かつべ けんじ
勝部賢志議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
勝部賢志(かつべ けんじ)は北海道千歳市出身の政治家で、立憲民主党所属の参議院議員(北海道選挙区、1期)です。※1 1959年生まれの勝部氏は北海道教育大学を卒業後、小学校教諭や北海道教職員組合役員として教育現場に長年携わりました。
2003年に北海道議会議員に初当選すると4期連続で務め、副議長も歴任しました。その間、2014年には衆議院北海道5区から国政挑戦(民主党公認)に臨みましたが得票94,975票で落選し、道議に復帰しています。
2019年7月の第25回参院選に旧立憲民主党公認で出馬し、52万3737票を獲得して初当選。以後現在まで在職し、2024年には参議院懲罰委員長にも就任しました(同年11月11日付)。立憲民主党副幹事長や党北海道連合会代表代行も務め、財政金融委員会や議院運営委員会理事、沖縄北方特別委員会委員など国会内ポストを歴任しています。※2※ 3
本レポートでは2015年から2025年までの勝部氏の政治活動を、選挙公約から立法活動、国会発言、党内活動、政治資金、情報発信に至るまで詳細に分析し、有権者がその軌跡を立体的に理解できるようまとめます。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2019年参院選における公約の構造
勝部賢志氏が直近の選挙で掲げた公約は、地域の暮らしを守り抜くことに重きを置いた内容でした。2019年の参院選北海道選挙区における選挙公報ではスローガンに「物価高から生活を守る!地域を支える!」を掲げ、子どもや高齢者を含むすべての世代の安心を実現するための具体策を並べています。
公約の柱は大きく六つあり、第一に「消費税の減税と物価対策」として食料品の消費税率ゼロやガソリン・軽油税の一時的引下げを主張しました。例えば「食料品の消費税率ゼロ%」や全住民への一律2万円給付による物価高対策など大胆な提案を行い、「必要財源7.5兆円は基金や予備費で捻出可能」と訴えています。※4
第二に「教育の無償化」では小中学校の給食費や教材費、修学旅行費の無償化や、高等教育の授業料負担軽減を挙げ、家庭の教育負担を大幅に減らす構想を示しました。
第三に「地域を支える共生社会」として公共交通の維持や地方交付金の復活など地方経済の底上げ策を掲げ、第四は「食料安保の確立」でコメをはじめ農林水産物の安定供給と農家所得向上を目指すと約束しています。
さらに第五の柱「安心して暮らせる社会保障」では地域医療・介護の充実や障害者福祉の推進、持続可能な年金制度づくりを強調し、第六に「平和外交の推進」として憲法の平和主義を活かした国際協調と自衛隊員の処遇改善を掲げました。
公約に現れた政治姿勢
公約文中で特に頻出したキーワードは「無償化」「消費税」「地域」「支援」「食料」「平和」などで、上位には「無償化」や「消費税」が並びました。これは勝部氏が家計負担の軽減と地方重視を最大のテーマに据えていたことを物語っています。
例えば"無償化"という言葉が教育や保育、医療費などあらゆる政策項目で登場し、徹底したコスト負担ゼロ戦略を打ち出していました。また"消費税"に関しては軽減税率どころか食料品非課税まで踏み込んでおり、物価高に苦しむ生活者の目線に立った政策志向がうかがえます。
総じて、公約全体からは「弱い立場の人々や地域を国がしっかり支える」という政治姿勢が読み取れ、教員・道議として現場を見てきた勝部氏らしい生活密着型のビジョンが示されていたと言えます。
2. 法案提出履歴と立法活動
野党議員としての立法参加
参議院議員となって以降の勝部賢志氏の立法活動を振り返ると、所属会派の一員として様々な議員立法に関与しつつ、政府提出法案の審議にも積極的に臨んできました。まず目立つのは、野党の立憲民主党議員として政策代替案の提出や修正協議に参加してきたことです。
例えば2023年3月、立憲民主党が衆議院に提出した「婚姻平等法案」(同性婚を可能にする民法改正案)では、党のPT事務局長である石川大我参院議員らとともに勝部氏も法案作成を後押ししました。この法案は結婚の性別要件を撤廃し養子縁組や親権規定も男女中立に改める内容で、勝部氏は党ジェンダー平等推進本部の一員として法整備の必要性を訴えています。与党側の賛同は得られず成立には至りませんでしたが、これは勝部氏が社会の多様性尊重という理念を法案という形で示した一例です。
国会質疑における政策提言
一方、自身が筆頭提案者となった法案は多くはありません。調査の限りでは、国会会期中に勝部氏単独名義で提出された法案は確認できず、同僚議員との共同提案に留まっています。勝部氏は参議院1期生という立場もあり、議員立法よりも質疑や討論を通じた政策提言に力点を置いてきました。
その代表例が2025年3月12日の参院本会議での質疑です。この日、勝部氏は野党を代表し、石破茂総理大臣と加藤勝信財務大臣に対し「所得税法等改正案」について質問に立ちました。与党提出の税制改正案に対し、物価高局面での減税策の是非や財源の在り方などをただしたこの質疑では、「熟議の府」である参院らしく建設的な修正協議を呼びかける論調が光りました。
また、同月31日には令和7年度予算の採決前討論で反対の立場から演説し、歳出のメリハリや政権の姿勢を批判しています。これら本会議での発言は勝部氏の財政・税制に対する問題意識を示すもので、公約で掲げた物価対策や消費税減税への思いが背景にありました。
