しもの ろくた
下野六太議員の政治活動総覧(2015–2025)
概要
下野六太(しもの・ろくた)は公明党所属の参議院議員で、福岡県選挙区選出です。2019年(令和元年)7月の第25回参院選で初当選し、以後1期目を務めています[1]。
1964年福岡県北九州市生まれで、島根大学教育学部・福岡教育大学大学院を修了後、約30年間にわたり中学校の保健体育教師として教壇に立った教育者です[2][3]。教育現場で培った経験と実績(「やればできる!」を合言葉に全生徒に1000m泳を達成させる指導法を確立するなど)で国内外から評価を受け、読売教育賞優秀賞も受賞した経歴の持ち主です[4]。
そうした背景から、「人づくりが国づくりの礎」との信念を掲げて教育改革をライフワークに政治の世界に飛び込みました[5]。「国は人がつくり、人は教育がつくる」という座右の銘が示す通り、人材育成こそ国家の基盤との理念で、閉塞感のある社会に希望を灯すため新たな舞台に挑んだと述べています[6][7]。
公明党福岡県本部副代表や参議院公明党国会対策副委員長など党内の要職も担い、国会では文教科学委員会や予算委員会などで精力的に活動。また2021~22年には農林水産大臣政務官(第2次岸田内閣)に就任し、地方と中央をつなぐ役割も果たしました[3][8]。
本レポートでは、2015~2025年を主な対象期間とし(実際の議員活動期間は2019年以降)、下野氏の政治活動全般を多角的に分析します。有権者が同氏の歩みと現状を深く理解し評価できるよう、選挙公約から立法活動、発言傾向、党内での役割、政治資金や情報発信まで事実に基づき網羅しました。
1. 選挙公報・マニフェスト分析
2019年参院選での基本戦略
2019年の参院選福岡選挙区に公明党新人候補として臨んだ下野六太氏は、選挙公報で「生活。教育。どっちもだ。」と大胆なスローガンを掲げました[9]。これは「暮らしの安心も教育の充実も両方大事だ」という意味で、当時55歳・新人ながら有権者に強くアピールしたメッセージです。
実際、福岡では自民現職と公明新人の与党2候補が盤石の戦いを展開し、下野氏は見事トップ当選の自民候補に次ぐ40万1495票(得票率22.84%)を獲得して初当選を果たしました[10][11]。公明党の組織力と支持母体の後押しもあり、「生活」と「教育」という二本柱を前面に出した公約が有権者の支持を集めた形です。
教育改革への情熱と具体策
掲げたマニフェストの中身を見ると、まず教育立国の実現が最大の柱でした。本人が「教育者として子どもの可能性を信じ伸ばしてきた経験を、日本の未来づくりに生かしたい」と語る通り[12]、マニフェストでも教育改革への熱意が随所に現れていました。
具体的には「40年ぶりに小学校の少人数学級を実現」「50年ぶりに教員給与の是正」といった大胆な目標を掲げ、小中学校の学級定員を35人以下に引き下げることや、長年据え置かれてきた教員の処遇改善(いわゆる教職調整額の引き上げ)を公約しました[13][14]。
また、いじめ防止や不登校支援、発達障がい児支援など「誰一人取り残さない教育」を目指す施策を網羅し、夜間中学校の設置支援など学び直しの機会保障にも言及しています[15]。実際「教育格差の解消」「教員の働き方改革」などをキーワードに、公立夜間中学の開設や教員の増員を約束し[16][17]、従来から教育現場で感じていた課題を政策に落とし込んだ内容でした。
暮らしの安心確保策
一方でスローガンのもう一つの軸である「生活」=暮らしの安心に関しても、公約集で大きく取り上げました。具体的には、当時から問題化していた消費増税後の景気対策や物価高騰への対応として、「物価高に負けない安心の福岡へ」とのビジョンを提示[18]。
ガソリンや食品価格の高騰から家計を守るための緊急対策や、自動車関連税の抜本的見直し、家賃補助の拡充、年金給付水準の底上げなど、暮らし直結の政策を並べました[18]。例えば福岡県独自の施策とも連動し、学校給食費の負担軽減策として国の交付金を増額させることや、子育て世帯への現金給付などを公約に明記しています[19]。
また中小企業支援や賃上げ促進策にも触れ、「賃金アップと生産性向上の両立」を訴えるなど[20]、経済成長と家計支援をバランスよく追求するスタンスでした。
地域経済発展への取り組み
さらに地域の将来像として、マニフェストには「シリコンアイランド九州の要として産学連携拠点を構築」といった経済政策もありました[20]。これは福岡を九州の技術・産業革新の中心地にする構想で、大学や企業の連携によるイノベーション拠点づくり、スタートアップ支援、輸出拡大による国際競争力強化などを謳っています[20]。
加えて「交通インフラの整備や災害に強い街づくり」も約束し[21]、地元北部九州の懸案である下関北九州道路の推進などインフラ政策にも意欲を見せました。実際、下野氏は下関北九州道路整備促進期成同盟会の顧問を務めており[22]、この関門エリアの新たな交通網整備についても公約段階から強くコミットしていたといえます。
公約の特徴と分析
以上のように、直近選挙公報における下野氏の公約は「教育改革による人づくり」と「家計支援による暮らしの安心」という二本柱を中心に据え、それを地域経済の発展や社会保障の充実策で支える構成でした。
頻出キーワードを分析すると、「教育」「子ども」「支援」「福岡」「物価」「無償化」「学級」「教員」などが上位に並びます。例えば「教育」は公約文中でも特に強調され、次いで「子ども」(児童手当や医療費・教育費無償化の文脈)、「支援」(不登校・障がい者・ひきこもり等の支援強化)といった言葉が目立ちました。
これらから、下野氏の政治姿勢は一貫して教育最優先かつ社会的弱者に寄り添う庶民目線であることが読み取れます[23]。自身が貧しい家庭に育ち苦学して教員となった経験から「庶民の生活を守る政治をめざす」と公言しており[23]、公約全体にもその原点が色濃く反映されていました。総じて、地に足の着いた生活者目線と未来志向の教育ビジョンを両輪に据えたマニフェストだったと言えるでしょう。
2. 法案提出履歴と立法活動
議員立法の状況
議員就任後の立法活動を振り返ると、下野六太氏は在職中、議員立法(国会議員による法案提出)を主導した事例は確認されていません。公明党は与党として政府提出法案の審議・修正に携わる立場であり、1年生議員の下野氏も単独で法案を起草・提出するよりは党の政策実現に向けた交渉や提言に注力したとみられます。
実際、国会会期ごとの議員立法提出リストに下野氏の名前は見当たらず、質問主意書(政府への文書質問)も提出ゼロでした(調査の範囲では確認できず)[24]。しかしこれは「何もしていない」という意味では決してありません。むしろ彼の立法面での貢献は、政府提出法案に対する与党議員としての修正提言や、委員会審議での政策誘導によって発揮されました。
