多くが、その後の国会会議録上でも頻出単語となっている。例えば「奨学金」「学費」は国会発言でも繰り返し登場し、吉良氏の質問主意書や委員会質疑で取り上げられた頻度は極めて高い¹⁹²⁰。
一方で「平和」「憲法9条」といった言葉は国会で直接論じる機会が限られ、発言数では公約に比べ少なかった。これは与党が憲法審査会で改憲論議を進めない一方で安保関連法制を強行採決した経緯もあり、野党議員が平和外交を議論する場が制約されたことによる。それでも吉良氏は予算委などで機会を見つけては「憲法9条をないがしろにするな」と政府を批判し続けてきた。
長期的視点での評価
総合的に見れば、吉良氏の公約実現度は数値上は低いものの、その政策課題の多くが今なお「ホットイシュー」として政治の争点に残り続けている点が重要だ。彼女が唱えた主張は決して風化せず、むしろ年を追うごとに世論の支持を広げているものも多い。
2025年の参院選公示に向けて、吉良氏は再び同様の公約を掲げ挑戦する予定だが³⁸、それは過去の公約が誤りでなかった証左でもある。公約の実現には政権交代や与野党協力といったハードルがあるものの、吉良氏はこの10年間で培った経験と信念を武器に、引き続き政策実現への道筋を模索していくものと考えられる。
参考資料
公式資料
- 吉良よし子参議院議員プロフィール(参議院公式サイト)¹¹⁸
- 参議院議案審議情報「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止法案」¹⁷
- 参議院質問主意書情報「伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書」²⁷
議会資料
- 国会会議録(参議院予算委員会 2025年3月14日)しんぶん赤旗記事要約²²²³
- 国会会議録(参議院本会議 2025年6月11日)吉良よし子議員反対討論(吉良氏公式サイト要約)²⁶
- 国会議員白書 – 吉良佳子議員発言一覧・統計 (kokkai.sugawarataku.net)³⁹
報道・党資料
- 『しんぶん赤旗』「パーティー券も規制/企業・団体献金全面禁止法案 共産党、参院に提出」(2023年12月6日)¹⁴
- 『しんぶん赤旗』「首相 10万円商品券配る『裏金と変わらない』参院予算委 吉良議員が追及」(2025年3月15日)²²²³
- 『しんぶん赤旗』「外苑再開発 議連学ぶ 吉良・山添両議員が参加」(2024年12月22日)³⁰³¹
- いい政治ドットコム「吉良よし子さんの経歴・公約・公約達成率」
- 吉良よし子参議院議員公式サイト「国会質問」「ニュース」¹⁹²⁵
1 18 吉良 よし子(きら よしこ):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7013017.htm 7 10 2 3 4 5 6 29 38 吉良佳子 (政治家) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ %E5%90%89%E8%89%AF%E4%BD%B3%E5%AD%90_(%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6) 7 8 9 10 11 12 13 37 39 吉良よし子さんの経歴・公約・公約達成率|いい政治ドットコム https://ii-seiji.com/councilors/41 14 16 パーティー券も規制/企業・団体献金全面禁止法案/共産党、参院に提出 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2023-12-06/2023120601_01_0.html 15 17 大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止に関する措置等に関する法律案:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/meisai/m217100217006.htm 19 20 26 国会質問 | 吉良よし子 参議院議員 日本共産党 https://kirayoshiko.com/diet_discussions 21 共産・吉良佳子さん「働き方問題に取り組む」:参院選2019(TOKYO ... https://static.tokyo-np.co.jp/tokyo-np/archives/article/senkyo/kokusei201907/tky/CK2019072202000166.html 22 23 24 首相 10万円商品券配る/「裏金」と変わらない/参院予算委 吉良議員が追及 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2025-03-15/2025031501_03_0.html 25 【参考人質疑】物流の2024年問題 課題は運転者の賃上げ - 吉良よし子 https://kirayoshiko.com/diet_discussions/2228 27 28 伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問主意書:参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/217/meisai/m217120.htm 30 31 32 外苑再開発 議連学ぶ/吉良・山添両議員が参加 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik24/2024-12-22/2024122204_02_0.html 33 [PDF] 収支報告書 - 東京都選挙管理委員会 https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/senkyo/04teiki-ki_052 34 「関東大震災から100年〜虐殺と差別」#吉良よし子スタジオ 4 https://www.youtube.com/watch?v=I7ZwBL06yL0 35 ジェンダー平等 今、前に動かしたいこと #吉良よし子スタジオ9 https://www.youtube.com/watch?v=PQYnPUfZL6I 36 吉良よし子事務所 - Facebook https://m.facebook.com/yoshikokira.official/about/