政治資金規正法改正への対応
委員会では、所属する財政金融委員会や予算委員会などで政府提出法案の審議に深く関わりました。特に注目されたのが、2024年の自民党政権の政治資金規正法改正案への対応です。
同年6月、与党主導で政治資金の使途公開を一部義務付ける改正案が可決されましたが、領収書公開を「支出から10年後」に先送りする不十分な内容でした。これに対し野党は「即時の全面公開と企業・団体献金の禁止」を引き続き要求しており、勝部氏も党改革推進本部幹事として法改正協議に参加しました。
国会審議では立憲民主党の野田佳彦元首相が「自民ふざけるな」と厳しく批判する場面もあり、勝部氏も現場で政府与党の姿勢を質しています。結果的に第2弾改正は成立したものの抜本策には至らず、勝部氏は採決で反対票を投じ、引き続き政治とカネの透明化を訴えました。
質問主意書による問題提起
さらに勝部氏は、地元北海道の課題や国の不祥事にも敏感に反応し、議員の立場から行動しています。一例が2019年、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の展示説明を巡る問題です。
軍艦島などでの強制労働の説明不足が国際的に指摘された件で、勝部氏は「世界遺産委員会決議の勧告」に関する質問主意書を提出しました。参議院議長宛てに提出されたこの文書で、政府の説明責任と今後の対応をただし、歴史認識問題にも踏み込んだ姿勢を示しています。
この質問主意書に対する政府答弁書では、「勧告を真摯に受け止め適切に対処する」との回答が寄せられ、勝部氏の問題提起が政府対応を促す形となりました。こうした個別政策分野での発信は数こそ多くありませんが、教育者出身らしく歴史・文化への関心も見せたエピソードと言えるでしょう。
立法活動の総括
全体として、勝部賢志氏の立法活動は野党らしい政策提案型の動きと評価できます。法案提出数自体は与党議員に比べ多くはないものの、重要法案の討論や質疑で存在感を放ち、公約に沿った論点を国会で繰り返し提起してきました。
提出法案の成立率という点では、野党の限界から成立したものは皆無でしたが、例えば消費税の扱いについては政府も低所得者向け給付金やインボイス円滑化策など一定の配慮を行うに至っており、勝部氏らの主張が間接的に反映された側面もあります。
また、党内では政治改革推進本部やジェンダー法制度整備の検討チームで汗をかき、立法準備に奔走する裏方的な役割も果たしました。初当選から6年、勝部氏は一貫して"暮らし優先"の信念を立法面で貫いていると言えるでしょう。
3. 国会発言の分析
発言パターンと専門分野
勝部賢志氏は参議院での1期目から、委員会質疑や本会議質問を通じて積極的に発言を重ねてきました。国会会議録を分析すると、2019年の初登院から2025年6月までの発言回数は累計で数十回規模に上ります。
特に委員会における質疑発言が大半を占め、財政金融委員会では毎国会のように質疑者名簿に名を連ねています。これは、彼が党の財政金融部会などで政策を磨き、専門分野として財政・経済問題に注力していることを示しています。
実際、発言録で頻出する語句を抽出すると「税」「歳出」「物価」「年金」「地域経済」といった言葉が上位に現れました。例えば「減税」「物価」というキーワードは彼の質疑で幾度も登場し、物価高局面での家計支援策としてガソリン・灯油価格対策や消費減税の必要性を繰り返し政府に問い質しています。
北海道の実情を踏まえた質疑スタイル
また勝部氏の発言スタイルには、地元北海道の実情を踏まえた具体例がしばしば織り込まれます。たとえば2024年の参院予算委員会では、岸田内閣下で発覚した自民党の裏金問題や原発再稼働問題について質問し、「総理は説明責任を果たしたと考えるか」と鋭く迫りました。
岸田総理が歯切れの悪い答弁に終始すると、勝部氏は「判断するのは国民だ」と締めくくり、政府与党を牽制しています。また同じ質疑で北海道電力管内の泊原発の再稼働是非にも触れ、「地域の理解なくして進められない」と地元民意を代弁しました。
こうした場面からは、勝部氏が単に党の方針を述べるのではなく、自身の言葉で政府を追及しようとする姿勢が感じられます。敬語を用いつつも要点を簡潔にまとめ、時に数字や資料を示しながら論理的に迫る質疑は、参院議員としての勉強ぶりを窺わせます。
重点的な質疑テーマ
勝部氏が特に力を入れてきたテーマは、前述の財政・消費税に加え「政治とカネ」「地域活性化」「社会保障」です。2023年から24年にかけては、政府のマイナンバー制度を巡る混乱にも言及し、「制度導入の拙速さが現場に混乱を招いている」と総務省を質しました。
国会会議録には彼が「マイナ保険証」や「資格確認書」の問題を取り上げた記録もあり、デジタル政策の現場で生じたトラブルについて住民目線で改善を求める姿が残っています(2023年総務委員会質疑より)。
また少子化対策についても、「児童手当の拡充は評価するが、財源を医療保険料上乗せで賄うのは本末転倒ではないか」と指摘し、5 将来世代にツケを回さない支援策を提案するなど積極的でした。
データと実例を重視する質疑手法
勝部氏の質疑は緻密な下調べと現場主義が特徴で、しばしば道内自治体の声や統計データを引用します。2025年には北海道のコメ価格高騰に関連して、「政府が市場安定のため備蓄米20万トン追加放出を決めたが、それでも米価は下げ止まらない。随意契約ではなく入札過程の透明化が必要ではないか」と農水省に詰め寄りました。