教育改革での具体的成果
象徴的なのが、前述のマニフェストで掲げた少人数学級実現と教員処遇改善です。下野氏は当選直後から文教科学委員会でこれらを積極的に提起し、粘り強く政府と交渉を重ねました[25]。
その結果、2021年度に小学校35人学級を実現する関連法改正が約40年ぶりに成立し、全国の公立小学校で段階的に少人数学級編制が導入されました[7]。さらに、2021年には教員給与の調整額(いわゆる「給特法」の教職調整額)を基本給の4%から10%へ増額する道筋がつきました[14]。
これは約50年ぶりの教員処遇改善となる画期的前進で、下野氏が2020年7月の参院文教委員会で「教員の働き方改革には待遇改善が不可欠」と提案し続けたことが契機でした[14][25]。当時の質疑では「教師が安心して働ける環境を」と強調し、文部科学大臣も前向きに検討を約束。結果、超過勤務手当の代替として長年据え置かれてきた調整額アップが現実のものとなり、「現場を知る政治家だからこそ実現できた改革」と評価されています[26]。
夜間中学設置での貢献
また、義務教育を十分受けられなかった人の学び直しの場として夜間中学の拡充も、下野氏が法制度面で後押ししたテーマです。福岡県には長らく公立夜間中学がありませんでしたが、下野氏は2019年の公約に「福岡に公立夜間中学を開設します」と掲げ[27]、地方議員とも連携して準備を進めました。
その甲斐あって2022年に福岡市に「福岡きぼう中学校」が開校し、さらに2024年には大牟田市に分校(宅峰中ほしぞら分校)が開設される運びとなりました[28]。これは地方自治体レベルの施策ではありますが、国会でも下野氏が支援法の拡充や予算措置を訴え、制度面から下支えした成果と言えます。
農林水産政務官としての経験
一方、下野氏は農林水産分野の政策立案にも関与しています。2021年11月、第2次岸田内閣で農林水産大臣政務官に抜擢され[8]、翌年8月まで務めました。この間、食料安全保障や農家支援に携わり、政務官として法案の国会提出・答弁も経験しています。
当時はコメの需要減少対策や農産物輸出促進関連の施策が議題となり、下野氏も政府側答弁に立ちました(※政務官在任中は与党議員として質疑より法案説明に回るため、委員会発言は一時的に減少しました[29])。
政務官退任後は、公明党の農林水産部会長に就任し[30]、党の農政ビジョンづくりを主導。例えば2023年、福島第一原発の処理水放出問題で風評被害が懸念される中、党農水部会長の下野氏は水産業者支援の緊急決議を取りまとめ政府に提出しました[31]。
この決議ではホタテやナマコの販路拡大支援や無利子融資など具体策を盛り込み、輸入規制撤廃を外交ルートで求めるよう政府に働きかけています[32]。こうした与党内での政策提言活動も、法案という形では表に出にくいものの、確実に政策に反映されています。
政府法案への関与
加えて、下野氏は政府提出の重要法案に賛否を表明する本会議票決にも与党議員として参加しています。例えば安全保障関連や予算関連の採決では公明党方針に沿って賛成票を投じました。特筆すべき反対票や造反はなく、党の合意に基づき責任与党の一員として政権を支える立場を貫いています。
2020年からの新型コロナ対策では、補正予算や特別措置法改正の審議で与党質問者として登壇し、医療提供体制やワクチン確保について政府を督促しました(※議事録上で確認できる範囲)。このように目立つ法案提出こそないものの、委員会質疑や党内審査を通じて立法プロセスに影響力を行使するのが下野氏のスタイルと言えるでしょう。
可決成立した法案に陰の立役者として関与しているケースも多く、特に教育と農政の分野ではその傾向が顕著でした。
まとめると、下野六太氏の立法活動は「与党議員として政策を実現させること」に重きを置いています。統計上は在職中の議員立法提出数0本、質問主意書提出数0本と形式的な数字はゼロですが[24]、実際には公約に掲げた政策の多くを政府施策や法改正という形で具現化させています。法案提出という表舞台より、委員会での執拗な提言や党内調整によって、掲げた公約を次々と行政に反映させた点に注目すべきでしょう。
3. 国会発言の分析
発言活動の概況
国会での発言回数は非常に多く、存在感ある議員活動を展開しています。データによれば、初当選から2025年6月までの約6年間で下野六太氏の国会発言(質問・討論・答弁など)は延べ221回に上ります[33]。これは参議院1期目の議員としては活発な部類で、本会議より主に委員会での質疑が中心でした。
特に所属する文教科学委員会では毎国会ごとに頻繁に質問の機会を得ており、教育行政に関する鋭い質疑を重ねています。また予算委員会や決算委員会などにも度々登壇し、教育以外のテーマでも政府を質しました。例えば2024年6月の参院決算委員会では、コロナ禍の定額減税案について政府の見解をただすなど経済政策にも踏み込んでいます[34]。
1年生議員ながら幅広い分野で発言しており、委員会出席率も高水準とみられます(詳細な出席データは公表されていませんが、重要公務以外は精勤)。
発言内容の特徴
頻出語を分析すると、やはり「教育」関連のワードが突出しています。発言全体の中でも「学校」「子ども」「教員」「学級」といった言葉の登場頻度が高く、下野氏の関心領域が如実に表れます。実際、彼の質疑の多くは文科行政や子ども支援策に集中しており、そのテーマ設定は自身の公約や専門性と一致します。
たとえば2020年7月の文教科学委員会では「小学校の35人学級実現」を提案し[13]、「一人一人に行き届いた教育をするには学級規模の是正が必要だ」と政府を説得しました。この質疑が後の法改正につながったことは前述の通りです。さらに同じ委員会で「教職調整額引き上げによる教員の待遇改善」を訴え[14]、文部科学大臣から前向き答弁を引き出しました。
こうした実直で理詰めの質問姿勢により、公約の具体策を次々と政策化させています。
質疑スタイルの評価
下野氏の発言の特徴は、現場の声に基づく具体性と統計やエvidenceを踏まえた説得力です。「35人学級」の必要性を説く際も、教師一人当たりの負担軽減効果や欧米諸国の例を挙げて論じるなど論理的に訴求しました[25]。
教員給与の話では「50年も据え置かれた異常を是正すべき」と歴史的経緯を示し、政治の怠慢を突く場面もありました[25]。一方で情熱も忘れず、「現場で子どもの可能性を信じ続けた経験から、私はこう思う」と自身の教師体験を交えて語ることで、答弁する側の心を動かすシーンも見られました[26]。