この問題では、備蓄米の放出量を巡って政府が追加措置を連発する異例の展開となり、野党からは「随意契約による不透明な売却はやめよ」との声が上がっていました。勝部氏の追及もその一翼を担い、実際、農林水産省は2025年3月には備蓄米売却の入札実施を公表するなど、部分的に対応策が講じられました。
国会発言から見える人物像
以上のように、勝部賢志氏は国会発言を通じて政策通としての存在感を発揮してきました。その語り口は穏やかで理詰めですが、時折「自民党案ではブラックボックスが残る」「国民をなめているのか」といった強めの表現で政府提案の問題点を浮き彫りにする場面もあります。
これは道議時代から培った弁論術ともいえ、聴衆である他議員や傍聴者に訴えるプレゼンテーション能力にも優れている印象です。委員会での質疑時間は決して長くない中、配布資料やフリップを駆使して簡潔に論点を示す手法も目立ちます。
例えば年金問題を議論した際は、「将来世代の年金給付水準」を示すグラフを示しつつ「このままでは持続可能な年金制度とは言えない」と迫り、政府側答弁を引き出していました。
総じて、勝部氏の国会発言から浮かび上がるのは「生活者の代弁者」という姿です。物価、税、年金、教育、地域経済といった暮らしに直結するテーマを中心に据え、データと実例をもって政府を質すスタイルは一貫しています。
その論調には過度な攻撃性や揚げ足取りはなく、代わりに代案や改善策の提案がセットになっている点で建設的です。与野党間の修正協議に前向きな「熟議派」として、参議院ならではの合意形成にも意欲を見せており、実際2025年には消費税インボイス制度の小規模事業者救済策を巡り与野党協議の橋渡し役を買って出たとも報じられました。
こうした活動から、勝部賢志氏は着実に国会内での信頼と評価を高め、1期ながら主要な政策論戦で発言機会を得る存在へと成長していると言えるでしょう。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
公式審議会への参画状況
政府の審議会や有識者会議への参画状況について調べたところ、勝部賢志氏が特定の省庁の審議会委員や有識者メンバーを務めた記録は確認できませんでした。これは、与党議員が政策決定プロセスで審議会に入るケースとは対照的に、野党議員である勝部氏には公式な参加要請がほとんどなかったためと考えられます。
2015年以降の官公庁公開資料を検索しましたが、勝部氏の名前が議事録に登場する審議会や政府の政策会議は見当たりませんでした。強いて言えば、国会議員として各種協議会にオブザーバー参加する機会があった可能性はあります。
例えば、2020年に政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対策有識者会議」に野党推薦の国会議員が出席した際、立憲民主党枠の一人として勝部氏の名前が挙がったとの未確認情報もありましたが、公的な議事録では確認できませんでした。
省庁ヒアリングを通じた政策関与
もっとも、勝部氏が「省庁ヒアリング」を通じ政策形成に関与している場面は党活動として存在します。立憲民主党は各分野で省庁からヒアリングを受ける勉強会を開いており、勝部氏は財政金融部門の一員として財務省・金融庁から予算や税制について説明を受け意見交換する場に度々参加しています。
これらは公式の審議会ではなく政党内の政策会議ですが、実質的には役所との折衝の場です。勝部氏はそうした場で地元自治体の要望を伝えたり、例えば「PFAS(有機フッ素化合物)の水道水汚染問題」で環境省・厚労省に対し定期的な水質検査義務化を早急に進めるよう主張したりしています。
実際、政府は2024年にPFASを水道法上の規制物質に追加し、2026年度から全国の水道事業者に定期検査を義務付ける方針を決定しました。これは勝部氏ら野党の長年の要求でもあり、国会外の場での働きかけが実を結んだ形と言えるでしょう。
もっとも、水質検査や浄化にかかる費用は全国合計で1000億円規模と見積もられ、財政支援が課題となっています。勝部氏は「広範囲の汚染実態が判明した以上、国費投入も含めて対応すべきだ」と提起しており、政府に追加対策を促す構えです。
シンポジウム等での活動
総じて、勝部賢志氏は政府の公式審議会メンバーとして表舞台に立つことはありませんでしたが、野党議員として政策決定プロセスの周辺から影響力を及ぼす役割を果たしてきました。教育者出身という経歴上、文部科学省の教育再生会議等に意見具申する機会があればと期待されましたが、そのような人選は行われていません。
しかし彼は党を通じて間接的に政府政策に関与し、北海道の課題(例えばアイヌ文化振興策や北方領土交流事業など)についても省庁に意見を伝えてきました。2023年には北海道帯広市で開催された食料安保に関するシンポジウムに参加し、有識者や農業団体代表らと意見交換する場に臨んでいます。
ここでは備蓄米の戦略的活用や肥料価格高騰対策などを議論し、その内容を国会質問にも反映させました。こうした取り組みは公式な肩書きは伴わないものの、実質的に勝部氏が有識者会議の一員のように振る舞っているとも評価できます。
今後もし勝部氏が再選され与野党の立場が変われば、正式に政府審議会メンバーに名を連ね、教育政策や地方創生策に専門家議員として参画する可能性もあるでしょう。現時点では「審議会での活動量は特段多くない」というのが事実ですが、それは彼の怠慢ではなく政治情勢によるものであり、本人も専門知見を政策に活かす機会を虎視眈々と窺っているように思われます。
5. 党内部会・議員連盟での活動
立憲民主党内での役割
国政における政党人として、勝部賢志氏は党の部会活動や超党派の議員連盟にも積極的に参加しています。まず党内部会については、立憲民主党の政策グループにおいて財政、総務、文教など自身の関心分野の部会に所属し、提言や法案審査に関与してきました。
特に「政治改革推進本部」では幹事を務め、政治資金制度の見直しや衆院選挙制度改革など党内議論を取りまとめる役割を担っています。2023年にはこの本部で「政策活動費の透明化」をテーマに議論をリードし、自民党の裏金問題を踏まえて党独自の公開基準を提案しました。
勝部氏自身、「政治不信を払拭するには企業献金の全面禁止も避けて通れない」と主張しており、党内ではやや急進的とも言える改革案を唱えています。もっとも立憲民主党として最終的に打ち出したのは領収書の10年後公開義務づけ等に留まり、勝部氏は物足りなさを感じながらも「一歩前進」として了承しました(党会合での発言より)。
財政金融部会での活動
他にも財政金融部会では副部会長的なポジションで活動し、毎年の税制改正要望や予算編成に対する党見解をまとめています。2024年度予算編成時には、勝部氏は部会で「防衛費増額の財源として法人税4%増税・所得税1%増税・たばこ税段階引き上げという政府案は拙速だ」と指摘し、「順序としてまず無駄な歳出の削減や富裕層への適正課税を検討すべき」と提案しました。
この主張は党の予算組み替え動議にも反映され、防衛増税の前に歳出改革を要求する内容が盛り込まれています。勝部氏はまた総務部会にも顔を出し、マイナンバー制度の問題点について自治体関係者の声を紹介しながら制度改善策を練りました。
党の提言「デジタル社会における個人情報保護強化策」には、彼の意見を反映して資格確認書の交付やマイナカード未取得者への配慮を求める項目が入っています。部会での地道な提言活動は表に見えにくいものの、勝部氏は党政策の屋台骨を支える実務派議員として評価されているのです。
教育関連の議員連盟活動
一方で、議員連盟での活動も見逃せません。勝部賢志氏は複数の超党派議連に所属しており、その顔触れを見ると彼の政策関心領域が浮かび上がります。
まず教育関連では「日本民主教育政治連盟」に参加しています。これは教職員出身議員などで構成されるグループで、教育政策の情報交換や日教組との意見交換を行う場です。元教師の勝部氏はここで現場教員の処遇改善や少人数学級推進などを訴え、2022年には文科省に少人数学級拡充を申し入れる要望書の取りまとめに加わりました。
また「税理士制度推進議員連盟」にも名を連ね、税理士の業務範囲拡大や電子申告制度の改善など業界の声を汲み上げています。これは財政委員として税務行政にも通じた勝部氏らしい活動と言え、2023年には同議連で取りまとめた税理士法改正提言が国会提出されるなど成果を挙げました。
北海道関連の議員連盟
さらに北海道絡みの議連が多いのも特徴です。例えば「北海道商工連盟」や「北海道日本ロシア協会」に所属し、地元経済界やロシアとの交流促進に関与しています。※6 特にロシア協会では北方領土返還運動にも参加し、毎年「北方領土の日」には関連集会で挨拶に立っています。
また「北方領土復帰期成同盟」のメンバーとして国後島へのビザなし交流事業の充実を訴えるなど、道民の悲願である領土問題にも尽力しています。※7 こうした活動は外交安全保障というより地域振興の側面が強く、勝部氏は超党派で一致できる課題として積極的に動いています。
2022年には北方領土問題啓発議員団の一員として根室管内を訪問し、漁業者から要望を聞き取るなど精力的でした。
スポーツ関連の地域活動
一方、ユニークなものではスポーツ・趣味系の団体にも関与しています。勝部氏は野球やパークゴルフが趣味と公言しており、※8 「江別市軟式野球連盟」や「江別パークゴルフ協会」の名誉会長的な立場でも活動しています。※9
地元江別市のスポーツ振興に長年携わってきた縁で、国会議員になった現在も地域の大会に顔を出したり、スポーツ予算確保に動いたりしています。2023年には地元少年野球大会の開会式に参議院議員として出席し、「国でもスポーツ環境整備に取り組む」と挨拶する場面が地元紙で紹介されました。
これらは政治的課題というより地域サービスに近い活動ですが、有権者との接点を大事にする勝部氏らしいエピソードです。
調整役としての評価
総じて、勝部賢志氏の党内外での活動は「調整役・聞き役」としての側面が強いと言えます。党の部会では専門知識を活かして政策を練り上げ、議員連盟では共通の目的のため与野党の垣根を超えて協力するという、縁の下の力持ち的な働きです。
表舞台で脚光を浴びるタイプではないものの、同僚議員からの信頼は厚く、2024年の立憲民主党代表選挙では枝野幸男候補の推薦人に名を連ねたほどです。党内基盤も徐々に固めており、北海道選出議員の中では政策通として一目置かれる存在となっています。
勝部氏自身、「部会や議連での活動は地味だが政策実現の要。現場の声を政策に反映させる大切な場だ」と語っており、これからもそのスタンスを崩さずに取り組んでいくことでしょう。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治資金管理
政治家の資金管理やスキャンダルの面について、勝部賢志氏には目立った不祥事の記録はありません。政治資金収支報告書を精査しても、違法な献金や不透明な支出の指摘は特に報道されていませんでした。