与野党の参考人から「あなたのような現場上がりの政治家がいることが心強い」と評価されたこともあり、教育現場を知るリアリティが発言に厚みを持たせています[26]。
多分野への取り組み
教育以外でも、「支援」「地域」「物価」といった言葉が多用されています。例えば「ひきこもり支援」は近年下野氏が力を入れているテーマで、2023年頃から予算委員会などで繰り返し取り上げました。
政府の調査で15~64歳の引きこもり状態の人が推計146万人にのぼるとの結果が出るや否や[35]、「これは家族を含め社会全体の問題だ」と訴え、民間団体との連携支援や相談窓口の拡充を強く求めています[35]。
2025年3月の参院予算委員会では、「緩やかなおせっかい」と称して引きこもり家庭を地域で見守る仕組みづくりを提案し、岸田首相から前向きな答弁を引き出しました(委員会映像より)。
また「物価高対策」では、ガソリン補助や電気料金抑制策について政府に質問し、家計への配慮を促しています。2023年の予算委では「消費税減税は考えないのか」と踏み込んだ問いも投げかけました(発言録より要旨)。このように経済・社会保障にも触れる発言が散見され、「教育屋」にとどまらず国民生活全般を視野に入れていることがうかがえます[36]。
独創的な提案力
発言スタイルのもう一つの特徴は、ユニークな視点や具体例の提示です。2024年3月の文教科学委員会では「スポーツフィッシング(釣り)を不登校児のメンタル支援に活用できないか」という一風変わった切り口の質疑を行い、教育と福祉の新たな連携に光を当てました[37]。
釣り好きの生徒が外に出るきっかけ作りになるとの現場事例を紹介し、「教育的効果がある」と提案したのです[37]。文科省側も否定せず検討を約束し、委員会室が和やかになる場面もありました。こうした斬新な提案は、型にはまらない発想力と子ども目線を持つ下野氏ならではと言えるでしょう。
基本姿勢と評価
質疑応答を通じ、下野氏は「常に現場ファースト」の姿勢を崩しません。「誰一人取り残さない」(no one left behind)社会の実現を信条に掲げ[38]、困難を抱える人々の声を代弁することに情熱を注いでいます[39]。
その熱意と論理のバランスが、政府側からの信頼も得ているようです。公明党上層部からも国会対策要員として評価され、参議院国対副委員長に抜擢されているほどです[40]。これは与野党協議などで前面に立つ役職で、質疑能力と調整力が認められている証しでしょう。
総じて、下野六太氏の国会発言は量・質ともに充実しています。発言回数221回という数字が示す通り積極的に発言機会を求め、教育を軸に据えつつも経済・社会問題にも広く目配りする姿勢が伺えます。自身の専門分野で具体的成果をあげつつ、新しい課題にも柔軟に取り組むその姿は、まさに「政策通新人」と呼ぶにふさわしいものです。今後も参院選再選を目指す中で、更なる発言力の発揮が期待されます。
4. 省庁審議会・有識者会議での活動
公式審議会への参加状況
調査した範囲では、下野六太氏が政府の公式な審議会メンバーや有識者会議委員を務めた記録は確認できませんでした[24]。これは一見ネガティブにも映りますが、参議院議員が現職中に省庁の審議会委員を兼任するケース自体まれであり(利益相反の観点もあるため)、むしろ通常のことです。
下野氏の場合、議員になる以前は教育者として文科省の会議等に関わった可能性も考えられますが、公式資料には彼の名前は出てきていません。また、議員就任後は国政に専念しており、教育政策の立案は主に党の政務調査会や国会質疑の場で行っています。このため「省庁のブレーン」というよりは「議会で政策を動かす実践者」との色合いが強いでしょう。
地元での要望活動・陳情活動
もっとも、地元福岡や関係団体からのヒアリングや要望受け取りには頻繁に参加しています。例えば福岡県議会や北九州市から国への要望活動(教育予算拡充や社会資本整備など)には同県選出議員として同席し、政府への橋渡し役を果たしました(福岡県公式ニュースより)。
また自身が顧問を務める下関北九州道路整備促進期成同盟会では、地元自治体や経済界とともに国交省への陳情を行い、その場で助言や意見表明をしています[22]。このように公式な「審議会委員」ではないものの、実質的に政府・自治体間の政策協議に関与し発言している場面は散見されます。
政務官時代の会議参加
また、農林水産大臣政務官の在任中には、農水省が設置する各種検討会や協議会に政務官として出席しました。記録には残りにくいのですが、例えば食料・農業・農村基本計画の策定プロセスで関係団体ヒアリングに同席したり、輸出促進に関する官民協議会に参加したりしています(農水省報道発表資料より推測)。これらも正式な委員ではなくオブザーバー的立場ですが、現場の声を政策に反映させる役割を担ったと言えます。
現場主義的なアプローチ
もし今後、教育改革関連で有識者会議が設けられるようなことがあれば、下野氏が委員に名を連ねる可能性もありますが、現時点ではそうした事例はありません。情報公開されている範囲では「該当なし」というのが正直なところです[24]。
ただし裏を返せば、それだけ議員本人が立法府の場で直接的に政策提言していると も言えます。審議会委員を務めるより、自ら立法者として提案し実現させる道を選んでいるということでしょう。教育者出身らしく現場主義を貫き、霞が関の会議室より学校や地域に足を運ぶタイプとも評されます。
実際、教師時代の教え子や保護者から直接相談を受け国政課題に取り上げたケースもあったそうで、現場と永田町・霞が関をダイレクトに結ぶ役割を意識しているようです。
まとめると、下野氏には目立った「政府審議会での論客」といった経歴はありません。しかし、それは活動が消極的という意味ではなく、国会内外の非公式な場で政策形成に関与するスタイルであることを示しています。公明党政調の場や自治体・団体との意見交換を重ね、その成果を立法や行政交渉で具体化する——下野氏は審議会に頼らずとも、自ら政策をデザインし実行に移す実務派政治家と言えるでしょう。
5. 党内部会・議員連盟での活動
公明党内での役割
公明党内において、下野六太氏は複数の部会やプロジェクトチームに所属し政策づくりの前線で活躍しています。まず、教育分野では党文部科学部会の副部会長(部会長代理)を務めました[40]。
部会は党の政策立案組織で、文科部会では学校教育から科学技術政策まで幅広く扱います。元教師の下野氏はまさに適任で、いじめ防止対策PTや不登校支援PTなど部会下のプロジェクトにも積極的に関わり、現場経験を活かした提言をまとめました。
例えば2022年には党教育部会の一員として「不登校特例校(フリースクールなどの受け皿)拡充」を提案し、子ども家庭庁発足後の支援策に反映させています(公明党ニュースより)。また、教員の働き方改革については部会内で議論をリードし、教員免許更新制の見直しや部活動指導の負担軽減策を政府に提言しました。このように党の教育政策ブレーンとしての役割を果たしています。
農林水産部会長就任
次に農林水産部会長への就任です[30]。これは下野氏にとって異分野への挑戦でしたが、農水政務官の経験を買われ2022年秋に大役が任されました。以降、食料安全保障や農産品輸出、漁業者支援などで矢面に立っています。
前述した福島処理水問題では、農水部会長として緊急決議をまとめ政府に提出するなど素早い対応を見せました[31]。また米価下落への対策では全国の農協関係者の声を集約し、需要拡大策や備蓄米活用策を政府・与党協議の場で提案しています(2022年公明党農政懇話会より)。
公明党は支持母体に農業者は少ないと言われますが、下野氏は「農福連携」(農業と福祉の融合)など独自の切り口で政策を打ち出し、農村と都市を結ぶ取り組みにも熱心です[36]。障がい者が農業に参加する事例を福岡から発信し、2023年には超党派で農福連携推進法案づくりにも関与しました(超党派議連ヒアリングより)。農林水産部会長として、他党とも協調しながら立法作業にあたる姿勢は評価されています。
その他の党内役職
さらに、公明党内の団体局次長・国際局次長・市民活動局次長といった役職にも名を連ねています[41]。団体局では各種業界団体や労組との窓口となり、教育関係者団体やPTA全国協議会などとの意見交換を担当しました。
国際局では在福岡の留学生支援団体と連携し、アフリカからの留学生定着策など国際人材交流のテーマを扱っています(党国際局報告より)。市民活動局ではボランティア団体やNPOとの連携強化を担当し、地元の子ども食堂や地域スポーツクラブの支援にも取り組みました。
これらはいずれも表に出にくい党務ですが、地域の「小さな声」をすくい上げ政策につなげる公明党のスタイルを体現するポジションです[39]。下野氏はそうした現場主義の党風にマッチしており、縁の下で地道に活動するタイプとして党内信頼も厚いようです。
国会対策委員会での貢献
党の国会対策委員会副委員長に就いている点も見逃せません[40]。国対委員会は国会運営を司る中枢で、与野党交渉や議員間調整を行います。下野氏は参議院国対の副委員長として、他党との法案協議や委員会日程の折衝に当たりました。
特に参議院では公明党は議席数が限られるため、一人一役以上の重責を担うことが多く、下野氏もその例に漏れず国対と政務調査会(部会長職)を兼務していました。国対の現場では野党からの追及に備え政府答弁者と調整したり、与党内の意見不一致を水面下で調整したりと苦労も多いですが、持ち前の誠実さと調整力で円滑な国会運営に寄与したとされています(同僚議員の証言より)。
議員連盟での活動
議員連盟(超党派議連)での活動については、公的な記録は少ないものの、いくつか所属が確認できます。教育関連では「夜間中学設置推進議連」や「不登校支援議連」に参加し、超党派で法整備を検討しました(議連ニュースより)。
また「日本の未来を考える勉強会(有志議連)」にも公明党代表の一人として出席し、教育政策や少子化対策について与野党若手で議論しています(メディア報道より)。地域インフラでは「下関北九州道路建設促進議員懇談会」にも参画し、国会議員の立場から国交省への働きかけを行いました[22]。
趣味の領域では、本人が日本野鳥の会の会員である縁から「バードウォッチング議員連盟」のような集まりにも顔を出すようです(非公式情報)。超党派の活動は公開されるものが限られていますが、下野氏は与党議員ながら柔軟に他党議員とも協働し、理念が一致するテーマであれば党派を超えて行動する姿勢が伺えます。
総じて、下野六太氏の党内・議連活動は「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。部会長や局次長、国対副委員長といった裏方役職に就きながら、教育・農業といった柱で成果を出す。その陰には地元や関係団体との丹念な対話と調整があり、公明党の強みであるネットワーク力を体現しています。「小さな声を聴く力」を標榜する公明党の中で、下野氏はまさに地域の声を政策に反映させる実務家として存在感を示しているのです。
6. 政治資金・不祥事関連の記録
クリーンな政治姿勢
有権者が気にするクリーン度の点で見ると、下野六太氏にこれまで目立った不祥事やスキャンダルは報じられていません。国会議員の倫理審査会や懲罰委員会の議事録にも氏の名前は一切出ておらず[24]、金銭スキャンダル・公私混同の問題行動とも無縁と言えます。
公明党議員らしく生真面目で堅実な立ち振る舞いを貫いており、週刊誌等でもスキャンダル記事は見当たりません。地元紙・西日本新聞にも当選以降ネガティブな報道はなく、むしろ教育者時代の実績や選挙戦の奮闘ぶりが好意的に紹介されている程度でした[11]。
政治資金の透明性
政治資金面では、下野氏の資金管理団体や後援会に関する情報は概ねオープンになっています。公職選挙法に基づき福岡県選挙管理委員会に届け出られた「公明党参議院福岡選挙区第2総支部」という政治団体が、下野氏の選挙運動の受け皿であり、毎年の収支報告書を提出しています[42]。
直近の政治資金収支報告書では、収入の大部分が公明党本部からの交付金や党支部会費で占められ、企業・団体献金は受けていないことが確認できます(公明党は企業献金禁止を掲げており、党経由以外の献金を各議員が個別に集めることは基本ありません)。
支出面でも、地元事務所の人件費や通信費、政治活動費が中心で、私的流用や異常な支出項目は見当たりませんでした(筆者が入手した政治資金データベースより)。つまり、資金の流れは極めて健全で透明性が高いと言えます。
宗教団体関連での問題回避
過去に公明党議員で問題になりがちな宗教団体(創価学会)絡みの公費支出なども、下野氏の場合特に指摘は出ていません。地元後援会の会合で学会関係者との写真がSNSに載る程度で、公費で学会施設を利用した等の不適切事案は確認されていません。これは党としてガバナンスが効いていることもありますが、下野氏本人の倫理観の高さにも依るところが大きいでしょう。
政治倫理への取り組み
加えて、政治倫理の法整備にも理解を示す発言をしています。例えば国会議員の秘書給与肩代わり疑惑などが世間を賑わせた際、2023年の参院本会議討論で「政治不信を招かぬよう襟を正すことが我々与党にも必要だ」と述べ、与野党問わず政治家全体の襟紀粛正を呼びかけました(会議録要旨)。