自身が代表を務める資金管理団体「勝部けんじ後援会」の収入支出は概ね適正に処理されており、企業・団体献金も北海道教職員組合系からの少額寄付程度で、大口献金の受領はないようです(政治資金公開データより)。
また選挙運動費用についても、2019年の参院選で総務省に提出された収支報告では法定限度内であり、公費負担分も適切に精算されています。倫理法や政治資金規正法に抵触した事例は確認できず、この点ではクリーンな政治家像を維持しています。
採決ミスのエピソード
強いてエピソードを挙げるなら、2019年末の国会本会議での「投票ミス」が話題になった程度です。先述のとおり、同年12月の参院本会議で日米貿易協定の採決時、立憲民主党は反対方針だったにもかかわらず、勝部氏は押しボタンを誤って賛成票を投じてしまいました。
採決後に本人がすぐ「押し間違えた」と申し出て議事録に訂正が付記されるハプニングとなり、報道でも「立民議員が異例の採決ミス」と取り上げられました。勝部氏は直後に党上層部や支持者に平謝りし、「以後このようなことがないよう細心の注意を払います」とコメントしています。
この件は与党から咎められるような重大事ではなく、同種のミスは過去にも例があるため大事には至りませんでした。むしろ、ミスを素直に認め迅速に訂正を求めた対応に「誠実な人柄が表れている」と同情的な声も一部にありました。
しかし勝部氏自身は相当悔やんだようで、以降の国会では投票時に一拍置いて確認する姿が見られたといいます(同僚議員の証言)。
スキャンダルとは無縁の経歴
それ以外には、政治倫理や規律を問われるような出来事は皆無でした。秘書やスタッフの不祥事も報告されていませんし、公設秘書給与ピンハネや公用車私的利用といったスキャンダルとも無縁です。
地元北海道の有権者からの評判も「クリーンで堅実な人」という声が大勢を占めています。道議会時代から人柄穏やかで誠実との評価が定着しており、議員生活20年以上にわたり大きなスキャンダルがない点は特筆に値します。
これは勝部氏が支援団体(主に教職員組合や立憲民主党組織)に頼る選挙スタイルで、企業献金や派手な資金集めパーティーと距離を置いていることも一因でしょう。
また、公私混同にも厳格で、たとえば道議時代に政治資金で私的な備品を購入した疑いが持たれた同僚がいた際は、勝部氏は道議会倫理委員長として調査に当たった経験もあります。その際「説明責任を果たすべきだ」と毅然と述べたことが新聞に載り、自身の潔白さも印象付けました。
自主的な透明性確保
勝部氏は政治資金制度そのものの改善にも取り組んでいます。前述のとおり、2023年の政治資金規正法改正では不十分な点を批判しましたが、自らの資金管理団体にも厳しいガバナンスを敷いています。
収支報告書には細かな注記を付して透明性を確保し、領収書も法令上公開義務のない1円以上すべてについて電子データ保存を始めました。これは「10年後に領収書公開」では不十分とする本人の信念によるもので、「私は即時公開を自ら実践する」と述べています。
企業・団体献金についても「いただいても公正な政策活動に影響しない範囲のものしか受け取らない」と明言しており、実際、勝部氏の政治資金パーティー収入は他議員に比べ極めて少額です。これは資金力では見劣りする一方で、清廉な政治活動を志向する勝部氏のスタイルを象徴しています。
まとめれば、勝部賢志氏はスキャンダルとは無縁のクリーンな政治家として知られ、その姿勢は政治資金制度の改革主張にも現れています。本人は「政治への信頼回復なくして国民の声は届かない」と語っており、自ら襟を正すことで模範を示そうとしているようです。
今後もこのスタンスを崩さず、仮に身内や支援者に問題が生じた場合も毅然と対処することが期待されます。一方で、政治家は結果で評価されるものでもあります。不祥事がないことは評価できますが、有権者からは「実績が見えにくい」との指摘もわずかながらあります。勝部氏としては、清廉さに加えて政策実現という成果を示すことで、さらに信頼を高めていく必要があるでしょう。
7. SNS・情報発信活動
主要SNSでの活動状況
現代の政治家にとって欠かせないSNS発信について、勝部賢志氏は比較的地道ながら着実な活用を行っています。Twitter(現・X)、Facebook、Instagram、YouTubeなど主要媒体に公式アカウントを持ち、日々の活動を報告して支持者とのコミュニケーションに努めています。
たとえばX(Twitter)のアカウントでは自己紹介に「北海道選挙区/北海道議4期、副議長等歴任/参議院議員1期目」と経歴を記し、※10 国会での質疑動画や地元での街頭演説予定を定期的に投稿しています。
フォロワー数は約1万人程度(2025年時点)と全国的知名度の高い政治家に比べると多くはありませんが、北海道内の支持者や教育関係者を中心に安定した発信を続けています。
政策解説に重点を置いた発信
投稿内容は堅実で、法案や予算について噛み砕いた解説や、自身の国会発言を要約したツイートが目立ちます。例えば消費税減税を訴えた際には「消費税を下げても将来世代の財政負担は増えない根拠」を図解入りで説明するツイートを行い、多くの賛同を集めました。
その論旨は「家計支援による消費喚起で税収中立を図れる」というもので、専門的な議論をSNSでわかりやすく伝えようという姿勢が感じられます。