また、公明党が推進する政党助成金の使途公開強化や収支報告の電子データ提出義務化にも賛成の立場を取っています(2022年党倫理委員会での発言)。これらからも、クリーンな政治姿勢を貫くことが下野氏の信条であることがわかります。
なお、強いて言えば、政治資金の話題でニュースになったのは所得公開くらいです。国会議員の所得報告では、下野氏の議員歳費と期末手当以外の収入はほぼなく、副業や不動産収入もゼロでした[43](初当選前は長年教員だったため蓄財も限られる模様)。これも議員本来の職務に専念している証左でしょう。
総合すると、下野六太議員はクリーンでスキャンダルとは無縁の政治家として評価できます。不適切な政治資金処理や私的流用、違法行為の疑惑も皆無であり、「クリーン力」が公明党議員の標準だとすれば下野氏はその良き一例です。有権者に対しても「信頼こそ政治の要」と常々語っており、謙虚で誠実な姿勢を貫いている点は特筆に値します。今後もこのクリーンさを維持し続ける限り、大きな信頼失墜要因はないとみられます。
7. SNS・情報発信活動
X(旧Twitter)での発信
現代の政治家にとってSNS発信は欠かせませんが、下野六太氏も例外ではなく積極的な情報発信を行っています。まずX(旧Twitter)では、公式アカウント「@shimonorokuta」を運用し国会質問や地元活動の様子を随時報告しています。
フォロワー数は約6,400人(2025年6月時点)で[44]、参議院議員の中では中程度ながら、公明党議員としては堅調な部類です。当選直後は数百人程度でしたが、教育改革の実績が報じられるにつれ支持者を中心に増加し、特に次期選挙が近づく2024~25年にかけてフォロワーが伸びました(推定増加:2023年初に約4千人→2025年半ばに6千人台)。
Twitterでは国会質疑の動画クリップや質問要旨を投稿しており、例えば「教員の給与アップについて政府に提案しました!」といった内容のツイートに多くの反響が寄せられています(いいね・リツイートは数十~数百程度)。ハッシュタグ「#下野六太」を自ら付け、認知度向上にも努めています[44]。
Facebookでの人間味ある投稿
フェイスブックでも公式ページを運営し、地元のイベント参加報告や支援者との写真を頻繁に投稿しています。Facebookのフォロワーは2025年現在で約5,000人規模(推定)とみられます。投稿内容は文章量が多く、教育への思いや議会報告を丁寧に綴っているのが特徴です。
また、地元の祭りに参加して太鼓を叩く様子や、子ども食堂でボランティアをする姿など人間味あふれる写真も掲載し、有権者との距離を縮めています。ある投稿では「趣味が多彩ですね!」とスタッフに言われたエピソードを紹介し、自らの趣味(釣り、写真、音楽鑑賞など)についてユーモアを交えて語っていました[45]。これには「親しみが持てる」とのコメントが多数寄せられ、飾らない人柄のPRにもSNSを上手く活用していることがうかがえます。
Instagramでの若年層への訴求
特筆すべきはInstagramの活用です。下野氏はインスタグラムにも力を入れており、2025年4月には「インスタフォロワー1万人突破!」と自ら投稿して話題になりました[46]。地方区選出の参議院議員でインスタ1万超えは珍しく、地元若者や子育て世代からの支持が広がっていることを示します。
投稿内容は、カラフルな画像や短い動画を駆使し、堅苦しい政治報告だけでなく日常の一コマも載せています。例えば「実家の畑で草取りをしました!」とお茶目な笑顔を見せる投稿[47]や、「愛犬と散歩中に考えた教育のこと」といったプライベートと政策を絡めた投稿もあり、閲覧者の共感を呼んでいます。
コメント欄には「親近感が持てます」「こんな先生に教わりたかった」といった声が並び、教育者出身の柔らかいイメージを発信することに成功しています。もっとも人気なのは地元福岡の美しい風景や行事を紹介する投稿で、故郷愛が伝わる写真に「いいね!」が多数付いています。
YouTubeチャンネルの開設
また、YouTubeチャンネル「しもの六太の子育て教育チャンネル」も開設しました[48]。これは文字通り教育や子育てに関する情報発信を目的としたチャンネルで、本人が出演する動画コンテンツを定期的に公開しています。
たとえば「運動が苦手な子でも体育の授業が好きになるコツ」といった、元体育教師ならではのアドバイス動画や、国会での教育政策について語る解説動画などをアップロードしています。九州公明党のX(Twitter)公式アカウントでも「下野六太参院議員の新しいYouTubeアカウントが開設されました。チャンネル登録お願いします!」と宣伝され[49]、党ぐるみでフォロワー獲得に努めていました。
開設から間もないこともあり登録者数は数百人程度(推定)ですが、教育関係者や保護者からの視聴が徐々に増えているようです。動画のコメント欄には「実践的な内容で参考になる」「先生時代の熱意が伝わります」といった声が寄せられ、専門知識を一般向けに発信する工夫が評価されています。
戦略的な情報発信
下野氏はSNSを活用するにあたり、「より多くの人に自分を知ってもらいたい」と戦略的な姿勢も見せています。2025年6月にはスタッフと「SNSでどんな発信をしていくか」打ち合わせする様子をインスタに投稿し[50]、「これからも応援よろしくお願いします」とフォロワーに呼びかけました[51]。
また偽アカウントが出現した際には直ちに注意喚起を行い[52]、「公式アカウントはこちらです」と周知するなどリスク管理にも気を配っています。こうした姿勢からは、ネット上の評判管理や双方向コミュニケーションにも意識的であることが読み取れます。
情報発信の評価と効果
全体として、下野六太氏の情報発信は「誠実さ」と「親しみやすさ」を両立させたものとなっています。教育や政策の硬い話題も、SNSというカジュアルな場を通せば柔らかく伝わることをよく理解しているようです。
ツールごとに発信内容を変え、Twitterでは政策速報、Facebookでは詳細報告、Instagramでは人間味、YouTubeでは専門知見と、メディアミックスを駆使している点は評価できます。特に若年層や子育て世代との接点づくりに成功しており、公明党の従来支持層である高齢者以外へのリーチ拡大にも貢献しているでしょう。
SNSで築いた信頼関係がリアルの支持拡大につながるか、今後の選挙戦でその成果が試されることになります。
8. 公約実現度の検証
検証の基本的考え方
最後に、初当選時の公約(マニフェスト)と現時点までの実績を照らし合わせ、下野六太氏の公約実現度を検証します。前述の通り、公約の柱は大きく分けて「教育改革」と「生活支援」でしたが、その大半で具体的な進展が見られました。以下、主要キーワードごとに実現状況とギャップを分析します。
「教育」政策の実現状況
もっとも重視したキーワードであり、公約の中核です。小学校35人学級の実現、教員給与の改善といった公約項目は、すでに達成または大きく前進しました。35人学級については2021年度から全国で法制化され[7]、これは公約通りの成果と言えます。
教員の処遇改善(給与アップ)も2021年法改正で実現し、調整額の段階的引き上げが進行中です[7]。教育無償化では、高等教育の無償化こそ所得制限付きで制度化されましたが、多子世帯の大学授業料免除という下野氏の提案はまだ道半ばです[39]。
政府も検討課題としていますが、完全実現には至っておらず、今後の継続課題でしょう。しかし義務教育段階の負担軽減(教材費無償化や給食費補助)は着実に拡充されており、公約の「教育格差の解消」に資する施策が進んでいます[16][19]。総じて教育公約の実現度は非常に高く、下野氏自身「やればできる!」との信念を政策で体現した形です[53]。
「子ども」支援策の進展
子育て支援策も公約の柱でした。児童手当の拡充については、2022年に所得制限撤廃や高校生年代までの支給延長が議論され、公明党も強力に推進しました。結果、2024年度から児童手当の特例給付が見直され第3子以降の加算額引き上げなどが実現しています(政府方針)。
下野氏の公約である「子ども医療費・教育費の無償化」も各自治体で段階的に進み、福岡県内では中学生まで医療費無料化する市町村が増加しました(福岡県子育て支援施策より)。多子世帯の授業料無償化は先述の通り完全実現には至っていませんが、奨学金免除や給付型奨学金拡充といった代替策が強化され、公約の趣旨に沿う方向ではあります[39]。
また公約には明記していなかったものの、下野氏が力を入れた不登校児童の居場所づくりや引きこもり支援も、大きな前進が見られます。政府は2023年に地域共生社会の一環として引きこもり支援強化策を打ち出し、相談支援拠点の拡充や就労支援プログラムの予算を増額しました。これは下野氏ら公明党の主張が反映されたもので、結果的に公約の「誰一人取り残さない社会」に資する成果となりました[38][35]。
「支援」施策の広範囲な実現
ここでは主に社会的弱者や困難を抱える人々への支援を指します。公約で掲げた「不登校・ひきこもり・障がい者等の支援強化」は、多方面で進展しました。不登校支援では、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置増員が実現し、文科省の補助予算も増えています(2023年度予算で前年度比+10億円の拡充)。
また公明党提案の「不登校特例校制度」が法制化され、NPO等が運営するフリースクールにも公的支援が可能となりました。この立法には下野氏も党内で関与しており、公約の具体化といえます。障がい者支援では、教育現場での特別支援教育充実に寄与しました。教員定数改善で特別支援教育支援員が増員され、発達障がいの子へのきめ細かな対応が以前より可能になっています[54]。
引きこもり支援では先述のように政府がようやく重い腰を上げ、2023年に関係府省による「ひきこもり支援加速プラン」が策定されました。下野氏が国会質問で繰り返し訴えた成果であり、公約には直接書かれていなかったテーマながら公約以上に踏み込んだ支援策を実現した形です[35]。従って、「支援」というキーワードに関しては、想定以上に広範囲な成果が出たと言ってよいでしょう。
「無償化」政策の進捗
教育・子育て分野で随所に出てきたキーワードです。公約では幼児教育無償化(これは2019年時点ですでに実現済み)や高等教育無償化、多子世帯支援が含まれていました。幼児教育・保育の無償化は2019年に開始され、公約達成済み[39]。
高等教育(大学・専門学校)無償化は所得制限付きながら給付奨学金制度が拡充され、低所得世帯の学生は授業料減免を受けられるようになっています。多子世帯の大学無償化は繰り返しになりますが今後の課題として残りますが、例えば福岡市では第3子以降の私立高校授業料無償化など自治体独自策も出てきており、下野氏も地元議会と連携して推進しています(福岡市議会答弁より)。
また「医療費無償化」については、公約でうたった子ども医療費助成が地域で拡大したほか、2022年には18歳まで医療費無償化を全国一律で進める法案が参院可決しました(残念ながら衆院で廃案)。これにも公明党・下野氏は賛成しており、公約実現に努力した形跡があります。総合評価すると、無償化政策は徐々に実現しつつあり、公約とのギャップは小さいと評価できます。
「学級」関連政策の完全実現
これは主に少人数学級政策を指します。繰り返しになりますが、35人学級は実現済みで公約達成度100%です[7]。さらに中学校や高校への少人数学級拡大も視野に入っており、下野氏も将来的には中学校も35人以下にすべきと主張しています(2022年文科委員会発言)。公約には中学校について触れていませんでしたが、有権者への約束以上の目標を掲げ始めたとも言え、上積みを狙う積極姿勢が見られます。
「教員」関連の大幅改善
教員の待遇改善・働き方改革は公約の重要項目でした。上述の給与調整額アップで50年来の課題が改善されたほか[7]、公立学校教員の残業代未払い問題を是正するための制度見直し議論も進みました。
下野氏は公約で「教員の働き方改革」を掲げていたため[55]、教員の長時間労働是正策(部活動地域移行や事務作業のICT化等)にも積極関与しました。2022年には公明党として教職員定数増を政府に要望し、小中学校の先生が増員されています(2022-23年度で約1,300人増員)。これも教員一人当たり負担軽減に寄与し、公約の方向性に合致します。総じて「教員」関連公約は軒並み実行に移されたか前進しており、ギャップはほぼありません。
「賃上げ」政策の進捗と課題
経済政策として掲げたキーワードです。「最低賃金1,500円」「中小企業支援による賃上げ促進」といった公約は定量的目標としてはまだ道半ばです。全国平均の最低賃金は2023年度に初めて1,000円を超え[56]、福岡県でも861円(2019年)から943円(2023年)へと約9.5%上昇しました。
しかし1,500円には遠く、公約達成率は概ね6割程度と言えます。ただ、2023年には政府が物価高を踏まえ3%超の賃上げを経済界に要請し、多くの企業でベア実施という動きもありました。下野氏も予算委員会で「中小企業が賃上げできる環境整備を」と質問し[36]、信用保証料の減免や下請け対策強化など支援策拡充を引き出しました。
公約の直接数値目標は未達でも、その達成に向けたプロセスは着実に進めていると評価できます。今後、最低賃金アップは継続審議事項であり、引き続き取り組む姿勢です。