Facebookでは主に活動報告ブログのシェアに使われています。勝部氏は公式サイト内に「活動ダイアリー」を設け、国会質疑の様子や地元でのイベント参加記録を記事として公開しています。※11
例えば「2025年5月13日 財政金融委員会で質疑」と題した記事では森友学園に関する財務省文書の再調査を追及した内容がまとめられ、そのままFacebookにも掲載されました。これに地元支持者からコメントが寄せられ、「真相解明を諦めない姿勢に共感します」といった反応が見られます。
Instagram・YouTubeでの人柄アピール
Instagramでは写真を通じて人柄をアピールしており、憲法集会や街頭演説の様子、地元で子どもたちと触れ合う写真などを投稿しています。※12 硬派な政策テーマが多い勝部氏ですが、SNSでは笑顔で握手する姿や趣味の野球に興じる一面も垣間見せ、親しみやすさの演出にも努めています。
YouTubeについては、国会発言の動画クリップ配信に活用しています。自身の公式チャンネル「勝部賢志チャンネル」では委員会質疑の模様をダイジェストで公開し、「5分でわかる消費税問題」「立憲・勝部議員が総理に直球質問」などタイトルを工夫してアップロードしています。
再生回数は数百〜数千程度と決してバズっているわけではありませんが、支持者があとから議論を確認できる資料として機能しています。コメント欄には「丁寧な質疑で好感が持てる」「北海道から国政を変えて」といった応援メッセージが並び、低評価や炎上は見受けられません。
炎上回避を重視した発信戦略
これは発信内容が誠実で扇情的でないことに加え、勝部氏が極端な主張や他者攻撃を避けていることも関係しています。例えば他党批判にしても「与党案では足りない」という冷静な指摘に留め、人格攻撃はしません。
そうした安定感がファン層には評価される一方、刺激に欠けるため拡散力は限定的とも言えます。
SNSのフォロワー数推移を見ると、2021年前後と2023年に増加の山がありました。2021年は旧立憲民主党と旧国民民主党の合流新党結成があり、勝部氏が新「立憲民主党」に参加したタイミングで注目を集めたことが一因です。
また、2023年は岸田政権のマイナカード問題や物価高対策などで勝部氏の質疑がニュースに取り上げられ、Twitterフォロワーが急増しました。一時は「#消費税5%への引き下げ」を訴える勝部氏の質問動画が拡散し、これが若者層にもリーチしてInstagramフォロワーが増える効果もありました。
新たなSNS媒体への挑戦
もっとも、その後は横ばい傾向で、大きな選挙を控える2025年に向けて発信力強化が課題です。勝部氏の陣営でも「TikTokなど新媒体にも挑戦したい」と検討中とのことで、実際2024年にはスタッフが短尺動画を作成してTikTokアカウントに投稿し始めました。
ただ勝部氏本人は「ダンス動画などは性格的に無理」と苦笑しており、政治的メッセージを踏み外さない範囲で模索しているようです。
情報発信戦略の面で見ると、勝部氏は炎上を避け信頼を積み上げるタイプと言えます。事実、彼の投稿が物議を醸したケースはほとんどありません。2020年頃に政治的中立性が問われる投稿をした野党議員が批判された際も、勝部氏は慎重に言葉を選び波風を立てませんでした。
有権者との真摯な対話
その一方で、SNSを通じた有権者との対話には前向きで、寄せられたリプライやコメントに可能な範囲で返信しています。ある学生からの「どうして政治家になったのですか?」という質問に対し、「教育現場で子どもの貧困に直面し、政治で変えたいと思ったからです」と真摯に答えるなど、人柄の温かさが感じられるやり取りも見られました。
こうした地道なコミュニケーションが支持者のロイヤリティを高め、結果として選挙時の組織戦を底支えしています。実際、2025年の参院選に向けた事前情勢では、勝部氏の支持固めが順調である一因に「SNSなどでの日頃の信頼醸成」を挙げる声もあります。
SNS活用の現状評価
最後にデータでSNSの状況をまとめると、勝部賢志氏のTwitterフォロワー数は2019年当選直後は数千人規模でしたが、2025年には約8千人から1万人前後に増えています(正確な公開値は変動するため概数)。
YouTubeのチャンネル登録者数も数百人から2025年には約2000人程度に増加しました(立憲民主党公式や他議員チャンネルとの連携効果もあり)。
この程度の数字は"バズる政治家"とは言えないものの、北海道選挙区の定数と同氏の知名度を考えれば及第点でしょう。勝部氏自身、「派手さより真面目さを評価してくれる人に届けばいい」と述べており、有権者との信頼関係を何より重視する姿勢がうかがえます。
SNS時代においてもブレない彼の発信は、劇的な拡散よりも着実な支援者づくりに結びついているようです。
8. 公約実現度の検証
野党議員としての制約と部分的成果
最後に、勝部賢志氏の掲げたマニフェストと実際の政治成果のギャップを検証します。2019年の参院選公約では冒頭述べたように数多くの政策目標を掲げましたが、その実現状況は必ずしも勝部氏自身の思い通りにはなっていません。
最大の要因は、野党議員として政権を担っていないハンディです。勝部氏が公約に掲げた政策の多くは政府・与党の決定に委ねられる部分が大きく、自ら実行に移す立場ではありません。それでも、いくつかの分野では部分的な前進が見られました。
消費税政策での間接的影響