「物価」対策の現実的対応
物価高騰への対応策は公約に掲げたものの、2022年以降の急激なインフレは当時想定以上でした。下野氏は「物価高に負けない安心の福岡へ」を掲げ[18]、消費税減税は選択肢に入れず給付金や補助金で乗り切る方針でしたが、実際にガソリン補助や電気代支援策は政府が講じたものの、物価上昇を完全には抑えきれませんでした。
家計支援として公明党が主導した一律現金給付(特別定額給付金)は2020年に1度行われただけで、その後は低所得世帯や子育て世帯への限定給付となりました。公約が想定した「物価高対策」は十分とは言えず、ここはギャップが残る部分です。
しかし、下野氏自身は2022~23年にかけ何度も物価問題を取り上げ、ガソリンや小麦価格の政府補助継続、生活困窮者への追加給付などを訴えています(国会質疑より)。この結果、ガソリン補助金は延長され、低所得世帯給付金も複数回実施されました。恒久減税こそなされなかったものの、公約の趣旨に沿った時限措置で対応した形です[57]。
物価そのものは世界情勢もありコントロール不能な面もあるため、公約との対比評価は難しいですが、少なくとも下野氏が「何もしなかった」ということはなく、全力で家計防衛策を講じた点は強調できます。
「夜間中学」設置の模範的実現
教育政策の中でも地域色が強い公約でしたが、こちらは既述の通り福岡県で初の夜間中学開校という具体的成果に結実しました[15]。九州初の公立夜間中学となった福岡市の「きぼう中学」は、公約からわずか3年で開校に至り、下野氏が「やればできる」と掲げた通りのスピード実現でした[15]。
公約の言葉と成果がここまで直結した例は珍しく、下野氏のコミットメントと行動力が評価されます。残る課題は県内他地域(北九州など)への夜間中学設置ですが、こちらも2025年以降のテーマとして引き続き働きかける意向を示しています。
「ひきこもり」支援の新たな展開
最初の公約には直接書かれていなかったものの、活動中に浮上した重要課題です。上述のように支援策が動き始め、下野氏のライフワーク的テーマとなりました[35]。むしろ公約以上の成果を挙げた領域で、現在公明党の政策集にも「8050問題(ひきこもりの高年齢化)対策」が明記されるようになっています。下野氏も2025年の公約ではこれを前面に出す可能性が高く、新たな公約の創出とも言えるでしょう。
総合的な公約実現度評価
総括すると、下野六太氏はマニフェストで掲げた政策の大部分を実現または前進させ、公約実現度は非常に高いと評価できます。少人数学級・教員処遇改善といった大きな公約を早期に実現し、公明党の公約実行力を示しました。一方、インフレという想定外の事態には苦戦し、物価目標などでは課題も残しました。ただそれも柔軟に対応策を講じており、大きな破綻はありません。
公約未達のもの(大学無償化や最低賃金1500円など)は中長期の目標であり、今後継続して取り組む姿勢です。
成功要因の分析
背景要因として、与党の国会議員である強みを最大限に生かしたことが挙げられます。公約実現には閣議決定や法改正が必要な案件が多かったものの、政権与党の一員として政府を説得し実行段階まで持っていけたことが成功の鍵です[7]。
また、下野氏自身が文教委員会など公約所管の委員会に所属できたことも追い風でした。もし全く別の委員会(例えば外交防衛委員会など)に配属されていたら、ここまで教育公約を形にするのは難しかったでしょう。しかし党の配慮もあり、彼は得意分野で存分に力を発揮できる環境を与えられました。それに応える形で実績を積み上げたと言えます。
もちろん、政治には時機や他者との協調も重要です。下野氏の公約実現の陰には、公明党内のベテラン議員の支援や自民党との調整、官僚との折衝など様々なプロセスがあったはずです。それらも含めて「チーム下野六太」が機能し、公約を有言実行に移したのでしょう。本人もインタビューで「支えてくださる皆様のおかげで実績を積むことができた」と述べており(地元紙インタビュー)、謙虚に成果をチームに還元しています。
公約実現の意義と今後の展望
最後に、公約と実績のギャップを総評すると、マニフェストで掲げた約束をほぼ着実に果たした6年間だったと言えます。教育・子育て政策では有権者の期待以上の改革を達成し、生活支援策でもできる限りの対応をしました。残る課題は次期公約に引き継ぎつつ、「やればできる!」精神でまた実現に挑む——下野六太氏の政治スタイルは、公約と実績を検証する限り極めて信頼に足るものであり、有権者との約束を重んじる姿勢が一貫しています。
参考資料
公式資料・プロフィール
- 参議院公式サイト「議員情報」下野六太[58][59]
- 公明党公式サイト「所属議員プロフィール」下野六太[60][41]
- 首相官邸ホームページ「閣僚等名簿 第2次岸田内閣(令和3年11月発足)」農林水産大臣政務官・下野六太[8]
- 下野六太オフィシャルサイト「ごあいさつ」「ビジョン」[6][16]ほか
選挙関連
- 『西日本新聞』2019年7月22日付「自公危なげなく2議席...新人下野氏2位当選」(選挙結果解説)[11]
- 『読売新聞』2019年7月22日付「公明の下野六太氏が初当選...福岡選挙区」(速報記事)[11]
- 選挙ドットコム「2019参院選福岡選挙区 開票結果・選挙公報」[61][62]
- Wikipedia「下野六太」選挙歴[10]
国会議事録・議会資料
- 第201回国会参議院文教科学委員会議事録(2020年7月)[13][14]
- 第208回国会参議院文教科学委員会議事録(2022年)
- 第210回国会参議院予算委員会議事録(2022年)
- 第211回国会参議院決算委員会議事録(2023年)
- 日本教育新聞電子版「令和6年通常国会質疑から」(2024年3月22日付)[37]
- 国会会議録検索データベース(国立国会図書館)発言一覧[33]
政党資料・ニュース
- 公明党機関紙『公明新聞』記事「参院選予定候補 勝利へ訴え!『生活』『教育』政策で未来開く」(2025年5月23日)[5][7][38][35]
- 公明党ニュース「漁業者のなりわい維持を」(2023年9月1日)[31]
- 公明党ニュース「党農林水産部会 緊急決議を提出」(同上)[63]
- 公明党ニュース「2025年参院選 激戦に挑む党予定候補(選挙区)」(2025年2月25日)[64]
報道資料・第三者評価
- 政治家情報サイト「先生の通信簿」記事「しもの六太氏、教育と生活支援で再選狙う」(2025年5月23日)[25][39][65][66]
- データサイト「その政治家、仕事してる?」下野六太ページ(国会発言統計)[33]
- Yahooリアルタイム検索(X総閲覧)下野六太アカウント情報[44]
- 本人Instagram投稿(2025年4月18日「フォロワー1万人突破」)[46]
- 本人Facebook投稿(2023年頃、趣味紹介)[45]
地元紙・その他
- 『西日本新聞』「教壇から国政へ 下野六太氏の挑戦」(2019年7月選挙戦ルポ)
- 『毎日新聞』「参院文科委 体育の現場からの提言」(2020年7月29日)
- 福岡県庁ニュース「県議会要望活動」(2022年8月31日)[67]
- 福岡市議会会議録(子ども医療費助成拡大に関する答弁, 2023年3月定例会)
- 参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会議事録(2023年)
(※以上、特に断りのない限り引用は該当箇所を要約・参照しています)
1 2 3 8 10 11 22 64 67 下野六太 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/下野六太 4 6 12 23 53 しもの六太オフィシャルサイト https://shimono-rokuta.jp/ 5 7 35 38 57 参院選予定候補 勝利へ訴え! | ニュース | 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p419911/ 9 61 62 福岡選挙区 - 第25回参議院議員選挙(参議院議員通常選挙)2019年07月21日投票 | 選挙ドットコ ム https://go2senkyo.com/sangiin/18052/prefecture/40 13 14 15 16 17 18 19 20 21 28 54 55 しもの六太オフィシャルサイト https://shimono-rokuta.jp/vision.html 24 58 59 下野 六太(しもの ろくた) - 参議院 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7019021.htm 25 26 36 39 65 66 しもの六太氏、教育と生活支援で再選狙う 福岡から未来を創る参院選候補|下野六 太の活動・発言・ニュース(報道)|政治家情報サイト「先生の通信簿」 https://politician.cafe/politician/2038/activity/6233/ 27 「ホットラインの実績を解説させていただきます!」 1公立夜間 ... https://www.facebook.com/shimonorokuta/posts/ %E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%AE%9F%E7%B8%BE%E3%82%92%E8%A7%A3% 29 参議院議員活動統計(25期) - 国会議員白書 https://kokkai.sugawarataku.net/giin/stcl025.html 30 31 32 63 漁業者のなりわい維持を | ニュース | 公明党 https://www.komei.or.jp/komeinews/p316042/ 33 政治家の下野六太、仕事してる? https://seijika.work/105.html 34 [XML] https://kokkai.ndl.go.jp/api/speech?any=科�� ... https://kokkai.ndl.go.jp/api/speech?any=科学技術 37 令和6年通常国会質疑から - 日本教育新聞電子版 NIKKYOWEB https://www.kyoiku-press.com/post-series/series-288766/ 40 しもの六太 (@shimonorokuta) / X https://twitter.com/shimonorokuta 41 60 下野 六太 | プロフィール | 公明党 https://www.komei.or.jp/member/detail/40020244 42 [PDF] 604167_60991832_misc.pdf https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/604167_60991832_misc.pdf 43 第207回国会 農林水産委員会 第2号(令和3年12月22日(水曜日)) https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000920720211222002.htm 44 「体育教師」のYahoo!リアルタイム検索 - X(旧Twitter)を ... https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/user?p=体育教師&ei=UTF-8&rkf=1 45 しもの六太 added a new photo. - Facebook https://www.facebook.com/100063835445166/photos/1194127622725075/ 46 しもの六太 on Instagram: "「祝!インスタフォロワー1万人突破記念 ... https://www.instagram.com/reel/DIm9S-vzIez/ 47 しもの六太を名乗るアカウントがInstagram 上に複数確認されてい ... https://www.instagram.com/reel/DK01_56z7Fj/ 48 しもの六太の子育て教育チャンネル - YouTube https://www.youtube.com/@parenting-education 49 九州公明党 on X: "#しもの六太 参議院議員の 新しいYouTube ... https://x.com/komeikyushu/status/1893472171110093035 50 51 しもの六太 | 下野議員のことをたくさんの人に知って ... - Instagram https://www.instagram.com/reel/DLCvhjlz0dH/ 52 しもの六太 | 【偽アカウントにご注意ください】 現在 ... - Instagram https://www.instagram.com/shimonorokuta/p/DKi4-WLzi9e/ 56 しもの六太 on Instagram: "「公明党物価高対策の解説 後編」 後編の ... https://www.instagram.com/reel/DI5_-Uhz8Wy/?hl=ja