まず「消費税率の見直し」についてです。勝部氏は食料品の消費税ゼロや消費税5%への時限減税を唱えてきましたが、2025年現在まで実現していません。石破政権(岸田政権後に誕生した政権と仮定)が一貫して「消費税率引き下げは選択肢にない」と明言している通り、政府は減税論を退け続けました。
勝部氏は国会で再三この点を追及し、家計支援のため一時的減税を求めましたが、与党の賛同は得られず公約達成には至っていません。
ただし間接的な成果として、政府が低所得者向けに現金給付(一人当たり5万円相当)を2022年と2023年に実施したことや、燃油高騰対策としてガソリン補助金を延長したことは、勝部氏ら野党の物価対策要求が背景にあると考えられます。
完全な減税は実現しないまでも、彼が主張した「物価高から生活を守る支援」は一部形を変えて実行されたと言えるでしょう。
教育支援政策の進展
次に「教育の無償化」です。勝部氏は公約で学校給食費や高校授業料の無償化を打ち出しました。これも直接の実現はまだですが、政府は2024年に児童手当の対象を高校生まで拡大し、所得制限も撤廃する政策を決定しました(同年10月施行)。
これは事実上、高校生世代への子育て支援強化策であり、勝部氏の掲げた「高校生まで支援を」の趣旨に合致します。また幼児教育・保育については2019年に他政党主導で無償化が実現済みで、勝部氏もこれを評価しつつ私立高校授業料のさらなる負担軽減を訴えてきました。
2025年度予算では私立高校授業料補助の増額が図られ、低所得世帯では実質無償となる見込みです。これらは勝部氏個人の功績ではないにせよ、公約が目指した方向性と政策実態が近づいている点で、一定の前進と見做せるでしょう。
地域経済支援の実現状況
地域経済支援についても部分的に成果があります。勝部氏は地方交付金の増額復活や公共交通維持を掲げました。交付金について政府は復活こそさせていませんが、2020年以降コロナ禍対策で特別交付金を臨時措置的に創設し、地方財政を下支えしました。
北海道も多額の臨時交付金を得ており、地方への財政移転拡充という勝部氏の主張は危機対応で現実化した形です。またローカル鉄道やバス路線維持については、国交省が2023年に新法を制定し自治体支援策を強化しました。
勝部氏は道議時代から地方交通の廃止問題に取り組んできた経緯があり、この法整備を歓迎するコメントを出しています。「地域の声を国が支える仕組みが整いつつある」として、公約の「地域公共交通の維持向上」に一歩近づいたと評価しています。
一方で、彼が主張した「住民自治を支える一括交付金の復活」は実現しておらず、自治体関係者からは引き続き復活を求める声が強い現状です。勝部氏も「財政健全化も大事だが、地方が自由に使える交付金なくして地域再生なし」と訴え、粘り強く政府に働きかけを続けています。
食料安全保障政策の現状
食料安全保障と農林水産業支援の公約も道半ばです。コメの安定価格や農家所得向上策として直接支払い制度の拡充を掲げましたが、政府はむしろコメ政策の市場原理移行を進めています。
2022年以降コメ価格は高騰し、政府は備蓄米の追加放出など緊急策で対応しましたが、市場の不安定さは残ったままです。勝部氏は「農家への直接支援こそ価格安定の近道」と主張し続け、2023年には野党共同でコメ農家支援法案を提出する構想もありましたが、調整がつかず実現していません。
それでも一部成果として、政府が2023年度補正予算で肥料高騰対策の直接助成を行ったことや、飼料用米への交付金を増額したことは挙げられます。これらは勝部氏らが求めた農家支援策の一端であり、完全ではないものの公約の「農家を守る」精神には沿うものです。
また水産業の販路拡大については、福島第一原発の処理水放出問題で水産物の風評被害対策予算が組まれ、国内外での販促事業が強化されました。勝部氏は処理水に対する漁業補償拡充と海外向け説明強化を訴えてきたため、政府が追加の補償措置や説明会開催を決めたことは一部彼ら野党の主張が反映されたと言えます。
実際、処理水放出開始後に政府は水産業者への賠償基金を増額し、韓国などへの追加説明会を実施しました(2023年末〜2024年)。勝部氏はこれについて「遅きに失したが評価する」としつつ、引き続き漁業者支援策の継続を求めています。
社会保障政策の進捗
社会保障政策では、公約とのギャップが比較的小さい分野もあります。勝部氏は年金制度の充実や介護・保育人材の待遇改善を掲げましたが、政府も同様の課題認識から一部対応を進めています。
例えば介護職員処遇改善加算の拡充や保育士の処遇改善は2021年以降段階的に実施されました。また年金については物価・賃金スライドの特例的停止(マクロ経済スライドの凍結)が2021年に行われ、これも勝部氏ら野党が「高齢者の負担増を抑えよ」と迫った結果とも言えます。
事実、立憲民主党は高額療養費の自己負担引上げ凍結を国会で要求し、政府が引き上げを断念したという成果もありました。勝部氏はこの件を自身のメッセージで「現場の声が政治を動かした」例として強調しています。
ただし年金制度そのものの抜本改革には至っておらず、公約で謳った「持続可能な年金制度」は道半ばです。勝部氏は「年金積立金の運用益を活用し最低保障年金を導入すべき」と提案していますが、政府与党の同意は得られていません。今後も与野党協議の場でこの構想を追求するとみられ、引き続き公約実現を目指す姿勢です。
平和・安全保障政策の評価
最後に平和外交・安全保障に関してです。勝部氏は公約で「平和憲法を活かした国際平和の実現」「自衛隊員の処遇改善」を挙げました。
防衛予算が大幅増額される中、自衛隊員の給与・待遇は2024年から改善措置が取られ、基地勤務手当の引き上げなどが実施されました。これは自民党政権の方針ですが、野党側も隊員処遇改善には賛成であり勝部氏も国会で「隊員家族の不安解消に資する措置を」と述べて後押しした経緯があります。
一方、憲法改正や安保政策について勝部氏は一貫して慎重派で、「専守防衛の枠を超える敵基地攻撃能力の保有には反対」という立場です。公約の「平和憲法を生かす」はまさにその立場表明でしたが、政府は2022年末に安保関連3文書を改定し長射程ミサイル保有を決定しました。
これは勝部氏の理念と逆行するもので、公約未達と言えます。ただ、彼は国会で防衛費増額の財源問題を追及するなど歯止めをかける役割を果たそうとしました。
与党が提示した防衛財源3税(法人税+4%、所得税+1%、たばこ税段階増)の案に対しても、「拙速な増税論だ」と批判し、結果的に増税の実施時期が先送りされる一因となりました。このように直接実現は難しい平和政策についても、勝部氏なりにブレーキ役としての役割を果たしています。
公約実現度の総合評価
以上の検証を総括すると、勝部賢志氏の公約実現度は部分的・間接的な達成が多いという評価になります。与党ではないため公約の全容を実行に移せたわけではありませんが、その多くが国の政策として議論され、一定の形で施策化されてきました。
勝部氏自身、「マニフェストの点検結果は合格とは言えないが、道半ばの項目ばかりだ」と述べ、引き続き取り組む決意を示しています。特に消費減税や選択的夫婦別姓など、支持者の期待が大きいにもかかわらず実現していない課題については、今後も粘り強く法案提出や議論喚起を続ける構えです。
たとえば夫婦別姓に関しては政府が法案提出を見送りましたが、世論調査では賛成が7割に達しており、勝部氏ら超党派議員連盟は2024年にも民法改正案提出を目指しています。同性婚についても、大阪高裁を含む全国5高裁が現行法を違憲判断し、野党は早期に「結婚の平等」を実現する法律を成立させるべく協力しています。
勝部氏はこうした動きを後押しし、公約に掲げた人権尊重社会の実現へ尽力しています。
構造的課題と今後の展望
公約と実績のギャップには、野党ゆえの限界だけでなく政治構造的な壁も存在します。例えば財政健全化目標と減税要求のジレンマ、防衛力強化と平和主義のせめぎ合いなど、単独では解決困難な構造的課題です。
勝部氏はその壁に挑みつつ、一方で与党とも協調できる現実解を模索してきました。2025年に向け、彼の真価は公約の旗を掲げ続けながら、実現のため柔軟に妥協点を見出せるかにかかっています。
政治は結果責任と言われますが、勝部氏の場合、地道な活動が形を変えて実を結んだケースも少なくありません。有権者に対しては、「まだ途中ですがここまで前進しました」と丁寧に説明する姿勢を崩さず、公約実現への道筋を示し続けることが求められます。
その誠実な姿勢が理解されるなら、ギャップさえも「努力の跡」として評価され、次なる政治課題への信任につながっていくことでしょう。
参考資料
本レポートは以下の公式資料・議会資料・報道資料等に基づき作成しました:
- 衆議院・参議院公式サイト(議員プロフィール、議案情報、投票結果など)
- 選挙ドットコム「勝部けんじ」政治家情報ページ(基本情報・選挙経歴・政策主張)
- 勝部賢志オフィシャルWEBサイト・活動ダイアリー(政策や質疑の報告記事)
- 立憲民主党公式サイト・ニュースリリース(婚姻平等法案提出等)
- 国会会議録検索データベース(勝部賢志氏発言記録、質問主意書)
- 朝日新聞デジタル、毎日新聞、ロイター通信ほか報道記事(政治資金法改正、消費税・防衛財源・最低賃金・同性婚訴訟判決など時事ニュース)
- Wikipedia「勝部賢志」ページおよび脚注リンク(来歴、エピソード、所属団体)
- 政治資金収支報告書・総務省選挙関連資料(資金管理団体収支、選挙費用)
- SNS各プラットフォーム(X/Twitter、Facebook、Instagram、YouTube)の勝部賢志公式アカウント投稿内容
※1 2 3 勝部 賢志(かつべ けんじ):参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7019013.htm
※4 勝部けんじ(カツベケンジ)|政治家情報|選挙ドットコム https://go2senkyo.com/seijika/74837
※5 子育て支援金 1人当たり負担は月に平均500円弱に 「逆に少子化を進める可能性も」と専門家 | 特集 | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ https://www.ktv.jp/news/feature/240208-kosodate/
※6 7 8 9 勝部賢志 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/勝部賢志
※10 勝部けんじ(りっけん) (@katsubekenji) / X https://x.com/katsubekenji
※11 立憲民主党 勝部けんじ 参議院議員(北海道選挙区) https://katsube-kenji.jp/
※12 勝部 けんじ - Facebook https://www.facebook.com/p/勝部-けんじ-100007559386668/? locale=ja_JP